「共有持分の売却に関する民法を知りたい」
「共有者の同意なしで共有持分を売却しても問題無い?」
このように考えていませんか?
この記事では、共有持分の売却に関する民法についてプロが分かりやすく解説します。
共有持分売却の民法上のルール
共有持分とは、複数の人が共同で所有している不動産の各人が持つ所有権の割合のことです。
共有持分の売却に関する民法は、主に206条、251条、254条です。
自己の共有持分だけを売却できる
共有持分の売却とは、持分を他の共有者や買取業者に売ることです。
例えば、両親が亡くなり兄弟3人で実家を3分の1ずつ等分で相続した場合に、3分の1だけ売却することができます。
根拠は民法206条です。
不動産全体の売却には共有者全員の合意が必要
理由は、民法251条で「共有物に大きな変更を加える行為は全員の同意が必要」と定められているからです。
変更とは、次の通りです。
- 売却
- 贈与
- 取り壊し
- 大規模なリフォーム
例えば、3人で土地を共有している場合に、2人が売却に賛成しても1人が反対すれば、全体の売却は成立しません。
まとめますと次の通りです。
- 自分の共有持分…各共有者が単独で実行できる
- 共有不動産全体…共有者全員の合意が必須
共有持分の売却後も立替金を請求できる
理由は、民法254条で「共有者の一人が負担した管理費などの債権について、他の共有者だけでなく、その共有者から持分を買い取った第三者にも請求できる」と定められているからです。
債権とは、お金を支払ってもらう権利のことです。
例えば、A、B、Cの3人で土地を共有し、Aさんが固定資産税を立て替えた後に、Cさんが持分をDさんへ売却した場合、Aさんはその立替分をDさんに請求できます。
共有物分割請求訴訟
共有物分割請求訴訟とは、共有者同士の協議では共有状態の解消ができない場合に、裁判所に分割方法を決めてもらう手続きのことです。
この制度は民法第256条に規定されています。
まず共有者間での話し合いによる共有物分割請求を実施し、合意に至らない場合に裁判所への訴訟提起を行います。
分割の方法は次の3種類です。
- 現物分割…共有不動産を物理的に区分して各自の単独所有とする
- 代償分割…一人の共有者が不動産を取得し、他の共有者へ代償金を支払う
- 換価分割…共有不動産を売却し、売却代金を持分比率で分配する
詳しくは、「共有物分割請求訴訟とは?3つの分割方法、流れ、費用、必要書類を解説」をご覧になってください。
共有持分の売却処分
共有持分の処分とは、自分の持分に対して自由に処理・処分する行為のことです。
共有持分の処分は、売却だけでなく、第三者に権利を譲ったり、放棄したりする行為も含みます。
具体的には、次の通りです。
処分方法 | 概要 | 根拠 |
---|---|---|
贈与 | ・自分の持分を無償で第三者や他の共有者へ譲る ・受け取る相手の合意が必要になる |
民法549条 |
放棄 | 自分の持分を手放して、残りの共有者のものにする | 民法255条 |
不動産担保ローンの利用 | 自分の持分を担保として提供し、借入れを行う | 民法369条 |
贈与や放棄によって共有持分を受け取った人は、贈与税がかかる場合があります。
共有持分の放棄では、所有権移転登記が必要なので、他の共有者の協力が必要です。
詳しくは、「共有持分の処分行為とは?7つの処分方法と流れ、トラブル対策を解説」をご覧になってください。
共有持分の売却に影響する2023年民法改正の4つのポイント
- 分割訴訟の要件が緩和され分割方法が明文化された
- 共有者が不明でも分割や売却ができる
- 持分を超えて利用した場合に対価を支払う
- 軽微な変更は過半数の同意で行える
順番にご案内いたします。
【ポイント①】共有物分割訴訟の要件が緩和され分割方法が明文化された
改正前 | 改正後 |
---|---|
訴訟要件は「共有者同士の話し合いで合意できないとき」に限定 | 民法第258条により、協議に応じない共有者がいても訴訟を起こせる 分割方法の優先順位が明文化された |
優先順位は次の通りです。
- 現物分割、代償分割
- 競売分割(換価分割)
競売分割とは、裁判所が介入して競売にかけて、その代金を分配する強制手続きのことです。
【ポイント②】共有者が不明でも分割や売却ができる
改正前 | 改正後 |
---|---|
共有者の一人でも所在不明だと、事実上、共有不動産の処分や活用ができない | 民法第262条により、裁判所の決定を経て不明者の持分を取得したり売却できる |
新設された制度は次の通りです。
制度 | 概要 |
---|---|
所在等不明共有者持分取得制度 | 不明者の共有持分を他の共有者が取得できる |
所在等不明共有者持分譲渡の権限付与制度 | 不明者の持分を含めて第三者へ売却する権限を得られる |
例えば、4人の共有者のうち1人が行方不明の場合、残り3人の申立てにより裁判所が認めれば、不明者の持分の取得や第三者への売却ができます。
【ポイント③】持分を超えて利用した場合に対価を支払う
改正前 | 改正後 |
---|---|
共有者の一人が実家に住み続けていても、他の共有者への対価支払いに関する明確なルールがなかった | 民法第249条2項により、「自己の持分を超える使用の対価を償還する義務」が明文化された |
例えば、3分の1の共有持分を持つ人が実家全体を使用している場合、残り3分の2分の使用対価を他の共有者に支払わなければなりません。
【ポイント④】軽微な変更は過半数の同意で行える
改正前 | 改正後 |
---|---|
屋根の修繕や外壁の塗装といった軽微な変更でも、共有者全員の同意が必要だった | 民法第251条により、「形状又は効用の著しい変更を伴わないもの」については、共有持分の過半数の同意で実施できる |
軽微な変更の具体例は次の通りです。
- 屋根や外壁の修繕
- 砂利道のアスファルト舗装
- 設備の交換や修理
共有持分の売却後の3つのトラブルと対策
- 売却する人と他の共有者
- 売却する人と買取業者
- 他の共有者と買取業者
詳しくご案内します。
【トラブル①】売却する人と他の共有者
トラブル例 | 概要 |
---|---|
関係性が悪化する | 事前相談なしに持分を売却したことで信頼関係が破綻する |
売却した人にクレームが来る | ・共有者間で立てていた計画を実行できなくなった ・新たな共有者から営業を受けた(悪質・悪徳な業者だった) |
これらのトラブルが発生する原因は、他の共有者への事前説明や配慮が不十分だからです。
解決方法は次の通りです。
- 売却の前に必ず他の共有者へ相談する
- 売却後の影響や利用ルールを事前に共有する
- 必要であれば専門家を交えて合意形成を図る
【トラブル②】売却する人と買取業者
トラブル例 | 概要 |
---|---|
しつこい営業を受ける | 買取業者によっては強引な営業をすることがある |
売却後に業者と揉める | 相場より極端に安い価格で買い叩かれ、後で「不当に安かった」と争うことになる |
追加費用を請求される | 買取後に修繕箇所が見つかったとして、費用を支払うよう求められることがある |
これらのトラブルが起こる原因は、悪徳、悪質な業者に依頼してしまったからです。
共有持分を扱う買取業者の中には、悪質な業者がまれにいます。
解決方法は次の通りです。
- 複数の業者から見積もりを取り比較する
- 弁護士と手刑している業者を選ぶ
- 契約書について司法書士などに相談する
【トラブル③】他の共有者と買取業者
この場合のトラブル内容・原因・解決法はトラブル②と同様です。
結局のところ、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
共有持分の売却の相場
売却先 | 概要 |
---|---|
共有者に売却する場合 | 不動産の市場価格×持分割合 |
買取業者に売却する場合 | 不動産の市場価格×持分割合×30~50% |
例えば、 6,000万円の一戸建てで持分が2分の1なら、共有者へ売却する場合は約3,000万円になりますが、買取業者に売る場合は900〜1,500万円です。
ですが、短期間で現金化できる安心感があります。
少しでも高値で売却したい場合は、仲介業者を利用してください。
共有持分の売却先を選ぶポイント
ポイント | 確認すべき内容 |
---|---|
① 専門性 | 共有持分を専門的に扱っているか、買取の実績が豊富か |
② 信頼性 | 宅地建物取引士の在籍、弁護士との提携、口コミ・評価は良いのか |
③ 担当者の対応 | 価格提示や契約説明の分かりやすさ、連絡の早さ |
④ 買取スピード | 査定から契約、現金化までにかかる期間 |
⑤ 契約条件 | 手数料の有無や、契約で定められる免責範囲 |
⑥ 対応エリア | 物件の場所が業者の対応地域に含まれているか |
⑦ アフターフォロー | 売却後の登記変更や税金関連の相談に応じてもらえるか |
⑧ プライバシー保護 | 個人情報や売却内容を適切に管理し、外部に漏れないか |
免責範囲とは、売却後にトラブルが生じた際、売主がどこまで責任を負うかということです。
条件が広すぎると売主に不利になる場合があるためご注意ください。
担当者の対応が重要な理由は、手続きが複雑でも安心して取引を進められるからです。
また、買取スピードが重要な理由は、早期に資金を確保できるからです。
これらの観点を踏まえ、必ず複数の業者から査定を取り比較してください。
特に悪質業者を避けるためには、共有持分の取り扱いに慣れている専門業者をお選びください。
共有持分の売却先5社
- 共有持分支援協会
- 大正ハウジング
- 中央プロパティ
- トップショット
- ライズ
詳しくご案内します。
共有持分支援協会
共有持分専門の仲介と買取に対応している社団法人です。
共有持分に強い弁護士と提携しています。
買取は最短2日〜で、手付金制度があり、最短なら翌日にお渡ししています。
一部だけの売却やリースバックにも対応しております。
社団法人の立場で親身に丁寧に対応し、利用料は無料です。
買取方法 | 仲介、買取 |
---|---|
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 手付金(最短翌日)・持分の一部買取、持分のリースバック |
大正ハウジング
共有持分の買取を専門で行っている不動産会社です。
弁護士事務所と提携しています。
センチュリー21の加盟店です。
買取方法 | 買取 |
---|---|
売却日数 | 最短1週間 |
専門家の在籍 | 弁護士 |
対応エリア | 全国 |
中央プロパティ
共有持分専門の仲介業者です。
弁護士事務所と提携しています。
査定から契約まで最短1週間〜です。
仲介手数料などが無料です。
センチュリー21の加盟店です。
買取方法 | 仲介 |
---|---|
売却日数 | 最短5日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | AI×鑑定士のダブル査定 |
トップショット
共有持分専門の買取業者です。
1,000万件以上の不動産データに基づいたAIによる自動査定サービスを提供しています。
買取方法 | 買取 |
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売却日数 | 不明 |
専門家の在籍 | 不明 |
対応エリア | 全国 |
ライズ
共有持分専門の買取業者です。
弁護士と提携をしています。
3日~30日以内に現金化をしています。
相談は無料、買取実績は1,000件以上です。
買取方法 | 買取 |
---|---|
売却日数 | 最短3日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士 |
対応エリア | 一都三県 |
その他 | 電話対応は21時まで |
共有持分の売却に関する民法についてのまとめ
関連する民法を把握した上で、共有持分の売却をお進めください。
ご案内した業者は民法などを熟知していますので、買取をご相談ください。
「共有持分の買取業者の目的は何?」
「共有持分を業者に売却して大丈夫か不安…」
このように考えていませんか?
この記事では、共有持分の買取業者の目的について、プロが分かりやすくご案内しています。
共有持分の買取業者の目的は利益を得ること!その4つの方法は…
- 単独名義にして売却する
- 単独名義にして賃貸する
- 他の共有者へ売却する
- 共有物分割請求訴訟で現金化する
詳しくご案内します。
【方法①】単独名義にして売却する
全ての持分を買い取り、単独名義にして、リフォームをし、売却するという方法です。
共有持分だけを買取っても、それだけではリフォームできません。
持分はあくまで所有権の割合(数字)で、不動産を物理的に分けているわけではないからです。
例えば、持分が3分の1だとしても、実際に3分の1だけをリフォームすることはできません。
ですので、買取業者は他の共有者に買取の交渉をし、全ての持分を買取った後にリフォームをして売却します。
-
母と2人兄弟の3人で共有している不動産(評価額5,000万円)があった。
兄から売却の依頼が来たため、買取業者は兄の持分(4分の1)を500万円で購入した。
次に弟に買取の交渉を持ちかけた。
結果的に、母と弟の持分(4分の3)を1,500万円で購入できた。
買取業者は単独名義にし、500万円でリフォームをして、最終的に5,250万円で売却した。
粗利益は約2,750万円だった。
● 5,250万円 -(500万円 + 1,500万円 + 500万円) = 2,750万円
持分の買取相場は、市場価格の30%~50%です。
例えば、5,000万円の不動産の4分の1は、1,250万円ではなく375万円~625万円になるということです。
相場についてはこちらの「共有持分の売却相場は市場価格より30~50%低い」でご案内していますので、売却予定のある方はご一読ください。
【方法②】単独名義にして賃貸する
全ての持分を取得して単独名義化し、賃貸物件として運用するという方法です。
賃貸は、回収までに時間はかかりますが、長期的に家賃収入を得られます。
-
市場価格2億万円の共有名義の賃貸アパートがあり、共有者の兄から売却依頼があった。
その後、共有者に交渉を持ち掛け、全ての持分を合計6,000万円で購入した。
会社で賃貸と売却の利益を計算した結果、リフォームし、家賃をUPして賃貸することになった。
● 月70万円、年間840万円の利益、表面利回りは約14%(回収に7年2ヶ月)
【方法③】他の共有者へ売却する(買取ってもらう)
他の共有者に買取りの交渉を持ちかけて、合意を得て売却するという方法です。
例えば、他の共有者が居住していて、「今後も住み続けたい」と考えている場合に、買取業者は利益を乗せて、その共有者に売却を持ちかけます。
-
母と2人兄弟の3人で共有している不動産(評価額5,000万円)があった。
兄から売却の依頼が来たため、買取業者は兄の持分(4分の1)を500万円で購入した。
次に弟に買取の交渉を持ちかけたが、「母が生きている間は住み続ける」ということだった。
買取業者は持分リースバックという方法も提示したが、弟は不動産に詳しいようで、将来の売却も考えた上で、提示された市場価格の1,250万円で購入した。
買取業者の粗利益は約750万円だった。
リースバックとは、不動産の所有権(100%)を売却し、家賃を払ってその不動産に住み続けるしくみのことです。
詳しくはこちらの「持分リースバック」をご覧ください。
金額に折り合いがつかない場合は、共有物分割請求訴訟を検討します。
【方法④】共有物分割請求訴訟をする
共有物分割請求訴訟とは、話し合いで解決できない場合に、裁判所を通じて共有不動産を分割する方法のことです。
民法258条で規定されています。
-
共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
裁判では、次の3つの分割方法を検討します。
- 現物分割…不動産を物理的に分筆して単独名義にする
- 代償分割…1人の単独名義にして、他の共有者に代償金を支払う
- 換価分割(かんかぶんかつ)…売却して現金を分ける(任意売却 or 競売)
一番多いのは、競売による換価分割です。
競売による換価分割とは、裁判所の手続きで共有不動産をオークション形式でお金に換え、その代金を共有者の持分割合に応じて分けることです。
ただし、競売では得られる利益が少ないため、買取業者は「できればしたくない」と考えています。
-
買取業者は、評価額5,000万円の共有不動産の4分の1を500万円で購入した。
他の共有者に売却を持ちかけたが、断固として「売らない」ということだった。
買取る資金も無いようなので、やむなく共有物分割請求書訴訟をした。
半年後に競売で3,000万円で売却し、買取業者は約1,000万円を受け取ったが、諸経費を差し引いた利益は約250万円だった。
買取業者は、全て買取って売却した場合の利益として2,500万円以上を見込んでいた。
訴訟について、より詳しくはこちらの「共有物分割請求訴訟とは?」でご案内しています。
共有持分の買取業者とのトラブル事例と防止策
- 売主と買取業者の間で起こるトラブル
- 他の共有者と買取業者の間で起こるトラブル
- 売主と他の共有者の間で起こるトラブル
それぞれご案内していきます。
売主と買取業者の間で起こるトラブル
- 相場よりも大幅に安く買い叩かれて後悔する
- 悪質な営業を受けて揉める
- 売却後に修繕費用を請求されて揉める
悪質な営業とは、例えば、業者が「持分を売却してください」と、朝晩関係なく電話や突然の訪問をしてくるといったことです。
こうしたトラブルは、悪質、悪徳な業者に売却を依頼してしまった場合に起こります。
次のような対策をしてください。
対策 | 概要 |
---|---|
複数の業者に査定を依頼して比較する | 1社だけで決めず、3社以上から見積もりを取り、相場を把握する |
弁護士と提携している業者に依頼する | 共有不動産に詳しい弁護士と連携している業者を探して依頼する |
より詳しくは、こちらの「共有持分の買取業者とのトラブル5つと回避法」でご確認ください。
他の共有者と買取業者の間で起こるトラブル
- 他の共有者がしつこい営業を受けて揉める
- 共有物分割請求訴訟される
- 突然、敷地内に買取業者が来て揉める
- 居住中の共有者が賃料の請求を受けて揉める
共有者が住んでいる住居の敷地内に、事前の連絡無く業者が入ってきてしまうことがあります。
買取業者にも共有不動産を使う権利があるからです。
ですが、もし買取業者へのクレームが来て、対応せざるを得ない場合は、次のような対策をするようにお伝えください。
対策 | ポイント |
---|---|
すべてのやり取りを記録する | 電話や訪問は日時をメモ、メールや手紙は保存する |
はっきりと意思表示する | 例えば「売却する意思はない」と明確に伝える |
専門家に相談する | 共有持分に詳しい弁護士を探して、対応を依頼する |
より詳しくはこちらの「共有持分の売却で起こるトラブルとは?」をご覧ください。
売主と他の共有者の間で起こるトラブル
買取業者は関係なく、売却することで起こりうるトラブルです。
- 「勝手に売った」ことに不信感を持たれ、関係修復が不可能になる
- 共有者が考えていた不動産の活用ができなくなり、揉める
- 管理費や固定資産税の負担で揉める
例えば、兄弟の一人が事前に相談せずに持分を売却した場合、「勝手に売った」とけんかを仕掛けてきたり、嫌がらせしてきたりすることがあります。
事前に次のような対策をしてください。
対策 | 概要 |
---|---|
事前に他の共有者へ相談する | 売却の意思を説明し、理解を得る努力をする |
専門家を交えて話し合う | 弁護士や司法書士を間に入れて冷静に協議する |
共有持分の買取を業者に依頼するメリット・デメリット
買取に対応している業者に依頼するメリットとデメリットをご案内します。
メリット
自分の持分だけなら他の共有者の同意は不要で売却できます。
これは民法206条で規定されています。
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
共有持分の買取を業者に依頼するメリットは次の通りです。
- 短期間で現金化できる
- 共有者との交渉が不要
- 現金化までスムーズ
共有持分の買取に対応しているのは、次の3種類の業者です。
- 訳あり不動産の買取業者
- 共有持分が専門の買取業者
- 共有持分が専門の仲介業者
このうち買取業者の場合は、業者が直接買い取るため、最短数日~で入金が完了することがあります。
仲介業者とは、売主と買主の間に入って、売買の契約を成立させる業者のことです。
多くの買主に情報を提供するため、買取業者よりも高額で売ることができます。
中には売却前に手付金を渡している業者もいます。
- 買取業者と仲介業者の違い
比較項目 | 買取業者 | 仲介業者 |
---|---|---|
取引形態 | 業者が直接購入する | 買主を探して仲介する |
売却期間 | 即日〜数週間 | 数日~数週間 数か月以上かかる場合がある |
売却価格 | 仲介より安い | 実勢価格の30%~50% |
手数料 | 不要 | 仲介手数料がかかる |
デリット
- 市場価格より安くなる
- 売却後に追加費用がかかることがある
共有持分を業者に売却する場合、市場価格より安くなります。
例えば、夫婦で50%ずつ共有している市場価格3,000万円のマンションがあり、夫が持分2分の1を売却する場合、1,500万円ではなく、30%~50%の450万円~750万円になります。
トラブルへの対応も考慮する必要があります。
売却後に追加費用がかかるというのは、契約不適合責任が免責ではない場合に起こります。
- 契約不適合責任…売却して引き渡された不動産が契約内容に適合していなかった場合に、売主が負う責任
例えば、問題無く使用できていた戸建を売却したのに、買取業者が「お湯が出ない」「雨漏りが見つかった」「シロアリの跡があった」などと言ってくることがあります。
共有持分の場合、免責になっていることが多いです。
免責になっていれば、対応する必要はありません。
このように後から言ってくる場合、悪質・悪徳な業者に売却をしてしまった可能性がとても高いです。
この後ご案内する「業者を選ぶ6つのポイント」で、悪質・悪質な業者を徹底的に避けてください。
共有持分の買取に対応している業者を選ぶ6つのポイント
- 買取実績が豊富な業者を選ぶ
- 宅地建物取引業の免許の有無を確認する
- 買取業者の口コミ・評判を確認する
- 複数業者で査定をして比較する
- 弁護士と提携している
- 担当者が誠実で丁寧な対応をしてくれる
それぞれご案内していきます。
【ポイント①】買取実績が豊富な業者を選ぶ
理由は2つあります。
- 様々なケースに対応できる
- スムーズに買取ってくれる
公式サイトであなたのケースに近い実績があるかどうか、確認してみてください。
ぜひ参考にしてみてください。
【ポイント②】宅地建物取引業の免許の有無を確認する
宅地建物取引業の免許とは、不動産取引を行うための国の許可のことです。
免許がある会社は法律に基づいて営業しているということです。
確認する理由は、免許があるということは、悪徳・悪質な業者の可能性が低いからです。
公式サイトで免許番号をご確認ください。
【ポイント③】買取業者の口コミ・評判を確認する
理由は、業者が悪質・悪徳かどうか見分けられる可能性が高まるからです。
口コミや評判をチェックする場合、次のようにしてください。
- 悪い評判が多い業者は避ける
- 抽象的な内容ではなく具体的な内容をチェックする
【ポイント④】複数業者で査定をして比較する
理由は、相場を把握するためです。
相場を把握できれば、査定額が高いか安いか判断できます。
悪質・悪徳な業者は、極端に高い金額を提示してきたり、極端に安い金額を提示してきたりします。
【ポイント⑤】弁護士と提携している
理由は2つあります。
- 法的トラブルを防ぐことができる
- トラブルが起こった場合に相談できる
共有持分の売却では、他の共有者と対立したり、揉めたりすることがあります。
弁護士がいれば、法的な予防策や対策を打つことができます。
【ポイント⑥】担当者が誠実で丁寧な対応をしてくれる
理由は、営業マンによって結果が大きく変わることがあるからです。
営業担当者の質で、売却価格が違ったり、やり取りのストレスのかかり方が違ったりします。
強引だったり、連絡が遅かったり、不備があったりする担当者はトラブルの元です。
初回相談やその後のやり取りで見極めてください。
お困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。
共有持分の買取に対応している業者5社
- 共有持分支援協会
- 共有持分専門買取センター
- 共有持分売却窓口
- 大正ハウジング
- ベリーベスト
それぞれご案内します。
共有持分支援協会
共有持分支援協会は、共有持分の悩みを解決する一般社団法人です。
仲介による高額売却も、買取による早期現金化もできます。
買取は最短2日~、手付金を即日で受け取ることできます。
持分リースバックで住み続けることもできます。
持分に詳しい弁護士や税理士と連携しています。
買取方法 | 仲介、買取 |
---|---|
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 手付金(最短翌日)・持分の一部買取、持分のリースバック |
共有持分専門買取センター
共有持分専門買取センターは、共有持分の専門の買取業者です。
所在地は大阪で、対応エリアは大阪中心です。
年間1,200件の相談に対応しています。
買取方法 | 買取 |
---|---|
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 不明 |
対応エリア | 大阪 |
共有持分売却窓口
共有持分売却窓口は、共有持分専門の買取業者です。
累計1万件超の相談実績があります。
対応エリアは大阪・京都・兵庫・沖縄です。
買取方法 | 買取 |
---|---|
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 大阪・京都・兵庫・沖縄 |
大正ハウジング
大正ハウジングは、共有持分専門の買取業者です。
センチュリー21加盟店です。
買取方法 | 買取 |
---|---|
売却日数 | 最短1週間 |
専門家の在籍 | 弁護士 |
対応エリア | 全国 |
ベリーベスト
ベリーベストは、共有持分が専門の買取業者です。
法律事務所のグループ法人が運営しています。
買取方法 | 買取 |
---|---|
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・宅地建物取引士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 訳あり不動産買取価格・スタッフ対応などで満足度No.1 |
共有持分の買取業者の目的は何?のまとめ
共有持分の買取業者の目的は、利益を得るために、主に単独名義にしてリフォームして売却することです。
仕組みを理解した上で、買取業者の話を聞いてみてください。
「共有持分を売却すると、どんなトラブルが起こる?」
「揉めずに共有持分を売却したい」
このように考えていませんか?
