共有持分の遺産分割協議書の作成方法をわかりやすく解説!

相続が発生したとき、遺産に不動産などの共有持分が含まれている場合は、相続人全員が納得できる形で分割を行うことが大切です。適切に手続きを踏まないとければ、後々トラブルに発展する可能性もあります。

本記事では、共有持分を含む遺産分割協議書の作成方法や必要書類の確認ポイント、作成時の注意点などを詳しく解説します。スムーズな相続手続きのために、ぜひ最後までご覧ください。

この記事の作成者

康原 工偉智Koichi Yasuhara

共有持分支援協会の代表相談員
大阪府出身。プロ野球選手を夢見て、名門PL学園から亜細亜大学に進学。度重なるケガでプロの夢を諦めるも、大手不動産会社に就職。持ち前のバイタリティで営業成績もトップクラスを誇る。共有持分を買取る投資家、不動産業者とのパイプも太い。

共有持分の遺産分割協議書を作成する意味

はじめに、共有持分が発生する相続でなぜ遺産分割協議書が大切なのかを解説します。共有持分とは、一つの不動産を複数の人が一定の割合で所有している状態を指し、相続が関わるとより複雑になりがちです。

共有持分を正しく取り扱うことは、相続人同士の将来的な争いを防ぐうえで欠かせません。とくに、遺産分割協議書をきちんと作成しないと、法務局での登記がスムーズに進まなかったり、のちの手続きで不備が見つかった場合に再協議を余儀なくされたりするリスクがあります。

共有持分を含む相続での典型的なトラブル

遺産に共有持分が含まれる場合、相続人の数だけ不動産の持分が分割されます。きちんと協議せず、分割方法が曖昧なままだと、建物や土地の管理費用、維持費の負担率などで揉めることが少なくありません。

また、誰かが自分だけで売却や処分を進めようとすると、持分を所有している他の相続人の同意が得られず、結果として争いが長引くケースもあります。そのため、最初の段階で遺産分割協議書を作成し、共有持分をどう取り扱うか明確化しておくし、共有持分をどう取り扱うか明確化しておくことが重要です。

相続人を確定するために必要な手順

共有持分を含む遺産分割協議書を作成するには、まず相続人を全員特定しなければなりません。相続人のうちが一人でも漏れてしまうと、その協議自体が無効となる可能性があります。

被相続人が出生してから死亡するまでの戸籍謄本を取得し、婚外子や知られざる養子縁組の有無なども含め、相続人を正確に把握することがポイントです。特に母方や父方など、戸籍の移動が複数にわたる場合には注意が必要です。

戸籍謄本で確認すべき点

戸籍謄本は、被相続人の本籍地で発行されます。結婚や離婚など、人の一生のライフイベントによって本籍地が移動しているケースもあるため、それらをすべて取得する必要があります。

相続人を確認するために、被相続人が転籍や分籍を繰り返している場合でも途切れることなく辿る必要がありますらなければなりません。漏れなく戸籍を調べることがで、後のトラブルを減らすことにつながります。

共有持分の遺産分割協議を進める方法

相続人が確定したら、次に行うのが遺産分割協議です。共有持分に関する協議の場合、全員で合意しなければ正式な効力を持ちません。続いては、共有持分を含めた遺産分割協議を具体的に進める方法や注意点を解説します。

全員の同意を得るための話し合い

相続人が複数いる場合は、全員で話し合う場を設けて、それぞれがどのような希望を持っているかを確認します。不動産を売却して分割するのか、あるいは誰かが不動産を引き継ぎ、その代わりに別の相続人が預貯金を多く受け取るのかといったなど、さまざまな方法が考えられます。

共有持分の調整で注意すべきは、持分をどう配分するかだけでなく、管理や費用負担に関する取り決めも含めることです。もし将来的に売却を検討している場合などは、そのタイミングや条件をあらかじめ協議書に盛り込んでおくと後がスムーズです。

話し合いの過程で起こりがちな課題

共有持分を巡る相続人間の意見対立以外に、「誰が代表して法務局の登記手続きを行うか」「固定資産税などのコストを誰が負担するか」など、実務的な問題も多く出てくる可能性があります。

もし話し合いが難航した場合は、弁護士や司法書士など専門家に相談を行い、法的根拠に基づいたアドバイスを得ることも一つの選択肢です。専門家の助言を得ることで、協議をスムーズに進められるケースも多々あります。

遺産分割協議書の書式と記載内容

遺産分割協議書は、法的に決まった書式はありませんが、記載漏れを避けるために必要な情報をきちんと整理しておくことが大切です。特に共有持分を含む場合、不動産の所在地や地番・家屋番号などが正確に記載されていなければ、後々登記申請が認められない可能性もあります。

