共有持分を揉めずに売る6つの方法と秘密厳守・トラブル対応可な業者

「共有持分を揉めずに売る方法を知りたい」
「他の共有者と円満な状態で持分を売却するには?」

このように考えていませんか?

この記事では、共有持分を揉めずに売却する方法を、プロがわかりやすくご案内します。

この記事の作成者

専門相談員 戸田 良行Yoshiyuki Toda

【資格】宅地建物取引士
神奈川県出身。高校サッカーで全国大会進出を果たし、指導者の道に進む。その後、大手不動産会社で不動産のノウハウを蓄積する。諦めないことを信条に、お客様の希望を叶えるため日々奮闘中。

共有持分を揉めずに売る6つの方法

6つの方法
  1. 専門の仲介業者に売却する
  2. 専門の買取業者に売却する
  3. 不動産会社に依頼する
  4. 共有者に直接売却する
  5. 共有者の持分を買取ってから売る
  6. 共有者全員で売る

あなたの状況に応じて6つの方法を使い分けてください。

詳しくご案内します。

【方法①】専門の仲介業者に売却する

仲介業者とは、不動産を売りたい人と買いたい人の間で、売買契約を成立させる専門の会社のことです。


専門相談員
戸田(とだ)
民法206条で規定されている通り、自分の持分だけなら自由に売却できます
    共有者に「自分の持分を仲介で売却すること」を内緒にしておけば、揉めずに現金化できます。

メリットは次の通りです。

  • 買取業者に売却するよりも高く売れる
  • 買取業者より悪質・悪徳な業者が少ない

仲介では、高額で買取る人を探すため、買取よりも高く売れる可能性が高いです。

宅建業免許が必須なため、仲介業者には悪質な業者が少なく、業者から情報が漏れる可能性はかなり低いです。

デメリットは次の通りです。

  • 売却までに時間がかかることがある
  • 仲介手数料がかかる
  • 対応している業者が少ない

例えば、売却活動が長引くと半年以上かかることがあります。買い手がつかない場合は販売終了となります。

一般の不動産会社では、共有持分は取り扱っていません。

共有持分の仲介に対応できる専門性の高い業者は、数社しかありません。

>>共有持分の仲介に対応している業者を見る

【方法②】専門の買取業者に売却する

買取業者とは、売主から直接共有持分を買い取る会社のことです。

    共有者に「自分の持分を買取業者に売却すること」を内緒にしておけば、揉めずに現金化できます。

メリットは次の通りです。

  • 最短数日で現金化できる
  • 仲介手数料が不要

買取業者は自社で買うので、現金化が早いです。

最短2日~の買取業者がいます。

デメリットは次の通りです。

  • 仲介よりも安い金額になる
  • 悪質、悪徳な業者がいる

自社で買い取る場合は、共有名義・持分の不動産のリスクを高く見積もるため、査定額は安いです。

買取業者を利用しても仲介料はかかりませんが、仲介手数料がかかっても、仲介の方が高額で売れる可能性が高いです。

共有持分の買取に対応できる専門性の高い業者は、現状は少ないですが、今後増えていきます。

買取は無免許でもできるため、まれに悪質、悪徳な業者がいます。


戸田
悪質かどうかを見抜くために、①弁護士との提携の有無、②宅地建物取引業免許の資格の有無の2つをチェックしてください。

【方法③】不動産会社に依頼する

一般の不動産会社に仲介や買取を依頼する方法です。

    共有者に「自分の持分を不動産会社に売却すること」を内緒にしておけば、揉めずに現金化できます。

メリットは、大手に依頼すれば悪徳・悪質な業者に当たるリスクが少ないことです。

デメリットは、多くの不動産会社は共有持分の扱いに慣れておらず、ほどんどの場合、買い取り自体を断られることです。


戸田
基本的に大手の不動産会社は共有名義・持分の不動産には対応していません。

【方法④】共有者に直接売却する

他の共有者に自分の持分を売却する方法です。

    親子や兄弟・姉妹で共有しているなら揉める可能性は低いです。

戸田
ただし、離婚する場合は感情面・金銭面で揉めやすいです。

また、他の共有者から買い取った業者が悪質・悪徳な場合も揉めやすいです。

すでに揉めている場合は、仲介業者か買取業者に自分の持分だけを売却することをご検討ください。

メリットは次の通りです。

  • 相場で売れる
  • 新たに業者を探す手間が無い

持分を専門の業者に売却すると、市場価格の30%~50%OFFになります。

共有名義の不動産を買い取ることによるコストやリスクを加味しているからです。

ですが、お互いに見知った親族が共有者の場合は、市場価格に近い金額で、スムーズに売却できることが多いです。


戸田
例えば、5000万円の共有名義の戸建のうち、持分が5分の2の場合、業者の場合は30%~50%の600万~1,000万円ですが、共有者に売却すると持分相当の約2,000万円となります。