このページでは、共有持分の売却で起こりやすいトラブルとその対策法を、プロが分かりやすくご案内します。
【パターン①】共有持分の売却で「売主と他の共有者」で起こるトラブル
売主と他の共有者との間で起こるトラブルをご案内します。
- 他の共有者に反対されて売却できない
- 他の共有者と連絡が取れなくて売却できない
- 自分の持分を売却後に、他の共有者との関係が悪くなる
- 住宅ローンが残っていて持分を売却できない
詳しくご案内します。
①他の共有者に反対されて売却できない
共有名義の不動産全体を売却したくても、反対されてしまうということです。
例えば、次のようなケースです。
- 「思い出を残したい」と反対される
- 「まだ住みたい」と反対される
- 「賃貸に出したい」「値上がるのを待ちたい」と反対される
- 「お前とは話したくない」「相手の得になることをしたくない」と反対される
全体を売却する場合は、全員の同意が必要で、一人でも反対すると売却することはできません。
この場合の回避方法は次の通りです。
- 持分のみの売却を検討する
- リースバックを検討する(共有者はそのまま住み続けられる)
持分だけを売却することは、民法206条「所有権の内容」で認められています。
他の共有者の同意や許可、相談や連絡無しで売却できます。
リースバックとは、不動産を一度売却して、その後に買主と賃貸契約を結び、引き続き住み続けられる仕組みのことです。
「私が住み続けたい」「母に住み続けてもらいたい」という人は、持分のリースバックに対応している会社がありますので、探してみてください。
お気軽にご相談ください。
他の共有者と連絡が取れず売却できない
例えば、次のようなケースです。
- 共有者が海外に行ってから音信不通
- 共有者が引っ越しを重ねて、連絡先など一切不明
- いろいろ手を尽くしたが、所在を確認できない
回避方法は次の通りです。
- 持分のみの売却を検討する
- 「共有物分割請求訴訟」を提起する
- 「所在不明者の共有持分取得制度」を利用する
共有物分割請求訴訟とは、共有状態を裁判で解消するための手続きのことです。
共有者と連絡を取れなくても利用できます。
詳しくは「共有物分割請求訴訟とは」でご案内していますので、ご覧ください。
所在不明者の共有持分取得制度とは、民法262条の2で規定された裁判所の許可を得て、他の共有者が所在不明者の持分を取得する手続きのことです。
共有不動産に強い弁護士を探して、ご依頼ください。
持分についてお困りごとがありましたら、お気軽にご相談ください。
自分の持分を売却後に、他の共有者との関係が悪くなる
例えば次のようなことです。
- 「相談もなく勝手に売って!」と怒鳴り込んできた
- 売却や賃貸などの「計画をつぶされた!」ことを理由に揉めた
- 買取業者へのクレームが来る
相談も連絡もなく、いつの間にか持分が買取業者に代わっていたら、相手が不信感を持つのは自然なことです。
相手が計画を考えていたならなおさらです。
持分を買取った買取業者は、他の共有者と持分の買取交渉を行います。
しっかりとした業者ならトラブルになることは少ないですが、悪質・悪徳な業者の場合はトラブルになることが多いです。
グレーな方法なども含めて、共有者に心理的に負荷を与えて、交渉を有利に進めようとすることがあるからです。
例えば次のようなことです。
- 敷地内に勝手に入ってくる
- 家賃を請求してくる
- 訴訟してきた
回避方法は次の通りです。
- 持分の売却前に、共有者に伝える
- 弁護士と提携している買取専門業者を選ぶ
- 悪質・悪質な業者について弁護士に相談する
悪質・悪徳な業者に持分を売却しないように、業者選びは丁寧に行ってください。
住宅ローンが残っていて持分を売却できない
持分を売却しようとしても、住宅ローンを完済するまで売却できません。
金融機関がローンの担保として不動産に抵当権を設定しているからです。
抵当権とは、金融機関が融資の担保に不動産に設定する権利のことです。
もし返済不能になったら、金融機関は、担保設定した不動産の売却代金から回収します。
そのため、夫婦で共有名義の家を購入し、夫(元夫)がローン契約者で住宅ローンの残債がある場合、妻(元妻)が離婚前後に売却しようとしてもできません。
この場合の対策は次の通りです。
- 任意売却を検討する
- 住宅ローンを完済する
- 配偶者(元配偶者)に持分を買取ってもらう
任意売却とは、住宅ローンの返済ができなくなったときに、金融機関の承諾を得て抵当権付きの不動産を売却する方法のことです。
ローンの残債が、不動産の価格よりも低い場合にご検討ください。
例えば、不動産価格が4,000万円で、ローンの残債が1,500万円なら、夫婦の同意があり、金融機関の承諾を得られば、問題無く任意売却できます。
任意売却の専門業者への依頼をご検討ください。
【パターン②】共有持分の売却で「売主と買取業者」で起こるトラブル
よくあるのは次のようなトラブルです。
- 不当に安い金額で買い叩かれる
- 売却後に修繕費を請求される
- しつこい営業を受ける
詳しくご案内します。
不当に安い金額で買い叩かれる
共有持分の売却相場は、市場価格の30%~50%です。
例えば、6,000万円の共有不動産の2分の1を売る場合、3,000万円ではなく、900万円~1,500万円が相場になるということです。
にもかかわらず、特に説明もなく「この持分なら500万円がせいぜいですね」などと、異常に安い金額を提示する業者がまれにいます。
回避方法は次の通りです。
- 相場を把握し、査定の根拠を確認する
- 納得できなければ契約しない
- 弁護士と提携している業者に査定を依頼する
売却相場はこちらの「共有持分の売却相場を解説」で詳しくご案内していますので、ご覧になってみてください。
自分でもある程度の相場を把握しておき、業者に説明を求めて、その回答が意味不明だったり、違和感感じるような回答だったりしたら、契約はしないでください。
このような悪質・悪徳な業者は、金額だけでなく、こちらの不利な契約内容を盛り込んでくることがあるからです。
こちらの「トラブルを避けるための業者の選び方」でご案内していますので、ご覧ください。
売却後に修繕費を請求される
例えば、「契約時には分からなかった雨漏り、設備の故障などで修繕費がかかる」と言われて、売却後に数十万円以上請求されるといったことです。
回避方法は次の通りです。
- 契約時に、「契約不適合責任の免責条項」が記載されているか確認する
- 弁護士と提携している業者に査定を依頼する
-
契約不適合責任とは、契約に記載された状態と違っていた場合に売主が負う責任のことです。
その免責条項とは、「契約不適合責任を負わない」とあらかじめ定める条項のことです。
この条項があれば、買主からの次の行為を回避できます。
- 契約後の修繕費の請求
- 売却額の減額の要求
- 契約の取り消し
- 損害賠償の請求
入っていない場合は、必ずその理由を確認してください。
しつこい営業を受ける
例えば次のようなことです。
- 一度査定依頼をしただけで何度も電話される(朝晩関係なく)
- 事前連絡無しに直接訪問してくる
- 訪問後は、なかなか帰ろうとしない
回避方法は次の通りです。
- 「電話をしないでください」と伝える、着信拒否する
- 「お帰り下さい」と伝える
- 消費生活センターに相談する
- 弁護士に相談する
- 弁護士と提携している業者を選ぶ
売却する際は、ごくまれにいる悪徳・悪質な業者を事前に避けることを第一としてください。
【パターン③】共有持分の売却で「買取業者と他の共有者」で起こるトラブル
自分の持分を売却した後に、買取業者と他の共有者との間で起こるトラブルのことです。
よくあるのは次のようなことです。
- 今まで通りのことができなくなる
- 買取業者が敷地内に出入りする、しつこい営業をする
- 買取業者が他の共有者に「強引な要求」をする
今まで通りのことができなくなるとは、建物の老朽化に伴う簡単な補修や維持管理のための掃除などを勝手にしないように言ってくるといったことです。
- 賃料を請求する
- 訴訟をちらつかせて、買取り交渉をする
- 共有物分割請求訴訟をする
共有者が共有不動産に住んでいる場合、家賃相当の賃料を支払うように要求されることがあります。
こういった買取業者からの半ば嫌がらせのような営業について他の共有者からクレームが来ることがあります。
【パターン④】共有持分の売却で「近隣住民との間」で起こるトラブル
近所に住む近隣住民と、売主、他の共有者、買取業者との間で起こりやすいトラブルは次の通りです。
- 「維持管理の不備」でクレームが来る
- 悪い噂を広められて、不動産の評価額が下がる
- 買主の行動についてクレームが来る
維持管理の不備とは次のようなことです。
- 家が崩れ落ちそうで危険
- 草木が生い茂って敷地内に入ってきている
- 害虫(G、スズメバチなど)が出る
- 野良犬・野良猫、害獣が住みついて怖い
- ゴミの放置で匂いが発生する
このようなことで近隣住民からクレームが入ることがあります。
対応せずにいると、まれに訴訟されることもあります。
また、売却したことが近隣に知れ渡り、「トラブル物件」「もめてるみたい」といった噂が広がったことで、不動産の評価額が下がることがあります。
- 見慣れない人(新しい共有者=買取業者)がウロウロしている
- 見慣れない人が大声を出してうるさい
- 見慣れない人が勝手に道路に駐車して車を動かせない
売主の回避方法は次の通りです。
- もう関係が無いと突っぱねる(売主)
- 弁護士に相談する(他の共有者)
- 事前にまともな買取業者を選ぶ(売主)
共有持分の売却によるトラブルを防ぐ方法、起こったトラブルへの対策
- 弁護士と連携している専門業者に売却を依頼する
- 弁護士に直接相談する
- 自分の持分を売却する
それぞれご案内します。
弁護士と連携している専門業者に売却を依頼する
専門業者とは、共有持分を専門に、買取や仲介をしている業者のことです。
弁護士と提携している専門業者に依頼すれば、無駄なトラブルは起きませんし、起こったトラブルにもスムーズに対応してくれまます。
弁護士に直接相談する
売却後に起こったトラブルへの対策です。
弁護士と提携していない買取業者に依頼した場合、次のような法律の相談窓口にご相談ください。
相談窓口 | 特徴 |
---|---|
法テラス(日本司法支援センター) | ・国が設立した法的トラブルの総合案内所 ・収入・資産が一定基準以下の場合に無料相談が利用可能 |
弁護士会の法律相談センター | ・各都道府県の弁護士会が運営 ・不動産問題に関する無料相談会を定期的に実施している場合がある |
市区町村の法律相談会 | ・住民サービスの一環として開催される弁護士による無料法律相談 ・地域によって不動産専門の窓口あり |
自分の持分を売却する
自分の持分を売却すれば、権利(所有権)が無くなります。
あとは、買取業者と共有者の問題ですので、関わらなくても、法的には問題がありません。
ただし、悪徳・悪質な業者に売却を依頼すると、次のようなトラブルが起こります。
- しつこい営業を受ける
- 安い金額で売って損をする
- 不利な契約を結ばされる(後から修繕費用を請求されるなど)
トラブルを避ける!共有持分売却で業者を選ぶ時の6つのポイント
ポイント | 理由 |
---|---|
①弁護士と提携している | 法的なサポートを受けられる |
②共有持分を専門としている | 共有持分に関するトラブルへの対応に慣れている |
③対応スピードが速い | 売却までのスピードが早い=ノウハウを持っていて経験がある |
④口コミや評判が良い | 悪質・悪徳業者と取引をしないで済む |
⑤実際の接客が良い | 担当者によってトラブルを予防する能力やトラブルへの対応力が異なる |
⑥対応実績が多く、幅が広い | トラブルにも対応できる優れた業者に売却できる |
共有不動産の買取には、一般的な不動産会社は対応していません。
そのため、依頼先は次の2つに限られます。
- 訳あり物件の業者
- 共有持分が専門の業者
対応力に違いがありますので、より専門性が高い共有持分が専門の業者をお選びください。
また、買取業者(自社買取)か仲介業者では、買取スピードと買取価格が異なります。
トラブルにも対応できる共有持分売却の専門業者5社
- 一般社団法人共有持分支援協会
- 中央プロパティ
- ベリーベスト不動産
- 大正ハウジング
- AlbaLink
それぞれご案内していきます。
一般社団法人共有持分支援協会
共有持分支援協会は、共有持分を専門に取り扱う社団法人です。
共有名義の不動産に強い福本弁護士と提携しています。
トラブル中でも対応可能で、年間360件以上の相談実績があります。
仲介にも買取にも対応しています。
買取方法 | 仲介、買取 |
---|---|
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 手付金(最短翌日)・持分の一部買取、持分のリースバック |
中央プロパティ
中央プロパティは、共有持分専門の仲介業者です。
初回相談から弁護士が同席します。
売却後のトラブルにも対応しています。
相談実績は累計4万件です。
買取方法 | 仲介 |
---|---|
売却日数 | 最短5日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | AI×鑑定士のダブル査定 |
ベリーベスト不動産
ベリーベストは、共有持分に強い買取業者です。
弁護士・司法書士・税理士のサポートを受けられます。
すでにトラブルになっていても売却可能です。
買取方法 | 買取 |
---|---|
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・宅地建物取引士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 訳あり不動産買取価格・スタッフ対応などで満足度No.1 |
大正ハウジング
大正ハウジングは、共有持分に強い買取業者です。
代理人弁護士を通じての訴訟に対応しています。
買取後のトラブル防止もサポートしています。
買取方法 | 買取 |
---|---|
売却日数 | 最短1週間 |
専門家の在籍 | 弁護士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 無し |
AlbaLink(アルバリンク)
アルバリンクは、共有持分を含む訳あり物件専門の買取業者です。
弁護士・司法書士・税理士と連携しています。
トラブルを抱えている物件でも対応可で、不動産事業全体の相談実績は年間5,000件です。
買取方法 | 買取 |
---|---|
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 東京プロマーケット市場に上場 |
共有持分売却でよくあるトラブルまとめ
トラブルの種類を理解して対策をすれば、ほとんどの場合未然に防げます。
焦らず、よく確認しながら売却を進めてください。
「共有名義の土地を売却したい」
「共同名義の家を売却する方法を知りたい」
このように考えていませんか?
