「相続した共有持分の不動産を買取ってもらいたい」
「離婚するので持分だけ買取ってほしい…」
このように考えていませんか?
このページでは、共有持分の買取りについてプロが分かりやすくご案内します。
目次
共有持分とは?買取ってもらう前に基本をチェック
不動産の共有持分とは
- 共有持分…1つの不動産を複数人が共同で持っている状態で、共有者の1人が所有している権利の割合のこと
こちらのイラストのケースでは、持分の割合は、母が2分の1、兄弟がそれぞれ4分の1ずつです。
↓↓
仮に共有名義の実家の価格が6,000万円なら、弟はその4分の1の1,500万円分の権利を持っていることです。
買取依頼を考えている方は、ご一読ください。
- 共有持分の理解に役立つ3つの用語
用語 | 概要 |
---|---|
①不動産の名義 | 不動産を法的に所有している人の名前のこと(所有権を持つ人の名前)で、不動産の登記簿に記載されている |
②単独名義 | 1つの不動産の所有者として1人の名義(名前)だけ登記されている状態(1人に所有権がある) |
③共有名義 | 1つの不動産に所有者が複数いて、複数の名前(名義)が登記されている状態(複数人に所有権がある) |
あなたの共有持分は、登記簿(登記事項証明書)に記載されています。
画像引用)法務局「法族登記のABC」
費用は490円~600円です。※受け取り方で変わります
不動産が共有名義になるケース
- 相続した(親が亡くなった、など)
- 結婚して住宅ローンで家を購入する
- 生前贈与した(事前の相続税対策)
- 法人と個人とで共有する
- 共同で出資して不動産を購入する
このうち、当協会にご相談いただくことが多いのは、次のようなケースです。
父親が亡くなり、母親と子供3人が自宅(約6,000万円)を相続した。
相続登記をして、母親が2分の1(約3,000万円)、子供がそれぞれ6分の1(約1,000万円)ずつの持分を取得した。
夫婦が共有名義で5,000万円のマンションを住宅ローンで購入した。
収入に応じて、夫が3分の2、妻が3分の1の持分で登記した。
ご相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。
自分の共有持分だけを買取ってもらうことはできる!
ネットで調べると、次のような意見が出てきます。
「共有持分は売却できない。売却するには共有者全員の同意が必要」
「自分の持分だけなら自由に売却できる」
(結局、売れるの、売れないの?)と迷ってしまうかと思います。
売却はできるのですが、共有者の同意の要・不要は、売却のパターンで異なります。
- 「売却のパターン」で異なる共有者の同意の要・不要
売却のパターン | 他の共有者の同意 |
---|---|
①自分の共有持分だけを売却する | 同意は不要 ※自分の意思・判断で自由に売却できる |
②単独名義にして売却する | 全員の同意が必要 |
詳しくご案内していきます。
①自分の共有持分だけを売却する
あなたの共有持分だけなら、他社の同意が無くても、買取ってもらえます。
報告・連絡なども一切不要です。
法的な根拠は次の通りです。
- 民法第206条…所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
当協会が買取をした事例を2つご案内します。
お父様がお亡くなりになり、実家(評価額9,000万円)を相続されることになりました。
お母様が2分の1(4,500万円)、3人のお子様がそれぞれ6分の1(1,500万円)の共有持分を相続されました。
このうち長男様が、他のご家族(共有者)の方々に知らせることなく、その共有持分を「共有持分支援協会」に売却し、その代金をカードローンの返済に充てられました。
今から26年前に、ご夫婦で5,000万円のマンションを共有名義で購入されました。
持分の割合は、ご主人様が3分の2、奥様が3分の1でした。
数年前にお子様が独立され、昨年には住宅ローンも完済されましたが、先日、離婚されることになりました。
離婚調停中、奥様は他の共有者(離婚調停中の配偶者)様に知らせることなく、その共有持分を共有持分支援協会へ売却し、新生活のための資金を確保されました。
