共有持分の売却で起こるトラブルとは?全4パターンとその対策を解説

「共有持分を売却すると、どんなトラブルが起こる?」
「揉めずに共有持分を売却したい」

このように考えていませんか?

このページでは、共有持分の売却で起こりやすいトラブルとその対策法を、プロが分かりやすくご案内します。

この記事の作成者

専門相談員 戸田 良行Yoshiyuki Toda

【資格】宅地建物取引士
神奈川県出身。高校サッカーで全国大会進出を果たし、指導者の道に進む。その後、大手不動産会社で不動産のノウハウを蓄積する。諦めないことを信条に、お客様の希望を叶えるため日々奮闘中。

【パターン①】共有持分の売却で「売主と他の共有者」で起こるトラブル


売主と他の共有者との間で起こるトラブルをご案内します。

売主と他の共有者で起こる4つのトラブル
  1. 他の共有者に反対されて売却できない
  2. 他の共有者と連絡が取れなくて売却できない
  3. 自分の持分を売却後に、他の共有者との関係が悪くなる
  4. 住宅ローンが残っていて持分を売却できない

詳しくご案内します。

①他の共有者に反対されて売却できない

共有名義の不動産全体を売却したくても、反対されてしまうということです。

例えば、次のようなケースです。

  • 「思い出を残したい」と反対される
  • 「まだ住みたい」と反対される
  • 「賃貸に出したい」「値上がるのを待ちたい」と反対される
  • 「お前とは話したくない」「相手の得になることをしたくない」と反対される

全体を売却する場合は、全員の同意が必要で、一人でも反対すると売却することはできません。

この場合の回避方法は次の通りです。

  • 持分のみの売却を検討する
  • リースバックを検討する(共有者はそのまま住み続けられる)

持分だけを売却することは、民法206条「所有権の内容」で認められています。

他の共有者の同意や許可、相談や連絡無しで売却できます。


専門相談員
戸田(とだ)
トラブルにも対応できる共有持分売却の専門業者がいますので、相談してみてください。

>>共有持分売却の専門業者を見る

リースバックとは、不動産を一度売却して、その後に買主と賃貸契約を結び、引き続き住み続けられる仕組みのことです。

「私が住み続けたい」「母に住み続けてもらいたい」という人は、持分のリースバックに対応している会社がありますので、探してみてください。


戸田
当協会でも、持分リースバックに対応しております。

お気軽にご相談ください。

>>共有持分支援協会に相談する(無料)

他の共有者と連絡が取れず売却できない

例えば、次のようなケースです。

  • 共有者が海外に行ってから音信不通
  • 共有者が引っ越しを重ねて、連絡先など一切不明
  • いろいろ手を尽くしたが、所在を確認できない

回避方法は次の通りです。

  • 持分のみの売却を検討する
  • 「共有物分割請求訴訟」を提起する
  • 「所在不明者の共有持分取得制度」を利用する

共有物分割請求訴訟とは、共有状態を裁判で解消するための手続きのことです。

共有者と連絡を取れなくても利用できます。

詳しくは「共有物分割請求訴訟とは」でご案内していますので、ご覧ください。

所在不明者の共有持分取得制度とは、民法262条の2で規定された裁判所の許可を得て、他の共有者が所在不明者の持分を取得する手続きのことです。

共有不動産に強い弁護士を探して、ご依頼ください。


戸田
当協会では、共有不動産に強い福本弁護士と提携をしております。

持分についてお困りごとがありましたら、お気軽にご相談ください。

>>共有持分支援協会に相談する(無料)

