「自分の共有持分の評価額を知りたい」
「相場を把握して買い叩かれないようにしたい」
このように考えていませんか?
この記事では、共有持分の評価額を計算する方法をプロが詳しくご案内します。
共有持分の評価額とは
共有持分の評価額とは複数人で共有している場合の持分の価格のことです。
共有持分の評価額を算出する際の基本の計算方法は4つあります。
その中で一番使われる計算方法は「不動産の実勢価格×持分割合x評価割合30%~50%」です。
30~50%も減額される理由は次のような要素を踏まえる必要があるためです。
- 持分割合(保有している割合)
- 他の共有者の人数
- 関係性や状況
関係性や状況とは、他の共有者との関係性が悪い、税金の滞納がある、一人だけが住んでいる、連絡が付かないという事情のことです。
30%~50%と幅がある理由は買主によって査定のポイントが異なるからです。
共有持分の評価額の計算方法
- 【方法①】実勢価格を使う
- 【方法②】土地にも建物にも固定資産税評価額を使う
- 【方法③】土地に路線価・評価倍率、建物に固定資産税評価額を使う
- 【方法④】土地に公示地価・基準地価、建物に再調達原価を使う
それぞれ詳しくご案内します。
【方法①】実勢価格を使う
実勢価格とは不動産(土地と建物)が市場で実際に売買された価格のことです。
不動産会社の査定では、この方法で評価額を計算します。
算出手順は次の通りです。
- 単独名義の実勢価格を見る
- ①の実勢価格に持分割合と減価割合(30~50%)をかける
実勢価格は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」でチェックできます。
次の内容を参考にします。
- 実勢価格の参考材料
建物 | 参考材料 |
---|---|
マンション | 同マンションの取引事例、特に成約事例 |
戸建 | 更地価格、建物金額(築年数・室内の状況など) |
リフォームしている場合は、その費用を概算して査定します。
実勢価格を算出したら次の計算式に当てはめます。
- 共有持分の評価額=実勢価格×持分割合×減価割合(30~50%)
父から相続したマンションを兄と2分の1ずつ所有していた。
持分を売却しようと買取業者に査定を依頼した。
このマンションは過去に6,000万円の成約事例があった。
成約事例やリフォーム歴を考慮して減価割合40%の1,200万円になった。
【方法②】土地にも建物にも固定資産税評価額を使う
固定資産税評価額とは固定資産税や都市計画税の課税基準となる価格のことです。
固定資産税評価額は次の方法で確認できます。
- 納税通知書
- 固定資産課税台帳の閲覧
- 固定資産評価証明書
評価額は土地の「価格」の部分、★持分は「摘要」の「共有持分」で確認できます。
計算方法は次の通りです。
共有持分評価額 =((土地固定資産税評価額×評価倍率×持分割合)+(建物固定資産税評価額× 持分割合))×評価割合30%~50%
評価倍率とは実勢価格に近づけるために行う補正のことです。
土地固定資産税評価額4,000万円、評価倍率1.1倍、建物固定資産税評価額1,200万円、持分割合2分の1、評価割合40%の場合は、
(4,000万円×1.1×2分の1)+(1,200万円×2分の1)×40%=1,120万円
【方法③】土地に路線価・評価倍率、建物に固定資産税評価額を使う
路線価とは国税庁が発表する相続税や贈与税の算定基準となる価格のことです。
評価倍率とは路線価が定められていない土地の評価額を算出する時に用いる倍率のことです。
路線価が設定されていない地域は評価倍率を使用します。
路線価・評価倍率は国税庁の「路線価図・評価倍率表」で確認できます。
路線価や評価倍率を使った計算式は次の通りです。
- 土地に路線価を使う場合
共有持分評価額 =((路線価×土地面積×持分割合)+(建物固定資産税評価額×持分割合))×評価割合30%~50%
- 土地に評価倍率を使う場合
共有持分評価額 =((土地固定資産税評価額×評価倍率×持分割合)+(建物固定資産税評価額× 持分割合))×評価割合30%~50%
路線価30万円/㎡、土地面積100㎡、建物固定資産税評価額1,200万円、持分割合2分の1、評価割合40%の場合
((30万円×100㎡×2分の1)+(1,200万円×2分の1))×40%=840万円
【方法④】土地に公示地価・基準地価、建物に再調達原価を使う