このページでは、共有名義・共同名義の土地や家を売却する方法についてご案内します。
共有名義、共有持分、共同名義とその違い
- 各用語の意味
用語 | 意味 |
---|---|
共有名義 | 複数の人が財産(不動産など)を持分の割合に応じて所有している状態を表す。法律用語で登記簿に記載される。 |
共有持分 | それぞれの共有者が持つ権利の割合を表す。法律用語で登記簿に記載される。 |
共同名義 | 複数の人が一つの財産(不動産など)を共同で所有している状態を表す日常用語 |
共有名義(きょうゆうめいぎ)とは?
共有名義とは、1つの不動産を複数の人の名義で登記している状態のことです。
不動産が共有名義になる主なパターンは次の通りです。
- 親の不動産を相続した
- 夫婦でマイホームを購入した
- 親子で二世帯住宅を建てた
- 経営者が出資してマンションを建築した
- 法律用語…法律の条文、裁判の判例、学説や契約書などで使われる特定の定義や意味を持つ言葉
共有持分(きょうゆうもちぶん)とは?
共有持分とは、各共有者が所有している権利の割合のことです。
例えば、相続で母と2人兄弟の共有名義で、実家を法定相続通りに分けた場合、持分は母2分の1、兄弟は4分の1ずつです。
例えば、夫2/3、妻1/3の割合で費用を出してマンションを購入した場合、持分は夫3分の2、妻3分の1です。
この場合はお金を出す割合で持分が決まります。
共有名義も共有持分も、登記事項証明書の「権利部(甲区)(所有権に関する事項)」に記載される法律用語です。
共同名義(きょうどうめいぎ)とは?
共同名義とは、1つの不動産を複数の人が共同で所有していることを表す日常用語です。
持分の割合は関係ありません。
次にように日常会話の中で使われます。
- 「親が他界したので、兄弟の共同名義で実家を相続した」
- 「マンションを夫婦の共同名義で購入した」
- 「親と共同名義で二世帯住宅を建てた」
- 「経営者の友人同士で、投資用マンションを共同名義で所有している」
共有名義・共同名義の土地や家は「売却できない」と言われる理由
理由は、不動産全体の売却をするには、共有者全員の同意が必要だからです。
共有物への行為は、次の3種類があり、それぞれ共有者の同意条件が異なることが、民法で定められています。
- 保存行為(単独)…現状維持のための修繕、応急処置
- 管理行為(過半数の同意)…日常的に維持するための修繕や清掃、賃貸
- 変更行為(全員の同意)…売却、贈与、放棄、分筆、建物の増改築、建替、抵当権設定など
共有者の中に反対している人がいる場合は、不動産全体の売却はできません。
ですが、自分の持分だけなら売却できることが、民法206条で規定されています。
他の共有者の同意や許可は必要なく、各共有者が単独で判断して実行することができます。
- 共有不動産全体を売却する場合…全員の合意が必要
- 自分の持分を売却する場合…自分だけの判断でできる
共有名義・共同名義の土地・家を売却する5つの方法
- 自分の持分だけを「専門の買取業者」に売却する
- 「専門の仲介業者」に依頼する
- 共有者全員の同意で不動産全体を売却する
- 持分を「他の共有者」に売却する
- 土地を「分筆」して売却する
それぞれご案内します。
【方法①】自分の持分だけを「専門の買取業者」に売却する
先ほどもご案内した通り、自分の持分だけなら、誰かの同意などは不要で売ることができます。
専門の買取業者とは、共有名義・持分の不動産を専門に買取している業者のことです。
メリットは次の通りです。
- 現金化までが早い
- 仲介手数料が掛からない
- 手続きが簡単でスムーズ
業者が直接買取るため、現金化と手続きがスムーズです。
デメリットは、市場価格と比べて安くなることです。
相場は市場価格の30%~50%です。
-
夫婦の共有名義で50%ずつお金を出して購入した4,000万円のマンションがある。
夫がその2分の1を売却しようと、専門の買取業者に連絡をした。
(半分なので2,000万円になるかな?)と考えていたが、査定額は35%の700万円だった。
業者に聞いたら、相場は30%~50%の600万~1,000万円ということだった。
色々と説明を受けたところ、納得して700万円でばいきゃくした。
安くなる理由は次の通りです。
- 持分だけでは活用できないため、買取業者は他の共有者の持分も買い取る必要がある
- 買い取るための交渉に相応の手間と時間がかかる
- 交渉の過程などでトラブルになったら対応する必要がある
- 交渉の結果、訴訟をすることがある
このように、手間だけでなくリスクもあるため、一般の不動産会社は、共有名義・共同名義の土地や家の買取に対応していません。
【方法②】「専門の仲介業者」に依頼する
専門の仲介業者とは、共有持分の仲介を専門にしている業者のことです。
仲介業者とは、売主・買主の間に立って不動産の売買をサポートする業者のことです。
メリットは、買取よりも高く売れることです。
理由は、複数の買主候補の中には、高い金額を提示する買主がいるからです。
デメリットは、時間と仲介手数料が掛かることです。
買い手を募り、高額で買取る買主を見つけるのに時間が掛かります。
仲介手数料は次の通りです。
売買価格 | 仲介手数料の上限(税込) |
---|---|
0~800万円 | 330,000円 |
900万円 | 363,000円 |
1,000万円 | 396,000円 |
1,100万円 | 429,000円 |
1,200万円 | 462,000円 |
1,300万円 | 495,000円 |
1,400万円 | 528,000円 |
1,500万円 | 561,000円 |
ただし、中には仲介手数料が0円の業者がいます。
売却をお考えでしたら、お気軽にご相談ください。
【方法③】共有者全員の同意で不動産全体を売却する
共有者全員とは、共有関係にあるすべての共有名義人のことです。
メリットは、市場価格に近い価格で売れることです。
理由は、その不動産全体なら流動性が高いからです。
例えば、実勢価格(市場価格)が5,000万円の共有不動産がある場合、約5,000万円で売却することができるということです。
売却益は持分に応じて分配します。
金額によっては譲渡所得税がかかる場合があります。
デメリットは、共有者全員の同意が必要なことです。
1人でも反対すれば、不動産全体の売却はできません。
【方法④】持分を他の共有者へ売却する
他の共有者とは、その不動産の所有権を持つ自分以外の共有名義人のことです。
メリットは、市場価格に近い価格で売れることです。
理由は2つあります。
- 安い金額で売るとその差額に贈与税がかかる
- 持分が増えて単独所有になれば、実勢価格(市場価格)に近い価格で売れる
共有者が家族だからと言って、市場価格よりも安く売ると、その差額に対して贈与税がかかってしまいます。
例えば、6000万円の共同名義の戸建があり、3分の1を2,000万円ではなく200万円で売ると、差額の1,800万円に対して贈与税ががかかます。
デメリットは、実行できる共有名義人がほとんどいないことです。
実行するには、次の2つの条件が必要です。
- 持分を買い取る経済的な余裕がある(資金がある)
- 不動産を有効活用できるノウハウがある
例えば、親族間で不動産事業をしているなら実行できます。
【方法⑤】土地を分筆して売却する
土地の分筆とは、1つの土地を分割して、個別の土地にすることです。
共有名義の不動産が土地の場合は、分筆後に共有物分割をすると、単独名義になります。
メリットは、共有状態から単独所有の状態にできることです。
単独所有になれば、リフォームや建て替え、賃貸、売却などを自由に実行することができます。
デメリットは、次の表のように、費用と時間が掛かることです。
作業内容 | 依頼先 | 費用・時間 |
---|---|---|
土地の測量や図面作成 | 土地家屋調査士 | 10万円~ 1週間~ |
分筆登記 | 土地家屋調査士 | 約5~6万円 2週間~ |
所有権の移転登記 | 司法書士 | 5万円~ 2週間~ |
登録免許税 |
土地家屋調査士 司法書士 |
分筆…1,000円 × 分筆数 所有権移転登記…固定資産評価額 × 0.4% |
-
固定資産税評価額が8.6万円/㎡の土地を2兄弟の共有名義で相続した。
- 測量費…22万円
- 分筆登記報酬…6.6万円
- 分筆の登録免許税…0.2万円
- 所有権移転の登録免許税…6.8万円(8.6万円/㎡ x 0.4%)
- 司法書士報酬…5.5万円
土地が広いので、分筆と共有物分割をして単独名義にすることにした。
分筆にかかった費用は合計41.18万円。
書類の準備がスムーズだったので5週間で完了した。
共有名義・共同名義の土地・家を売却する流れと必要な書類
- 査定を依頼する
- 売買契約を締結する
- 決済をする
- 所有権移転登記をする
持分だけを売却する場合も、全体で売却する場合もおおよそ同じ流れです。
査定の依頼先は、買取業者か仲介業者です。
買取業者に依頼した場合の買い手は、その買取業者です。
仲介業者に依頼した場合の買い手は、市場で見つけた第三者です。
訳あり不動産の買取業者ではなく、共有名義・共同名義が専門の業者にご依頼ください。
必要な書類は次の通りです。
- 登記識別情報(権利証)
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 住民票
- 固定資産税評価証明書
- 身分証明書
- 印鑑登録証明書
- 実印
全体で売却する場合は、人数分の書類が必要です。
全体を売却する場合に、売却に立ち会えない共有者がいたら、委任状が必要です。
分筆した土地の場合は、土地測量図と境界確認書を求められることが多いです。
共有名義・共同名義の土地・家の売却で売主に発生する費用、税金
費用と税金 | 概要 |
---|---|
印紙税 | ・売却価格で変わる ※200円~60万円 |
仲介手数料 | ・仲介業者を利用した場合の手数料 ※売買価格×3%+6万円+消費税が上限 |
譲渡所得税 | ・売却益に掛かる税金 ・居住用や長期保有などで特例控除が使える場合がある |
抵当権抹消登記 | ・住宅ローンを完済した後に、登記簿から抵当権を消す手続き ※登録免許税 1,000円/件 司法書士に依頼する場合は別途3万円~ |
贈与税 | ・持分を相場より低い価格で売却した場合に課税される |
詳しくご案内します。
譲渡所得税の確定申告
確定申告は次のケースで行います。
- 共有不動産の売却で利益が出た
- 控除を適用して利益が出なかった
控除を適用せず、利益が出ない場合、確定申告は不要です。
- 税金の控除…税金を計算する際に、課税対象となる金額から、一定の金額を差し引くことができる制度(税金を減額する仕組み)
次の控除があります。
- 譲渡所得控除の特例
特例 | 内容 |
---|---|
住宅用財産の3,000万円の特別控除 | 自分が住んでいた不動産を売却した時に3,000万円を控除する |
空き家にかかる3,000万円の特別控除 | 相続した空き家を売却した時に、3,000万円を控除する |
低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除 | 一定の未使用地を売却した時に特別控除 ※100万円を控除する |
控除は各共有者が利用できます。
売却した翌年の2月16日〜3月15日までに、次の手順で確定申告を行います。
- 必要な書類を用意する
- 譲渡所得の内訳書を記入する
- 確定申告書を作成し提出する
- 納税・還付を受ける
より詳しくは「共有持分を売却した時の税金」でご案内しておりますので、ご興味のある方はご一読ください。
抵当権抹消登記の費用
抵当権抹消登記とは、住宅ローンを完済した後に、登記簿から抵当権を消す手続きのことです。
登録免許税と司法書士への報酬がかかります。
登録免許税は1件あたり1,000円です。
司法書士報酬は3万円~で、司法書士によって変わります。
詳しくはこちらの「共有持分の買取を社団法人 共有持分支援協会の相談員が必須情報を解説」でご案内していますので、ご一読ください。
買主に贈与税が発生するケース
低価格で売却をすると、買主に贈与税が発生することがあります。
税務署から実質的な贈与とみなされる場合があるからです。
例えば、親子で50%ずつ共有する約4,000万円の不動産があり、親がその持分(約2,000万円相当)を子に500万円で売却した場合、差額1,500万円は実質的な贈与とみなされ、子に贈与税が課されます。
共有名義・共同名義の土地・家の売却で起こりうるトラブルと対策
起こりうるトラブルは関係性で異なります。
- 売主と買主(買取業者)
- 売主と他の共有者
- 買主と他の共有者
- 共有者間(売買を共有者間で行う)
詳しくご案内します。
【関係性①】売主と買主(買取業者)
買取業者に売却する場合に、売主との間で起こるトラブルです。
トラブルの例 | 具体例 |
---|---|
しつこい営業を受ける | 査定を依頼した業者から頻繁に電話が掛かってくる |
安く買い叩かれる | 業者が不当に安い価格を提示してくる |
契約後に値引き交渉を受ける | 後から「修繕箇所が見つかった」と、修繕費を請求される |
トラブルが起こる理由は、悪質・悪徳業者に依頼してしまったからです。
ちゃんとした業者に依頼すれば、こうしたトラブルは起きません。
対策は、良心的な業者に依頼することです。
ご不安な方は、こちらでご案内している「共有名義の土地や家を売却できる5社」をご検討ください。
【関係性②】売主と他の共有者
買取業者に売却した後に、売主と他の共有者の間で起こるトラブルです。
トラブルの例 | 具体例 |
---|---|
他の共有者から怒られる | ・報告・相談・連絡なしに売却して揉める ・不動産の活用計画が実行できなくなったことで揉める |
他の共有者と連絡が付かなくなる | 報告・相談・連絡なしに売却して、絶縁される |
新たな共有者(買主)についての苦情が来る | 「新たな共有者(買主)から営業を受けた、やめさせろ」などと抗議を受ける |
事前の連絡なしで勝手に売却すると、他の共有者から苦情が来たり、連絡が取れなくなることがあります。
対策は、事前に相談したり、必要な内容を伝えることです。
売却前に、持分の売却で後悔しないためのポイントをご覧ください。
【関係性③】買主と他の共有者
買取業者などの買主に売却した後に、買主と他の共有者の間で起こるトラブルです。
トラブルの例 | 具体例 |
---|---|
買主が敷地内に出入りする | 無断で敷地内に立ち入る |
買主が共有者へ家賃を請求する | 持分に応じた家賃を請求してくる |
他の共有者がしつこい営業を受ける | 何度も電話をかけてくる、何度も訪問してくる |
他の共有者が共有物分割請求訴訟をされる | 共有状態を解消するために裁判を起こしてくる |
買取業者は利益を得ることが目的で持分を買い取ります。
ほとんどの会社はトラブルにならないように、他の丁寧に交渉を進めます。
ですが、共有者がストレスを感じて感情的になり、ちょっとしたことでトラブルになることがあります。
さらに、買取業者が悪質・悪徳な業者の場合は、トラブルになる確率がグンと高まります。
法的にグレーな方法で圧力をかけてくるからです。
当協会でもご相談に対応しておりますので、お気軽にご連絡ください。
【関係性④】共有者間(売買を共有者間で行う)
他の共有者に売る場合に起こるトラブルです。
トラブルの例 | 具体例 |
---|---|
売却価格で揉める | 「相場よりも安い(もしくは高い)!」と揉める |
共有者を把握できない | 相続が繰り返されて現在の共有者が分からない、音信不通の共有者がいる |
低価格で売却して贈与とみなされる | 税務署から実質的な贈与と判断されて他の共有者に贈与税が課される |
対策は、法律や税金のアドバイスをもらうために、弁護士、税理士と相談しながら進めることです。
できれば、共有名義に強い弁護士、税理士にご相談ください。
お気軽にご相談ください。
共有名義・共同名義の土地・家の売却で事前に知っておくべきポイント
- 持分を早く現金化するなら専門の買取業者に依頼する
- 持分を高く売るなら専門の仲介業者に依頼する
- 委任状を活用する(全体売却の場合)
- 事前に相続登記を済ませておく
詳しくご案内します。
【ポイント①】持分を早く現金化するなら専門の買取業者に依頼する
買取業者は自社で買取るため、買取のスピードが速く、現金化までの期間が短いです。
買取業者を選ぶポイントは次の通りです。
ポイント | 理由 |
---|---|
最短日数が短い | 早く現金化できるノウハウがある(専門性が高い) |
実績数が多い | 買取価格が高くなる可能性がある |
弁護士と提携している | トラブル予防、トラブル対策ができる |
エリアを絞っている | スピーディに査定ができる、査定額が高額になる |
【ポイント②】持分を高く売るなら専門の仲介業者に依頼する
仲介業者は高く買取る買主を集めるため、利用すれば高値で売却できます。
仲介手数料がかかっても、買取業者よりも売却益は多いです。
この場合、仲介手数料が33万円でも、717万円です。
仲介業者を選ぶポイントは次の通りです。
ポイント | 理由 |
---|---|
仲介手数料が0円 | 売却益を増やせる |
実績数が多い | 買取価格が高くなる可能性がある |
弁護士と提携している | トラブル予防、トラブル対策ができる |
エリアを絞っている | 買取価格が高くなる可能性がある |
【ポイント③】委任状を活用する(全体売却の場合)
委任状とは、法律行為を代理人に委任したことを証明する文書です。
共有不動産全体を売却するには、本来は共有者全員の立会いが必要ですが、委任状があればその必要はありません。
次のような場合は、委任状の活用を検討してください。
- 遠方に住んでいる
- 高齢や病気で外出が難しい
- 仕事が多忙でスケジュールを取れない
【ポイント④】事前に相続登記を済ませておく
相続登記とは、亡くなった方が所有していた不動産を、相続人に名義変更する登記手続きのことです。
相続人が複数いて共有名義で相続する場合は、登記簿に持分割合を明記して登記します。
この登記をしていないと、実際は亡くなった方の名義のままのため、売却できません。
いざ共有名義の買取業者に声をかけても、「買い取れません」と言われてしまいます。
なお、この登記は2024年4月に義務化され、取得を知った日から3年以内に、正当な理由が無いのに登記申請しないと、10万円以下の過料(ペナルティ)が発生します。
共有名義・共同名義の不動産(土地・家)を売却できる5社
- 共有持分支援協会
- 共有持分売却窓口
- 中央プロパティー
- ベリーベスト不動産
- 株式会社クランピーリアルエステート
詳しくご案内します。
共有持分支援協会
共有名義・持分の不動産の悩みを解決する専門機関です。
仲介をしていますが、最短2日で買取ることもできます。
早急に資金を必要としている方のための手付金制度があります。
専門の相談員が社団法人の立場で、丁寧に対応しています。
買取方法 | 仲介、買取 |
---|---|
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 手付金(最短翌日)・持分の一部買取、持分のリースバック |
共有持分売却窓口
共有持分を専門に取り扱っている買取業者です。
1万件以上の豊富な実績があります。
法的手続きの無料サポートがあります。
買取方法 | 買取 |
---|---|
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 大阪・兵庫・京都・沖縄の共有持分 |
その他 | 不明 |
中央プロパティー
共有持分を専門に仲介をしている業者です。
仲介手数料が0円です。
センチュリー21の加盟店です。
買取方法 | 仲介 |
---|---|
売却日数 | 最短5日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | AI×鑑定士のダブル査定 |
ベリーベスト不動産
共有持分を専門に取り扱っている買取業者です。
ベリーベストグループの不動産会社です。
買取方法 | 買取 |
---|---|
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・宅地建物取引士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 訳あり不動産買取価格・スタッフ対応などで満足度No.1 |
株式会社クランピーリアルエステート
共有持分をはじめとする訳あり物件の買取業者です。
最短2日で買取ります。
年間の相談件数が3,000件以上あります。
全国1,200以上の士業事務所と連携しています。
買取方法 | 買取 |
---|---|
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 現況のまま買取に対応 |
共有名義・共同名義の不動産(土地・建物・家)を売却の売却についてのまとめ
共有名義・共同名義の土地や家を売却する方法は5つあります。
買取業者や仲介業者の利用を考えている方は、共有持分が専門で、買取にも仲介にも対応しているところへご依頼ください。
「共有持分の売却相場っていくらなの?」
「持分の売却相場は低いって、本当?」
このように考えていませんか?