協議書の内容が具体的であることは、相続人全員の意思を明確に示すうえで非常に重要です。ここでは、遺産分割協議書に盛り込むべきポイントを詳しく見ていきましょう。

必ず記載すべき情報

協議書には、以下のような情報を過不足なく記載する必要があります。特に被相続人と相続人の情報は、戸籍謄本や住民票と照合したうえで正確に書き写しましょう。

  • 被相続人の氏名と死亡日
  • 被相続人の最後の本籍・住所
  • 相続人の氏名・住所・被相続人との続柄
  • 相続財産の内訳(不動産・預貯金・有価証券など)
  • 各相続人が取得する財産の分割方法
  • 協議書の作成日

上記リストの内容を正確に記載したうえで、相続人全員が実印を押印し、署名を行います。実印を用いることで、公的に本人の意思を確認した証拠となり、法的な効力が認められます。

不動産の記載に関する注意点

共有持分が関係する不動産は、登記簿(全部事項証明書)のとおりに所在や地番を記載することが大前提です。市町村合併や住居表示の実施などにより、実際の住所表記と登記上の記載が異なる場合があるので注意してください。

誤記載があると、法務局での登記申請が受理されない恐れがあります。協議書を作成する段階で改めて法務局や司法書士に確認し、最新かつ正確な登記情報を使用しましょう。

提出する書類のチェック

完成した遺産分割協議書は、相続登記など他の手続きの際に必要となります。とくに共有持分が対象となっている不動産の相続登記をする場合には、協議書の提出が必須です。

また、より強い証拠力を確保したい場合は、公正証書で作成する方法もあります。公証役場で公証人に協議書の内容を確認してもらい、公正証書として保管することで、将来的な争いのリスクを軽減できる点がメリットです。

相続登記の際に必要な求められる書類

不動産の相続登記では、遺産分割協議書以外にもさまざまな添付書類が必要になります。一般的には以下の書類が求められます。なお、共有持分に関する相続登記でも同様の書類が必要です。

  1. 被相続人の戸籍謄本・住民票の除票
  2. 相続人全員の戸籍謄本・住民票
  3. 遺産分割協議書(実印による押印付き)
  4. 固定資産税評価証明書
  5. 法定代理人の印鑑証明書(必要に応じて)

提出先である法務局は、登記が正しく行われるかを厳格にチェックします。書類に不備があれば補正を求められ、時間も手間もかかるため、事前に要件をしっかり確認しておきましょう。

共有持分の遺産分割協議書作成時の注意事項

ここでは、共有持分を含む場合に特に注意すべき点を整理していきます。被相続人の情報や不動産の情報を正確に記載することはもちろんですが、相続人全員の同意を形に残すことも重要です。

実印による署名押印がない協議書がない協議書は効力を疑われる可能性が高く、法務局でも受理されにくくなります。必ず相続人それぞれの実印と印鑑証明書を揃え、正式な手続きを完了させましょう。

日付の記載と保管場所

協議書には作成日を明記し、相続人全員が押印してから日付を確定します。後から修正や追記をするとトラブルのもとになるため、訂正が必要な場合は正しい方法で行いましょう。

また、協議書の原本保管場所をどうするか決めておくと安心です。難しい場合は公正証書にして残す方法を検討してみてください。公正証書であれば原本を公証役場に保管するため、紛失リスクが抑えられます。

共有持分の遺産分割協議書の実践例

実際に遺産分割協議書を作成するときは、各項目を漏れなく正確に記入し、相続人全員で署名押印する必要があります。ここでは、シンプルな文例を挙げながら、そのポイントを解説します。

以下のような項目を盛り込み、共有持分の割合や特記事項を明確にしておきましょう。文面はパソコンで作成しても、手書きで作成しても問題ありません。

項目 記載内容
タイトル 遺産分割協議書
被相続人 氏名、死亡日、本籍、最後の住所
相続人 氏名、住所、続柄
相続財産 不動産、預貯金、有価証券など
分割方法 誰がどの財産をどのように相続するかを明記
署名押印 相続人全員が実印で署名押印

ここでは共有持分に関する具体的な割合を明示し、別の財産をどのように分配するかも同時に記載しておきます。たとえば、土地の持分を長男が2分の1、長女が4分の1、次男が4分の1とするといった形で、数字を明確に書き込むことで後のトラブルを防ぎます。

最後に、作成日や各相続人の押印があることで、法的な証拠力を持った文書となり、相続登記や銀行手続きでも適切に扱われるようになります。

まとめ

本記事では、共有持分を含む遺産分割協議書の重要性や作成手順、注意点を詳しく解説してきました。相続は複雑な手続きの連続ですので、必要に応じて専門家へ相談しながら進めてみてください。

大切な財産を円滑に引き継ぐためにも、ぜひ早めに共有持分の遺産分割協議書の準備を始めましょう。