「相続した実家の共有持分を、相続放棄で手放したい」——足立区西新井にお住まいのAさん(50代)からのご相談でした。
相続から1年半が経ち、相続放棄の期限(3か月)はすでに過ぎていた状況です。
そのAさんが、ご兄弟と一切関わらず、揉めることもなく、共有持分を920万円で売却できた事例をご案内します。
- 足立区西新井のAさん(50代)は、相続した実家の持分を「相続放棄したい」とご相談
- しかし相続から1年半が経過し、相続放棄(3か月以内)はすでに使えなかった
- お父様に借金はなく、不動産には価値があったため、放棄ではなく売却が適していた
- 自分の持分だけなら、ご兄弟の同意なしで売却できる(民法206条)
- 結果、持分を920万円で売却。兄弟と一切関わらず、揉めずに解決
目次
共有持分を相続放棄したいというAさんの相談内容
足立区西新井にお住まいのAさん(50代)からのご相談でした。
- ご相談者・Aさんのご状況
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エリア・年代 | 足立区西新井・50代 |
| 相続したもの | 亡くなった父の実家を、ご兄弟と共有名義で相続(1年半前) |
| 持分の割合 | 2分の1(ご兄弟と2人で相続) |
| ご自身の住まい | 別に持ち家があり、実家に住む予定はない |
| 困りごと | 住む予定のない実家のため、毎年固定資産税を払い続けている |
| ご兄弟との関係 | 関係が良くなく、できれば関わりたくない |
| ご希望 | 「タダでもいいから持分を手放したい」 |
Aさんは、1年半ほど前に亡くなったお父様の実家を、ご兄弟と共有名義で相続されていました。
ご自身はすでに別の場所に持ち家があり、実家に住む予定はありません。
それでも、固定資産税の通知だけは毎年届きます。
納税のためだけに、住む予定のない実家とつながり続けている状態でした。
加えて、ご兄弟とは関係が良いとは言えず、できれば連絡も取りたくない。
そうした複数のご事情が重なり、「もう手放してしまいたい」というお気持ちに至っていらっしゃいました。
当協会へお電話をいただいたときの第一声は、「タダでもいいから、この持分を手放したい。相続放棄はできますか」というものでした。
固定資産税の通知が来るたびに、気が重くなっていました。住むつもりもない実家のために、毎年お金を払い続けている。兄に相談しようにも、顔を合わせるのも億劫で。もう、お金なんていらないから、この持分から解放されたい——そればかり考えていました。
「相続放棄」と「持分放棄」は別物です
Aさんは「相続放棄」という言葉を使っておられましたが、お話を伺うと、本当に求めていらっしゃるのは「この持分を手放すこと」でした。
そこでまず、用語の整理からお伝えしました。
- 相続放棄…亡くなった方の相続そのものを放棄すること。家庭裁判所で手続きし、相続を知って3か月以内という期限がある。預貯金も借金も不動産も、すべてまとめて手放す。
- 持分放棄…すでに相続した自分の共有持分だけを放棄すること。期限はないが、放棄した持分は他の共有者に移り、その登記には共有者の協力が必要。
言葉は似ていますが、中身はまったく違います。
表で並べると、その差がはっきりします。
- 相続放棄と持分放棄の違い
| 比較項目 | 相続放棄 | 持分放棄 |
|---|---|---|
| 放棄するもの | 相続そのもの(全財産) | 自分の共有持分だけ |
| 期限 | 相続を知って3か月以内 | いつでも可能 |
| 手続き場所 | 家庭裁判所 | 法務局(登記) |
| 借金は? | 放棄できる | 放棄できない |
| 放棄したものは誰に? | 次順位の相続人へ | 他の共有者へ |
| 他の共有者の協力 | 不要 | 必要 |
Aさんはお父様の相続から1年半が経過していたため、相続放棄(3か月以内)はすでに使えない状況でした。
この時点で、Aさんは「もう手遅れではないか」と落胆されていました。
3か月の期限なんて、まったく知りませんでした。相続のことは後回しにしていたので、気づいたときにはとっくに過ぎていて。やっぱり自分はもう、何もできないんだ——と、半ば諦めかけていました。
