共有持分とは?メリット・デメリット、解消方法を解説

「共有持分って何?共有名義や区分所有の違いは?」
「共有持分を相続したけど、どうしたらいいんだろう?」

このように考えていませんか?

このページでは、共有持分についてプロが詳しく解説します。

この記事の作成者

専門相談員 康原 工偉智Koichi Yasuhara

共有持分支援協会の代表相談員
大阪府出身。プロ野球選手を夢見て、名門PL学園から亜細亜大学に進学。度重なるケガでプロの夢を諦めるも、大手不動産会社に就職。持ち前のバイタリティで営業成績もトップクラスを誇る。共有持分を買取る投資家、不動産業者とのパイプも太い。

共有持分とは?共有名義や区分所有との違いをわかりやすく解説

共有持分とは?1つの不動産に複数の所有者がいる状態で、各所有者が持つ権利の割合のことです。

共有名義とは、1つの不動産に対して、複数の共有者が登記している状態のことです。

区分所有とは、分譲マンションのように建物を部屋ごとに分けて、それぞれが所有する形態のことです。

共有持分は「権利の割合」、名義は「状態」、区分所有は「形態」を表します。

不動産が共有持分になる3つのケース

3つのケース
  1. 相続
  2. 共同購入
  3. 共同出資

詳しくご案内します。

【ケース①】相続

子供が複数いる親が不動産を残して亡くなった場合、各相続人に不動産を分けるために、不動産を共有名義で相続登記します。

遺言書もしくは、遺産分割協議などで不動産の持分を決めます。

共有持分の割合は、次の内容で決まります。

  • 遺言書がある その遺言書の通りに決まる
  • 遺言が無い 法定相続分にもとづいて決まる
  • 遺産分割協議をする 相続人全員の合意で自由に決める

例えば、実家を兄弟3人で相続する場合に遺産分割協議をして、持分を均等に3分の1ずつにする

【ケース②】共同購入

共同購入とは、2人以上の人が一緒にお金を出し合って1つの不動産を購入することです。

夫婦や親子などの複数人で資金を出し合って、共有名義でマイホームを共同購入します。

持分は出資割合で決まります。

例えば、夫婦の共有名義でマイホームを共同購入し、同じ割合でお金を出した場合、共有持分は2分の1ずつです

【ケース③】共同出資

共同出資とは、会社経営者や投資家が共同で出資し、投資用の不動産を共有名義で購入することです。

この場合は、出資比率に応じて持分を決めます。

例えば、A社長とB社長、C社長の3人で3分の1ずつ出資しマンション一棟を購入した場合、出資比率と同じ共有持分にする契約をすることがほとんどです。

共有持分の6つのメリット

6つのメリット
  1. 相続税を軽減できる
  2. 税金・修繕費などを分担できる
  3. 共有者ごとに特別控除を受けられる
  4. 空き家特例を受けられる
  5. ローンを組みやすい
  6. 共有者ごとに住宅ローン減税を受けられる

それぞれご案内します。

【メリット①】相続税を軽減できる

共有名義の場合の相続税の対象は、不動産全体ではなく、被相続人(亡くなった人)の持分だけです。

例えば、夫婦が共有名義で購入した8,000万円の家があり、持分は2分の1ずつの状態で夫が亡くなったら、課税対象は8,000万円ではなく、4,000万円です。

ただし、相続財産が基礎控除よりも低い場合は、節税できません。

例えば、相続した不動産の評価額は3,000万円で、基礎控除額は3,600万円(相続人は妻1人)の場合、評価額から基礎控除額を引くと、-600万円です。

この場合は相続税はかかりません。

参考)国税庁HP「No.4152 相続税の計算

【メリット②】税金・修繕費などを分担できる

固定資産税(不動産の税金)や維持費、修繕費は、持分に応じて各共有者が負担しま
す。(民法253条)

例えば、親子2人の共有名義の不動産があり、建物の修繕に50万円かかった場合、持分が2分の1ずつなら、25万円ずつ負担することになります。

各共有者で負担する費用の例は、次の通りです。

  • 固定資産税、都市計画税
  • 土地、建物の修繕に必要な費用
  • 火災保険や地震保険の費用

各共有者で不動産の利用頻度が異なるなど、共有持分の割合だけで修繕費等を負担する割合を決めることが難しい場合は、共有者間で話し合いをして決めます。

【メリット③】共有者ごとに特別控除を受けられる

特別控除とは、マイホームを売却したときの売却益(譲渡所得)に対して、3,000万円の特別控除を受けられることです。

共有名義の場合は、共有持分に応じ、控除を受けられます。

例えば、夫婦の共有名義の自宅があり、持分が夫3分の2、妻3分の1の場合、6,000万円で売却すると、夫は1,000万円に対して課税され200万円の譲渡所得税が発生しますが、妻は課税されません。

