共有持分を売却する5つの方法と流れや費用、必要書類、売却先を解説

「共有持分を売却したい」
「共有関係を解消して、自分の持分を現金化したい」

このように考えていませんか?

このページでは、共有持分を売却する方法についてご案内します。

この記事の作成者

専門相談員 大伊 真衣Mai Oi

【資格】宅地建物取引士、秘書検定2級
静岡県出身。お客様とのご縁を大切に、真心を尽くした接客を心がけている。好きな言葉は、為せば成る、為さねばならぬ何事も。特技はクラシックバレエ。

共有名義は売却できないと言われる理由

共有名義とは1つの不動産を複数人で所有している状態のことです。

売却できないと言われる理由は、共有者全員の同意が必要だからです。

例えば、マンションを夫婦で共有名義で購入後に離婚した場合、マンションを全体を売却するには夫婦2名の合意が必要です。

共有持分は売却できる!そのメリット、デメリット

共有持分とは、1つの不動産を複数人で所有しているときに、それぞれが持っている権利の割合のことです。

ご自身の共有持分は、他の共有者の同意がなくても自由に売却できると民法206条によって定められています。

売却先は共有持分の買取に対応している業者です。

一般の不動産会社では断られることがほとんどです。

断られる理由は次の通りです。

  • 高い専門性が必要
  • 他の共有者とトラブルになるリスクがある

他の共有者に売却することも可能です。

ですが、専門知識と資金が必要になるので、できる人は限られます。

共有持分を売却するメリット

メリット
  1. 現金化できる
  2. 維持費や管理の負担が無くなる
  3. トラブルに巻き込まれなくなる

現金化で得た資金を活用できます。

固定資産税や管理費・修繕費の負担がなくなります。

共有持分を売却するデメリット

デメリット
  1. 市場価格より安くなる
  2. 売却先を探す必要がある
  3. 他の共有者との関係が悪化する可能性がある

共有持分の売却は、不動産全体で売却するよりも安くなります。

買い手が限られるため、売却先を探す手間が掛かります。

他の共有者に相談なく売却すると、関係が悪化する可能性があります。

共有持分を売却する5つの方法

売却する5つの方法
  1. 専門の買取業者に売却する
  2. 専門の仲介業者に依頼する
  3. 他の共有者に売却する
  4. 共有者全員で売却する
  5. 分筆してから売却する

