| 項目 | 共有持分一部移転 | 共有持分全部移転 | 共有者全員持分全部移転 | 所有権移転 |
|---|---|---|---|---|
| 移転の対象 | 共有者の持分の一部 | 共有者の持分の全部 | 共有者全員の持分(全権利) | 不動産全体の所有権 |
| 移転後の状態 | 元の共有者も受取人も共有者として残る | 受取人が共有者となり、元の共有者は残る | 受取人が単独で所有 | 受取人が単独で所有 |
| 登記の形式 | 共有持分一部移転登記 | 共有持分全部移転登記 | 共有者全員持分全部移転登記 | 所有権移転登記 |
- 共有持分一部移転…共有者が自分の持分の一部だけを他の人に移転させること
例えば、父と母、長男の3人で均等に共有している不動産のうち、父の持分の2分の1だけを長男に移転するといったことです。
- 共有者全員持分全部移転…複数の共有者が全員まとめて、自分たちの持分をすべて1人に移転させること
例えば、父と母、長男の3人で均等に共有している不動産を、次男1人に全て移転するといったことです。
- 所有権移転…単独で所有している不動産を、1人に移転させること
例えば、父が単独で所有している不動産を次男1人に移転するといったことです。
共有者が持分の全部移転を行う6つのケース
- 共有持分を売買する
- 共有持分を相続する
- 共有持分を贈与する
- 離婚で財産分与を行う
- 共有持分を放棄する
- 共有物の分割をする
詳しくご案内します。
【ケース①】共有持分を売買する
共有持分の売買とは、次のようなケースのことです。
- 買取業者への売却
- 仲介業者への売却依頼
- 共有者間での売買
共有者は自分の持分だけなら自由に売却できます。
他の共有者からの同意や事前の連絡、相談などは不要です。
例えば、兄弟で均等に所有している共有名義の不動産があり、兄が買取業者に売却するといったことです。
この場合、買取業者が取得するのは2分の1だけです。
売却で全部移転する場合は合わせてお読みいただければと思います。
【ケース②】共有持分を相続する
共有持分の相続とは、共有者が死亡した場合に、その持分を相続人が承継することです。
例えば、父・長男・次男で3分の1ずつ共有している不動産があり、父が亡くなったら、父の持分3分の1を長男と次男が法定相続分にそって相続し、その相続登記をするといったことです。
相続登記は全部移転登記の一種ということです。
相続で共有名義の登記をされる方は、こちらの「共有名義の相続登記とは?」をご一読ください。
なお、2024年4月から相続登記が義務化されており、相続を知った日から3年以内に登記申請を行う必要があります。
参考)法務省「相続登記の申請義務化について」
【ケース③】共有持分を贈与する
共有持分の贈与とは、共有者の1人がその持分を無償で他者に譲渡することです。
基礎控除(年間110万円)を超える価値の持分を贈与した場合には、受贈者に贈与税の申告をすることになります。
-
父が相続税評価額2,000万円の不動産の持分4分の1を子(50歳)に贈与した。
年間110万円の基礎控除を超えるため贈与税の申告することになった。
課税対象額は500万円−110万円=390万円。
この時の贈与税は約50万円だった(390万円×15%−10万円=48.5万円)。
【ケース④】離婚で財産分与を行う
離婚時の財産分与とは、婚姻中に夫婦が共同で形成した財産を、離婚に伴って公平に分け合う手続きのことです。
例えば、夫婦で2分の1ずつ共有していたマンションを離婚の際に妻が単独取得する場合、夫の持分2分の1を妻に移転する「共有持分全部移転登記」を申請します。
受け取る側は基本的には非課税ですが、次の場合は、贈与税が課税される可能性があります。
- 財産分与の割合が社会通念上不相当に多い場合
- 税負担を逃れることを目的とした移転とみなされた場合
【ケース⑤】共有持分を放棄する
共有持分の放棄とは、共有者の1人が自己の持分を放棄し、その持分を他の共有者のものにする手続きのことです。

例えば、遠方に住んでいて管理が難しい相続した持分を放棄するケースが該当します。
放棄するという意思表示は他の共有者の同意なく単独でできます。
ただし、全部移転登記は、持分を受け取る他の共有者と共同で申請をする必要があります。
放棄によって持分を取得した他の共有者には、贈与税に相当する課税(みなし贈与)が発生する場合があります。
【ケース⑥】共有物の分割をする
共有物の分割とは、共有状態にある不動産を各共有者の単独所有化したり、新たな共有形態に分け直したりする手続きのことです。
分割方法は3種類あります。
- 現物分割…2人で共有している土地を物理的に半分に分けて各自の単独所有とする
- 換価分割…不動産全体を売却して代金を持分割合で分ける
- 価格賠償…共有者の1人が他の持分を買い取って単独所有にする
分割方法の決定には共有者全員の合意が必要です。
