テキスト |
テキスト |
相続税とは、被相続人(亡くなった方)の財産を受け継いだ際に課される税金です。近年は制度改正の影響などにより、相続税の対象となるケースが増えてきていますが、遺産総額が一定額を下回っている場合は相続税を支払わずに済むことをご存じでしょうか。
この記事では、相続税がかかるか否かを左右する「基礎控除」を中心に、相続税のしくみや計算方法、さらには控除制度を活用した節税方法などをわかりやすく解説します。これから相続税の対策を検討したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の作成者

共有持分支援協会の代表相談員
大阪府出身。プロ野球選手を夢見て、名門PL学園から亜細亜大学に進学。度重なるケガでプロの夢を諦めるも、大手不動産会社に就職。持ち前のバイタリティで営業成績もトップクラスを誇る。共有持分を買取る投資家、不動産業者とのパイプも太い。
相続税の基礎控除とは
ここでは、相続税の基礎控除がどのような目的で設けられ、どのような場面で適用されるかをご紹介します。相続税の第一歩として、まずは基礎控除の制度を正しく理解しておきましょう。
相続税の基礎控除の基本
相続税とは、相続によって財産を取得した場合に課される税金のことで、財産額が大きいほど高い税率が適用される「累進課税制度」が導入されています。しかし、すべての相続に無差別に課税が行われるわけではありません。
基礎控除とは、課税の対象となる相続財産の評価額から一定額を差し引く制度です。遺産総額が基礎控除額を越えなければ相続税の申告は不要であるため、相続税を支払うかどうかを判断する際に、最初に確認すべき大切なポイントが基礎控除額であるといえます。
この基礎控除を正しく把握しておくことで、相続税がかかるかどうかの目安をつかむことが可能になります。相続税の申告が不要になれば、相続にまつわる手続きが大幅に軽減されます。
基礎控除額の算出方法
基礎控除は、以下の計算式で算出されます。
「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」
例えば法定相続人が2人であれば、「3,000万円 + 600万円 × 2 = 4,200万円」が基礎控除額となります。基礎控除額が4,200万円の場合には、相続財産の評価額が4,200万円以下であれば相続税を支払わなくてもよいということです。
このように、法定相続人の人数によって基礎控除額が変動する点が相続税計算の大きな特徴といえます。相続人が多ければ多いほど控除額が大きくなり、相続税を支払う必要がなくなる可能性が高まるため、自分の家族構成をしっかり把握しておくことが大切です。
法定相続人に関する基礎知識
基礎控除額の計算では、法定相続人の人数が重要な要素になります。ここでは、民法で定められた法定相続人の定義や人数の数え方について詳しく解説します。
法定相続人の定義
法定相続人とは、民法により相続権が認められる親族を指します。具体的には、以下の順位で相続人が決定されます。
- 第一順位:子(すでに亡くなっている場合は孫が代襲相続)
- 第二順位:父母(すでに亡くなっている場合は祖父母)
- 第三順位:兄弟姉妹(すでに亡くなっている場合は甥や姪)
第一順位に該当する相続人がいれば第二順位や第三順位には相続権が及びません。子が既に亡くなっているケースでは、その子ども、つまり被相続人からみて孫にあたる人物が代襲相続人となり、相続権を引き継ぎます。
したがって正しい法定相続人を数えておくことが、基礎控除額を正確に把握するうえで極めて重要です。万一、法定相続人を誤って把握していると、控除額が正しく算出できず、結果として相続税の計算に誤差が生じる恐れがあります。
制度改正による基礎控除額の引下げ
実は、2015年1月1日以降に基礎控除額が引き下げられたことによって、相続税の課税対象となる人が増加しています。改正前は「5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人の数」という算出式が用いられていましたが、現在は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」に変更されています。
これにより、控除できる金額がかつてより少なくなり相続税の申告義務が生じるかどうかのラインが大きく下がったのです。例えば、同じ法定相続人の数であっても、相続財産が改正前ならば非課税だったケースが、改正後には課税対象になる可能性があります。
こうした相続税に関する法律や制度は、国の財政や社会状況の変化に合わせて改正が行われることがあるため、常に最新動向をチェックしておくことが大切です。
基礎控除以外の控除
相続税の負担を抑えるうえでは、基礎控除だけでなく他の控除制度を有効活用することが重要です。ここでは、代表的な控除制度とその概要をご紹介します。
配偶者控除
配偶者が相続する財産については、税法上大変優遇されています。具体的には、1億6,000万円まで、または法定相続分相当額までのどちらか大きい方の金額までは、配偶者には相続税がかかりません。配偶者が主な財産を相続する場合、相続税額が大幅に軽減またはゼロとなるケースが多くなります。