公示地価とは国交省が発表する不動産取引や公共事業の基準となる土地価格のことです。
基準地価とは都道府県が発表する土地価格のことです。
再調達原価とは同じ建物を今新しく建て直すのに必要な費用のことです。
計算方法は次の通りです。
- 公示地価を使う場合
共有持分評価額 =((公示地価×土地面積×持分割合)+(再建築費×残存価値率×持分割合))×評価割合(30%~50%)
- 基準地価を使う場合
共有持分評価額 =((基準地価×土地面積×持分割合)+(再建築費×残存価値率×持分割合)) ×評価割合(30%~50%)
公示地価40万円/㎡、土地面積120㎡、再建築費3,000万円、残存価値率0.4、持分割合 2分の1、評価割合40%の場合
((40万円×120㎡×2分の1)+(3,000万円×0.4×0.5))×40%=1,200万円
共有持分の評価が低い理由
- 活用しづらい
- トラブルが起きやすい
- 買い手が少ない
それぞれ詳しくご案内します。
【理由①】活用しづらい
共有持分の所有者が持っているのは所有権の一部だけです。
- 共有不動産の活用
活用方法 | 内容 | 例 | 共有者の同意 |
---|---|---|---|
管理 | 利用する行為 | 第三者への賃貸 | 過半数の同意が必要 |
変更(小) | 著しい変化を伴わない行為 | 間取りを変えないリフォーム | 過半数の同意が必要 |
変更(大) | 形または性質に変化を与える行為 | 共有物全体の売却大規模な修繕 | 全員の同意が必要 |
共有者が増えるほど不動産を活用するのに時間がかかります。
そのため共有持分を取得した買取業者は全体の所有権を得るために、他の共有者の持分も購入します。
その後、買取業者はリフォームをして再販します。
このように共有持分は実務的に扱いづらいため価値が下がります。
【理由②】トラブルが起きやすい
共有持分はお金と人間関係が絡むためトラブルになりやすいです。
具体的なトラブルは次の通りです。
- 税金や費用の負担
- 使用方法
- 売却時期
このように買い手にとってリスクがあるため価格が下がります。
【理由③】買い手が少ない
ここまでにご案内した通り、共有持分の活用には制限やリスクがあるため、普通の不動産より市場での需要が低いです。
買い手が少ないため、単独名義の不動産と比べて価値が低いです。
共有持分の評価を依頼するなら買取業者?仲介業者?
- 買取業者と仲介業者の違い
内容 | 買取業者 | 仲介業者 |
---|---|---|
売却価格 | 仲介より安い | 実勢価格の30%~50% |
売却スピード | 数日~数週間 | 数日~数週間 |
手数料 | なし | 仲介手数料が発生 |
買主 | 買取業者 | 法人、投資家、大家 |
交渉の手間 | かからない | 業者によっては価格や条件の交渉有り |
評価基準 | 業者ごとに違う | 業者ごとに違う |
高く売却したい場合は仲介業者に依頼してください。
早く現金化したい場合は買取業者に依頼してください。
ただし、中には安く買い叩こうとする悪質な業者がいます。
自分で計算した金額より査定額が低い場合は、理由を必ず聞いてください。
共有持分の評価に対応している5社
- 共有持分支援協会
- クランピーリアルエステート
- アルバリンク
- 中央プロパティー
- 大正ハウジング
それぞれ詳しくご案内します。
共有持分支援協会
共有持分を専門に取り扱う社団法人です。
独自のネットワークを持つ仲介システムを使っています。
持分の一部売却を行っています。
早く現金化したい方には手付金を先に渡しています。
クランピーリアルエステート
共有持分を含む訳あり物件専門の買取業者です。
相談対応の実績は年間3,000件を超えています。
弁護士・司法書士と提携してサポートする体制があります。
自社買取を前提とした高額の買取を行っています。
アルバリンク
共有持分を含む訳あり物件に特化した買取業者です。
累計100件超の共有持分の取り扱い実績があります。
中央プロパティー
共有持分専門の仲介業者です。
独自の入札制度で高値での売却をサポートしています。
弁護士が無料で面談に同席するサービスを提供しています。
大正ハウジング
センチュリー21加盟店で共有持分専門の買取業者です。
弁護士事務所と提携しています。
まとめ
共有持分の評価額の算出方法をご案内いたしました。
自分で算出した評価額はあくまで参考値です。
正確な金額を知りたい場合は業者に査定を依頼してください。