「家賃収入が入っているはずなのに、自分には一切振り込まれない」
「通帳を見せてほしいと頼んでも、はぐらかされてしまう」
と悩んでいませんか?
このページでは、共有名義の家賃を独占された場合の対策について、プロが分かりやすくご案内します。
- 家賃は原則として持分割合に応じて受け取る権利がある
- 分配されなかった家賃は、あなたが取り戻す方法がある
- 対策は①話し合う、②持分を売却する、③弁護士に依頼するの3通り
目次
共有名義の家賃、独占されている理由
根本的な理由は、共有者間の仲が悪く、信頼関係がないからです。
関係がこじれていると次のような状態になります。
- 共有者の1人が暴走する
- 運用のルールが無い
暴走とは、他の共有者に相談せず、一人の判断が家賃を独占したり、不当に低い金額を分配していたりすることです。
問題がない共有者の間では、次のようなルールが設けられ、キチンと運用されています。
- 誰が家賃を受け取るか
- いつどの頻度で分配するか
- 固定資産税や経費をどう精算するか
- 通帳や契約書をどう共有するか
共有者は共有不動産の家賃を持分に応じて受け取る権利がある
共有不動産を第三者に貸して得た家賃は、共有者間に別段の合意がない限り、原則として各共有者に持分割合に応じて帰属します。
民法249条で「各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる」と規定されています。
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
また、民法206条は所有者に使用・収益・処分の権利を認めています。
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
家賃を受け取った共有者が、必要経費を精算せず、他の共有者に帰属する分まで保持している場合は、持分相当額の返還義務が生じる可能性があります。
まずは実際の収支を確認することが大切です。
家賃の管理方法は、民法252条で「共有者の持分価格の過半数で決める」と規定されています。
共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。
管理者は、修繕の手配や一定の賃貸借契約など、共有物の管理に関する事実行為・法律行為を行える場合があります。
ただし、管理者であることだけを理由に、家賃を自分のものにできるわけではありません。
共有名義の家賃についての2つの注意点
- 滞納された家賃の請求には時効がある
- 家賃を受け取っていないのに確定申告をする必要がある
それぞれ詳しくご案内します。
滞納された家賃の請求には時効がある
時間が経過すると、古い家賃から順番に時効を迎えます。
請求や交渉をしないまま放置すれば、5年を過ぎた月分から順に回収できなくなりますので、早めにご確認ください。
家賃を請求する権利は、民法166条で次のように規定されています。
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
請求できることを知った時から5年、または請求できる時から10年、いずれか早い方で時効となります。
先ほどもご案内したように、毎月発生する家賃については、原則として各月分ごとに時効が進行します。
民法150条では、配達証明付き内容証明郵便などで支払いを催告すると、その時から6か月間、時効の完成が猶予されると規定されています。
催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
ただし、時効がリセットされるわけではなく、猶予期間中に再度催告しても、さらに6か月延長されることはありません。
②家賃を受け取っていないのに確定申告をする必要がある
他の共有者が家賃をすべて受け取っていても、税務上は持分割合に応じた不動産所得があなたにあると判断される場合があります。
特に相続した賃貸不動産が未分割の場合は、特定の相続人が家賃を管理していても、原則として各相続人が法定相続分に応じて申告します。
家賃を受け取っていないことを理由に申告しないままでいると、申告漏れになるリスクがあります。
税理士や税務署に確認してください。
共有名義の家賃を独り占めされた時の対策は3つあります。
- 話し合う
- 自分の持分を売却する
- 弁護士に依頼する
詳しくご案内します。
【対策①】共有者同士で話し合いをする
相手と連絡が取れる場合は、まず話し合いを検討してください。
最初に収支の情報を共有する必要があります。
- 賃貸借契約書
- 入居者別の家賃額
- 入金履歴
- 管理会社の収支報告書
- 固定資産税・火災保険料・修繕費・管理委託料の領収書
- 空室期間や滞納額の記録
そのうえで、実際に受け取った家賃から適正な経費を差し引き、持分割合に応じた精算額を計算してください。
固定資産税や修繕費など、共有者全員が本来負担すべき費用については、民法253条で「各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う」と規定されています。
各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負う。
話し合いに応じない場合は、内容証明郵便で正式に請求内容を通知してください。
後日、調停や訴訟に進んだ際に「いつ、どんな内容で請求したか」を示す証拠にすることができます。
話し合いだけで解決しない場合は、次の対策もご検討ください。
【対策②】自分の共有持分を売却する
相手との関係を続けたくない場合は、あなたが所有している共有持分の売却をご検討ください。
- 共有持分(きょうゆうもちぶん)…一つの不動産を複数人で所有するとき、各人が持つ所有の割合のこと
売却前に発生している家賃の返還請求権については、持分売却とは別に請求を検討できます。
メリットは次の通りです。
- 他の共有者と交渉せずに済む
- 共有関係から抜けられる
持分だけの売却であれば、他の共有者の同意は必要ありません。
根拠は民法206条です。
デメリットは次の通りです。
- 市場価格より安い
- 今後の家賃収入は得られなくなる