このページでは、共有持分の売却相場について、プロが詳しく解説します。
共有持分の売却相場の計算式
- 共有持分の評価額 = 不動産の実勢価格(市場価格) × 持分割合 × 評価割合(30%〜50%)
実勢価格(じっせいかかく)とは、直近、数ヶ月で実際に市場で取引された価格(時価)のことで、市場価格とも呼ばれます。
実勢価格は、不動産情報ライブラリで調べることができます。
シミュレーションをいくつかご案内します。
-
●不動産の実勢価格:3,000万円
●持分割合:2分の1
●計算式…3,000万円 x 2分の1 x 30%〜50% = 450万円~750万円
-
●不動産の実勢価格:6,000万円
●持分割合:3分の2
●計算式…6,000万円 x 3分の2 x 30%〜50% = 1,200万円~2,000万円
-
●不動産の実勢価格:6,000万円
●持分割合:4分の1
●計算式…6,000万円 x 4分の1 x 30%〜50% = 450万円~750万円
実勢価格が不明な場合は、その他の計算方法がありますので、「共有持分の評価を算出する6つの方法」をご覧になってみてください。
持分割合とは、共有名義人が所有している権利の割合のことです。
登記事項証明書の権利部(乙区)に、●分の●と記載されます。
評価割合とは、買取業者などが、査定の際に不動産の価格を減価する割合のことです。
共有持分にはリスクがあるため、評価の割合は30%~50%が相場です。
共有持分の売却相場が30%〜50%OFFになる3つの理由
- 買主の目的達成に手間と時間がかかるから
- 他の共有者とのトラブルリスクがあるから
- 買い手が少ないから
詳しくご案内します。
【理由①】目的達成に手間と時間がかかる
ほとんどの買主(買取業者など)の目的は、全ての持分を購入して1つにまとめ、リフォームした上で売却して利益を出すことです。
例えば、3人で3分の1ずつ所有している6,000万円の共有不動産を、1人あたり800万円、合計2,400万円で購入し、リフォームして6,200万円で売るといったことをします。
そのため、買主は全体の権利を手に入れることを目的に、他の共有者と交渉をします。
その手順は次の通りです。
- 共有者に買取請求をする
- 金額の交渉をする
- 合意したら契約・決済、移転登記をする
- リフォームする
- 売却活動をする
売却までに相応の手間と時間がかかることが予想されます。
このようにする理由は、共有持分だけを所有していても不動産全体を自由に使うことができないからです。
買主はこうした手間と時間、実費を加味して、評価割合を設定し、査定額を算出します。
【理由②】他の共有者とのトラブルリスクがある
共有持分を購入すれば、他の共有者との関係をそのまま引き継ぐことになります。
もし共有者間でトラブルが発生していた場合、買い手(新たな共有者)がその問題に巻き込まれてしまいます。
- 不動産の利用方法(売却、賃貸、居住など)をめぐる対立
- 修繕費用や固定資産税の負担についての対立
- 売却利益の分配についての対立
例えば、「母に住み続けてもらいたい」という息子がいる状況で、買取業者が「売ってください」と言っても、最初は受け入れられません。
このような場合、条件の交渉には時間がかかることが予想されます。
中には金額を釣り上げてくる人もいますし、修繕や維持管理、税金の負担を買取業者に押し付けようとしてくる共有者もいます。
【理由③】買い手が少ない
「立地が良い築浅の戸建」などの条件が良い不動産の場合は、購入希望者が多いです。
このような需要が高い不動産なら、実勢価格と同じぐらいの価格で売却できます。
ですが共有持分の買主はとても少ないです。
ご案内してきたように手間や時間、費用がかかり、時にトラブルになるリスクがあるからです。
- 共有持分の買取に対応している業者(買取業者、仲介業者)
- 他の共有者
親族や夫婦間などで、持分の売買をするケースは少ないです。
買い手が少ない=需要が少なければ、価格は安くせざるを得ません。
共有持分の売却相場が決まる5つのポイント
- 不動産そのものの価値
- 持分割合と共有者の人数
- 居住者の有無
- 土地と建物の持分の範囲
- 住宅ローンの残債の有無
それぞれ詳しくご案内します。
【ポイント①】不動産そのものの価値
共有持分はあくまで不動産の一部です。
不動産の価値を算出する際は、まず物件全体がいくらで売れるかを評価する必要があります。
実勢価格の他に、公示価格や相続路線価、固定資産税の評価額などを参考にしつつ、次の要素でも評価をして価格を決定します。
- 査定額に直結する要素
評価項目 | 価値が高まる要素 | 価値が下がる要素 |
---|---|---|
エリア・立地 | ・人口の多さ ・今後の人口の安定具合 ・駅から近い ・再開発の予定がある ・施設が充実している |
・人口が減少傾向 ・駅から遠い ・再開発の予定がない ・不便 ・治安が悪い |
建物の種類・築年数・構造 | ・築浅で新しい ・鉄骨、鉄筋コンクリート造など ・管理状態が良いマンション ・震基準を満たす戸建て |
・築年数が古い ・耐用年数を超えている ・木造(戸建て) ・管理状態の悪いマンション ・旧耐震基準の建物 |
建物の状態 | ・大規模修繕が完了している ・リフォーム履歴がある |
・雨漏りやシロアリ被害、お湯が出ないなど ・建物の傾きがある ・老朽化が進んでいる |
その他 | ・隣地との境界が確定している ・増築部分が適法 |
・再建築不可 ・接道義務違反 ・事故や事件の履歴がある |
【ポイント②】持分割合と共有者の人数
持分割合が大きければ、不動産全体に対する権利が強くなります。
過半数以上の持分があれば、次のような行為ができるようになります。
行為 | 内容 | 同意条件 |
---|---|---|
処分(持分のみ) | 売却、贈与、放棄など | 単独の判断で可能 |
保存行為 | 現状維持のための修繕、応急処置 | 単独での判断で可能 |
管理行為 | 日常的に維持するための修繕や清掃、賃貸 | 共有者の過半数の同意 |
次のような場合は、全員の同意が必要です。
行為 | 内容 | 同意条件 |
---|---|---|
処分(不動産全体) | 売却、贈与など | 共有者全員の同意 |
変更行為 | 建物の改築・増築、駐車場や倉庫、分筆などの物理的・法的性質の変更 | 共有者全員の同意 |
共有者の人数が多ければ、その分だけ権利関係が複雑になり、手続きに手間や時間がかかったり、トラブルになったりします。
参考)「共有持分の処分」
【ポイント③】居住者の有無
もし他の共有者が居住している場合、買い手はすぐにその不動産を利用することができません。
次のようなことを踏まえて、価格を安く設定します。
- 持分を購入するのに相場以上の金額が必要になる可能性がある
- 立ち退きの交渉をする手間や時間ががかかる
- 交渉が成立しない場合は訴訟をすることになる
【ポイント④】土地と建物の持分の範囲
一般的に、土地の方が建物よりも高い評価を受けます。
理由は、土地は経年劣化せず、建物は経年劣化によって評価が下がるからです。
共有持分の場合、法的なリスクや価格交渉のリスクを考える必要があります。
-
兄と弟の共有名義で相続した不動産がある。
遺産分割協議で、兄が土地の持分を多くもらい、弟は同等になるように建物の持分と現金をもらうことになった。
何年か経過後、弟が建物の持分を売却しようとしたら、買取業者によって相場の30%以下の金額を提示された。
30%~50%と考えていた弟が業者に説明を求めると、次のような回答があった。
●建物が管理されておらず劣化が激しい、修繕履歴が無い
●土地の大半を持つ兄から立ち退き請求をされるリスクがある
●兄から買取価格を吊り上げられる可能性がある
【ポイント⑤】住宅ローンの残債の有無
共有持分の対象不動産に住宅ローンの残債が残っている場合、査定額は低いです。
例えば、夫と妻の共有名義の5,000万円のマンションで、持分が夫10分の9、妻10分の1の場合、ローンの残債が1,600万なら、夫は1,350万~2,250万円で売却できる可能性があります。
- 計算式 = (5,000万円 × 9/10) x 30%~50% – 1,600万 = 1,350万~2,250万円
ただし、この場合は、売却までに次のような手順が必要です。
- 売却代金や預貯金でローンを完済できるか確認する
- 完済できる場合は金融機関から抵当権抹消の承諾を得る
- 売却とローンの返済手続きする
妻が今後も住む場合は、交渉が難航することが予想されます。
こうした手間やリスクの分、価格は安くなります。
なお、残債よりも売却額が高いオーバーローンの場合で、預貯金を合わせても返済ができない場合は、売却自体できません。
共有持分売却のリアルな価格相場!5つの事例で解説
- 相続した実家の持分を1,333万円で売却
- マンションの持分を3,500万円で売却
- 相続した戸建の持分を1,750万円で売却
- 離婚後、マンションの持分を2,000万円で売却
- 駐車場の「持分の一部」を40万円で売却
それぞれご案内します。
【事例①】相続した実家の持分を1,333万円で売却
実家を兄弟3人の共有名義で相続しました。持分は均等に3分の1ずつでした。
住む予定がなく、管理の手間や固定資産税の負担をしたくない次男が、「自分の持分を売却して現金化したい」と考えました。
ですが、兄弟間の仲は悪く、話し合いは一向に進みませんでした。
そこで共有持分支援協会に相談したところ、物件の市場価格が約1億円、3分の1の3,333万円に40%の評価割合で、約1,333万円の査定が出ました。
次男はこの価格に納得して売却をしました。
【事例②】マンションの持分を3,500万円で売却
父が亡くなり、父の再婚相手との子とマンションを2分の1ずつ共有することになりました。
面識のない共有者との関係に不安を覚え、調べたところ、自分の持分だけなら売却できることがわかり、共有持分支援協会に相談をしました。
マンションの市場価格は1億6,000万円なので、「持分が2分の1なら8,000万円で売却できるかな?」と考えていましたが、提示されたのは3,500万円でした。
専門の相談員からの説明で、他の共有者との交渉や将来的な再販にかかるリスクを考慮する必要があることが分かり、これでも条件の良い価格ということを理解しました。
共有者と関わることなく、スムーズに現金化できました。
【事例③】相続した戸建の持分を1,750万円で売却
親から2人兄弟の共有名義で戸建を相続しました。持分は均等に2分の1ずつでした。
物件の市場価格は1億円で、売却できれば、老後の生活がだいぶ楽になるので、兄に相談を持ち掛けました。
ですが、兄はその実家に住んでいて、売却に反対でした。
そこで、「自分の持分だけを売却したい」と不動産会社に買取の相談をしたのですが、「居住者がいる」という理由で断られました。
共有持分支援協会に相談したところ、明け渡しをめぐるトラブルリスクを考慮した上で、1,750万円という提示がありました。
持分を単純計算すると5,000万円なので、査定額の理由と聞くと、共有者が住んでいて、買取の交渉をするのに時間と費用が掛かるためということでした。
仲介手数料もかからないし、何かあったら相談に乗ってくれるということなので、売却を依頼しました。
【事例④】離婚後、マンションの持分を2,000万円で売却
離婚を機に、元夫と共有しているマンションの持分を売却することにしました。
物件の市場価格は1億円で、元妻の持分は2分の1なので「5,000万円で売却できればな」と考えていました。
元夫は離婚後もマンションに住み続けることを希望していますが、元妻の持分を買い取る意思も資金もありません。
そこで、共有持分支援協会に相談したところ、2,000万円の提示を受けました。
元夫が住んでいるというリスクを考えると、これでも十分良心的と分かり、売却をして、元夫との共有関係を解消しました。
【事例⑤】駐車場の「持分の一部」を40万円で売却
父から2人兄弟の共有名義で駐車場を相続しました。持分は2分の1ずつです。
弟は急に現金が必要になり、「持分の5分の1だけを売却したい」と考えました。
駐車場の市場価格は1,000万円なので、2分の1は500万円、その5分の1は100万円です。
共有持分支援協会に相談したところ、40万円の提示を受けました。
相場は30%~50%と知っていたので、40%なら想定内で、手付金ももらえるということで、即決しました。
残りの400万円(持分の5分の4)も、将来160万円ぐらいで売却する予定です。
相場が安い共有持分を高く売却する4つの方法
- 不動産全体を売却する
- 不動産の「弱点」をなくして価値を上げる
- 相見積もりで価格競争を促す
- 買取ではなく「仲介」を利用する
共有持分だけ売却する場合の相場は、30%~50%OFFの価格です。
少しでも高く売るための方法をご案内します。
【方法①】不動産全体を売却する
共有者全員の同意を得て、不動産全体を売却する方法です。
ここまででご案内してきたように、共有持分だけ売却する場合、30%~50%値引きされます。
買い手は権利関係の複雑さや利用制限などのリスクを負うからです。
ですが、不動産全体を売却すれば、評価割合による割引はありません。
例えば、実勢価格が5,000万円なら約5,000万円で売却できます。
メリットは次の通りです。
- 市場価格に近い金額で売却できる
- 共有名義を解消でき、将来的なトラブルを防げる
共有名義のままでも、全員の同意と署名・捺印があれば全体を売却できます。
【方法②】不動産の「弱点」をなくして価値を上げる
買い手にとってのリスクを減らすことができれば、相場内でできるだけ高く売却できる可能性があります。
売却を検討している共有不動産に物理的瑕疵や、法令上の瑕疵といった弱点があれば、解消することをご検討ください。
- 具体的な弱点とその解消方法
弱点の種類 | 具体的な内容 | 弱点の解消方法 |
---|---|---|
物理的瑕疵 | 雨漏り、シロアリ被害、建物の傾き、腐食など | 専門業者に依頼して修繕する |
境界の不明確さがないなど | 隣地との境界が確定していない、境界標がないなど | 土地家屋調査士に依頼して確定測量し、境界標を設置する |
- 具体的な弱点と対応策
弱点の種類 | 具体的な内容 | 対応策 |
---|---|---|
法令上の瑕疵 | 再建築不可、接道義務違反、増築部分が違法建築など | 法律の専門家(弁護士など)に相談して対処する(解消不可の場合もある) |
心理的瑕疵 | 事故物件、事件・事故の履歴、火災の履歴など | 心理的瑕疵の告知義務を正確に果たす、価格交渉の材料として割り切る(解消は不可) |
【方法③】相見積もりで価格競争を促す
共有持分の査定額には明確な基準がありません。
そのため、業者によって提示価格に大きな差が出る場合があります。
メリットは次の通りです。
- より高い価格で売却できる可能性がある
- 信頼できる業者を見つけやすい
- 適正な相場を把握できる
デメリットは手間と時間がかかることです。
複数の業者に査定を依頼することで、価格競争が生まれ、より高い買取価格を引き出すことができる場合があります。
少なくとも3社以上に相談することをご検討ください。
【方法④】買取ではなく「仲介」を利用する
買取業者とは、不動産を直接買取る専門業者のことです。
自社で買取るため、スピーディーに現金化できます。
ですが、リスクがあるため相場の範囲内で低く査定されます。
仲介業者とは、売り手と買い手の間に立って売買を成立させる業者のことです。
買取業者や一般の個人投資家、隣地の所有者など、より高く買ってくれる可能性のある相手を探してくれます。
買取業者に比べて時間はかかりますが、相場の範囲内で高い金額が提示されます。
- 買取業者と仲介業者の違い
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
買取業者 | ・最短数日~数週間で現金化できる ・仲介手数料が不要 |
・買取価格が実勢価格の30%~50%の範囲で安め ・悪質、悪徳な業者いる可能性が仲介よりも高い |
仲介業者 | ・実勢価格の30%~50%の範囲内で高めの査定を出す ・悪徳、悪質な業者が少ない ・仲介手数料が無料の業者もいる |
・買い手が見つかるまでに時間がかかる ・買い手が見つからないリスクがある ・仲介手数料が必要になる |
相場内で共有持分を高く売却するための業者選びのポイント
ポイント | チェックする内容 |
---|---|
ホームページを見る | ・共有持分の買取実績が豊富 ・宅建業免許がある ・担当者の顔写真がある ・弁護士と提携している ・売却方法(買取、仲介、その両方) ・専門分野(共有持分、訳あり不動産) ・口コミ(内容が具体的で、良すぎない) |
査定額の説明を受ける | ・査定額の根拠が明確 ・「なぜその価格になるのか」を納得いくまで説明してくれる |
契約内容の説明を受ける | ・丁寧で急かさない ・説明が分かりやすい ・契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)の説明がある |
共有持分の買取に対応している業者を選ぶポイントは上記の通りです。
契約不適合責任とは、契約通りの状態で引き渡されなかったときに売主が負う責任のことですが、共有持分の売却では免責されることが多いです。
共有持分の売却は専門性が非常に高く、一般的な不動産業者では査定を断られることが多いです。
売却方法には、買取(早期現金化)と仲介(高額売却)がありますが、その両方に対応しているところがあります。
専門分野とは、共有持分が専門なのか、訳あり物件(再建築不可、底地・借地、共有持分、事故物件など)を取り扱っているかどうかということです。
共有持分を相場内で高く売却できる業者5社
- 共有持分支援協会
- 株式会社中央プロパティー
- 共有持分売却窓口
- ベリーベスト不動産
- 大正ハウジング
それぞれご案内します。
共有持分支援協会
共有持分支援協会は、共有持分を専門に取り扱う社団法人です。
独自の仲介システムで、できるだけ高値で買い取る買主探してくれます。
共有不動産に強い福本弁護士と連携しています。
仲介だけでなく、買取やリースバック(共有持分を売却した後に賃料を支払うことで住み続けられる仕組み)にも対応しています。
所在地は東京都千代田区丸の内です。
買取方法 | 仲介、買取 |
---|---|
売却日数 | 2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 手付金(最短翌日)・持分の一部買取、持分のリースバック |
株式会社中央プロパティー
株式会社中央プロパティーは、共有持分を専門に扱う仲介業者です。
独自の入札制度を導入しています。
センチュリー21加盟店です。
所在地は東京都千代田区丸の内です。
買取方法 | 仲介 |
---|---|
売却日数 | 5日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | AI×鑑定士のダブル査定 |
共有持分売却窓口
共有持分売却窓口は、共有持分専門の買取業者です。
他の共有者との交渉やリースバックにも対応しています。
所在地は大阪府大阪市北区梅田です。
買取方法 | 買取 |
---|---|
高値売却 | △ |
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 大阪・兵庫・京都・沖縄の共有持分 |
その他 | 不明 |
ベリーベスト不動産
ベリーベスト不動産は、共有持分が専門の買取業者です。
ベリーベスト法律事務所グループの不動産会社ですので、共有者間のトラブルや相続問題などに対応できます
所在地は東京都港区六本木です。
買取方法 | 買取 |
---|---|
高値売却 | △ |
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・宅地建物取引士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 訳あり不動産買取価格・スタッフ対応などで満足度No.1 |
大正ハウジング
大正ハウジングは、共有持分専門の買取業者です。
他社で断られた物件でも積極的に対応しています。
センチュリー21の加盟店です。
所在地は東京都北区昭和町です。
買取方法 | 買取 |
---|---|
高値売却 | △ |
早期売却 | 最短1週間~ |
専門家の在籍 | 弁護士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 無し |
共有持分の売却相場についてのまとめ
共有持分の売却価格の相場は、不動産全体の実勢価格の30%〜50%です。
持分だけの売却をお考えの方は、ご案内した業者に相談をしてみてください。
「共有持分の売却に、同意って必要?」
「全員の同意が必要なのか、不要なのか、イマイチ分からない…」
このように考えていませんか?