ご案内している通り、自分に権利がある共有持分を買取ってもらうにあたって、他の共有者の同意や許可はもちろん、連絡も報告も不要です。
そのため、売却前や売却時に、他の共有者に知られることはありません。
他の共有者は、次のようなパターンで知ることになります。
- 新しく共有者となった買取業者が他の共有者に連絡した
- 他の共有者が何らかの理由で登記情報を確認した
なお、持分を欲しがっている共有者(家族や親族、友人、知人など)が買取を希望する場合も、あなたの判断だけで売却できます。
②単独名義にして売却する
- 単独名義の不動産…名義人が一人だけで、その人の所有権の割合が100%の不動産のこと
単独名義にする場合は、全員の同意が必要です。
兄と弟、妹の3人で6,000万円の実家を、3分の1ずつ相続した。
共有名義の不動産について調べたところ、「単独名義にすると、実勢(じっせい)価格で売却できる」ということが分かった。
共有持分のまま売却すると、持分(2,000万円)の30%~50%(600万円~1,000万円)になるということだった。
そこで全員が同意して単独名義にして売却し、その代金を持分割合に応じて分配した。
- 実勢(じっせい)価格…市場で実際に取引された価格のことで、市場価格、時価などとも呼ばれる
共有持分のまま売却するのと、単独名義にして売却するのとでは、次のように異なります。
- 共有持分と単独名義の売却の違い
比較項目 | 共有持分の売却 | 単独名義で売却 |
---|---|---|
対応可能な買取業者・仲介業者の数 | 少ない | 多い |
売却金額 | 実勢価格の30~50% | 実勢価格 |
現金化のスピード | 数日~数ヶ月 | 協議する分、時間がかかる |
専門家のサポート | 必要なケースがある | 必須 |
売却することで得られる金額(売却益)は、共有持分の場合よりも、単独名義の場合の方が多いです。
ただし、単独名義で売却するには、全ての共有者が協調してやっていけるような状況である必要があります。
共有持分の買取が完了した後はどうなる?メリットとデメリットを解説
共有持分を買取業者に売却するとどうなるか、気にされる方は多いです。
買取ってもらうメリットとデメリットをご案内します。
共有持分を買取ってもらう5つのメリット
- 現金化できる
- 大きな金額が手に入る可能性がある
- 他の共有者の同意などは一切不要
- 共有者間のやり取りなどから解放される
- 固定資産税や管理費などを支払わなくて済む
不動産を売却すれば、数十万円~数百万円、不動産によっては数千万円~数億円の現金を得られます。
所有しているだけで発生する固定資産税や維持費の支払いを巡る、他の共有者(家族や親族、離婚相手など)とのやり取りやトラブルなどから解放されます。
共有持分を買取ってもらう2つのデメリット
- 共有者間でトラブルになることがある
- 悪徳・悪質な業者がいる
売却後によくあるのは次のようなことです。
- 「母が住んでいるのに勝手なことを!」と怒鳴り込んできた
- 「計画(賃貸やリフォーム後の売却など)が台無しだ!」と詰められた
- 買取業者と共有者が揉めた
より具体的なトラブルとその対処法については、こちらの「共有持分を売却した後、どうなる?7つのトラブルと6つの対処法」で詳しくご案内していますので、ご確認ください。
買取った業者の中には、悪徳・悪質な業者がいることがあります。
悪徳・悪質な業者とは、具体的には次のような行為をする業者のことです。
- 契約後に安く買い叩こうとしてくる
- 契約後に追加費用を請求してくる
- 他の共有者に嫌がらせをする
「他の共有者への嫌がらせ」とは次のようなことです。
- 敷地内に無断で入り込む
- 敷地内にゴミを巻く
- ポストから郵便物を抜く
このようなケースに限らず、業者とのやり取りで少しでも「怪しい」と思ったり、違和感を感じたりしたら、消費者ホットラインへご相談ください。
事前の予防方法として、買取に対応している「業者選び」を慎重に行ってください。
共有持分の買取相場は一般の不動産価格の30~50%!