この制度はいわゆる「配偶者の税額軽減」と呼ばれ、今日ではもっとも広く活用されている相続税の軽減策の一つといえるでしょう。夫婦間での財産承継を円滑にする意味でも重要な控除制度です。
未成年者控除・障害者控除・贈与税の配偶者控除
配偶者控除以外にも、相続人の年齢や健康状態、生前贈与などに応じて以下のような控除制度が設けられています。
- 未成年者控除:一定の年齢に達するまでの年数をもとに所定額を控除
- 障害者控除:相続人が障害を持っている場合、年齢に応じた所定額を控除
- 贈与税の配偶者控除:生前贈与を活用すれば、2,000万円までが非課税となる
いずれの控除も相続人の状況によって適用の可否や控除額が異なるため、実際に適用する際には税理士などの専門家に相談することをおすすめします。これらの制度を組み合わせることで最終的な相続税負担を大幅に抑えられる可能性があります。
相続税の計算方法
ここでは、相続財産の評価から相続税の算出までの大まかな流れと、実際の税率がどのように設定されているのかを見ていきます。計算手順を正確に理解しておくことで、ミスのない申告を行いやすくなります。
相続税計算の手順
相続税を算出するには、以下の手順を踏むのが一般的です。
- 相続財産の洗い出しと評価:土地・建物・預貯金など、プラスの財産とマイナスの財産(借入金や未払い税金など)をすべてリストアップ
- 純資産額の確定:プラスからマイナスを差し引いた正味の遺産額を出す
- 基礎控除の適用:前述の計算式(3,000万円+600万円×法定相続人の数)で求めた額を純資産額から差し引く
- 法定相続分で一旦試算:課税対象となる遺産額を法定相続人がそれぞれの法定相続分で受け取ったものとして、相続税総額を計算
- 実際の分割割合による再配分:相続税総額を、実際に取得した財産の割合に応じて各相続人に割り当て
このように、相続財産の確定から実際の税金額までには複数のステップがあるため、一部でも誤りがあると最終的な金額に大きなズレが生じる可能性があります。計算をする際は十分注意しましょう。
相続税率と累進課税
相続税においては、課税対象となる遺産額が大きくなるほど税率が高くなる「累進課税」制度が採用されています。以下のように段階的な税率と控除額が設定されています。
課税対象となる所得金額 |
税率 |
控除額 |
1000円以上1,949,000円以下 |
5% |
なし |
1,950,000円以上3,299,000円以下 |
10% |
97,500円 |
3,300,000円以上6,949,000円以下 |
20% |
427,500円 |
6,950,000円以上8,999,000円以下 |
23% |
636,000円 |
9,000,000円以上17,999,000円以下 |
33% |
1,536,000円 |
18,000,000円以上39,999,000円以下 |
40% |
2,796,000円 |
40,000,000円超 |
45% |
4,796,000円 |
財産額が大きくなるほど負担が増していくため、生前からの節税対策が非常に重要です。
相続税対策の重要性
相続税の制度は複雑であり、とくに大きな財産を持つ方や家族構成が多様なケースほど慎重な対策が求められます。ここでは、早めの準備や専門家活用がなぜ重要なのかを説明します。
早期対策と専門家の活用
相続税対策は、被相続人が元気なうちから取り組むことで、より選択肢の幅が広がります。例えば、生前贈与によってあらかじめ財産を移転しておく方法や、遺言書を作成しスムーズな分割を促す方法など、時間があるほど最適なプランを用意しやすくなるのです。
また、相続税に精通した税理士や弁護士に相談することで、控除制度の活用や遺産分割のシミュレーション、あるいは相続税申告の手続きまで、トータルでサポートを受けられます。早期に専門家へ相談するほど節税やスムーズな手続きの可能性が高まるため、悩んだ際は積極的にプロの力を借りましょう。
まとめ
相続税の基礎控除を把握することで、相続税がかかるかどうかや、さらなる税額控除の可能性を見極めやすくなります。相続税は財産評価から計算手順にいたるまで複雑ですが、基礎知識を踏まえることで適切な対処が可能です。
これを機に早めの相続対策を検討してみてはいかがでしょうか。将来的な負担を減らし、家族が安心して相続を迎えられるためにも専門家の活用を含めた具体的な行動に移すことをおすすめします。
関連記事
親子の共有名義は本当に得なのか、相続の場面を迎えてから後悔しないためにはどんな点に注意すればいいのか、気になる人は多いです。購入できる物件の...
親子や兄弟など複数人で名義を共有している不動産は、固定資産税の扱いが複雑になりがちです。仮に共有者の一部が払わない状況になると、代表者や他の...
疎遠な相手でも相続が発生する可能性があり、その際に相続放棄を考える方は多いかもしれません。ここでは、その検討や手続きの流れを具体的に解説し、...
あなたの共有名義・持分の悩みに、
当協会が親身になって対応いたします。
共有持分の専門機関だから
最適な解決案を提示できます
- 受付時間
- 9:00~18:00(土日も対応可)
※対応エリアは一都三県(東京・神奈川・埼玉・千葉)です
▲