相続放棄ではなく売却をご提案した理由
落胆されていたAさんに、私たちは「諦める必要はありません」とお伝えしました。
そもそもAさんのお父様に借金はなく、残されたのは価値のある不動産です。
仮に相続放棄が間に合っていたとしても、預貯金まで含めてすべてを手放すことになり、価値ある不動産まで捨てることになっていました。
相続放棄は「いらないものだけを選んで捨てる」ことができません。
借金が多く財産がマイナスのときには有効ですが、Aさんのように「借金はなく、不動産に価値がある」ケースでは不向きです。
こうした場合は、持分の売却こそが、その価値を現金に変えられる正しい選択になります。
「タダでも」と思っていた持分が920万円に
Aさんは「こんな実家の、しかも一部の持分に値段などつかない」と思い込んでいらっしゃいました。
だからこそ「タダでもいい」とおっしゃっていたのです。
しかし、足立区西新井は駅へのアクセスも良く、住宅需要のあるエリアです。
専門の買取であれば、持分だけでも値段がつくことは珍しくありません。
実際に査定を進めたところ、Aさんの持分は920万円で売却できることになりました。
「タダでも手放したい」と思っていたものが、まとまった現金に変わったのです。
正直、耳を疑いました。値段がつくとは思っていなかったので。タダで引き取ってもらうつもりだったのに、920万円も。もっと早く相談していれば、あの何年もの固定資産税を払わずに済んだのに——という気持ちと、これで解放されるという安堵が同時にきました。
兄弟に連絡せず持分を売却できるか――Aさんが特に心配されていた点
金額に納得されたあとも、Aさんには大きな不安が残っていました。
ご兄弟との関わりです。
連絡を取りたくない、同意を求めに行くのも気が重い、とおっしゃいます。
ここで、大きな安心材料をお伝えしました。
自分の持分を売るだけなら、他の共有者の同意は一切不要です。
法律(民法206条)で、各共有者が自分の持分を自由に処分できると定められているからです。
Aさんがご兄弟に連絡する必要も、許可をもらう必要もありません。
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する——と定めた条文です。共有持分も各共有者の財産であるため、自分の持分は他の共有者の同意なく、自由に売却できます。
これがもし持分放棄であれば、話は逆になります。
放棄した持分がご兄弟に移る登記で、ご兄弟の協力が必要になり、贈与税の問題も生じます。
Aさんのご希望には、同意不要で完結する売却のほうが、はるかに合っていました。
Aさんが各選択肢を比較して当協会を選んだ理由
Aさんは、持分を手放す方法をいくつか比較されました。
主な選択肢は、放棄・一般の買取業者・当協会(社団法人)の3つです。
それぞれの違いは、次の通りです。
- 放棄・一般の買取業者・当協会の比較
| 比較項目 | 放棄 | 一般の買取業者 | 当協会(社団法人) |
|---|---|---|---|
| 手元のお金 | なし(0円) | 入るが安くなりがち | 仲介で高値も狙える |
| 立場 | ― | 自社の利益が優先 | 社団法人の立場で相談に対応 |
| 解決の選択肢 | 放棄のみ | 自社による買取が中心 | 買取・仲介など複数から提案 |
| 共有者との関係 | 揉めやすい | 業者次第 | 揉めない進め方を重視 |
Aさんが当協会を選ばれた決め手は、「特定の買い方を押し付けられず、複数の選択肢から一番良い方法を一緒に考えてくれそうだと感じた」という点でした。
一般の買取業者は自社で買い取ることが前提になりがちですが、当協会は社団法人の立場で、買取・仲介など複数の選択肢からAさんに合った方法を提案できます。
この安心感が、選択の理由でした。
放棄と売却、どちらが得だったか
Aさんが迷われた「持分放棄」と「売却」を、あらためて比較すると、答えは明確でした。
- 持分放棄と売却の比較
| 比較項目 | 持分放棄 | 売却(Aさんの選択) |
|---|---|---|
| 手元のお金 | なし(0円) | 920万円が入った |