詳しくご案内します。

【方法①】専門の買取業者に売却する

専門の買取業者とは、共有持分を専門に扱っている業者のことです。

メリットは次の通りです。

  • 現金化が早い
  • 仲介手数料が掛からない
  • 手続きが簡単

現金化が早い理由は、業者が直接買取るからです。

デメリットは市場価格よりも安くなることです。

専門業者には、訳あり不動産専門の業者と共有持分専門の業者があります。

訳あり不動産専門とは、一般の不動産会社では取り扱いが難しい次のような不動産を取り扱う業者のことです。

  • 共有持分
  • 再建築不可
  • ゴミ屋敷
  • 事故物件

共有持分の専門会社をお選びください。

【方法②】専門の仲介業者に依頼する

仲介業者とは、売主と買主の間に入り、売買契約を成立させる役割を担う不動産会社のことです。

専門の仲介業者とは、共有持分を専門に仲介している業者のことです。

メリットは、買取よりも高く売れることです。

高く売れる理由は、買い手を募るからです。

デメリットは次の通りです。

  • 売却までに時間が掛かる
  • 仲介手数料が掛かる

売却までに時間が掛かる理由は、買い手を募るからです。

仲介手数料には上限があり、無料の業者が存在します。

仲介業者に依頼する際は、仲介手数料の有無を確認してください。

【方法③】他の共有者に売却する

他の共有者とは、自分以外の名義人のことです。

メリットは次の通りです。

  • 市場価格に近い価格で売却できる
  • トラブルが起きにくい

市場価格に近い価格で売却できる理由は、他の共有者の単独所有になり、資産価値が高くなるからです。

トラブルが起きにくい理由は、見ず知らずの第三者が介入せず、共有者同士で解決できるからです。

デメリットは次の通りです。

デメリット 理由 対策
購入する共有者がほとんどいない 資金を用意できないから 専門業者に売却すること
売却価格で揉めることがある 共有者間で価格の合意を得るのが難しいから 買取業者などに不動産全体の査定をしてもらって、その金額で交渉すること
低価格での売却をして贈与とみなされる 相場よりも著しく低い価格で売却すると、税務署から実質的な贈与と判断される可能性があるから 市場価格に近い金額で取引すること
他の共有者が売却にも買取にも応じない その不動産に愛着を持っていたり、経済的な余裕がなかったりするから 共有物分割請求訴訟を起こすことで、裁判所を通じて問題を解決すること

【方法④】共有者全員で売却する

共有者全員とは、その不動産の全ての名義人のことです。

メリットは、市場価格に近い価格で売却できることです。

市場価格に近い価格で売却できる理由は、共有持分単体ではなく、不動産全体として売却できるからです。

デメリットは、共有者全員の合意が必要なことです。

一人でも反対すると売却できません。

【方法⑤】分筆してから売却する

土地の場合は分筆して売却することができます。

分筆とは1つの土地を複数に分割して、それぞれを別の土地とすることです。

土地の場合は、分筆することで単独名義にできます。

メリットは、共有関係を解消し、自分の持分を単独で所有できることです。

土地を分けることで、他の共有者の同意なく売却などの活用ができるようになります。

デメリットは次の通りです。

  • 費用と時間が掛かる
  • 再建築不可になることがある

費用と時間が掛かる理由は、分筆には測量や登記申請といった専門的な手続きが必要になるからです。

再建築不可になる理由は、分筆により接道義務を果たせなくなることがあるからです。

共有持分の売却相場

買取業者も仲介業者も相場は次の通りです。

実勢価格x持分割合x評価割合(30%〜50%)。

実勢価格とは、実際の市場で売買されている価格水準のことです。

評価割合とは、その共有持分の評価を示す割合のことです。

30%〜50%になる理由は、一般的な不動産よりも需要が低いからです。

仲介の方が買取よりも高い金額で売却できます。

先ほどもご案内した通り、他の共有者に売却する場合は実勢価格に近い価格になります。

単独所有にできれば、実勢価格に近い価格で売れるからです。

共有持分を売却する流れと発生する費用や書類を解説

売却する流れ
  1. 査定を依頼する
  2. 売買契約を締結する
  3. 決済をする
  4. 所有権移転登記をする

買取業者を利用した場合は、業者が売却先になります。

仲介業者を利用した場合は、買い手との仲介で業者が入ります。

共有持分の売却で掛かる費用と税金

費用と税金
  1. 印紙税
  2. 仲介手数料
  3. 譲渡所得税
  4. 抵当権抹消登記

抵当権抹消登記とは、住宅ローンを完済した際に、不動産に設定されていた抵当権の登記を抹消する手続きのことです。

登録免許税:が不動産1件につき1,000円掛かります。

手続きを司法書士に依頼する場合は報酬を支払います。

詳しくはこちらの「共有持分の買取をプロが解説!メリットや金額の相場、流れなどが分かる」でご案内していますので、ご一読ください。

共有持分の売却で必要な書類

必要な書類
  1. 登記識別情報(権利証)
  2. 登記事項証明書(登記簿謄本)
  3. 住民票
  4. 固定資産税評価証明書
  5. 身分証明書
  6. 印鑑登録証明書
  7. 実印

登記識別情報(権利証)とは、不動産の所有権を証明する12桁の符号です。

登記が完了したときに発行・通知されます。

登記事項証明書(登記簿謄本)とは、不動産の権利関係や所有者といった内容が記載された証明書です。

法務局の窓口やオンライン申請で取得できます。

持分の割合は、登記事項証明書の「権利部(甲区)(所有権に関する事項)」に記載されています。
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固定資産税評価証明書とは、不動産の固定資産税評価額を証明する書類です。