自分の持分を売却後に、他の共有者との関係が悪くなる

例えば次のようなことです。

  • 「相談もなく勝手に売って!」と怒鳴り込んできた
  • 売却や賃貸などの「計画をつぶされた!」ことを理由に揉めた
  • 買取業者へのクレームが来る

相談も連絡もなく、いつの間にか持分が買取業者に代わっていたら、相手が不信感を持つのは自然なことです。

相手が計画を考えていたならなおさらです。


戸田
今後も共有者と関係を続けていくなら、できれば、売却する意思を伝えておいてください。

持分を買取った買取業者は、他の共有者と持分の買取交渉を行います。

しっかりとした業者ならトラブルになることは少ないですが、悪質・悪徳な業者の場合はトラブルになることが多いです。

グレーな方法なども含めて、共有者に心理的に負荷を与えて、交渉を有利に進めようとすることがあるからです。

例えば次のようなことです。

  • 敷地内に勝手に入ってくる
  • 家賃を請求してくる
  • 訴訟してきた

回避方法は次の通りです。

  • 持分の売却前に、共有者に伝える
  • 弁護士と提携している買取専門業者を選ぶ
  • 悪質・悪質な業者について弁護士に相談する

悪質・悪徳な業者に持分を売却しないように、業者選びは丁寧に行ってください。


戸田
業者の選び方のポイントを、こちらの「トラブルを避けるための業者の選び方」でご案内していますので、ご一読ください。

>>業者の選びのポイントを見る

住宅ローンが残っていて持分を売却できない

持分を売却しようとしても、住宅ローンを完済するまで売却できません

金融機関がローンの担保として不動産に抵当権を設定しているからです。

抵当権とは、金融機関が融資の担保に不動産に設定する権利のことです。

もし返済不能になったら、金融機関は、担保設定した不動産の売却代金から回収します。


戸田
抵当権が外れるのは、住宅ローンを完済した場合だけです。

そのため、夫婦で共有名義の家を購入し、夫(元夫)がローン契約者で住宅ローンの残債がある場合、妻(元妻)が離婚前後に売却しようとしてもできません。

この場合の対策は次の通りです。

  • 任意売却を検討する
  • 住宅ローンを完済する
  • 配偶者(元配偶者)に持分を買取ってもらう

任意売却とは、住宅ローンの返済ができなくなったときに、金融機関の承諾を得て抵当権付きの不動産を売却する方法のことです。

ローンの残債が、不動産の価格よりも低い場合にご検討ください。

例えば、不動産価格が4,000万円で、ローンの残債が1,500万円なら、夫婦の同意があり、金融機関の承諾を得られば、問題無く任意売却できます

任意売却の専門業者への依頼をご検討ください。

【パターン②】共有持分の売却で「売主と買取業者」で起こるトラブル

よくあるのは次のようなトラブルです。

売主と買取業者で起こるトラブル
  1. 不当に安い金額で買い叩かれる
  2. 売却後に修繕費を請求される
  3. しつこい営業を受ける

詳しくご案内します。

不当に安い金額で買い叩かれる

共有持分の売却相場は、市場価格の30%~50%です。

例えば、6,000万円の共有不動産の2分の1を売る場合、3,000万円ではなく、900万円~1,500万円が相場になるということです。

にもかかわらず、特に説明もなく「この持分なら500万円がせいぜいですね」などと、異常に安い金額を提示する業者がまれにいます。


戸田
いわゆる悪徳・悪質な業者です。

回避方法は次の通りです。

  • 相場を把握し、査定の根拠を確認する
  • 納得できなければ契約しない
  • 弁護士と提携している業者に査定を依頼する

売却相場はこちらの「共有持分の売却相場を解説」で詳しくご案内していますので、ご覧になってみてください。

自分でもある程度の相場を把握しておき、業者に説明を求めて、その回答が意味不明だったり、違和感感じるような回答だったりしたら、契約はしないでください。

このような悪質・悪徳な業者は、金額だけでなく、こちらの不利な契約内容を盛り込んでくることがあるからです。


戸田
悪質・悪徳な業者を避け、しっかりとした業者を選ぶには、ポイントがあります。

こちらの「トラブルを避けるための業者の選び方」でご案内していますので、ご覧ください。

>>業者の選びのポイントを見る

売却後に修繕費を請求される

例えば、「契約時には分からなかった雨漏り、設備の故障などで修繕費がかかる」と言われて、売却後に数十万円以上請求されるといったことです。

回避方法は次の通りです。

  • 契約時に、「契約不適合責任の免責条項」が記載されているか確認する
  • 弁護士と提携している業者に査定を依頼する
契約不適合責任の免責条項とは
    契約不適合責任とは、契約に記載された状態と違っていた場合に売主が負う責任のことです。