デメリットは次の通りです。

  • 共有者が悪質・悪徳な業者の場合は揉めることが多い
  • 不動産を買い取るだけの資金を持つ共有者はごくまれ

親子や兄弟・姉妹の間での売買が成立するのは、親族間で不動産賃貸業をしているような場合です。

この場合でも、コミュ二ケーションが上手くいっていないと、まれに交渉過程で感情的に揉めることがあります

【方法⑤】共有者の持分を買取ってから売る

相手の持分を購入して単独名義にした後、自分の不動産として売却する方法です。

こちらの方法も、親族間なら揉める可能性は少ないですが、離婚の場合は揉める可能性が高いです。

メリットは次の通りです。

  • スムーズに売却できる
  • 相場で売却できる
  • 利益をしっかりと出せる

単独名義にすれば共有状態を解消できるため、誰かと話し合うことなく、自分の意思だけでスムーズに売却できます。


戸田
利益をしっかりと出せるとは、例えば、5000万円の共有名義の戸建を単独名義にしてリフォームし、6,500万円で売るといったことです。

デメリットは次の通りです。

  • 相手の持分を買い取る現金の準備が必要
  • 不動産の修繕後の転売や賃貸などの活用ノウハウが必要

ある程度の経験が無いと、「リフォーム代が高すぎて、手間をかけた割に、利益が出ない」といったことがあります。

【方法⑥】共有者全員で売る

共有名義の不動産を1つの不動産として売却する方法です。

全員の同意と署名・押印があれば、単独名義にすることなく、共有名義のまま売却できます。

売却後は、利益を持分に応じて分配します。


戸田
全員で同意するまでに条件などで多少話をすることはあっても、同意後に揉めることはほぼありません。

メリットは、市場価格で売却できることです。

デメリットは、定期的な話合いや全員の署名・押印が必要なことぐらいです。

計画的に売却するために、全員で定期的な話をしていることが多いので、揉めることは少ないです。

共有持分を揉めずに売るのが難しい5つの理由

5つの理由
  1. 活用方法で対立する
  2. 特定の共有者だけが利用している
  3. 特定の共有者だけが維持費を負担している
  4. 利益の配分で揉める
  5. 何らかの理由で関係性が悪い

共有持分の売却前・後に揉める理由について、詳しくご案内します。

【理由①】活用方法で対立する

不動産の主な活用方法は次の通りです。

  • 現状のままで売却する
  • リフォーム後に売却する
  • 賃貸に出して毎月の収益を得る

ですが、共有者がそれぞれ違う活用方針を考えている場合は揉めます

例えば、ある共有者は「月10万円で賃貸にして収益を得たい」が、別の共有者は「すぐに売却して現金を得たい」というケースです。

年金代わりに賃貸をしたい人と、まとまった現金が早急に欲しい人とでは、意見は合いません。

【理由②】特定の共有者だけが利用している

特定の共有者だけが利用しているとは、例えば、共有者のうち1人だけが住んでおり、他の共有者は利用できない状態のことです。

揉める理由は次の通りです。

  • 居住している共有者は現状を維持したい
  • 利用できない共有者は不公平だと考える
【ケース】「住み続けたい」兄と「売りたい」弟が対立
    兄弟2人で相続した共有名義の実家(家賃換算で月12万円相当の物件)がある。