この記事では、共有持分の売却時に同意が必要かどうかを、分かりやすくご案内します。
共有持分の売却で同意が必要なケースと不要なケース
それぞれご案内していきます。
同意が必要なケース=全体を売却する場合
共有不動産全体の売却には、共有者全員の同意が必要です。
理由は、民法251条で規定されているからです。
-
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
例え1人が過半数(1/2以上)の持分を所有していても、誰か1人でも共有者が反対すれば売却できません。
共有持分の売却で同意が得られない場合は、次の5つ方法で対処してください。
- 話し合いを重ねる
- 他の共有者に買い取ってもらう
- 他の共有者の持分を買取る
- 自分の持分だけを売却する
- 共有物分割請求訴訟を起こす
あなたの状況に応じて5つの対処法をご選択ください。
同意が不要なケース=自分の持分だけを売却する場合
共有持分だけなら、自由に売却できます。
理由は、民法206条で規定されているからです。
-
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
共有者の同意や許可をはじめ、事前の連絡や事後の報告なども不要です。
ただし、一般の不動産会社では対応できないため、次のように売却先は限られています。
- 共有持分に対応可能な買取業者
- 共有持分に対応可能な仲介業者
- 他の共有者
詳しくはこちらの「共有持分の買取」をご覧ください。
同意があっても共有持分を売却できないケース
- オーバーローンの場合
- 登記できない場合
- 農地の場合
ご案内していきます。
①オーバーローンの場合
オーバーローンとは、家を売っても住宅ローンが残ってしまう状態のことです。
例えば、住宅ローンの残りが4,200万円で、家を売却しても4,000万円にしかならない場合、仮に売却できたとしても200万円の借金だけがだけが残ります。
この状態では、共有者が同意をしていても、住宅ローンを貸した金融機関が抵当権の抹消を承諾しないため、売却できません。
- 抵当権の抹消…借金完済後に、金融機関が不動産に設定していた抵当権(担保にする権利)を登記簿から消す手続き
住宅ローンの完済ができれば売却できます。
②登記できない場合
不動産登記法第59条および60条により、登記原因証明や本人確認がなければ移転登記できないと定められています。
- 登記原因証明情報…所有権が移った経緯を説明する書類
- 本人確認…本人であるかを確認する手続きのこと。運転免許証やマイナンバーカードなどで行う
民法第177条により、登記をしなければ、第三者に所有権を主張できないと定められています。
③農地の場合
農地法第3条および5条により、農地の売却等による権利移動は、原則として農業委員会や都道府県知事の許可が必要です。
農地の共有持分を取得する場合も、同様に許可が必要です。
共有持分の売却を同意ナシで進めたらどうなる?
ですが、その後、どうなるのかは気になりますよね。
次の2つに分けてご案内します。
- 売却した側に起こること
- 売却された側に起こること
①共有持分を「売却した側」に起こること
繰り返しになりますが、他の共有者からの同意を得ずに、持分だけを勝手に売却することはできます。
ただし、次のようなことが起こる可能性があります。
- 共有者との人間関係が悪化する
- 共有者からクレームが来る
勝手に売却してしまったら、それまで築いてきた信頼関係が壊れてしまいます。
今まで関係が無かった場合は、ゼロだった関係性がマイナスの状態になってしまいます。
クレームとは次のようなことです。
- 他の共有者が住んでいる場合→「まだ住んでるのに!」
- 全体で売却することを計画している場合→「勝手なことをするな!」
また、買取業者の中には悪徳・悪質な業者がいます。
この場合は、次のようなことが起こる可能性があります。
- 一度連絡しただけなのにしつこく営業をしてくる
- 極端に安い査定を提示される
- 契約後に価格交渉をしてくる
- 契約後に修繕費の請求をしてくる
こうならないためにも、悪質・悪徳な業者を避けて、ちゃんとした業者に売却を依頼するように選定をしてください。
そのポイントは、こちらの共有持分の売却先を選ぶ6つのポイントでご案内しています。
②共有持分を「売却された側」に起こること
買取業者には「全ての持分を購入した後、リフォームして売却し、利益を得る」という目的があります。
そのため、他の共有者に交渉・営業をします。
まともな業者なら、常識の範囲内で交渉をしてきます。
ですが、悪徳・悪質な業者の場合は次のような嫌がらせをしてくることがあります
- しつこい電話営業(深夜や早朝も)
- 自宅や職場への訪問(アポなしの場合も)
- 高圧的な態度での交渉
- 勝手に敷地内に入る
- 断りなく内覧を行う
- ゴミを置いていく
この他に、買取業者と他の共有者の間で起こる可能性があるのは、次のようなことです。
起こること | 概要 |
---|---|
自由に使えなくなる | 今まで問題なかった行為・行動が制限されることがある |
費用負担で揉める | 固定資産税や修繕費などの支払いの分配で揉める |
家賃を請求される | 1人の共有者だけが住んでいる場合、買主から家賃相当額を請求される |
共有持分割請求訴訟される | 裁判による分割 |
共有持分割請求訴訟とは、共有者の一人が共有状態を解消したいと裁判所に提起することです。
この訴訟は民法258条で共有者に認められた権利のため、他の共有者は拒否できません。
こうしたトラブルが起こってしまったら、弁護士に相談することになります。
悪徳・悪質な業者を避けて、ちゃんとした買取業者に売却を依頼するだけです。
同意なしで共有持分を売却する6つの手順
- 無料査定の依頼
- 査定額の提示(数日~1週間程度)
- 書類の準備(数日~2週間程度)
- 契約内容の把握
- 決済(数週間~1ヶ月程度)
- 所有権移転登記
同意ナシでも同意アリの場合でも、手順は同じです。
査定額の提示に時間がかかることがあります。
その理由は、正確な買取金額を提示するには、売主からのヒアリングや現地調査を通して、物件の状態や条件を丁寧に調査し、調査した条件をもとに算出する必要があるからです。
- 早く買取ってくれる
- 共有持分を専門に買取している
- 買取実績が豊富
- 買取実績が豊富
- 担当者の対応が良い
- 口コミ・評判が良い
詳しくはこちらの「業者選びの6つのポイント」をご覧ください。
基本的にはホームページで確認できる内容です。
同意なしで共有持分を売却する際に必要な書類と費用
必要な書類と費用について詳しくご案内します。
必要書類
- 登記事項証明書
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード)
- 印鑑証明書
- 固定資産税納付書(もしくは評価証明書)
- 権利書または登記識別情報通知
法務局で取得できる登記事項証明書には、共有者の名義と持分の割合が記載されています。
もし共有不動産の全体を売る場合、売買契約書や登記原因証明情報は、不動産全体を対象に作成します。
本人確認書類や登記識別情報は、全員分必要です。
費用
- 印紙税(200円~6万円 ※売却額で異なる)
- 仲介手数料
- 譲渡所得税
- 抵当抹消登記
必ず発生するのが印紙税で、売却額によって200~600万円と変わります。
抵当抹消登記とは、住宅ローンの利用時に不動産に設定された抵当権を登記簿から消す手続きのことで、売却するなら必須です。
価格は1,000円ですが、住宅ローンが残っていると抹消できません。
仲介手数料は仲介業者を利用する場合に発生します。
共有持分を同意なしで売却する場合の業者選び「6つのポイント」
- 売却先を選ぶ6つのポイント
ポイント | 理由 |
---|---|
①早く買取ってくれる | 早く買取るだけのノウハウがある、早く現金を手に入れられる |
②共有持分を専門に買取している | リスクを加味した適切な売却価格を提示してくれる、共有者と揉めずに売却できる可能性が高い |
③買取実績が豊富 | スムーズに売却を進められる |
④弁護士と提携している | 法的なリスクへの予防、対応ができる |
⑤担当者の対応が良い | 担当者で結果が変わる、無駄な時間を省略できる、不安を払拭できる |
⑥口コミ・評判が良い | 良い業者に売却を依頼できる、悪質・悪徳業者の可能性が低い |
共有持分は権利関係が複雑でトラブルになる可能性があるため、一般の不動産会社では対応していません。
そのため、対応できる業者を探す必要があります。
対応できる業者は3種類あります。
- 訳あり物件(事故物件、ゴミ屋敷、再建築不可、借地など)の買取業者
- 共有持分専門の買取業者
- 共有持分専門の仲介業者
買取業者は、自社で買取をするため、買取スピードが速いです。
仲介業者は、高額で買取ってくれる人を多くの買い手の中から探しますので、高値で売却できます。
仲介手数料が掛かりますが、買取業者よりも高額で売却できます。
速く現金化したい人は買取業者、高値で買い取ってほしい人は仲介業者をお選びください。
同意なしの共有持分の売却に対応している5社
- 一般社団法人 共有持分支援協会
- クランピーリアルエステート
- アルバリンク
- 蒼悠(そうゆう)
- ドリームプランニング
それぞれ詳しくご案内します。
一般社団法人 共有持分支援協会
共有持分の問題解決が専門の社団法人です。
独自の仲介システムで高額売却を実現しています。
早期現金化を希望される方には、最短2日~で買取対応もしています。
社団法人の立場で、専門のスタッフが親身に対応しています。
無料相談を24時間 x 365日受け付けています。
買取方法 | 仲介、買取 |
---|---|
高値売却 | 〇 |
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 手付金(最短翌日)・持分の一部買取、持分のリースバック |
クランピーリアルエステート
訳あり物件の買取業者ですが、共有不動産にも対応しています。
年間の相談件数は2,000件以上です。
全国1,200以上の弁護士事務所等と連携しています。
買取方法 | 買取 |
---|---|
高値売却 | △ |
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 現況のまま買取に対応 |
アルバリンク
訳あり物件の買取業者ですが、共有不動産にも対応しています。
弁護士と提携しています。
最短12時間で査定します。
24時間365日無料査定受付中です。
買取方法 | 買取 |
---|---|
高値売却 | △ |
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 東京プロマーケット市場に上場 |
蒼悠(そうゆう)
共有持分の買取事業に対応している不動産会社です。
大阪の会社ですが対応は全国です。
買取方法 | 買取 |
---|---|
高値売却 | △ |
売却日数 | 最短3日 |
専門家の在籍 | 弁護士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 特になし |
ドリームプランニング
共有持分をはじめとした訳あり物件の買取を行っている不動産会社です。
査定は最速2時間~、売却は最短2日~で完了します。
買取方法 | 仲介 |
---|---|
高値売却 | 不明 |
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 不明 |
対応エリア | 不明 |
その他 | 特になし |
まとめ
共有持分の売却で同意が必要なケース、同意があっても売却できないケース、同意が不要なケースをご案内しました。
売却する場合は、業者選びのポイントでお選びいただくか、ご案内している5つの業者の中からお選びください。
「共有持分を売却したら税金ってかかる?かかるならいくらぐらい?」
「持分を売却した後、確定申告は必要?」
このように考えていませんか?
この記事では共有持分を売却した時の税金の計算方法や確定申告の方法を、プロが分かりやすくご案内いたします。
共有持分の売却で発生する税金を計算する「3つの手順」
- 自分の持分の譲渡所得を計算する
- 特例が使える場合は譲渡所得を控除する
- 計算した譲渡所得に税率をかける
- 譲渡所得税…土地・建物などの資産を売却して得た譲渡所得(利益)に対して課される税金のこと
譲渡所得税を計算する3つの手順を、順番にご案内いたします。
【手順①】自分の持分の譲渡所得を計算する
共有持分の譲渡所得の計算式は次の通りです。
- 譲渡所得 = (売却価格 – (取得費+譲渡費用)) × 持分割合
不動産の売却金額から購入した時の金額と売却時の諸費用を差し引きます。
具体的には次の通りです。
- 差引く費用
項目 | 内容 |
---|---|
不動産を購入した金額 | 売買契約書に記載されてる金額 |
不動産取得税 | 不動産を取得した際にかかる税 |
登録免許税 | 所有権移転のための税 |
印紙税 | 売買契約書に貼る印紙代 |
設備費 | 設備の設置費用 |
購入時仲介手数料 | 購入時に不動産会社に払う手数料 |
譲渡時仲介手数料 | 売却時に不動産会社に払う手数料 |
解体費用 | 建物を取り壊す費用 |
立退料 | 賃借人に退去してもらう費用 |
-
売却価格が5,000万円で、取得費が合計3,000万円、譲渡費が合計200万円、持分が2分の1の場合、譲渡所得は900万円です。
計算式は次の通りです。
●(5,000万円 − (3,000万円 + 200万円)) x 50% = 900万円
取得費や譲渡費用が不明な場合や5%以下の時は、5%で計算します。
-
売却価格が5,000万円で、取得費が不明、譲渡費が合計200万円、持分が2分の1の場合、譲渡所得は2,275万円です。
計算式は次の通りです。
●(5,000万円 − (250万円 + 200万円)) x 50% = 2,275万円
固定資産税、都市計画税は保有期間中の税金のため譲渡費用の対象外です。
修繕費は資産価値を上げるためのリフォームの場合に認められます。
取得費は不動産を相続や譲渡で受け取った場合、相続した人が引き継ぐことができます。
税理士と提携している持分の買取業者に相談すれば、間違いありません。
【手順②】特例が使える場合は譲渡所得から控除する
- 譲渡所得控除の特例
特例 | 内容 |
---|---|
①住宅用財産の3,000万円特別措置 | 自分が住んでいた不動産を売却した時に3,000万円を控除する |
②空き家にかかる譲渡所得の特別措置 | 相続した空き家を売却した時に、3,000万円を控除する |
③低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除 | 一定の未使用地を売却した時に特別控除100万円を控除する |
各控除を利用するには、条件があります。
例えば、①の「住宅用財産の3,000万円特別措置」を使う条件は次の通りです。
- 特別な関係者以外へ売却すること
- 住むのをやめてから3年以内に売却すること
- 前年や前々年に特例を使っていないこと
- 住宅ローン控除を同じ年には使わない(翌年になれば使える)
特別な関係者とは、親子や夫婦、同じ家で暮らしている親族など、身内で生活を支え合っている人たちのことです。
こちらは、②の「空き家にかかる譲渡所得の特別措置」を利用する場合の条件の一部です。
- 昭和56年5月31日以前のマンション以外の住居
- 被相続人が居住していた
こちらは、③の「低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」を利用する場合の条件の一部です。
- 所有期間が5年以上
- 譲渡価格が500万円以下
具体的には空き地、更地、狭小地、変形地、工場や倉庫の跡地、使われていない農地や駐車場などのことです。
このゆに、適用条件は細かいので、自分で調べるよりも、税理士と提携している買取業者に聞いた方が格段に速く、間違いがありません。
①、②、③の併用はできません。
譲渡所得控除の特例を使う場合は確定申告をする必要があります。
当協会も、共有持分に強い税理士と提携しております。
参考)国税庁「マイホームを売ったときの特例」「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
【手順③】計算した譲渡所得に税率をかける
- 譲渡所得の税率
所有期間 | 税率 | 内訳 |
---|---|---|
5年以下 | 39.63% | 所得税30%+住民税9%+復興特別所得税0.63% |
5年超 | 20.315% | 所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315% |
10年以上 | 軽減税率 14.21% |
所得税10%+住民税4%+復興特別所得税0.21% |
軽減税率はマイホームに住んでいた年数が10年以上の場合に使えます。
軽減税率の特例を使うと、6,000万円以下の額について通常より税率が下がります。
例えば譲渡所得が9,000万円の場合、税率は6,000万円分が14.21%、3,000万円分が20.315%です。
軽減税率は、先ほどご案内した「①住宅用財産の3,000万円特別措置」とは併用できますが、それ以外の特例とは併用できません。
共有持分を売却する場合は、必ず税理士と提携している業者にご相談ください。
>>共有持分の売却で発生する税金も相談できる売却先5社を見る
共有持分の売却で発生する税金の3つのシミュレーション
ご案内した3つの手順にそって、共有持分を売却した時の譲渡所得税のシミュレーションをします。
- 特例は適用せず、譲渡所得税が発生した
- 2つの特例を適用した結果、譲渡所得が0になった
- 2つの特例を利用した結果、譲渡所得税が発生した
①特例は適用せず、譲渡所得税が発生した
- 条件
項目 | 内容 |
---|---|
不動産全体の売却価格 | 4,000万円 |
取得費 | 2,000万円 |
譲渡費用 | 100万円 |
共有持分 | 2分の1 |
保有年数 | 3年 |
この条件の場合、譲渡所得税額は3,764,850円です。
- 【手順①】自分の持分の譲渡所得を計算する
(4,000万円 −(2,000万円+100万円)) × 1/2 = 950万円
- 【手順②】適用できる特例を探す
この条件では適用できる特例はありません。
- 【手順③】計算した譲渡所得に税率をかける
今回は5年以下のため譲渡所得の税率は39.63%です。
950万円 × 39.63% = 3,764,850円
②2つの特例を適用した結果、譲渡所得が0になった
- 条件
項目 | 内容 |
---|---|
不動産全体の売却価格 | 4,000万円 |
取得費 | 2,000万円 |
譲渡費用 | 100万円 |
共有持分 | 2分の1 |
保有年数 | 10年 |
備考 | 自宅の売却 |
この条件の場合、譲渡所得税額は0円です。
- 【手順①】自分の持分の譲渡所得を計算する
(4,000万円 − (2,000万円 + 100万円)) × 1/2 = 950万円
- 【手順②】適用できる特例を探す
この条件で適用できるのは、「住宅用財産の3,000万円の特例」です。
950万円 – 3,000万円 = -2,050万円
ただし、、特例を使っているため、確定申告は必要です。
- 【手順③】計算した譲渡所得に税率をかける
10年以上住んでいたので、譲渡所得税の軽減税率14.21%も併用できます。
-2,050万円 x 14.21% = -2,913,050円
譲渡所得が0円以下の場合は、譲渡所得税は0円です。
③2つの特例を利用した結果、譲渡所得税が発生した
- 条件
項目 | 内容 |
---|---|
不動産全体の売却価格 | 9,000万円 |
取得費 | 1,000万円 |
譲渡費用 | 100万円 |
共有持分 | 2分の1 |
保有年数 | 20年 |
備考 | 自宅の売却 |
この条件の場合、譲渡所得税額は1,349,950円です。
- 【手順①】自分の持分の譲渡所得を計算する
(9,000万円 – (1,000万円 + 100万円)) x 1/2 = 3,950万円
- 【手順②】適用できる特例を探す
この条件で適用できるのは、「住宅用財産の3,000万円の特例」です。
3,950万円 – 3,000万円 = 950万円
- 【手順③】計算した譲渡所得に税率をかける
10年以上住んでいたので、譲渡所得税の軽減税率14.21%が併用できます。
950万円 x 14.21% = 1,349,950円
共有持分を売却して税金が出たら確定申告が必要
- 譲渡所得が出た場合
- 控除を利用した場合
確定申告をしないと罰則がありますので、必ず行ってください。
次の順番でご案内します。
- 確定申告の手順、必要書類、書き方
- 確定申告をしなかった場合の罰則
①確定申告の手順、必要書類、書き方
確定申告に必要な書類は次の通りです。
- 確定申告の必要書類
書類 | 入手方法 |
---|---|
確定申告書 | 税務署・国税庁ホームページ |
売買契約書の写し | 契約時 |
仲介手数料の領収書 | 不動産会社 |
登記事項証明書 | 法務局 |
取得時の売買契約書の写し | 契約時 |
譲渡所得の内訳書 | 税務署・国税庁ホームページ |
本人確認書類 | マイナンバー・免許証 |
確定申告書の作成方法は次の通りです。
- 譲渡所得の内訳書の作成
- 確定申告書の作成
最初に譲渡所得の内訳書を作成します。
内訳書に記載する項目は次の通りです。
- 内訳書の記載項目
面 | 記載項目 |
---|---|
一面 | 住所・氏名・電話番号・職業 |
二面 | 不動産の所在地・売買契約日・売却価格・引渡日・共有者の情報・買主の情報 |
三面 | 取得時の価格・取得費・譲渡費用・譲渡所得金額 ※特例を使う場合は適用特例の情報 |
売却価格・取得費・譲渡費用は自分の持分の価格を記載します。