    その免責条項とは、「契約不適合責任を負わない」とあらかじめ定める条項のことです。

この条項があれば、買主からの次の行為を回避できます

  • 契約後の修繕費の請求
  • 売却額の減額の要求
  • 契約の取り消し
  • 損害賠償の請求

戸田
共有持分の売却では、免責条項を入れるのが一般的です。

入っていない場合は、必ずその理由を確認してください。

しつこい営業を受ける

例えば次のようなことです。

  • 一度査定依頼をしただけで何度も電話される(朝晩関係なく)
  • 事前連絡無しに直接訪問してくる
  • 訪問後は、なかなか帰ろうとしない

回避方法は次の通りです。

  • 「電話をしないでください」と伝える、着信拒否する
  • 「お帰り下さい」と伝える
  • 消費生活センターに相談する
  • 弁護士に相談する
  • 弁護士と提携している業者を選ぶ

売却する際は、ごくまれにいる悪徳・悪質な業者を事前に避けることを第一としてください。


戸田
ちゃんとした業者を選ぶポイントを、こちらの「トラブルを避けるための業者の選び方」でご案内していますので、ご覧ください。

>>業者の選びのポイントを見る

【パターン③】共有持分の売却で「買取業者と他の共有者」で起こるトラブル

自分の持分を売却した後に、買取業者と他の共有者との間で起こるトラブルのことです。

よくあるのは次のようなことです。

  • 今まで通りのことができなくなる
  • 買取業者が敷地内に出入りする、しつこい営業をする
  • 買取業者が他の共有者に「強引な要求」をする

今まで通りのことができなくなるとは、建物の老朽化に伴う簡単な補修や維持管理のための掃除などを勝手にしないように言ってくるといったことです。


戸田
「強引な要求」とは、例えば次のようなことです。

  • 賃料を請求する
  • 訴訟をちらつかせて、買取り交渉をする
  • 共有物分割請求訴訟をする

共有者が共有不動産に住んでいる場合、家賃相当の賃料を支払うように要求されることがあります。

こういった買取業者からの半ば嫌がらせのような営業について他の共有者からクレームが来ることがあります。


戸田
回避方法は、悪質な業者を避けて、ちゃんとした業者を選ぶことです。

>>業者の選びのポイントを見る

【パターン④】共有持分の売却で「近隣住民との間」で起こるトラブル

近所に住む近隣住民と、売主、他の共有者、買取業者との間で起こりやすいトラブルは次の通りです。

  • 「維持管理の不備」でクレームが来る
  • 悪い噂を広められて、不動産の評価額が下がる
  • 買主の行動についてクレームが来る

維持管理の不備とは次のようなことです。

  • 家が崩れ落ちそうで危険
  • 草木が生い茂って敷地内に入ってきている
  • 害虫(G、スズメバチなど)が出る
  • 野良犬・野良猫、害獣が住みついて怖い
  • ゴミの放置で匂いが発生する

このようなことで近隣住民からクレームが入ることがあります。

対応せずにいると、まれに訴訟されることもあります。

また、売却したことが近隣に知れ渡り、「トラブル物件」「もめてるみたい」といった噂が広がったことで、不動産の評価額が下がることがあります。


戸田
買主の行動についてクレームが入るとは、例えば、次のようなことです。

  • 見慣れない人(新しい共有者=買取業者)がウロウロしている
  • 見慣れない人が大声を出してうるさい
  • 見慣れない人が勝手に道路に駐車して車を動かせない

売主の回避方法は次の通りです。

  • もう関係が無いと突っぱねる(売主)
  • 弁護士に相談する(他の共有者)
  • 事前にまともな買取業者を選ぶ(売主)

戸田
ほとんどのトラブルは、事前の売却先選びで防ぐことができます

>>業者の選びのポイントを見る

共有持分の売却によるトラブルを防ぐ方法、起こったトラブルへの対策

トラブルの予防策と、起こったトラブルへの対策
  1. 弁護士と連携している専門業者に売却を依頼する
  2. 弁護士に直接相談する
  3. 自分の持分を売却する

それぞれご案内します。

弁護士と連携している専門業者に売却を依頼する

専門業者とは、共有持分を専門に、買取や仲介をしている業者のことです。

弁護士と提携している専門業者に依頼すれば、無駄なトラブルは起きませんし、起こったトラブルにもスムーズに対応してくれまます。

弁護士に直接相談する

売却後に起こったトラブルへの対策です。

弁護士と提携していない買取業者に依頼した場合、次のような法律の相談窓口にご相談ください。

相談窓口 特徴
法テラス(日本司法支援センター) ・国が設立した法的トラブルの総合案内所
・収入・資産が一定基準以下の場合に無料相談が利用可能
弁護士会の法律相談センター ・各都道府県の弁護士会が運営
・不動産問題に関する無料相談会を定期的に実施している場合がある
市区町村の法律相談会 ・住民サービスの一環として開催される弁護士による無料法律相談
・地域によって不動産専門の窓口あり