    長男だけが住んでいて、弟は住んでいない。

    弟は「何のメリットもないので売却したい」と不満を伝えた。

    長男は「今後も住み続けたい」「俺が固定資産税を負担している」「売却は絶対に認めない」と反対した。

【理由③】特定の共有者だけが維持費を負担している

共有名義の不動産の維持費は、本来は全員で分担して負担する必要があります。

維持費には次のようなものがあります。

  • 固定資産税
  • 建物の修繕費
  • 管理費や光熱費の一部

誰か1人だけが費用を負担していて、負担していない人が売却を主張すると揉めます。

【ケース】母が住んでいる実家をめぐって兄弟間で対立
    母と兄弟3人で共有名義にしている実家があり、母は住み続けている。

    長男は、相続後10年近く固定資産税や修繕費を一人で負担してきたが、弟たちは費用負担していない。

    ある日、弟たちが「持分を売却したい」「持分がある以上、売却する権利はある」と言い出した。

    長男は「母が住んでいる家を勝手に売るのはおかしい」「負担もしていないお前たちに何か言う資格はない」と反対している。

【理由④】利益の配分で揉める

共有不動産を賃貸に出している場合、本来は持分割合に応じて利益を分配する必要があります。

ですが、実際には次のような理由で、不公平になることがあります。

  • 管理する共有者が金額を明示せずに分配する
  • 本来の持分割合に従わずに取り分を多くする
  • 分配ルールを明確に決めていない
【ケース】駐車場の収益をめぐって兄弟間が対立する
    兄弟2人で2分の1ずつ相続した土地を、月極駐車場として運用している。

    年間収益は約120万円だが、兄が「管理は自分がしている」と主張し、弟には毎年40万円しか渡していない。

    弟は「持分は半分なのに不公平だ」と不満を抱き、「それなら土地を売却して、きちんと均等に分けたい」と伝えた。

    兄は「管理しているし、固定資産税を負担しているので不公平ではない」「売却はしない」と譲らない。

【理由⑤】何らかの理由で関係性が悪い

兄弟・姉妹や親族の間で、次のような理由で感情的な対立がある場合、揉めやすいです。

  • 小さいころ兄・姉が弟・妹をいじめていた
  • 親から虐待を受けていた
  • 夫(妻)が浮気した

その上でお金が絡むため「こちらが損してでも相手に得になるようなことはしたくない」「何とか損させてやりたい」などと考えて、理屈に合わない反対をすることがあります。

【ケース】共有名義の実家をめぐって兄弟間が対立
    兄弟2人で共有名義で相続した実家がある。

    弟は小さいころに兄からいじめられており、兄との共有状態が苦痛だったため、売却を考え、買取業者に依頼して査定をしてもらった。

    不動産全体を売却すると約3,000万円だったが、持分だけだと500万円ぐらいにしかならないということだった。

    そこで弟が「売却したい」と兄に伝えると「これから住むかもしれないし、思い出がある家なので売るつもりはない。勝手な行動を取るな」と頭ごなしに反対された。

自分の共有持分を揉めずに売るならこの3つの方法で内緒にしよう!

共有持分を売却しようとすると、次のようなことが起こるリスクがあります。

  • 他の共有者に知られて止められる
  • 家族・親族会議に呼ばれてダメ出しされる

揉めずに売るのが難しい理由」でご案内した通り、活用を考えていたり、住み続けることを考えていたりするからです。

そのため、次の方法で、他の共有者に内緒で進める必要があります。

売却するまで内緒にするための3つの方法
  1. 契約書に秘密保持を付け加える
  2. 司法書士に念のために伝えておく
  3. 売却完了まで共有者と連絡を取らない