特別控除を受けるには、一定の条件があります。

より詳しくは「国税庁HP(No.3302 マイホームを売ったときの特例)」をご覧になってください。

【メリット④】空き家特例を受けられる

親が亡くなる直前まで住んでいた家を相続後に売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度のことです。

例えば、相続した家の持分を1,000万円で売却し、取得費などを差し引いた利益(譲渡所得)が900万円だった場合、税金は発生しません。

譲渡所得900万円から最大3,000万円を差し引くことができるからです。

空き家特例の適用条件の概要は次の通りです。

  • 親が亡くなる直前まで一人で住んでいた家であること
  • 相続から3年が経過する年の12月31日までに売却すること
  • 売却価格が1億円以下であること
  • 家屋を取り壊すか、耐震リフォームを行うこと

空き家特例について、より詳しくは「国税庁HP(No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例)」をご覧になってください。

【メリット⑤】ローンを組みやすい

ローンを組みやすいとは、単独名義で住宅ローンを組むよりも、共有名義で組む方が借りられる額が大きいということです。

ペアローンという夫婦や親子がそれぞれ別の住宅ローンを組み、合算収入で審査を受ける仕組みがあるからです。

具体的には次のように差が出ることがあります。

名義 年収 借入限度額
夫の単独名義 400万円 3,000万円
夫婦の共有名義 800万円(年収合算) 5,000万円

より条件の良い物件を購入できます。

詳しくは、住宅ローンを取り扱う金融機関にご確認ください。

【メリット⑥】共有者ごとに住宅ローン減税を受けられる

住宅ローン控除とは、毎年年末の住宅ローン残高の0.7%がその年の所得税から控除される
減税制度です。

所得税から控除しきれない場合は、翌年の住民税の一部から控除されます。

マイホームを共有名義で購入し、それぞれ住宅ローンを組んだ場合、各共有者は、持分に応じて住宅ローン控除を受けられます。

例えば、夫婦がそれぞれ2,000万円のローンを組み、年末ローン残高が1,500万円だった場合、合計21万円(10.5万/人)の控除を受けられます。

なお、共有者の年収や税額によっては控除を使い切れない場合があります。詳細は”総務省HP 所得税から住宅ローン控除額を引ききれなかった方”をご参照ください。

共有持分の7つのデメリット

7つのデメリット
  1. 土地・建物を自由に使えない
  2. 他の共有者と揉めやすい
  3. 贈与税を支払う可能性がある
  4. 離婚時に財産分与で揉める
  5. 相続人が増えて収拾がつかなくなる
  6. 差し押さえされる可能性がある
  7. 売却価格が安くなる

それぞれ簡単に解説いたします。

売却後に起こるトラブルについては、こちらの「共有持分を売却した後、どうなる?7つのトラブルと6つの対処法を解説」をご覧になってください。

【デメリット①】土地・建物を自由に使えない

不動産の利用や変更などを行う場合は、他の共有者の同意が条件になる場面が多く、単独で

使えないということです。

例えば、建物の増改築をする場合は、共有者全員の同意を取らなければなりません。(民法249条、251条、252条)

【デメリット②】他の共有者と揉めやすい

共有者間で不動産の管理や運用についての考え方の違いで、揉めやすいということです。

次のようなトラブルがあります。

  • 売却や賃貸に関する意見が合わず、共有者間の関係が悪化する
  • 知らない間に持分が第三者へ売却され、第三者と揉める
  • 他の共有者から、共有持分割請求を起こされる

第三者と揉めるとは、例えば、共有者Aさんが持分を買取業者Bに売却した結果、その物件に住んでいる共有者Cさんが、突然業者Bから「家賃の一部負担や修繕費を支払ってほしい」と請求されるといったケースです。
共有物分割請求とは、民法256~258条で認められた権利を使って、共有状態を解消する方法のことです。

