共有不動産を現金化する5つの方法と売却の流れについて解説

「共有不動産を現金化したい」
「早く現金化するなら買取業者がいいかな?」

このように悩んでいませんか?

このページでは、共有不動産の現金化の方法を、プロが分かりやすくご案内します。

この記事の作成者

専門相談員 康原 工偉智Koichi Yasuhara

共有持分支援協会の代表相談員
大阪府出身。プロ野球選手を夢見て、名門PL学園から亜細亜大学に進学。度重なるケガでプロの夢を諦めるも、大手不動産会社に就職。持ち前のバイタリティで営業成績もトップクラスを誇る。共有持分を買取る投資家、不動産業者とのパイプも太い。

共有不動産を現金化する6つの方法

現金化する6つの方法
  1. 買取業者に売却する
  2. 仲介業者に売却する
  3. 共有者全員で協力して売却する
  4. 他の共有者の持分を買い取って売却する
  5. 他の共有者へ売却する
  6. 共有物分割請求訴訟をする

あなたの共有持分は、他の共有者の同意や許可などが無くても、あなたの意思で自由に売却できます。民法206条

6つの方法について、詳しくご案内します。

【方法①】買取業者に売却する

買取業者とは、共有持分のみを直接買い取る不動産会社のことです。

メリットは次の通りです。

  • 現金化が早い
  • 売却の手続きが簡単

デメリットは次の通りです。

  • 市場価格より安くなる
  • 悪質な業者だとトラブルになる

現金化が早いのは、業者が直接買取るからです。

例えば、最短2日で買取ってくれる業者がいます。

共有持分の買取金額の相場は、次の計算式で算出できます。

買取金額=実勢価格(じっせいかかく) x 持分 x 評価割合(30%~50%)