詳しくご案内します。

【方法①】契約書に秘密保持を付け加える

売買契約書に「買主は売却完了まで他の共有者に知らせない」という秘密保持条項を入れる方法です。

契約書に記載することで、法的に買主が他の共有者に連絡してしまうことを防ぐことができます。

ですが、秘密保持条項を入れても買主が必ず守る保証はありません。

その場合、実際に責任を追及するのは難しいです。


戸田

弁護士と提携しているような信頼性が高い業者に売却をご依頼ください。

>>「揉めずに売りたいときに利用したい業者」を見る

【方法②】司法書士に念のために伝えておく

不動産の売却登記では、手続き完了の通知などはありません。

それでも、念のために、司法書士に「他の共有者には伝えないでほしい」と口止めするという方法です。

司法書士が余計な連絡をしなければ、他の共有者には一切情報が伝わりません。

弁護士と提携しているような買取業者に売却をご依頼した上で、司法書士に伝えてください。

【方法③】売却完了まで共有者と連絡を取らない

他の共有者と連絡を取るのは、例えば次のようなケースです。

  • 固定資産税の支払いについて相談されたとき
  • 物件の利用や修繕について話し合いが持ちかけられたとき
  • 登記や書類に関する確認を求められたとき

売却手続きが完了するまでは、こうしたやりとりは、できる限り避けてください。

ふとした拍子に、売却の手続きを進めていることがバレしまうかもしれないからです。

ただし下手に話をするのを断ると、相手に(…何かあるのでは?)と勘繰られてしまいかねません。

お急ぎの方は買取業者に依頼して早く現金化することをご検討ください。


戸田
どの方法でも、いつかは知られてしまいます。

登記簿は公開情報のため、他の共有者が法務局で登記簿を確認できてしまうからです。

なお、売却の発覚を遅らせる方法は2つあります。

方法 概要
登記申請を1月1日以降に行う 固定資産税は「毎年1月1日時点の登記簿上の所有者」に課税される。できるだけ年の前半に売却し、登記すれば、その分、知られるのが遅くなる。
他の共有者が登記簿を確認する日を把握する 登記簿を確認する日以降に登記申請を行えば、次の確認の時まで知られるのが遅くなる。

知られるのを遅くすれば、揉めるのを遅くすることができます。

揉めずに売りたいときに利用したい6社

売却を依頼したい6社
  1. 共有持分支援協会
  2. 中央プロパティー
  3. アルバリンク
  4. グランピーリアルエステート
  5. ネクスウィル
  6. ドリームプランニング

共有持分の取扱いに慣れていて、弁護士と提携している場合は、秘密厳守していますし、何かあった時のトラブルにも対応してくれます。

共有持分を揉めずに売ることができる可能性が高い6社をご案内します。

共有持分支援協会

共有持分を専門に、仲介と買取を行っている一般社団法人です。

弁護士と提携しており、万が一何かあっても相談に乗ってくれます。

もちろん秘密厳守で、買取は最短2日~とスピーディです。

最短翌日に手付金支払いをしています。

対応エリアは全国です。

所在地は東京都千代田区丸の内です。

買取方法 仲介、買取
売却日数 2日
専門家の在籍 弁護士・司法書士・税理士
対応エリア 全国
その他 手付金(最短翌日)・持分の一部買取、持分のリースバック

中央プロパティー

共有持分の買取の仲介をしている会社です。

弁護士と提携しており、買取は最短5日~です。

残置物の撤去費用無料です。

対応エリアは一都三県です。

創業は2011年で、所在地は東京都千代田区丸の内です。

買取方法 仲介
売却日数 5日
専門家の在籍 弁護士・司法書士・税理士
対応エリア 全国
その他 AI×鑑定士のダブル査定

アルバリンク

共有持分をはじめ、事故物件などの訳あり物件の買取をしている会社です。

弁護士と提携しており、買取は最短2日~です。

対応エリアは全国です。

創業は2011年で、所在地は東京都江東区木場です。

買取方法 買取
売却日数 数日
専門家の在籍 弁護士・司法書士
対応エリア 全国
その他 東京プロマーケット市場に上場

グランピーリアルエステート

共有持分を含む訳あり不動産の買取をしている業者です。

弁護士と提携しています。

相談件数は年間3,000件以上で、審査は最短12時間~、買取は最短2日~です。

対応エリアは全国です。

創業は2018年で、所在地は東京都中央区築地です。

買取方法 買取
売却日数 2日
専門家の在籍 弁護士・司法書士・税理士
対応エリア 全国
その他 現況のまま買取に対応

ネクスウィル

ネクスウィルは、訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」を運営している会社です。

弁護士と提携しており、買取は最短翌日~です。

対応エリアは全国です。

買取方法 買取
売却日数 1日
専門家の在籍 不明
対応エリア 全国
その他 特に無し

ドリームプランニング

共有持分、底地、再建築不可などの訳あり物件の買取をしている会社です。

買取は最短2日~です。

対応エリアは全国です。

買取方法 仲介
売却日数 不明
専門家の在籍 不明
対応エリア 不明
その他 特に無し

まとめ

揉めずに売る方法は6つありました。

状況によっては揉めやすいですし、すでに揉めていることもあると思います。

ですが、自分の持分だけなら他の共有者の同意を得ずに売却できます。