| 費用 | 登記費用がかかる | 買取なら無料 |
| 手間 | 自分で登記・共有者の協力要 | 業者が代行 |
| 兄弟との関係 | 贈与税等で揉めやすい | 関わらず完了 |
| 確実性 | 協力得られないと裁判も | 自分の意思だけで成立 |
放棄が売却に勝る点は、Aさんの場合、一つもありませんでした。
放棄を選ぶ前に知っておきたい3つの注意点
- 放棄しても税金からすぐには解放されない
- 相続放棄は「全部まとめて」しか放棄できない
- 放棄しても管理責任が残ることがある
詳しくご案内します。
【注意点①】放棄しても税金からすぐには解放されない
- 持分放棄をすると、持分を受け取った兄弟に贈与税(みなし贈与)がかかる可能性がある
- 放棄手続きが完了するまでの固定資産税は、自分に請求が続く
「放棄を決めた瞬間に解放される」わけではありません。
手続きが完了するまでの間も、納税義務は続きます。
【注意点②】相続放棄は「全部まとめて」しか放棄できない
相続放棄は、いらない不動産だけを選んで捨てることができません。
預貯金も借金も不動産も、すべてまとめて放棄します。
Aさんのお父様に借金はなく、価値ある不動産が残されていたため、相続放棄では価値まで捨てることになっていました。
仮に920万円で売れる持分を放棄していたら、その920万円を捨てるのと同じことになっていたのです。
【注意点③】放棄しても管理責任が残ることがある
相続放棄をしても、次の管理者が決まるまで管理責任が残る場合があります。
放置して建物が傷み、近隣に損害が出れば責任を問われることも。
その点、売却なら引き渡しと同時に、権利も責任もすべて買主に移ります。
後腐れがありません。
3か月を過ぎていても売却はできます
Aさんは相続放棄の3か月の期限を過ぎていました。
多くの方が、この期限切れで「もう打つ手がない」と諦めてしまいます。
ですが、売却に期限はありません。
相続放棄の期限を過ぎていても、持分の売却はいつでも可能です。
期限切れは、決して終わりではありません。
解決までの流れ
Aさんは最終的に、当協会を通じてご自身の共有持分を920万円で売却されました。
- 「タダでも」と思っていた持分が920万円の現金に変わった
- 兄弟への連絡・同意は不要だった
- 揉めることも、裁判になることもなかった
- 固定資産税の通知から解放された
売却を終えられたAさんから、当協会へ次のようなご感想をいただきました。
放棄するしかないと思っていたのに、まさか920万円で売れるなんて思いませんでした。
一番ありがたかったのは、兄弟に一切連絡せずに済んだことです。顔を合わせるのも気が重かったので。担当の方が何度も丁寧に説明してくださって、こちらの細かい質問にも嫌な顔ひとつせず答えてくれました。書類も順序立てて見せてくださるので、私のような素人でも流れが把握できました。
結果的に、毎年の固定資産税からも解放され、実家のことを考えなくてよくなりました。もっと早く相談すればよかったです。
放棄が向くケース・売却が向くケース
一般的に、放棄と売却のどちらが適しているかは、状況によって分かれます。
整理すると次の通りです。
- 状況別・向いている選択(放棄か売却か)
| 状況 | 適した選択 |
|---|---|
| 借金が多く、不動産にも価値がない | 相続放棄(3か月以内に家庭裁判所へ) |
| 手放したい・現金も得たい | 持分の売却 |
| 3か月を過ぎている/持分だけ手放したい | 持分の売却 |
Aさんのように「借金がなく、不動産に価値があり、3か月を過ぎている」ケースでは、売却が適していると言えます。
まとめ
「相続放棄したい」「タダでも手放したい」と思う方の多くは、実は売却のほうが得をします。
現金が手に入り、共有者と揉めず、確実に手を引けるからです。
Aさんも、放棄を選んでいたら一円にもならなかった持分を、920万円の現金に変えることができました。
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放棄を決める前の最終確認として、お気軽にご相談ください。
3か月の期限を過ぎていても問題ありません。