例えば、相続した6,000万円の実家があり、あなたの持分が6分の1の場合、1,000万円ではなく、300万~500万円になるということです。

より詳しくは「共有持分の買取相場は一般の不動産価格の30~50%!」でご確認いただけます。

【方法②】仲介業者に売却する

仲介業者とは、不動産を売りたい人(売主)と買いたい人(買主)の間に入り、売買契約を成立させる会社のことです。

メリットは、買取よりも高額で売却できることです。

デメリットは、買取よりも現金化に時間がかかることです。

早く現金化したいなら買取業者、高く売って多くの現金を残したいなら仲介業者に依頼してください。

【方法③】共有者全員で協力して売却する

共有者全員とは、共有している不動産を所有している全ての名義人のことです。

全員で協力して、単独名義の不動産にして売却する方法です。

この方法のメリットは次の通りです。

  • 市場価格で売却できる(高く売れる)
  • 共有状態を解消できる

高く売れる理由は、不動産全体として売却できるからです。

例えば、実勢価格が4,000万円の不動産なら、その前後の価格で現金化できます。

現金化したら、持分に応じて分配をします。

持分が4分の1なら、4,000万円で売却した場合は、1,000万円から手数料などを引いた額を受け取ることができます。

デメリットは次の通りです。

  • 共有者全員の同意が必要
  • 売却までに時間が掛かる
  • 現金の分配で揉めることがある

全員が経済的に余裕があり、円滑にコミュニケーションできる状態なら、この方法をご検討ください。

【方法④】他の共有者の持分を買い取って売却する

自分以外の共有者の持分を買い取って、単独名義にしてから売却して現金化する方法です。

メリットは、市場価格で売却できることです。

デメリットは次の通りです。

  • 多額の資金が必要
  • 他の共有者との交渉が必要

他の共有者の持分を買い取る資金と、リフォームなどをして売却する時間や専門的な知識と経験があれば、ご検討ください。

【方法④】他の共有者へ売却する

あなたの持分を欲しがっている他の共有者に売却して現金化する方法です。

メリットは、買取業者に売却するよりも、高額で売却できる可能性が高いことです。

デメリットは次の通りです。

  • 相手に買う意思やお金が必要
  • 価格の交渉をする必要がある
  • 訴訟されるリスクがある

もし相手が「買い取りたい」と言ってきたら、金額の算出をして、妥当な範囲なら前向きのご検討ください。

価格などで、折り合いがつかない場合は、共有物分割請求訴訟を提起される可能性があります。

【方法⑥】共有物分割請求訴訟をする

共有物分割請求訴訟とは、共有者間の話し合いで解決できない場合に、裁判所に分け方を決めてもらう手続のことです。

判決結果は①現物分割、②代償分割、③換価分割の3パターンあり、多いのは、換価分割(とうかぶんかつ)です。

これは、共有不動産を第三者に売却し、その売却代金(現金)を持分に応じて分けるという方法のことです。

メリットは法的な強制力があることです。

共有者間の同意がなくても、一方的に手続きを進められます。

デメリットは次の通りです。

  • 裁判の費用と時間が掛かる
  • 思い通りの判決を得られるとは限らない

より詳しくはこちらの「共有物分割請求訴訟とは?」をご一読ください。

共有不動産を現金化した場合の相場は30%~50%

共有不動産のを売った場合の相場は、次の計算式で算出できます。

買取価格=実勢価格×持分割合×評価割合(30~50%)

買取業者・仲介業者は、この計算式を採用しています。

例えば、相続した実家が6,000万円で、持分が4分の1の場合、業者に売却すると450万円~750万円です。

評価割合をかける理由は、他の共有者とのやり取りや固定費の負担(税金、修繕費など)、トラブルがあった場合の対応をする必要があるからです。

仲介の方が時間はかかりますが、買取よりも高く売れます。

より多くの現金が必要な場合は、仲介での売却をご検討ください。

他の共有者に売却する場合は、交渉と状況によっては1,500万円程度で購入してくれる可能性があります。

というのも、こちらの計算式を使うことが多いからです。

買取価格=市場価格×持分割合

ですが、他の共有者が「買い取りたい」と言ってくることは、レアケースです。

共有不動産を現金化する流れ【パターン別】

パターン別の現金化の流れ
  1. 買取業者に売却する流れ
  2. 仲介業者に依頼する流れ
  3. 共有者全員で協力して売却する流れ

詳しくご案内します。

【パターン①】買取業者に売却する流れ

買取業者の流れ
  1. 依頼者が査定を依頼する
  2. 査定額の提示を受ける
  3. 書類を準備する
  4. 売買契約を締結する
  5. 決済する
  6. 所有権が移転される
  7. 譲渡税の申告をする

先ほどもご案内しましたが、買取業者とは、共有持分を買い取ってくれる業者のことです。

メリットは早く現金化できることです。

デメリットは悪質・悪徳な業者がいることです。

悪質・悪徳な業者とは、安く買い叩こうとしたり、不利な条件を押し付けてきたりする業者です。

買取業者は慎重に選んでください。

詳しくはこちらの「共有持分の買取をプロが解説!メリットや金額の相場、流れなどが分かる」でご案内していますので、ご一読ください。

所有権の移転を行うのは、ほとんどの場合、買取業者です。

【パターン②】仲介業者に依頼する流れ

仲介業者の流れ
  1. 依頼者が査定を依頼する
  2. 媒介契約を締結する
  3. 販売活動を開始する(仲介業者が行う)
  4. 売買契約を締結する
  5. 決済する
  6. 所有権が移転される
  7. 譲渡税の申告をする

先ほどもご案内しましたが、仲介業者とは売り手と買い手の間に入る業者のことです。

メリットは買取よりも高く売れることです。

デメリットは買取よりも時間がかかることです。

高く売れる理由は、仲介業者の販売活動により、多くの買い手にアプローチし、できるだけ高い金額を提示した買主に売却するためです。

所有権の移転を行うのは、ほとんどの場合、買主です。

【パターン③】共有者全員で協力して売却する流れ

全員で売却する流れ
  1. 共有者間で協議し、単独名義にする
  2. 依頼者が査定を依頼する
  3. 書類を準備する
  4. 売買契約を締結する
  5. 決済する
  6. 現金を持分に応じて分ける
  7. 所有権を移転する
  8. 譲渡税の申告をする

売却するには、共有者全員の同意が必要です。

共有者の1名の単独名義にして、買取業者や仲介業者に売却し、その売却代金から諸経費を差し引き、持分に応じて現金を分けます。

共有者間で信頼関係が構築できているなら、この方法が最も金銭的なメリットが大きいです。

共有不動産の現金化の依頼先を選ぶ6つのポイント

買取業者を選ぶ6つのポイント
  1. 早く買い取ってくれる
  2. 買取実績が豊富にある
  3. 専門性が高い
  4. 信頼性がある
  5. 担当者の対応が良い
  6. 口コミや評判が良い