市区町村役場で取得できます。

印鑑登録証明書とは、登録された印鑑(実印)が本物であることを証明する書類です。

市区町村役場で取得できます。

マイナンバーカードがあればコンビニでも取得できます。

共有持分の売却で起こりうる7つのトラブルと対処法

起こりうる7つのトラブル
  1. 共有者を把握できないことがある
  2. 他の共有者との関係が悪化する
  3. 悪質・悪徳業者に安く買い叩かれる
  4. しつこい営業を受ける
  5. 共有物分割請求訴訟をされてしまう
  6. 購入者が敷地内に出入りする
  7. 購入者が他の共有者へ家賃を請求する

詳しくご案内します。

【トラブル①】共有者を把握できないことがある

全員で売却する場合に起こりうるトラブルです。

理由は、相続が何度も繰り返されると、誰が共有者なのか分からなくなるからです。

対策は、戸籍謄本や住民票をたどって共有者を特定することです。

【トラブル②】他の共有者との関係が悪化する

自分の持分だけを勝手に売却すると起こりうるトラブルです。

理由は、他の共有者に事前の相談なく売却すると、共有者同士の信頼関係が損なわれるからです。

対策は次の通りです。

  • 事前に共有者へ説明・相談をする
  • 共有者への優先的な売却を提案する

【トラブル③】悪質・悪徳業者に安く買い叩かれる

理由は、ごくまれに悪質、悪徳な業者がいるからです。

対策は、複数の専門買取業者に査定を依頼することです。

【トラブル④】しつこい営業を受ける

自分の持分だけを売却したいと連絡をした後や売却後に買取業者と他の共有者との間で起こりうるトラブルです。

理由は、一度問い合わせると営業が続くことがあるからです。

対策は次の通りです。

  • 営業しないように伝える
  • 悪質なら消費生活センター等に相談する

【トラブル⑤】共有物分割請求訴訟をされてしまう

自分の持分だけを売却した後に、買取業者と他の共有者との間で起こりうるトラブルです。

理由は、買取業者が共有持分を購入した後、他の共有者との交渉が進まない場合に、裁判によって強制的に共有状態を解消するからです。

対策は、裁判で争うと時間と費用が掛かるため、買取業者に売却することです。

【トラブル⑥】購入者が敷地内に出入りする

理由は、買取業者は早く買取りたいからです。

法的にその不動産の所有者となり、持分に応じた権利を行使して、他の共有者に交渉に応じるように圧力をかけます。

対策は、事前に不動産の状況を業者に伝え、無用なトラブルが起きないよう配慮してもらうことです。

【トラブル⑦】購入者が他の共有者へ家賃を請求する

理由は、購入者が自ら利用しない場合、持分に応じた家賃相当額を請求することができるからです。

対策は次の通りです。

  • 売却前に、他の共有者がその不動産に住んでいる状況を業者に伝えておく
  • 売却前に共有者同士で対応方針を話し合っておく

共有持分を高く売却する3つの方法

高く売却する3つの方法
  1. 複数の買取業者に査定依頼する
  2. 仲介業者に依頼する
  3. 他の共有者と協力する

詳しくご案内します。

【方法①】複数の買取業者に査定依頼する

複数の業者とは、共有持分の買取を行っている複数の不動産買取業者のことです。

メリットは買取業者間の競争を促せることです。

デメリットは次の通りです。

  • 多くの業者とやり取りをしなければならない
  • 各社の査定額や条件を比較しなければならない

相見積もりは売却までに手間と時間が掛かります。

【方法②】仲介業者に依頼する

メリットは、買取業者に売却するよりも高く売れることです。

仲介業者は多くの買主の中から高く買い取ってくれる買主を探す努力をしてくれます。

デメリットは次の通りです。

  • 売却完了までに時間が掛かる
  • 買い手が見つからない可能性がある

買い手がいない場合は、成約不成立となり、販売活動を終了します。