いくらで売れるのか?と調べていると「相場よりも安い」と出てくることがあります。
具体的には一般の不動産(単独名義の不動産)の実勢価格の30%~50%が相場、目安です。
ここからは、「なぜ安くなるのか?」「どのような点が査定で見られているのか?」をご案内します。
共有持分の査定額が安い3つの理由
- 活用しづらい
- リスクがある
- 買手が見つかりにくい
この場合の「活用」とは次のようなことです。
- リフォームして売却する
- 賃貸や民泊に使ったりする
- 駐車場やトランクルームにする
- マンションを建てて売却する
- アパートを建てて賃貸する
共有持分の割合は書類上の数字で、物理的に分けられているわけではありません。
そのため、次のように活用することはできません。
- 戸建の4分の1だけをリフォームして売る ←不可
- 戸建の6分の1だけを解体して駐車場にする ←不可
- マンションの3分の1だけをリフォームして賃貸する ←不可
※ただし、広い土地なら物理的に分けて活用できます
次に「リスク」についてですが、具体的には次のようなことです。
- 税金や費用の負担、使用方法、売却時期などで共有者の意見が対立する
- 時間が経過するほど共有者が増え、やり取りに時間と労力がかかる
- 連絡先が不明な共有者が出てきて、収拾がつかなくなる
共有持分を活用するには、相応の手間や時間がかかるため、買手がとても見つかりにくいです。
そのため、買取業者は独自の査定方法に沿って減額します。
買取価格に影響があるポイントをご案内します。
買取価格に影響する査定の6つのポイント
ポイント | 概要 |
---|---|
①持分の割合 | 持分の割合の大小 |
②他の共有者の状況 | 人数、関係性、連絡先の把握状況など |
③不動産の種類 | マンションの管理状態、戸建ての建物の状態、土地の形状や接道状況など |
④立地や周辺環境 | 駅からの距離、商業施設や学校など有無、駐車場の有無、将来的な開発計画など |
⑤建物の築年数や状態 | 築年数、リフォーム歴、現況(白蟻、傾き、雨漏り、カビ、シミなど) |
⑥物件に関するトラブルの有無 | 滞納、境界線問題など |
買取業者は、このようなポイントで減価する割合(%)を決めています。
通常の不動産と違うのは、持分に関連する内容です。
割合や共有者の人数、連絡の取りやすさ、売却に対する意向なども査定の要素に加えるため、業者によって査定額が異なります。
買取価格を算出する手順とシミュレーション
- 通常の不動産(単独名義)の実勢価格を把握する
- ①の実勢価格×持分割合×減価割合(30~50%)
不動産価格の算出方法はいくつかありますが、 国土交通省の「不動産情報ライブラリ」を利用して、実勢価格を決めることが多いです。
共有持分の場合は、この価格に対して、持分の割合と一定の減価割合(30%~50%)をかけて算出します。
母と3兄弟で実勢価格1億2,000万円の都内のマンションを相続した。
兄がカードローンの支払いのために、持分6分の1(2,000万円…1億2,000万円 × 1/6)を売却しようと買取業者に連絡した。
築38年と古かったが、駅からのアクセスが良く、周辺の環境が良いため、査定額は減価割合40%の800万円(2,000万円 × 0.4)だった。
3兄弟で実勢価格9,000万円の戸塚区の築43年の戸建を相続した。
末の弟が自分の持分3分の1(3,000万円…9,000万円 × 1/3)の買取りを依頼した。
築年数や駅からの距離、ハザードリスクなど、いろいろな条件を加味して、査定額は減価割合30%の900万円(3,000万円 × 0.3)だった。
25年前に夫婦の共有名義で5,000万円のマンションを購入した。
持分割合は夫3分の2、妻3分の1だった。
住宅ローンは完済したが、離婚することになり、夫は仲介業者に買取を依頼した。
築年数は25年だが駅近の物件で、マンションが高騰していたため、実勢価格は7,500万円に値上がりしていた。
査定額は減価割合40%の2,000万円(7,500万 x 2/3 × 0.4)だった。
なお、高く売却したい場合は、買取業者ではなく、仲介業者に依頼してください。
仲介の場合は仲介手数料がかかりますが、それを差し引いても、仲介の方が高額で売却できます。
共有持分支援協会では、独自の仲介システムを採用しています。
無料ですので、お気軽に査定をご依頼ください。
買取業者vs仲介業者!共有持分の買取を依頼するならおすすめは・・・
仲介業者と買取業者では次のような点で異なります。
- 仲介業者と買取業者を比較
比較項目 | 買取業者(直接買取) | 仲介業者(不動産仲介) |
---|---|---|
売却スピード | 数日〜数週間 | 数日〜数週間 ※買取より時間がかかる |
売却価格 | 仲介より安い | 実勢価格の30~50% |
手数料 | なし | 仲介手数料が発生する |
買主 | 買取業者 | 法人、投資家、大家など |
交渉の手間 | かからない | 買主によっては価格や条件の交渉がある |
安心感・信頼性 | 様々な業者がいて、中には悪質・悪徳な業者がいる | 買主と売主の中間にいるため取引の透明性は高いが、ごくまれに悪質・悪徳な業者がいる |
次ようにお考えください。
- 仲介業者…高額売却したい方におすすめ
- 買取業者…早期売却したい方におすすめ
買取業者は自社で買取るため、現金化のスピードは早いです。
仲介業者の場合は仲介手数料が発生しますが、買取業者はかなり安い金額で買い取ることがほとんどです。