詳しくはこちらでご確認ください

【デメリット③】贈与税を支払う可能性がある

他の共有者が放棄した持分は、民法255条により残りの共有者が取得ます。

そのため、放棄すると、他の共有者への贈与とみなされ、贈与税を課されることがあります。

この場合は、有償譲渡にして売買契約を交わせば、回避できます。

事前に、他の共有者と持分の処分方法について合意しておいてください。

【デメリット④】離婚時に財産分与で揉める

財産分与では、不動産の購入時の持分割合に関係なく、原則2分の1ずつ分配します。

そのため、財産分与とマイホームを購入した際の持分割合が一致せずに、揉めることがあります。

【ケース】財産分与で揉めて調停を申し立てた

マイホームの購入時に夫が3,500万円、妻が1,500万円を出して、持分を「7:3」として登記していた。

ある日離婚することになった。

離婚時の財産分与は原則「5:5」だが、夫が「自分が多くお金を出したのだから、7割は欲しい」と主張し、妻が「法律上は半分ずつ」と反論し、話し合いが難航した。

夫は家庭裁判所へ調停を申し立てた。

【デメリット⑤】相続人が増えて収拾がつかなくなる

相続で複数の相続人へ共有持分が引き継がれることで共有者が増加します。

共有状態の解消が更に難しくなります。

【デメリット⑥】差し押さえされる可能性がある

  • 共有者が借金を返済できなくなった
  • 共有者の代表者が税金を滞納した

このような場合、その共有者の持分が差し押さえられたり、競売にかけられることがあります。
例えば・・・

【デメリット⑦】売却価格が安くなる

買取業者は、デメリット①~⑥に対応するコストを踏まえて、価格の査定をするからです。

査定では、次の式を使うことが多いです。

共有持分の売却価格 = 実勢価格 × 持分比率 × 評価割合(30%~50%)

例えば、6,000万円の共有名義の戸建があり、共有持分3分の1だけを売却する場合の相場は、600万円~1,000万円です。

評価割合は買い取る業者によって異なりますので、業者に査定依頼をしてください。

共有持分の8つの解消方法

8つの方法
  1. 持分を他の共有者に売却する
  2. 持分を第三者に売却する
  3. 協議して単独名義にする
  4. 共有者間で協議して分筆する
  5. 他の共有者の持分を買取する
  6. 持分を他の共有者に贈与する
  7. 共有持分を放棄する
  8. 共有物分割請求で分割する