【方法③】他の共有者と協力する

他の共有者とは、他の共有名義人のことです。

メリットは、市場価格に近い価格で売却できることです。

共有者全員の合意があれば不動産全体を売却できるからです。

デメリットは、共有者全員の合意が必要なことです。

交渉が難航すると時間が掛かります。

共有持分の売却先を選ぶポイント

  • 売却先を選ぶポイント
ポイント 理由
買取が早い 早く現金化できるから
共有持分を専門に買取している 適切な売却価格を提示してくれるから
買取実績が豊富 スムーズに売却を進められるから
弁護士と提携している 法的な問題に対応できるから
担当者の対応 担当者で結果が変わる、無駄な時間を省略できる、不安を払拭できる
口コミ・評判 口コミが良い業者なら安心できる、悪質・悪徳業者ではない

共有持分は特殊な不動産取引ですので、専門性や実績のある業者を選んでください。

詳しくはこちらの「共有不動産を現金化する6つの方法や価格の相場、売却の流れなどを解説」でご案内していますので、ご一読ください。

共有持分を売却できる5社

売却できる5社
  1. 共有持分支援協会
  2. 共有持分売却窓口
  3. 大正ハウジング
  4. ベリーベスト不動産
  5. 中央プロパティー

詳しくご案内します。

共有持分支援協会

共有持分の問題を解決するために設立された一般社団法人です。

最短2日で買取ります。

手付金制度もあり、最短翌日の支払いが可能です。

弁護士、司法書士、税理士と連携しています。

残置物の処理費用は掛かりません。

共有持分売却窓口

共有持分を専門に取引している業者です。

1万件以上の実績があります。

弁護士、司法書士、税理士などの専門家と連携しています。

大正ハウジング

共有持分を取り扱っている業者です。

最短1週間で買取ります。

残置物があっても買取りできます。

センチュリー21の加盟店です。

ベリーベスト不動産

共有持分を専門に買取している業者です。

弁護士・税理士・司法書士と連携しています。

ベリーベストグループの不動産会社です。

全国に対応しています。

中央プロパティー

共有持分を専門に取り扱っている仲介業者です。

仲介手数料が0円なのが大きなメリットです。

4万件を超える相談実績があります。

センチュリー21の加盟店です。

共有持分の売却についてのQ&A

よくある質問とその回答をご案内します。

Q.共有持分を売却するとどうなる?買取業者とトラブルになる?

共有持分の対価として買取業者から現金が支払われます。

ご自身は持分の所有者ではなくなります。

このページでご案内している業者選びのポイントに沿って選べば、業者とのトラブルが起る可能性は低いです。

Q.共有持分の売却は離婚後もできる?

離婚後でもご自身の持分であれば自由に売却できます。

そのまま放置していると、ローンの滞納や税金の滞納といったリスクがあります。

リスクやトラブルを避けるために、弁護士と提携している業者に相談してください。

Q.共有持分を勝手に売却されるとどうなる?

次のようなことが起こる可能性があります。

  • 家賃を請求される
  • 購入者が敷地内に出入りする
  • 共有物分割請求をされる
  • 共有持分の売却を求められる
  • 税金を滞納される

新しい共有者は、住んでいる人に対して家賃に相当する金額を請求できます。

第三者が新しい共有者になった場合は、不動産の利用・管理について協議してください。

Q.共有持分を売却したときの登記手続きは?

売主と買主が行いますが、実務では司法書士が代理で法務局に申請して行います。

自分たちで行えば安く済ませられますが、共有持分の登記手続きは複雑で難しいです。

早く確実に登記手続きをしたい場合は、司法書士に依頼してください。

共有持分の売却のまとめ

共有持分の売却方法についてご案内しました。

不動産業者に売却の依頼をする際に参考にしてください。