詳しくご案内します。

【ポイント①】早く買い取ってくれる

理由は、早く買い取ることができるほど、共有不動産についてのノウハウがあるからです。

早く買い取ってくれれば、現金が早く手に入ります。

業者のホームページで、買取までの最短の日数をご確認ください。

【ポイント②】買取実績が豊富にある

理由は、共有不動産は一般的な不動産よりも権利関係が複雑だからです。

実績が多いほど、経験値が豊富ということです。

業者のホームページで、具体的な実績や事例の数をご確認ください。

余裕があれば、あなたの状況に近い内容があるかどうかも、ご確認ください。

【ポイント③】専門性の高さ

理由は、共有不動産の取扱いには、専門的な知識と経験が不可欠だからです。

訳あり不動産ではなく、共有持分専門の業者かどうかをご確認ください。

【ポイント④】信頼性がある

理由は、悪質・悪徳な業者がいるからです。

次の情報をホームページでご確認ください。

  • 宅地建物取引業の免許を持っている
  • 弁護士と提携している
  • 企業情報が明確に開示されている

【ポイント⑤】担当者の対応

理由は、担当者の対応で、結果が変わるからです。

ストレス無く、他社よりも高く、早く買い取ってくれることがあります。

次のポイントでチェックしてください。

  • 査定の根拠を数字で提示してくれる
  • こちらの意思を尊重してくれる
  • 無駄なやり取りが無い
  • 返信が早い
  • 適切なタイミングで連絡をしてくる

【ポイント⑥】口コミや評判

理由は、悪質・悪質な業者を避けられるからです。

相続の発生件数の増加とともに、共有不動産を取り扱う不動産会社が増えています。

悪質・悪徳な業者も比例して増えています。

ですので、口コミや評判をご確認ください。

ただし、次のような口コミは鵜呑みにしないでください。

  • 良いことしか書かれていない
  • 具体性が無い

共有不動産を現金化に対応している5社

現金化に対応している5社
  1. 共有持分支援協会
  2. 株式会社クランピーリアルエステート
  3. 株式会社中央プロパティー
  4. 株式会社大正ハウジング
  5. 株式会社ベリーベスト不動産

詳しくご案内します。

共有持分支援協会

共有不動産の仲介と買取をしている一般社団法人です。

仲介では、独自システムで、できるだけ高額で買取ってくれる買主を見つけてくれます。

買取のスピードは最短2日~です。

急いでいる場合は手付金の支払いをしています。

弁護士・税理士と連携しています。

所在地 東京都千代田区丸の内1-4-1 丸の内永楽ビルディング18階
創業・設立の年 2024年
実績数 100件以上
対応エリア 一都三県

株式会社クランピーリアルエステート

共有不動産をはじめとした訳あり不動産専門の買取業者です。

買取は最短2日~です。

相談実績は年間で3,000件以上です。

弁護士・税理士と連携しています。

所在地 東京都中央区築地2-10-6 Daiwa築地駅前ビル9F
創業・設立の年 2018年
実績数 不明(相談は3,000件/年)
対応エリア 全国

株式会社中央プロパティー

共有不動産をはじめとした訳あり不動産専門の仲介業者です。

相談実績は4万件以上です。

弁護士と連携しています。

センチュリー21の加盟店です。

所在地 東京都千代田区丸の内1丁目6番5号 丸の内北口ビルディング23F
創業・設立の年 不明
実績数 不明(相談実績4万件/年)
対応エリア 全国

株式会社大正ハウジング

共有不動産専門の買取業者です。

買取は最短1週間~です。

残置物があっても買取っています。

センチュリー21の加盟店です。

所在地 東京都北区昭和町2-16-1
創業・設立の年 1995年
実績数 不明
対応エリア 一都三県

株式会社ベリーベスト不動産

共有不動産専門の買取業者です。

弁護士や税理士事業を全国展開しているベリーベストグループの会社です。

弁護士・税理士・司法書士と連携しています。

所在地 東京都港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル8階
創業・設立の年 不明
実績数 不明
対応エリア 全国

共有不動産現金化のまとめ

共有不動産の現金化の方法は6つあります。

早く現金化するなら買取業者、高く売るなら仲介業者にご依頼ください。