具体的には、国税庁のこちらの「譲渡所得の内訳書」の記載例をご覧ください。
画像をクリックすると、書き方についてのPDFファイルが開きます。
次に確定申告書を作成します。
確定申告書に記載する項目は次の通りです。
- 確定申告書の記載項目
表 | 記載項目 |
---|---|
第一表 | 譲渡所得金額 納税額など |
第二表 | 譲渡所得に関する記載項目はなし |
第三表 | 売却価格、譲渡所得金額、不動産の所在地、必要経費(取得費・譲渡費用)、特例の内容など |
具体的には「確定申告書」の記載例をご覧ください。
画像をクリックすると、書き方についてのPDFファイルが開きます。
作成した確定申告の提出方法は次の通りです。
- 税務署窓口
- 郵送
- e-taxで電子申告
確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日までです。
必ず期限までにご申告ください。
②確定申告をしなかった場合の罰則
確定申告しなかった場合、次の加算税がかかります。
- 罰則
種類 | 内容 | 加算税率 |
---|---|---|
過少申告加算税 | 申告すべき額より低い額を申告した場合の税 | 50万円以下 10%…本来納める税額と当初申告額の差額の全額 |
50万円超 10%…本来納める税額と当初申告額の差額の50万円まで 15%…50万円の超過部分 |
||
無申告加算税 | 申告期限までに申告しなかった場合の税 | 50万円以下 納める税額の15% |
50万円超300万円以下 納める税額の20% |
||
300万円超 納める税額の30% |
||
延滞税 | 納付期限を過ぎてしまった場合の税 | 2カ月以内 年2.4% または「延滞税特例基準割合+1%」の低い方 |
2カ月超 年8.7% または「延滞税特例基準割合+7.3%」の低い方 |
||
重加算税 | 故意に無申告したまたは虚偽の申告をした場合の税 | 無申告 納める税額の40% |
過少申告 納める税額の35% |
延滞税の「特例基準割合」とは、前年の銀行の新規の短期貸出約定平均金利のことです。
延滞税は「納付税額 × 延滞税率 × 日数 ÷ 365日」で計算します。
共有持分を贈与や放棄した時の税金
共有持分の贈与とは、自分の自分の持分を無償で他の人に渡すことで、贈与税の課税対象です。
共有持分の放棄とは、自分の持分を放棄して、一方的にその持分を他の共有者の共有物にすることです。
みなし贈与(実質的に贈与と同じ)のため、課税対象です。
共有持分の贈与や放棄をした場合、共有持分を取得した人に贈与税と不動産取得税がかかります。
贈与税の計算方法は次の通りです。
- 贈与税額=(贈与された持分の価値 – 110万円) × 税率 – 控除額
贈与税の税率と控除額は次の通りです。
- 贈与税の税率
課税価格 | 一般贈与財産 | 特例贈与財産 |
---|---|---|
200万円以下 | 税率 10% 控除 0円 | 税率 10% 控除 0円 |
300万円以下 | 税率 15% 控除 10万円 | 税率 15% 控除 10万円 |
400万円以下 | 税率 20% 控除 25万円 | 税率 15% 控除 10万円 |
600万円以下 | 税率 30% 控除 65万円 | 税率 20% 控除 30万円 |
1,000万円以下 | 税率 40% 控除 125万円 | 税率 30% 控除 90万円 |
1,500万円以下 | 税率 45% 控除 175万円 | 税率 40% 控除 190万円 |
3,000万円以下 | 税率 50% 控除 250万円 | 税率 45% 控除 265万円 |
4,500万円以下 | 税率 55% 控除 400万円 | 税率 50% 控除 415万円 |
4,500万円超 | 税率 55% 控除 400万円 | 税率 55% 控除 640万円 |
特例贈与財産とは、直系尊属(父母・祖父母)から18歳以上の子や孫に贈与する財産のことです。
例えば、親の土地に子供が家を建てるために贈与する場合、通常より税率が優遇されます。
参考)国税庁「贈与税の計算と税率」
共有持分の売却で発生する税金も相談できる売却先5社
- 共有持分支援協会
- 中央プロパティー
- ベリーベスト不動産
- クランピーリアルエステート
- アルバリンク
ご案内していきます。
共有持分支援協会
共有持分の問題を解決する専門の社団法人です。
税理士をはじめ各分野の専門家が税務面のサポートを行います。
専門相談員が、社団法人の立場で丁寧にヒアリングを行っています。
共有持分専門で、仲介による高額売却も、買取による早期現金化にも対応しています。
利用料は無料です。
買取方法 | 仲介も買取も可 |
---|---|
高値売却 | 〇 |
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士・宅地建物取引士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 手付金(最短翌日)・持分の一部買取、持分のリースバック |
中央プロパティー
共有持分専門の仲介業者です。
税務の専門知識と実践的なアドバイスで、複雑な税金問題のサポートに対応しています。
買取方法 | 仲介 |
---|---|
高値売却 | 〇 |
売却日数 | 最短5日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | AI×鑑定士のダブル査定 |
ベリーベスト不動産
共有持分専門の買取業者です。
ベリーベストグループの税理士と連携した万全なサポートを行っています。
買取方法 | 買取 |
---|---|
高値売却 | △ |
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・宅地建物取引士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 訳あり不動産買取価格・スタッフ対応などで満足度No.1 |
クランピーリアルエステート
共有持分を含む訳あり物件専門の買取業者です。
全国の税理士と提携しており、税務面のサポートを行っています。
買取方法 | 買取 |
---|---|
高値売却 | △ |
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 現況のまま買取に対応 |
アルバリンク
共有持分を含む訳あり物件専門の買取業者です。
税理士との連携で譲渡所得の申告や節税相談に一括で対応しています。
買取方法 | 買取 |
---|---|
高値売却 | △ |
売却日数 | 数日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 東京プロマーケット市場に上場 |
まとめ
共有持分の売却で発生する税金の計算方法や確定申告の方法についてご案内いたしました。
この記事を参考に譲渡所得税を計算して、確定申告をしてください。
「共有持分の買取業者とのトラブルが心配」
「買取業者とのトラブルを回避できる?」
このように悩んでいませんか?
この記事では、共有持分を買取業者に売却すると起こりうる5つのトラブルと回避法、それから後悔しない共有持分の売却方法を、プロが分かりやすくご案内します。
共有持分を買取業者に売却すると起こりうる5つのトラブル
- しつこい営業を受ける
- 安く買い叩かれる
- 後から価格を下げられる
- 買取業者と他の共有者間でもめる
- 売主と他の共有者の関係が悪くなる
詳しくご案内します。
【トラブル①】しつこい営業を受ける
しつこい営業とは、具体的には次のようなことです。
このような営業をしてくるのは、間違いなく、悪質・悪徳な業者です。
会社からのノルマがすごくて、営業マンは「何としてでも契約したい」と考えています。
あまりにもしつこい場合は、「お帰りください」と伝えた後、消費者ホットラインにご相談ください。
【トラブル②】安く買い叩かれる
共有持分の買取金額の相場は、一般的な不動産の30%~50%OFFの価格です。
例えば、不動産全体の価値が5,000万円で、あなたの持分が2分の1の場合、2,500万円ではなく、750万~1,250万円です。
安くなる理由は、他の共有者のとのやり取りの手間やトラブルの可能性などを加味しているからです。
共有持分の相場を考えると750万~1,250万円が妥当な金額なのに、300万円を提示してくるような業者がいます。
「トラブルを回避する7つのコツ」をご活用ください。
【トラブル③】後から価格を下げられる
契約を進めていくうちに、当初の査定額よりも価格を下げてくることがあります。
まともな業者なら正当な理由があるため、詳しく聞けば納得できる内容のはずです。
ですが、悪徳・悪質な業者の場合は、「とにかく安く買い取ろう」と、不動産取引が不慣れなことにつけ込み、様々な理由をつけてきます。
例えば次のような理由です。
- よく見たら結果、修繕が必要と分かった
- 市場状況が変化した
要は知識が無い人を騙そうとしてくるわけです。
契約書に「引き渡しまでに新たな事実が判明した場合、再協議する」などと記載がある場合は、契約後でも価格を下げる交渉をしてきます。
【トラブル④】買取業者と他の共有者間でもめる
共有名義・持分の不動産を売却する場合、不動産全体を売却するには共有者全員の同意が必要です。
ですが、民法206条で規定されている通り、共有者の1人が共有持分だけを売却することができます。
共有者のうちの1人が共有持分を売却した後は、買取業者などが新たな共有者となります。
この買取業者の主な目的は、物件全体を買取ってリフォームをして売却し、利益を最大にすることです。
そのため、他の共有者に対して売却の交渉を積極的に行います。
この際、次のようなことで、他の共有者とのトラブルになることがあります。
- 業者が敷地内に出入りする
- 家賃などを請求される
- 共有物分割請求訴訟される
それぞれご案内します。
業者が敷地内に出入りする
悪質・悪徳な買取業者の中には、物件の調査や測量を行うといった名目で、共有不動産の敷地内に、頻繁に出入りする業者がいます。
「不法侵入!」「お帰り下さい」と言っても引き下がりません。
買取業者は、「新しい共有者として法律上の権利があることが民法206条、249条で規定されている」と、権利を主張します。
家賃などを請求される
悪質・悪徳な買取業者の中には、他の共有者が占有している持分に見合う賃料を請求してくる業者がいます。
例えば、家賃相場が月12万円の物件で買取業者が3分の1の持分を取得した場合、「持分相当の4万円を毎月支払ってください」と請求してくるといったことです。
「おかしい」「それは不当だ」と伝えても引き下がりません。
買取業者は、「新たな共有者として、不動産を利用する権利があると、民法249条で規定されている」と、権利を主張します。
共有物分割請求訴訟される
共有物分割請求訴訟とは、複数人で所有している共有状態の不動産を、裁判所を通じて分割するための訴訟のことで、民法第258で規定されています。
買取業者は共有持分の買取の話がまとまらないとき、訴訟してくることがあります。
裁判の結果は以下の3つの判決パターンに分けられます。
- 現物分割…不動産を分筆して共有者に分ける方法
- 代償分割…不動産を単独所有にして、他の共有者に相当分のお金を支払う方法
- 換価分割…不動産を売却して現金化し、お金を持分に応じて分ける方法
詳しくはこちらの「共有物分割請求訴訟とはの3つの判決パターン」をご確認ください。
ただし、悪質・悪徳な業者の場合は、そのやり方がグレーで悪質なやり方であることが多いです。
【トラブル⑤】売主と他の共有者の関係が悪くなる
理由は3つあります。
- 他の共有者が悪質・悪徳な業者に嫌がらせを受けた(ご案内済み)
- 他の共有者への相談なく売却を進めた
- 他の共有者が計画していた不動産活用ができなくなった
事前に共有者への相談なく売却を進めると、共有者は不信感を抱きます。
例えば、今まで親族間で共有していた不動産に、事前の報告など無く、突然見ず知らずの業者が加わったことが分かれば、他の共有者は不安を感じ、売主(元共有者)に「なぜ黙って売ったのか」と追及することがあります。
特に、共有者が次のような計画を考えていた場合、それができなくなることで、関係は一気に悪化します。
- リフォーム後に大手の不動産に売却する
- 不動産をリフォームして賃貸に出す
- アパートを建てて賃貸収入を得る
- トランクルームや駐車場にする
共有持分の買取業者とのトラブルを回避する7つのコツ
- 買取業者が弁護士と提携しているか確認する
- 共有持分の専門業者に依頼する
- 買取業者の買取事例や実績を確認する
- 担当者の対応が親切で丁寧かチェックする
- 少なくとも3社に査定を依頼する
- 売却前に共有者に連絡する
- 買取業者を介さずに共有名義を解消する
それぞれご案内します。
【コツ①】買取業者が弁護士と提携しているか確認する
弁護士と提携している業者は、他の共有者との交渉を、法律に則った方法で進めます。
買取前に問題のあるような営業はしません。
買取後に他の共有者にグレーな嫌がらせを仕掛けて、揉め事を起こす可能性はほぼありません。
既に共有者間で揉めていても、法律に則った対応をします。
日本は超高齢社会化しており、相続による共有名義・持分の不動産が増えており、共有持分に強い弁護士が出てきています。
ホームページで次のことをご確認ください。
- 弁護士と提携している
- 提携している弁護士が共有持分に強い
【コツ②】共有持分の専門業者に依頼する
共有名義・持分の不動産は、一般的な不動産と比べて、権利関係が複雑です。
大手や地場の不動産会社には、共有不動産についての知見が無く、トラブルへの対応どころか査定すらできないところがほとんどです。
共有持分の買取に対応できる業者は2種類あります。
- 共有持分を専門にしている業者
- 訳あり不動産の買取業者で共有持分にも対応している業者
より経験値の高い共有持分の専門業者をお探しください。
あなたの状況を丁寧にヒアリングしてくれて、最適な方法を考えてくれます。
【コツ③】買取業者の買取事例や実績を確認する
共有不動産といっても、次のように様々なパターンがあります。
- 戸建や区分マンション、一棟マンション、駐車場、土地など
- 相続による共有名義、夫婦の共有名義、親子共有名義など
買取事例や実績を確認する理由は、その業者の対応力の高さが分かるからです。
ホームページで、次のことをご確認ください。
- 過去の取引件数
- 取引事例
- お客様の声
具体的な内容、数字をチェックしてください。
【コツ④】担当者の対応をチェックする
担当者が優れている場合、次のようなメリットがあります。
- やり取りで発生するストレスが少ない
- 高い価格で売却できる
対応が親切・丁寧で、スピードが速く、タイミングが良い担当者なら、売却価格に差が出ることはあります。
チェックするポイントは次の通りです。
- 質問に対して分かりやすい説明がある
- レスポンスが速く、タイミングが良い
- デメリットも含めた正直な情報提供がある
相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。
【コツ⑤】少なくとも3社に査定を依頼する
理由は、比較することで、納得の行く結果が得られるからです。
-
A社、B社、C社の3社に査定を依頼した。
A社が300万円でB社が580万円、C社が600万円だった。
一番高額だったC社と連絡を取ったが、質問への回答に数日かかるし、説明が良く分からなかった。
さらに仲介手数料が約30万円かかることが分かった。
そこでB社の担当者に連絡をしたところ、すぐに折り返しの連絡を入れてくれた。
不明点の質問をすると分かりやすく回答してくれた。
さらに、今回、仲介手数料を無料にしてくれたため、B社に依頼した。
仲介手数料など、ご利用は無料ですので、お気軽にご相談ください。
【コツ⑥】売却前に共有者に連絡する
理由は、事前連絡しておけば、共有者間のトラブルを未然に防ぐことができる可能性があるからです。
連絡内容は次の通りです。
- 売却理由
- 売却予定時期
- 買取業者の情報
他の共有者が売却などを計画している場合や元々も関係が悪い場合は、もちろん反対されます。
この場合は、できる範囲で相手の話をよく聞き、妥協点があれば応じてみてください。
【コツ⑦】買取業者を介さずに共有名義を解消する
持分の買取に対応している業者に依頼せずに、共有状態を解消する方法があります。
- 共有者に持分を売却する
- 共有者の持分を買取る
- 不動産全体を売却する
- 共有持分を放棄する
キチンと話合いができる共有者同士なら、こうしたやり取りでトラブルが起きる可能性は低いです。
メリットも多いです。
- 人間関係を維持したまま共有状態を解消できる
- 価格や条件について柔軟に話し合える
- 市場価格に近い金額で売買できる
業者に売却する場合、売却価格のは相場は市場価格の30%~50%ですが、他の共有者に買い取ってもらえる場合は、市場価格で売却できます。
詳しくは「共有持分の8つの解消方法」をご確認ください。
共有持分の放棄とは、自分の持分を相手に渡すことです。
相手の同意が必要ですし、贈与税が絡んできますので、詳しくはこちらの「共有持分の放棄とは?」をご一読ください
共有持分の買取業者vs仲介業者!トラブルになりづらいのは?
買取業者とは、自社で共有持分を買い取る業者のことです。
早ければ最短2日で買取り、数日後に現金化しているところがあります。
買取業者は2種類います。
- 訳あり不動産の買取業者
- 持分専門の買取業者
スピーディで高く買い取ってくれる持分専門の業者をお選びください。
ただ、次のような悪質・悪徳な買取業者がまれにいます。
- 査定額が相場より著しく安い
- 査定の依頼後、しつこい営業をしてくる
- 買取後に他の共有者とのトラブルを起こす
依頼される前に、必ず「買取業者を選ぶ6つのポイント」をご覧ください。
メリットは次の通りです。
- 高値で売却できる可能性が高い
- 悪質・悪徳業者が比較的少ない
早く現金化したいなら買取業者、高く売りたいなら仲介業者に査定を依頼してください。
これでトラブル・後悔ナシ!共有持分の買取業者を選ぶ7つのポイント
- 売却先を選ぶ7つのポイント
チェック項目 | 内容 |
---|---|
①専門分野 | 「訳あり物件」ではなく共有持分を専門にしている会社を選ぶ |
②買取方法 |
|
③買取スピード | 買取までの日数、現金化までの日数を確認する |
④買取実績 | 実績の内容、実績の数で、対応力が分かる |
⑤口コミ・評判 | 利用者のコメントで評判が分かり、悪質業者を防ぐことができる |
⑥士業との提携 |
弁護士と提携している ※共有名義・持分の不動産に強い弁護士がベスト |
⑦接客態度 | 親切・丁寧に対応してくれるかどうか ※ストレスフリーで、高額売却できる可能性がある |
専門分野が共有持分で、共有不動産に強い弁護士と提携している業者なら、トラブルのリスクはかなり低いです。
その上で、高く売る場合は仲介、早く売る場合は買取業者をお選びください。
共有持分の買取とトラブル対応に強い5社
- 共有持分支援協会
- 大正ハウジング
- 中央プロパティ
- ベリーベスト不動産
- ライズ
それぞれご案内します。
共有持分支援協会
共有持分問題の解決に特化した専門機関です。
独自システムによる仲介で高額売却を実現しています。
早期の現金化をお考えの方には、最短2日で買取をしています。
その際、最短翌日に手付金を渡しています。
弁護士や司法書士などの専門家と連携したサポート体制を整えています。
利用料は無料です。
買取方法 | 仲介、買取 |
---|---|
高値売却 | 〇 |
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 手付金(最短翌日)・持分の一部買取、持分のリースバック |
大正ハウジング
共有持分の買取に強い買取業者です。
全国対応です。
センチュリー21の加盟店です。
買取方法 | 買取 |
---|---|
高値売却 | △ |
早期売却 | 最短1週間~ |
専門家の在籍 | 弁護士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 無し |
中央プロパティ
共有持分に特化した仲介業者です。
独自の「ポスティングシステム」で、高額売却を実現しています。
弁護士と提携しています。
センチュリー21の加盟店です。
買取方法 | 仲介 |
---|---|
高値売却 | 〇 |
売却日数 | 最短5日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | AI×鑑定士のダブル査定 |
ベリーベスト不動産
共有持分が専門の買取業者です。
大手法律事務所のグループ会社です。
買取方法 | 買取 |
---|---|
高値売却 | △ |
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・宅地建物取引士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 訳あり不動産買取価格・スタッフ対応などで満足度No.1 |
ライズ
共有持分に強い買取業者です。
最短数日で現金化がです。
対応エリアは首都圏です。
買取方法 | 買取 |
---|---|
高値売却 | △ |
売却日数 | 最短3日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士 |
対応エリア | 一都三県 |
その他 | 電話対応は21時まで |
共有持分の買取業者とのトラブルについてのまとめ
共有持分を買取業者に売却すると起こりうるトラブルをご案内しました。
悪質・悪徳な業者を避けるために、買取業者を選ぶ6つのポイントに沿って業者をお選びください。
「共有持分を売却して現金化したい」
「共有持分を売却するとトラブルになる?事前に色々知っておきたい」
このように考えていませんか?