合意が得られない場合、裁判所に共有物分割請求訴訟を提起することが多いです。
自分の持分を全部移転する手続き4つのステップ
- 必要書類を準備する
- 登記申請書を作成する
- 管轄の法務局に申請する
- 登記完了・登記識別情報の受領
詳しくご案内します。
【ステップ①】必要書類を準備する
移転の原因(売買・相続・贈与など)に応じた必要書類を収集します。
書類の種類は移転原因によって違います。
詳しくはこちらの「必要書類一覧【ケース別】」をご確認ください。
【ステップ②】登記申請書を作成する
法務局のウェブサイトで公開されている書式にそって、登記申請書を作成します。
記載事項には、登記の目的・原因・申請人の住所氏名・不動産の表示・登録免許税額などが含まれます。
登記の理由によって書き方が異なります。
具体的にはこちらの「登記申請書の様式及び記載例」に掲載で確認できます。
【ステップ③】管轄の法務局に申請する
不動産の所在地を管轄する法務局に、必要書類と登記申請書を提出します。
申請方法は、窓口持参・郵送・オンライン申請の3種類があります。
最寄りの法務局は「法務局・地方法務局所在地一覧」でお探しいただけます。
【ステップ④】登記完了・登記識別情報の受領
申請後、通常1〜2週間程度で登記が完了します。
登記完了後、新たな所有者(登記名義人)に「登記識別情報通知」が交付されます。
共有持分全部移転の必要書類一覧【ケース別】
- 相続の場合の必要書類
- 売買・贈与の場合の必要書類
- 財産分与の場合の必要書類
それぞれご案内します。
相続の場合の必要書類
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書(相続人全員の実印と印鑑証明書)
- 遺言書(遺言がある場合)
- 相続人の住民票
- 固定資産税評価証明書
相談先は次の通りです。
- 司法書士(登記手続き)
- 税理士(相続税の申告)
売買・贈与の場合の必要書類
- 登記識別情報(権利証)または登記済証
- 印鑑証明書(売主・贈与者のもの、発行後3カ月以内)
- 住民票(買主・受贈者のもの)
- 固定資産税評価証明書
- 売買契約書(売買の場合)
- 贈与契約書(贈与の場合)
相談先は司法書士(登記手続き)です。
不動産会社に依頼している場合は、提携している司法書士が対応します。
贈与税が発生する場合は税理士にもご相談ください。
財産分与の場合の必要書類
- 離婚協議書または調停調書
- 戸籍謄本(離婚の記載があるもの)
- 登記識別情報(権利証)または登記済証
- 印鑑証明書(分与者のもの)
- 住民票(取得者のもの)
- 固定資産税評価証明書
登記手続きの相談先は司法書士です。
次のような場合もあります。
- 離婚協議の段階では弁護士
- 税務上の問題がある場合は税理士
かかる費用の内訳
- 登録免許税
- 司法書士への報酬相場
- 書類取得費
ご案内します。
【費用①】登録免許税
登録免許税とは、登記申請の際に国に納める税金のことです。
不動産の固定資産税評価額に税率をかけて計算します。
例えば、固定資産税評価額が2,000万円の不動産で、持分が2分の1の場合、相続であれば「2,000万円 × 2分の1 × 0.4% = 4万円」です。
売買であれば「2,000万円 × 2分の1 × 1.5% = 15万円」が登録免許税の目安です。
| 移転原因 | 税率 |
|---|---|
| 相続 | 固定資産税評価額 × 0.4% |
| 贈与・財産分与 | 固定資産税評価額 × 2% |
| 売買 | 固定資産税評価額 × 1.5%※ |
| 持分放棄 | 固定資産税評価額 × 2% |
※土地の売買による所有権移転登記の登録免許税は本則2.0%ですが、2029年(令和11年)3月31日までは1.5%の軽減措置が適用されます。
建物部分場合は2.0%です。
【費用②】司法書士への報酬相場
司法書士とは、登記申請の専門家として、登記書類の作成や申請手続きの代行を行う国家資格者のことです。
共有持分の移転登記を司法書士に依頼した場合の報酬相場は、3万円〜8万円程度です。
移転原因や不動産の数、書類収集の手間によって金額は変動します。
【費用③】書類取得費
登記申請に必要な書類を取得する際には、実費がかかります。
戸籍謄本・住民票・固定資産税評価証明書などの公的書類は各役所で取得します。
- 戸籍謄本…1通450円
- 住民票…1通300円
- 固定資産税評価証明書…1通300〜400円
相続の場合は戸籍の通数が多くなり、数千円の実費がかかることもあります。
まとめ
共有持分全部移転登記は、持分を他者に移転する場合に必要な手続きです。
基本的には司法書士に依頼します。
共有持分が専門の社団法人が
親身に対応いたしております
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