それぞれご案内します。

【方法①】持分を他の共有者に売却する

信頼関係がある家族や親族に売却する方法です。

この場合、買取業者などの第三者に売却するよりスムーズで、トラブルの心配もありません。

資金に余裕がある親族が、実勢価格に近い価格で買い取れば、贈与と見なされる心配もありません。

ただし、安く売却すると贈与と見なされ、買手に贈与税がかかります。

【方法②】持分を第三者に売却する

専門の不動産会社や投資家、個人の第三者に売却する方法です。

共有持分だけなら、自分だけの意思で売却できます。

他の共有者の同意は不要です。

一般的な不動産会社では断られますので、共有持分の専門業者に依頼してください。

共有持分の買取について、より詳しくは「共有持分の買取をプロが解説!」をご覧になってください。

【方法③】協議して単独名義にする

共有者同士で話し合い、単独名義にすることで共有状態を解消するという方法です。

単独名義にすれば、売却や賃貸に出す際に他の共有者の同意が不要で、意思決定が早いです。

例えば、兄弟で相続した家を長男が買取って単独名義にした場合、長男の意思だけでリフォームしたり、売却したり、賃貸したりできます。

利益を計算して、リフォームしてから売却することも自由にできます。

【方法④】共有者間で協議して分筆する

共有者同士で協議し、不動産を分筆する方法です。

分筆とは、一つの土地を区画ごとに切り分けて、新しい土地として登記することです。

次のように共有部分を物理的に分けることで、それぞれ単独名義として所有できるようになります。

  • 二世帯住宅を左右で分け、親世帯と子世帯の単独所有にする
  • 土地を南北で分筆し、それぞれ別の所有者として登記する

【方法⑤】他の共有者の持分を買取する

他の共有者の全ての持分を、あなたが買い取る方法です。

全ての持分を取得すると単独名義になり、不動産の利用や売却を自由に行えるようになります。

例えば、兄弟で共有していた持分をあなたが買取ることで、自分の判断で不動産の売却や賃貸などができます。

【方法⑥】持分を他の共有者に贈与する

持分の贈与とは、共有持分(所有権)を他の共有者に無償で譲り渡す方法です。

生前に贈与しておくことで、相続発生時の相続人の税金負担を軽くできます。

持分贈与の主な目的は、次の通りです。

  • 生前贈与で、相続税の負担を抑える
  • 家族間のトラブルを防ぎやすくする
  • 管理や責任の所在を明確にする
  • 次世代へ資産承継する

【方法⑦】共有持分を放棄する

民法255条により、共有持分は自由に放棄することができます。

放棄された持分は、自動的に他の共有者の所有になりますが、手続きとしては、持分移転登記を行う必要があります。

例えば、2人兄弟で持分2分の1ずつの家があり、兄が放棄する場合、兄は弟に放棄の意思を表明した後、2人で共同で持分移転登記をします。

(関連する法律 不動産登記法第60条)

共有持分の放棄は、税務上贈与と見なされます。

持分を贈与された共有者は、年間110万円の基礎控除枠を超えた額に対して贈与税の納付をしなければなりません。

【方法⑧】共有物分割請求で分割する

共有物分割請求とは、民法256~258条で認められた権利を使って、共有状態を解消する方
法のことです。

共有者の一人が共有物分割請求をした後、全員で分割について協議します。

合意が難しい場合は、裁判所に申し立てて分割します。

分割方法は3つあります。

  • 3つの分割方法
分割方法 説明
現物分割(土地の場合のみ) 共有の土地を持分割合で物理的に分けて単独所有にする方法
代償分割 共有者の1人が他の共有持分を全て買取し、単独所有にする方法
等価分割 共有不動産全体を売却し、売却代金を持分に応じて分配する方法

共有物分割請求は、協議だけでなく、裁判もするとなると、相応の時間やコストがかかります。

裁判になると共有者間と関係は悪化します。

共有持分の売却先を選ぶ5つのポイント

ポイント 概要 対策
①買取スピード その業者に迅速に買取れるだけの知識や経験がある ホームページで買取日数をチェックする
②買取価格 高く買取るだけの知識や経験がある より多くの現金を手にするなら仲介業者を選ぶ
③信頼性 悪質・悪徳な業者を避け、良い業者に依頼できる インターネット上にあるの口コミや評判をチェックする
④専門性 共有不動産は法的に押さえることが多々あり、時にトラブル対応が必要 提携している士業や共有持分を専門としているかなど確認する
⑤対応エリア 対応エリア内の不動産を熟知しており、迅速な現金化や高価買取をしてもらえる 売却したい不動産がある地域に対応している業者を選ぶ

共有持分の買取業者を選ぶ方法について、より詳しくは「共有持分の買取業者22社!選ぶ時のポイントも解説」をご覧になってください。

共有持分の買取業者5社

共有持分の買取や仲介に対応している業者をご案内します。

一般社団法人共有持分支援協会

共有名義・共有持分を専門に取り扱う社団法人です。

独自の仲介システムを使って共有持分を高額で売却しています。

現金化を急いでいる方には、持分を最短2日で買取しています。

最短翌日に手付金を渡しています。

所在地は東京都千代田区丸の内です。

株式会社中央プロパティー

共有持分専門の仲介業者です。

累計4万件超の相談・トラブル解決の実績を持っています。

弁護士が無料で面談に同席するサービスを提供しています。

創業は2011年で、所在地は東京都千代田区丸の内です。

株式会社 蒼悠(港コンサルティング 共有持分サポート)

共有持分専門の買取業者です。

累計約5,000件の相談とお客様満足度92%の実績を持っています。

最短3日での買取に対応。

全国の投資家との連携協力を活かして、売却困難な不動産で高価買取を実現しています。

創業は2014年で、所在地は大阪市港区磯路です。

株式会社マーキュリー

共有持分など不動産の問題解決を得意とする買取業者です。

弁護士やファイナンシャルプランナーなどと連携した提案をしています。

即日での買取・決済に対応しています。

創業は2004年で、所在地は東京都港区新橋です。

株式会社大正ハウジング

センチュリー21加盟店で、共有持分の買取を行っています。

申し込み後、1週間での決済に対応しています。

創業は1995年で、所在地は東京都北区昭和町です。