このページでは、共有持分を売却する方法について、「一般社団法人 共有持分支援協会」の専門相談員がご案内いたします。
共有持分は売却できる?できない?
誤解しやすい点について整理をしていきます。
この2つは売却できない!
売却できないのは、次の2つの場合です。
- 「共有名義」は売却できない
- 共有不動産の全体は勝手に売却できない
共有名義とは、1つの不動産を複数人で所有している状態のことで、名義とは所有者の名前のことです。
共有している状態、共有者の名義(名前)を売ることはできません。
❷「共有不動産の全体は勝手に売却できない」についてご案内します。
共有不動産の全体を売却は、共有者の1人が勝手に売却することはできません。
売却するには、共有者全員の同意が必要です。
これは、民法251条で規定されています。
-
●3人兄弟の共有名義で相続した実家を売却する→3兄弟全員の合意が必要
●夫婦2人の共有名義で戸建を購入し、離婚する際に戸建を売却する→元夫婦の合意が必要
「自分の共有持分だけ」なら自分の意思で売却できる!
共有持分とは、1つの不動産を複数人で所有しているときに、それぞれが持っている「権利の割合」のことです。
自分が権利を所有している共有持分だけなら、他の共有者の同意がなくても自由に売却できると民法206条によって定められています。
共有持分を売却するメリットは次の通りです。
- 現金化できる
- 維持費や管理の負担が無くなる
- トラブルに巻き込まれなくなる
共有持分を売却する5つの方法
- 対応している買取業者に売却する
- 対応している仲介業者に依頼する
- 他の共有者に売却する
- 共有者全員で売却する
- 分筆してから売却する
詳しくご案内します。
【方法①】対応している買取業者に売却する
対応している買取業者とは、共有持分を取り扱っている業者のことです。
メリットは次の通りです。
- 現金化が早い
- 仲介手数料が掛からない
- 手続きが簡単
現金化が早い理由は、業者が直接買い取るからです。
デメリットは市場価格よりも安くなることです。
共有持分の売却は、不動産全体で売却するよりも30%~50%ほど安くなります。
-
6,000万円の戸建があり、その持分3分の1だけを売る場合、2,000万円ではなく、600万円~1,000万円になるということです。
価格が安くなる理由は次の通りです。
- 取り扱うのに高い専門性が必要
- 買取後に他の共有者とやり取りをする手間がかかる
- 他の共有者とトラブルになるリスクがある
そのため、共有持分の買取は、一般の不動産会社では断られることがほとんどです。
売却の前にご一読ください。
対応している買取業者は2種類あります。
- 訳あり不動産専門の買取業者
- 共有持分が専門の買取業者
訳あり不動産専門とは、一般の不動産会社では取り扱いが難しい次のような不動産を取り扱う業者のことです。
- 共有持分
- 再建築不可
- ゴミ屋敷
- 事故物件
より早く、少しでも高値で売却したい場合は、共有持分を専門としている買取業者をお選びください。
お気軽に売却についてご相談ください。
【方法②】対応している仲介業者に依頼する
仲介業者とは、売主と買主の間に入り、売買契約を成立させる役割を担う不動産会社のことです。
共有持分の仲介に対応している仲介業者は非常に少ないです。
メリットは、買取よりも高く売れることです。
高く売れる理由は、買い手を幅広く集めて、その中から条件の良い買い手を見つけるからです。
デメリットは次の通りです。
- 売却までに時間が掛かる
- 仲介手数料が掛かる
売却までに時間が掛かる理由は、買い手を募集して、選定する必要があるからです。
仲介手数料は買取金額によって変わります。
- 持分の売買価格別の仲介手数料の上限(税込)
売買価格 | 仲介手数料の上限(税込) |
---|---|
0~800万円 | 330,000円 |
900万円 | 363,000円 |
1,000万円 | 396,000円 |
1,100万円 | 429,000円 |
1,200万円 | 462,000円 |
手数料について、詳しくは「共有持分の買取で売主側に発生する費用」をご覧ください。
仲介手数料が掛からない分、買取業者の方がお得というワケではありません。
仲介手数料が掛かっても、仲介業者の方が高額で買取ってくれます。
当協会は仲介手数料無料です。
【方法③】他の共有者に売却する
他の共有者とは、自分以外の名義人のことです。
メリットは次の通りです。
- 実勢価格(じっせいかかく)に近い価格で売却できる
- トラブルが起きにくい
実勢価格とは、直近数ヶ月で実際に取引された周辺の不動産の売却価格のことで、時価、市場価格とも呼ばれます。
実勢価格に近い価格で売却できる理由は、他の共有者の単独所有になり、資産価値が高くなるからです。
トラブルが起きにくい理由は、見ず知らずの第三者が介入せず、お互いに知っている共有者同士で解決できるからです。
デメリットは次の通りです。
デメリット | 理由 | 対策 |
---|---|---|
購入する共有者がほとんどいない | 買取るほどの資金を用意できないから | 対応している業者に売却し、現金化する |
売却価格で揉めることがある | 共有者間で価格の合意を得るのが難しいから | 買取業者などに不動産全体の査定をしてもらって、その金額で交渉する |
低価格での売却をして贈与とみなされる | 相場よりも著しく低い価格で売却すると、税務署から実質的な贈与と判断される可能性があるから | 実勢価格(時価、市場価格)に近い金額で取引する |
他の共有者が売却に応じない | その不動産に住んでいたり、別の活用方法を検討していたりするから | 共有物分割請求訴訟を起こすことで、裁判所を通じて問題を解決する |
共有物分割請求訴訟とは、複数人で所有する不動産を法的に強制的に分割し、共有状態を解消する手続きのことです。
詳しくは「共有物分割請求訴訟とは」でご案内しています。
【方法④】共有者全員で売却する
共有者全員とは、その不動産の全ての名義人のことです。
メリットは、単独名義の実勢価格に近い価格で売却できることです。
その理由は、不動産全体の場合、活用しやすいからです。
活用とは、買取後にリフォームして売却したり、賃貸したりすることです。
デメリットは、共有者全員の合意が必要なことです。
一人でも反対すると売却できません。
【方法⑤】分筆してから売却する
土地の場合は分筆して売却することができます。
分筆とは1つの土地を複数に分割して、それぞれを別の土地とすることです。
土地の場合は、分筆することで単独名義にできます。
メリットは、共有関係を解消し、自分の持分を単独で所有できることです。
土地を分けることで、他の共有者の同意なく売却などの活用ができるようになります。
デメリットは次の通りです。
- 一定以上の土地でないと分筆できない
- 費用と時間が掛かる
- 再建築不可の土地になることがある
費用と時間が掛かる理由は、分筆には測量や登記申請といった専門的な手続きが必要になるからです。
再建築不可になる理由は、分筆により接道義務を果たせなくなることがあるからです。
接道義務とは、「建物を建てるには原則としてその土地が幅4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければならない」という法律上のルールのことです。
共有持分の売却価格を計算する方法!相場は…
買取業者も仲介業者も、次の計算式で売却価格を査定することが多いです。
- 共有持分の売却価格 = 実勢価格 x 持分割合 x 評価割合(30%〜50%)
実勢価格(じっせいかかく)とは、実際の市場で売買されている価格で、市場価格や時価などとも呼ばれます。
この価格は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」を利用して調べられます。
持分割合は、登記事項証明書の「権利部(甲区)(所有権に関する事項)」に記載されています。
評価割合とは、共有持分の評価を示す割合のことで、その相場は30%~50%です。
- 売却価格の相場の例
条件 | 売却価格の相場 |
---|---|
実勢価格が5,000万円で持分が5分の1 | 300万円~500万円 |
実勢価格が5,000万円で持分が2分の1 | 750万円~1,250万円 |
実勢価格が6,000万円で持分が3分の1 | 600万円~1,000万円 |
実勢価格が6,000万円で持分が4分の1 | 450万円~750万円 |
実勢価格が3,000万円で持分が3分の2 | 600万円~1,000万円 |
30%〜50%になる理由は、先ほどご案内した通り、取り扱うのに専門的な知識が必要で、手間がかかるだけでなく、リスクがあるためです。
例えば、実勢価格が6,000万円で持分が3分の1の場合、売却相場は600万円~1,000万円ですが、仲介業者の査定が900万円で、買取業者の査定が750万円になる、といったことです。
共有持分を売却する流れと発生する費用や書類を解説
次の順にご案内していきます。
- 売却の流れ
- 発生する費用と税金
- 必要書類
売却の流れ
- 査定を依頼する
- 売買契約を締結する
- 決済をする
- 所有権移転登記をする
売却する流れは、一般的な不動産を売却する流れと同じです。
ただし、不動産全体を売却する場合は、最初に全員の合意を得る必要があります。
買取業者の方が速く現金化できますが、仲介の方が高値で売却できます。
どの業界もそうですが、悪質・悪徳な業者がいますので、共有持分の売却先を選ぶ6つのポイントに沿ってお選びください。
共有持分を売却したときの登記手続きは、売主と買主が行いますが、実務では司法書士が代理で法務局に申請して行います。
早く確実に登記手続きをしたい場合は、司法書士にご依頼ください。
共有持分の売却で「売主」が支払う費用と税金
費用、税金 | 概要 |
---|---|
印紙税 | 売却額によって異なる税金 金額は200円~6万円 |
仲介手数料 | 仲介業者を利用したときにかかる費用 ※買取業者よりも高値で売却できる |
譲渡所得税 | 不動産の売却で発生した売却益に課せられる税金 |
登録免許税 | 1,000円/件 住宅ローンを完済した際に、不動産に設定されていた抵当権の登記を抹消する手続き(税抵当権抹消登記) |
士業への報酬 | 司法書士、税理士に依頼した場合の報酬 |
必ず発生するのは印紙税です。
司法書士への報酬は、手続きを司法書士に依頼する場合に発生します。
税理士への報酬は、譲渡所得税の計算や確定申告を税理士に依頼する場合に発生します。
いずれも数万円~です。
詳しくはこちらの「共有持分の買取を共有持分支援協会の相談員が解説!」でご案内していますので、ご一読ください。
共有持分の売却で必要な書類など
書類 | 概要 |
---|---|
登記識別情報(権利証) | 不動産の所有権を証明する12桁の符号 登記が完了したときに発行・通知される |
登記事項証明書(登記簿謄本) | 動産の権利関係や所有者といった内容が記載された証明書 法務局の窓口やオンライン申請で取得 |
住民票 | 市区町村役場、コンビニ、郵送で取得できる |
固定資産税評価証明書 | 不動産の固定資産税評価額を証明する書類 市区町村役場、郵送、オンラインで取得できる |
身分証明書 | 免許証、マイナンバーカード |
印鑑登録証明書 | 登録された印鑑(実印)が本物であることを証明する書類 市区町村役場、コンビニで取得できる |
実印 | 本人であることを証明できる印鑑 |
先ほどもご案内しましたが、登記事項証明書(登記簿謄本)には、共有名義人と持分割合が記載されています。
法務局の窓口やオンライン申請で取得できます。
印鑑登録証明書は、マイナンバーカードがあればコンビニでも取得できます。
共有持分の売却で起こりうる7つのトラブルと対処法
- 共有者を把握できないことがある
- 他の共有者との関係が悪化することがある
- 悪質・悪徳業者に安く買い叩かれる
- しつこい営業を受ける
- 購入者が敷地内に出入りする
- 購入者が他の共有者へ家賃を請求する
- 共有物分割請求訴訟を提起される
詳しくご案内します。
【トラブル①】共有者を把握できないことがある
全員で売却する場合に起こりうるトラブルです。
把握できなくなるパターンは大きく2つあります。
- 相続が何度も繰り返されると、誰が共有者なのか分からなくなる
- 引っ越しを繰り返したり、海外へ移住したりして、連絡が付かなくなる
対策は、戸籍謄本や住民票をたどって共有者を特定することです。
場合によっては、裁判所を利用することもあります。
- 共有物分割請求訴訟で分割をする
- 不在者財産管理人の選任申立てをする
共有物分割請求訴訟とは、共有不動産を法的に分割できる制度のことです。
詳しくは「共有物分割請求訴訟とは」でご案内しています。
不在者財産管理人の選任申立てとは、長期間行方不明になっている共有名義人の代わりに、その人の財産を管理・処分できる人を、家庭裁判所に申立てて選任してもらう制度のことです。
共有名義に強い弁護士を探してご相談ください。
【トラブル②】他の共有者との関係が悪化することがある
自分の持分だけを売却すると起こりうるトラブルです。
他の共有者に事前の相談なく売却すると、次のような状態になる可能性があります。
- 共有者同士の信頼関係が無くなる
- 共有不動産に住んでいる人が困る
- 他の共有者が計画していた不動産活用ができなくなる
今現在、共有名義の家に住んでいる人は、住む場所を失ってしまう可能性があります。
買取業者が買取の交渉をするからです。
不動産活用とは、リフォームして売却したり、賃貸に出して毎月の収入を得たりすることです。
対策は次の通りです。
- 事前に共有者へ説明・相談をする
- 共有者への優先的な売却を提案する
もともと共有者の関係が悪かったり、どうしても現金が必要だったりした場合、持分だけを売却する方は多いです。
持分の売却をお考えの方は、無料ですので、お気軽にご利用ください。
【トラブル③】悪質・悪徳業者に安く買い叩かれる
このトラブルは悪質・悪徳な業者に、自分の持分だけ売却すると起こりうるトラブルです。
どの業界でもそうですが、共有持分の買取業者の仲にも、ごくまれに悪質、悪徳な業者がいます。
対策は次の通りです。
- 悪質・悪徳な業者を避ける
- 複数の専門買取業者に査定を依頼する
悪質・悪徳な業者を避けて、キチンと営業をしている業者を探す方法は「共有持分の売却先を選ぶポイント」でご案内していますので、お役立てください。
【トラブル④】しつこい営業を受ける
このトラブルは悪質・悪徳な業者に売却を持ちかけたり、売却したりすると起こります。
一度でも問い合わせると、朝晩関係なく電話営業が続いたり、訪問後になかなか帰らなかったりします。
売却後は他の共有者に同じように営業をします。
対策は次の通りです。
- 悪質・悪徳な業者を避ける
- 営業しないように伝える
- 悪質なら消費生活センター等に相談する
「共有持分の売却先を選ぶポイント」をご活用ください。
【トラブル⑤】購入者が敷地内に出入りする
このトラブルは、悪質・悪徳な業者に売却した場合に、他の共有者との間で起こることがあります。
買取った業者は、法的にその不動産の所有者となり、持分に応じた権利を行使することで、他の共有者に交渉に応じるように圧力をかけます。
対策は先ほどと同じです。
- 悪質・悪徳な業者を避ける
- 営業しないように伝える
- 悪質なら消費生活センター等に相談する
「共有持分の売却先を選ぶポイント」をご活用ください。
【トラブル⑥】購入者が他の共有者へ家賃を請求する
このトラブルは、悪質・悪徳な業者に売却した場合に、他の共有者との間で起こることがあります。
共有者が住んでいて、他の共有者が利用できない状況の場合、住んでいる共有者に持分に応じた家賃相当額を請求することができます。
対策は先ほどと同じです。
- 悪質・悪徳な業者を避ける
- 営業しないように伝える
- 悪質なら消費生活センター等に相談する
【トラブル⑦】共有物分割請求訴訟を提起される
自分の持分だけを売却した後に、買取業者と他の共有者との間で起こりうるトラブルです。
買取業者の目的は、共有持分を購入した後、他の共有者から持分を買取ることです。
その交渉が進まない場合、共有物分割請求訴訟を提起し、裁判によって強制的に分割をすることがあります。
分割方法は3つあります。
分割方法 | 概要 |
---|---|
①現物分割 | 不動産を物理的に分けて、単独名義で所有する |
②代償分割 | 一人が物件を取得し、他の共有者に代償金を払う |
③換価分割(かんかぶんかつ) | 不動産を第三者に売却し、その代金を持分に応じて分ける |
裁判の結果が出るまでに半年以上、掛かります。
裁判は避けられません(拒否できない)。
訴訟後にできる対策は次の通りです。
- 買取業者にできるだけ良い条件で売却する
- 裁判で主張して少しでも良い条件で分割する
詳しくは「共有物分割請求訴訟とは」でご案内しています。
共有持分を高く売却する3つの方法
- 複数の買取業者に査定依頼する
- 仲介業者に依頼する
- 他の共有者と協力する
詳しくご案内します。
【方法①】複数の買取業者に査定依頼する
複数の業者とは、共有持分の買取を行っている複数の不動産買取業者のことです。
メリットは次の通りです。
- 買取価格の相場が分かる
- 悪質・悪徳な業者を避けやすい
- 速く現金化を手に入れられる
デメリットは相応の時間がかかることです。
忙しい中、多くの業者とやり取りをして、各社の査定額や条件を比較する必要があります。
加えて、専門性が高くて分かりづらい共有不動産や不動産の売却の勉強をする必要があります。
【方法②】仲介業者に依頼する
仲介業者は多くの買主の中から高く買い取ってくれる買主を探してくれます。
メリットは、買取業者に売却するよりも高く売れることです。
デメリットは次の通りです。
- 売却完了までに時間が掛かる
- 仲介手数料がかかる
- 仲介に対応している業者が少ない
- 買い手が見つからない可能性がある
買い手がいない場合は、成約不成立となり、販売活動を終了します。
仲介手数料がかかっても、買取業者よりも高額で売却できますし、業者の中には仲介手数料が無料のところがあります。
最短2日での買取にも対応しております。
【方法③】他の共有者と協力する
他の共有者とは、他の共有名義人のことです。
メリットは、実勢価格(時価、市場価格)に近い価格で売却できることです。
共有者全員の合意があれば不動産全体を売却できるからです。
デメリットは、共有者全員の合意が必要なことです。
交渉が難航すると時間が掛かります。
共有持分の売却先を選ぶ6つのポイント
- 売却先を選ぶ6つのポイント
ポイント | 理由 |
---|---|
①早く買取ってくれる | 早く買取るだけのノウハウがある、早く現金を手に入れられる |
②共有持分を専門に買取している | リスクを加味した適切な売却価格を提示してくれる、共有者と揉めずに売却できる可能性が高い |
③買取実績が豊富 | スムーズに売却を進められる |
④弁護士と提携している | 法的なリスクへの予防、対応ができる |
⑤担当者の対応が良い | 担当者で結果が変わる、無駄な時間を省略できる、不安を払拭できる |
⑥口コミ・評判が良い | 良い業者に売却を依頼できる、悪質・悪徳業者の可能性が低い |
ほとんどがホームページで確認できる内容です。
共有持分の買取に対応している会社は3種類あります。
- 訳あり不動産の買取業者
- 共有持分が専門の買取業者
- 共有持分が専門の仲介業者
訳あり不動産の買取業者が取扱う物件の幅は広いです。
より専門性が高い共有持分が専門の会社に依頼してください。
仲介は相場の範囲内で、買取業者よりも高く買取ってくれます。
あなたの状況に応じて業者をお選びください。
選び方については「共有不動産を現金化する6つの方法や価格の相場、売却の流れなどを解説」でもご案内していますので、ご一読ください。
共有持分を売却できる5社
- 共有持分支援協会 (共有持分専門で、仲介も買取も可能)
- 共有持分売却窓口 (共有持分専門の買取業者)
- 大正ハウジング (共有持分専門の買取業者)
- ベリーベスト不動産 (共有持分専門の買取業者)
- 中央プロパティー (共有持分専門の仲介業者)
詳しくご案内します。
共有持分支援協会
共有持分の問題を解決するために設立された一般社団法人です。
協会の独自仲介システムで高額売却をしています。
仲介手数料は無料です。
提携業者が最短2日で買取ることができますので、早期現金化をしたいという方にも利用されています。
最短翌日に、手付金を受け取ることができます。
弁護士、司法書士、税理士と連携しています。
仲介手数料や残置物の処理費用をはじめ、利用料は掛かりません。
買取方法 | 仲介、買取 |
---|---|
高値売却 | 〇 |
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士、宅地建物取引士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 手付金(最短翌日)・持分の一部買取、持分のリースバック |
共有持分売却窓口
共有持分が専門の買取業者です。
1万件以上の実績があります。
弁護士、司法書士、税理士などの専門家と連携しています。
買取方法 | 買取 |
---|---|
高値売却 | △ |
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 大阪・兵庫・京都・沖縄の共有持分 |
その他 | 不明 |
大正ハウジング
共有持分が専門の買取業者です。
最短1週間で買取ります。
残置物があっても買取りできます。
センチュリー21の加盟店です。
買取方法 | 買取 |
---|---|
高値売却 | △ |
早期売却 | 最短1週間~ |
専門家の在籍 | 弁護士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 無し |
ベリーベスト不動産
共有持分が専門の買取業者です。
弁護士・税理士・司法書士と連携しています。
ベリーベストグループの不動産会社です。
全国に対応しています。
買取方法 | 買取 |
---|---|
高値売却 | △ |
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・宅地建物取引士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 特に無し |
中央プロパティー
共有持分に対応できる仲介業者です。
仲介手数料は無料です。
これまでに4万件を超える相談実績があります。
センチュリー21の加盟店です。
買取方法 | 仲介 |
---|---|
高値売却 | 〇 |
売却日数 | 最短5日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | AI×鑑定士のダブル査定 |
共有持分の売却についてのQ&A
よくある質問とその回答をご案内します。
Q.共有持分を勝手に売却されるとどうなる?