自分の持分を売却する

自分の持分を売却すれば、権利(所有権)が無くなります。

あとは、買取業者と共有者の問題ですので、関わらなくても、法的には問題がありません。

ただし、悪徳・悪質な業者に売却を依頼すると、次のようなトラブルが起こります。

  • しつこい営業を受ける
  • 安い金額で売って損をする
  • 不利な契約を結ばされる(後から修繕費用を請求されるなど)

戸田
この後ご案内する方法で、徹底的に悪徳・悪質な業者を避けてください。

トラブルを避ける!共有持分売却で業者を選ぶ時の6つのポイント

ポイント 理由
①弁護士と提携している 法的なサポートを受けられる
②共有持分を専門としている 共有持分に関するトラブルへの対応に慣れている
③対応スピードが速い 売却までのスピードが早い=ノウハウを持っていて経験がある
④口コミや評判が良い 悪質・悪徳業者と取引をしないで済む
⑤実際の接客が良い 担当者によってトラブルを予防する能力やトラブルへの対応力が異なる
⑥対応実績が多く、幅が広い トラブルにも対応できる優れた業者に売却できる

戸田
この6つのポイントを押さえれば、多くのトラブルを未然に防ぐことができますし、起こったトラブルをスムーズに解決することができます。

共有不動産の買取には、一般的な不動産会社は対応していません。

そのため、依頼先は次の2つに限られます。

  • 訳あり物件の業者
  • 共有持分が専門の業者

対応力に違いがありますので、より専門性が高い共有持分が専門の業者をお選びください

また、買取業者(自社買取)か仲介業者では、買取スピードと買取価格が異なります。


戸田
少しでも高く売りたい場合は仲介業者に、少しでも早く現金化したい場合は買取業者に依頼してください。

トラブルにも対応できる共有持分売却の専門業者5社

専門業者5選
  1. 一般社団法人共有持分支援協会
  2. 中央プロパティ
  3. ベリーベスト不動産
  4. 大正ハウジング
  5. AlbaLink

それぞれご案内していきます。

一般社団法人共有持分支援協会

共有持分支援協会は、共有持分を専門に取り扱う社団法人です。

共有名義の不動産に強い福本弁護士と提携しています。

トラブル中でも対応可能で、年間360件以上の相談実績があります。

仲介にも買取にも対応しています。

買取方法 仲介、買取
売却日数 最短2日
専門家の在籍 弁護士・司法書士・税理士
対応エリア 全国
その他 手付金(最短翌日)・持分の一部買取、持分のリースバック

中央プロパティ

中央プロパティは、共有持分専門の仲介業者です。

初回相談から弁護士が同席します。

売却後のトラブルにも対応しています。

相談実績は累計4万件です。

買取方法 仲介
売却日数 最短5日
専門家の在籍 弁護士・司法書士・税理士
対応エリア 全国
その他 AI×鑑定士のダブル査定

ベリーベスト不動産

ベリーベストは、共有持分に強い買取業者です。

弁護士・司法書士・税理士のサポートを受けられます。

すでにトラブルになっていても売却可能です。

買取方法 買取
売却日数 最短2日
専門家の在籍 弁護士・司法書士・宅地建物取引士
対応エリア 全国
その他 訳あり不動産買取価格・スタッフ対応などで満足度No.1

大正ハウジング

大正ハウジングは、共有持分に強い買取業者です。

代理人弁護士を通じての訴訟に対応しています。

買取後のトラブル防止もサポートしています。

買取方法 買取
売却日数 最短1週間
専門家の在籍 弁護士
対応エリア 全国
その他 無し

AlbaLink(アルバリンク)

アルバリンクは、共有持分を含む訳あり物件専門の買取業者です。

弁護士・司法書士・税理士と連携しています。

トラブルを抱えている物件でも対応可で、不動産事業全体の相談実績は年間5,000件です。

買取方法 買取
売却日数 最短2日
専門家の在籍 弁護士・司法書士
対応エリア 全国
その他 東京プロマーケット市場に上場

共有持分売却でよくあるトラブルまとめ

トラブルの種類を理解して対策をすれば、ほとんどの場合未然に防げます。

焦らず、よく確認しながら売却を進めてください。