こちらの状況を踏まえた上で、法律的にも商習慣的にも問題の無いよう、合理的な交渉(提案)をしてきます。
状況によっては共有物分割請求訴訟を提起されることがあります。
トラブルが起こりやすいのは、悪質・悪徳な業者です。
具体的には次のようなトラブルです。
- しつこい営業を受ける
- 相場より極端に安い金額を提示してくる
- 家賃を請求される
- 敷地内に出入りされる
- 税金や維持費を滞納される(競売、差し押さえなどのリスク)
対策は、業者の話を聞いたり、あなたの持分だけを売却したりすることです。
Q.共有持分の売却は離婚後もできる?
ただし、住宅ローンが残っている場合は、売却するのは非常に難しいです。
詳しくは「住宅ローンが残っている場合の売却」でご確認ください。
離婚後、共有状態を放置していると、次のようなリスクがあります。
- ローンの滞納による返済義務の発生や不動産の競売
- 税金の滞納による差し押さえや延滞金
詳しくは「共有持分の売却は離婚の場合どうする?」でご確認いただけます。
共有持分の売却のまとめ
共有持分の売却方法についてご案内しました。
買取に対応している業者に売却を依頼する際に、お役立てください。
「自分の共有持分の評価を知りたい」
「評価の相場を把握して買い叩かれないようにしたい」
このように考えていませんか?
この記事では、共有持分の評価を計算する方法をプロが分かりやすくご案内します。
共有持分を評価する方法の全体像
共有持分を評価する方法とは、複数人で共有している不動産のうち、所有している共有持分の価格(評価額)を算出する方法のことです。
例えば、次のイラストのような場合、「6,000万円の不動産の2分の1の持分だから、3,000万円なのでは?」とお考えになる方が多いです。
ですが、実際にはこのような評価はされません。
その理由は、共有名義・持分の不動産が一般の不動産と違うからです。
- 共有持分の評価額 = ①不動産の実勢価格 x ②持分割合 x ③評価割合30%~50%
①の「不動産の実勢価格(じっせいかかく)」とは、市場で取引されている時価のことです。
実勢価格は、国土交通省の不動産情報ライブラリで調べられます。
②の「持分割合」とは、所有している持分のことです。
法務局で取得できる登記事項証明書の「権利部(甲区)(所有権に関する事項)」に記載されています。
③の「評価割合」とは、不動産会社が査定を行う際に使う基準のことです。
通常の不動産(単独名義で所有されている不動産)は評価割合100%ですが、共有名義・持分の不動産の評価割合は30%~50%です。
例えば、6,000万円の実家を兄弟2人の共有名義で相続して、持分が2分の1ずつの場合、評価は3,000万円ではなく、900~1,500万円になるということです。
このように安くなる理由は、次のような要素を踏まえて減額する必要があるからです。
- 持分割合(保有している割合)
- 他の共有者の人数
- 他の共有者との関係性や状況
他の共有者との関係性や状況とは、「他の共有者との関係性が悪い」「税金の滞納がある」「一人だけが住んでいる」「連絡が付かない」といったことです。
こういった内容に対応する手間や時間を踏まえて、割引されます。
30%~50%と幅がある理由は、買主によって査定のポイントが異なるからです。
より詳しくはこちらの「共有持分の評価が低い理由」でご案内しております。
共有持分の評価の6つの算出方法
- 実勢価格を使う ←最も使われる方法
- 土地にも建物にも固定資産税評価額を使う
- 土地に路線価、建物に固定資産税評価額を使う
- 土地に評価倍率、建物に固定資産税評価額を使う
- 土地に公示地価、建物に再建築費を使う
- 土地に基準地価、建物に再建築費を使う
それぞれ詳しくご案内します。
【方法①】実勢価格を使う
前述の通り、実勢価格(じっせいかかく)とは、不動産(土地と建物)が市場で実際に売買された価格のことで、市場価格、時価とも呼ばれます。
計算式は次の通りです。
- 共有持分の評価額 = 不動産の実勢価格 x 持分割合 x 評価割合30%~50%
算出手順は次の通りです。
- 不動産の実勢価格を把握する
- ①の実勢価格に持分割合と減価割合(30~50%)をかける
実勢価格は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」でチェックできます。
次の内容を参考にします。
- 実勢価格の参考材料
建物 | 参考材料 |
---|---|
マンション | 同マンションの取引事例、特に成約事例 |
戸建 | 更地価格、建物金額(築年数・室内の状況など) |
リフォームしている場合は、その費用を概算して査定します。
父から相続したマンションを兄と2分の1ずつ所有していた。
弟は、自分の持分を売却しようと買取業者に査定を依頼した。
このマンションは過去に6,000万円の取引事例があった。
この事例やリフォーム歴を考慮して減価割合35%の1,050万円と評価された。
弟は「持分が2分の1だから3,000万円になるのでは?」と、業者に質問したが、共有不動産についての説明を受け、納得して売却した。
【方法②】土地にも建物にも固定資産税評価額を使う
固定資産税評価額とは、固定資産税や都市計画税の課税基準となる価格のことです。
固定資産税評価額は次の方法で確認できます。
- 納税通知書
- 固定資産課税台帳の閲覧
- 固定資産評価証明書
毎年4~5月頃に送付される固定資産税の納税通知書で、土地と建物の評価額、持分の割合を確認できます。
計算方法は次の通りです。
- 共有持分の評価額 =((土地固定資産税評価額 × 持分割合) + (建物固定資産税評価額 × 持分割合)) × 評価割合30%~50%
色々調べた結果、次のことが分かった。
- 土地の固定資産税評価額:4,000万円
- 建物の固定資産税評価額:1,200万円
- 持分割合2分の1
- 評価割合:40%
上記の内容を計算式に当てはめたところ、評価額は1,040万円だった。
- 共有持分の評価額 =((4,000万円 × 2分の1)+(1,200万円 × 2分の1))×40%=1,040万円
【方法③】土地に路線価、建物に固定資産税評価額を使う
路線価とは、国税庁が発表する相続税や贈与税の算定基準となる価格のことです。
路線価は国税庁の「路線価図・評価倍率表」で確認できます。
載っていない場合は、全国地価マップをご利用ください。
路線価を使った計算式は次の通りです。
- 共有持分の評価額 = ((路線価 × 土地面積 × 持分割合) + (建物固定資産税評価額 × 持分割合)) × 評価割合30%~50%
色々調べた結果、次のことが分かった。
- 路線価:30万円/㎡
- 土地面積:100㎡
- 建物の固定資産税評価額:1,200万円
- 持分割合:2分の1
- 評価割合:40%
上記の内容を計算式に当てはめたところ、評価額は840万円だった。
- 共有持分の評価額=((30万円 × 100㎡ × 2分の1) + (1,200万円 × 2分の1)) × 40% = 840万円
【方法④】土地に評価倍率、建物に固定資産税評価額を使う
評価倍率とは、路線価が定められていない地域(倍率地域)の固定資産税評価額に一定の倍率をかけて、税務上の評価額を算出するための倍率のことです。
評価倍率の地域かどうかは、固定資産税の税額が書かれている書類で確認できます。
- 共有持分の評価額 = ((土地固定資産税評価額 × 評価倍率 × 持分割合) + (建物固定資産税評価額 × 持分割合)) × 評価割合30%~50%
評価倍率は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」で調べられます。
評価したい共有不動産が倍率地域にある。色々調べた結果、次のことが分かった。
- 土地の固定資産税評価額:4,000万円
- 評価倍率:1.1倍
- 建物の固定資産税評価額:1,200万円
- 持分割合2分の1
- 評価割合:40%
上記の内容を計算式に当てはめたところ、評価額は1,120万円だった。
- 共有持分の評価額 =((4,000万円 × 1.1 × 2分の1)+(1,200万円 × 2分の1))×40% = 1,120万円
【方法⑤】土地に公示地価、建物に再建築費を使う
公示地価とは、国交省が発表する不動産取引や公共事業の基準となる土地価格のことです。
国土交通省の地価公示のページで調べられます。
「標準地の1平方メートル当たりの価格(円)」をご覧ください。
建物には、再建築費を使います。
再建築費とは、同じ建物を今新しく建て直すのに必要な費用のことです。
- 共有持分の評価額 = ((公示地価 ×土地面積 × 持分割合) + (再建築費 × 残存価値率 × 持分割合)) × 評価割合(30%~50%)
再建築費と残存価値率は、次のように計算します。
- 再建築費 = 建築単価(円/㎡) × 延床面積(㎡)
- 残存価値率 = 1 − (築年数 ÷ 法定耐用年数)
建築単価とは、建物を1㎡または1坪あたりで建てるのにかかる費用のことで、建物によって決まっています。
- 構造別の建築単価
建物構造 | 建築単価(目安)円/㎡ | 備考 |
---|---|---|
木造住宅 | 15〜25万円 | 一戸建て住宅の一般的な範囲 |
鉄骨造(S造) | 20〜30万円 | 中高層住宅・事務所などに多い |
RC造マンション | 25〜50万円以上 | マンション・高耐久建物向け |
木造の戸建の場合、建築単価(目安)円/㎡を15〜25万円で計算します。
法定耐用年数とは、建物が経済的に使用できると見なされる期間(減価償却の基準となる使用可能期間)のことで、国が資産の種類・構造・用途ごとに定めています。
- 法定耐用年数の目安
築年数 | 木造 | 鉄骨造 | RC造 |
---|---|---|---|
~10年 | 70~80% | 80~85% | 85~90% |
20年 | 40~50% | 55~65% | 65~75% |
30年 | 20~30% | 35~45% | 50~60% |
40年以上 | 0~20% | 20~30% | 30~40% |
リフォームや耐震補強をしている場合は、+5~10%補正することがあります。
築13年ぐらいの木造戸建だった。色々調べた結果、次のことが分かった。
- 公示地価:40万円/㎡
- 土地面積:120㎡
- 再建築費:3,000万円
- 残存価値率:0.4
- 持分割合:2分の1
- 評価割合40%の場合
上記の内容を計算式に当てはめたところ、評価額は1,200万円だった。
- 共有持分の評価額=((40万円 × 120㎡ × 2分の1) + (3,000万円 × 0.4 × 0.5)) × 40% = 1,200万円
【方法⑥】土地に基準地価、建物に再建築費を使う
基準地価とは、都道府県が発表する土地価格のことです。
公示地価がない場合の代替指標として使います。
基準地価は、国土交通省の不動産情報ライブラリや各都道府県の公式サイトで調べられます。
こちらは、令和6年東京都の基準地価格です。
↓↓
- 共有持分の評価額 =((基準地価 × 土地面積 × 持分割合)+(再建築費 × 残存価値率 × 持分割合)) × 評価割合(30%~50%)
どの計算方法でも、評価割合30%~50%をかけます。
共有持分の評価が低い3つの理由
- 活用しづらい
- トラブルが起きやすい
- 買い手が少ない
それぞれ詳しくご案内します。
【理由①】活用しづらい
共有持分の所有者が持っているのは所有権の一部だけです。
活用するには、他の人の同意が必要です。
- 共有不動産の活用
活用方法 | 内容 | 例 | 共有者の同意 |
---|---|---|---|
管理 | 利用する行為 | 第三者への賃貸 | 過半数の同意が必要 |
変更(小) | 著しい変化を伴わない行為 | 間取りを変えないリフォーム | 過半数の同意が必要 |
変更(大) | 形または性質に変化を与える行為 | 共有物全体の売却、大規模な修繕 | 全員の同意が必要 |
共有者が増えるほど不動産を活用するのに時間がかかります。
そのため共有持分を取得した買取業者は、全体の所有権を得るために、他の共有者の持分も購入して単独名義にし、リフォームをして再販するなどの活用をします。
【理由②】トラブルが起きやすい
共有持分はお金と人間関係が絡むためトラブルになりやすいです。
①持分の売り手と買取業者、②持分の売り手と他の共有者、③買取業者と他の共有者の間で、トラブルになることがあります。
トラブルとは、例えば、次のようなことです。
- 税金や費用の負担で揉める
- 使用方法で揉める
- 売却時期で揉める
- 裁判を提起される
時に裁判になるなど、買い手にとってリスクがあります。
活用するまでの時間や手間、訴訟のリスクなどを考慮する必要があるため、その分、評価は下がります。
【理由③】買い手が少ない
ここまでにご案内した通り、共有持分の活用には制限やリスクがあるため、普通の不動産より市場での需要が低いです。
次のような不動産会社では、査定を依頼しても断られることがほとんどです。
- 大手の不動産会社
- 一般的な不動産会社
- 地場の不動産会社
買取に対応できる業者が少なく、価格競争が起きづらいため、単独名義の不動産と比べて価格は安くなります。
共有持分の評価を依頼するなら買取業者?仲介業者?
- 買取業者と仲介業者の違い
内容 | 買取業者 | 仲介業者 |
---|---|---|
売却価格 | 仲介より安い | 実勢価格の30%~50% |
売却スピード | 数日~数週間 | 数日~数週間 ※買取より時間がかかることが多い |
手数料 | なし | 仲介手数料が発生 |
買主 | 買取業者 | 買取業者、投資家、大家など |
交渉の手間 | 基本的にかからないが、業者によっては価格や条件の交渉有り | 基本的にはかからないが、業者によっては価格や条件の交渉有り |
評価基準 | 業者ごとに違う | 業者ごとに違う |
まず、大前提として、共有持分に対応している業者に依頼してください。
訳あり物件の会社や共有不動産の専門会社がありますが、できれば共有不動産を専門としている会社をお探しください。
その上で、高く売却したい場合は仲介業者に依頼してください。
早く現金化したい場合は買取業者に依頼してください。
ただし、中には安く買い叩こうとする悪質・悪徳な業者がいます。
自分で計算した金額より査定額が低い場合は、理由を必ず聞いてください。
共有持分の評価に対応している5社
- 共有持分支援協会
- 中央プロパティー
- 大正ハウジング
- クランピーリアルエステート
- アルバリンク
それぞれ詳しくご案内します。
共有持分支援協会
共有持分を専門に取り扱う社団法人です。
独自のネットワークを持つ仲介システムで、高額売却を実現しています。
早く現金化したい方には、最短2日での買取を行っています。
その際、最短翌日に手付金を先に渡しています。
持分の一部売却やリースバックにも対応できるほど、専門性が高いです。
社団法人の立場で、親身に丁寧に対応しています。
所在地は東京都千代田区丸の内です。
買取方法 | 仲介、買取 |
---|---|
高値売却 | 〇 |
売却日数 | 2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 手付金(最短翌日)・持分の一部買取、持分のリースバック |
中央プロパティー
共有持分専門の仲介業者です。
独自の入札制度で高値での売却をサポートしています。
弁護士が無料で面談に同席するサービスを提供しています。
創業は2011年で、所在地は東京都千代田区丸の内です。
買取方法 | 仲介 |
---|---|
高値売却 | 〇 |
売却日数 | 5日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | AI×鑑定士のダブル査定 |
大正ハウジング
共有持分専門の買取業者です。
弁護士事務所と提携しています。
センチュリー21加盟店です。
創業は1995年で、所在地は東京都北区昭和町です。
- ポイント
買取方法 | 買取 |
---|---|
高値売却 | △ |
早期売却 | 最短1週間~ |
専門家の在籍 | 弁護士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 無し |
クランピーリアルエステート
共有持分を含む訳あり物件専門の買取業者です。
相談対応の実績は年間3,000件を超えています。
弁護士・司法書士と提携してサポートする体制があります。
自社買取を前提とした高額の買取を行っています。
創業は2018年で、所在地は東京都中央区築地です。
買取方法 | 買取 |
---|---|
高値売却 | △ |
売却日数 | 2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 現況のまま買取に対応 |
アルバリンク
共有持分を含む訳あり物件に特化した買取業者です。
累計100件超の共有持分の取り扱い実績があります。
創業は2011年で、所在地は東京都江東区木場です。
買取方法 | 買取 |
---|---|
高値売却 | △ |
売却日数 | 数日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 東京プロマーケット市場に上場 |
まとめ
共有持分の評価額の算出方法をご案内いたしました。
自分で算出した評価額はあくまで参考値です。
正確な金額を知りたい場合は業者に査定を依頼してください。