- 「同じ共有持分」を仲介と買取業者に売却した場合の比較
仲介の売却価格 | 買取業者の買取価格(目安) |
---|---|
50万円 | 35万~40万円 |
100万円 | 70万~80万円 |
200万円 | 140万~160万円 |
300万円 | 210万~240万円 |
400万円 | 280万~320万円 |
500万円 | 350万~400万円 |
600万円 | 420万~480万円 |
700万円 | 490万~560万円 |
800万円 | 560万~640万円 |
900万円 | 630万~720万円 |
1,000万円 | 700万~800万円 |
1,100万円 | 770万~880万円 |
1,200万円 | 840万~960万円 |
1,300万円 | 910万~1,040万円 |
1,400万円 | 980万~1,120万円 |
1,500万円 | 1,050万~1,200万円 |
このように、仲介手数料がかからないからといって、買取業者に依頼する方がお得なわけではありません。
-
共有持分の査定を仲介をしている共有持分支援協会に依頼したところ、査定額が1,000万円だった。
仲介手数料が396,000円だったので、差し引きは9,604,000円(約960万円)。
買取業者に査定を依頼したら、買取金額は7,800,000円(780万円)だった。
それから、売却時に気を付けたいのは、業者の中には悪質・悪徳な業者がいることです。
信頼性の高い大手の不動産会社や地場の不動産会社のほとんどは、共有持分の買取に対応していません。
ですので、業者の選び方を間違えるとトラブルになり、後悔してしまう可能性があります。
トラブルについては、具体的にはこちらの「共有持分を売却した後、どうなる?7つのトラブルを解説」で詳しくご案内していますので、気になる方はご覧ください。
選び方はこの後ご案内していますので、お役立てください。
ご相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。
共有持分の買取業者・仲介業者を選ぶ6つのポイント
業者を選ぶ際にチェックする6つのポイントと合格基準、不合格の基準をご案内します。
- 業者選びの6つのポイントと合否の基準
チェックするポイント | 合格基準 | 不合格の基準 |
---|---|---|
①ホームページを見る |
|
|
③口コミを見る |
|
|
④地図で建物を見る |
|
|
④電話でコンタクトを取る |
|
|
⑤査定額について対面で話す |
|
|
⑥契約内容の説明を受ける |
|
|
上記のようなポイントでチェックして、問題無いかどうか、ご判断ください。
ただし、どれだけ気を付けても、業者の中には上手にバレないように偽装しているケースがあります。
良さそうな業者であっても、即決は避けてください。
違和感などがあれば、先ほどご案内した消費者ホットラインへご相談ください。
まずは一度、お気軽にご相談ください。
共有持分の買取で当協会が選ばれる8つの理由
- 最短翌日に手付金をもらえる
- 協会独自の仲介システムで高額売却できる
- 早期売却もできる(最短2日~)
- 一般社団法人の立場で対応してくれる
- 利用は無料(仲介手数料、残置物処理費用など)
- 解決方法は3つある(売却、一部売却、リースバック)
- サポート体制を構築している(弁護士などとの提携)
- トラブル回避のノウハウがある
一般社団法人 共有持分支援協会は、一般社団法人という立場で、共有持分の問題に対応しています。
独自の仲介システムを採用しており、できるだけ高額で買取る買い手(投資家、大家など)を見つけています。
仲介手数料や残置物の処理費用などは、発生しません。
早く現金化したい方には、提携会社が最短2日で買取をしています。
「高く売却したい」「早く現金化したい」という方は、当協会へお気軽にご連絡ください。
共有持分の買取の流れと必要書類
業者による買取の流れと必要書類をご案内します。
買取が完了するまでの流れ
- 無料査定の依頼
- 査定額の提示(数日~1週間程度)
- 書類の準備(数日~2週間程度)
- 契約内容の把握
- 決済(数週間~1ヶ月程度)
- 所有権移転登記
無料査定の依頼をしてから、売却が完了して、あなたの銀行口座にお金が振り込まれるまでに、数週間~2ヶ月程度かかります。
問題を抱えていている場合は、3ヶ月以上かかることもあります。
お急ぎの場合は、「手付金制度」のある共有持分支援協会にご相談ください。
また、最短翌日に手付金をお渡ししています。
買取の際に求められる必要な書類など
書類など | 発行場所、取得方法など |
---|---|
登記識別情報(権利証) | 法務局 |
登記事項証明書(登記簿謄本) | 法務局、オンライン |
住民票 | 市区町村役場、コンビニ |
固定資産税評価証明書 | 市区町村役場の税務課窓口 |
身分証明書 |
|
印鑑登録証明書 | 市区町村役場、コンビニ |
実印 | 購入した印鑑を市区町村役場で印鑑登録する |
普段目にしない、聞きなれない書類があると思います。
準備には~1週間程度かかる場合があるため、早めにご準備ください。
共有持分の買取で売主側に発生する費用を解説
- 売主側に発生する費用項目
費用項目 | 概要 |
---|---|
仲介手数料 | 仲介業者を利用した場合に発生する |
印紙税 |
|
譲渡所得税(所得税+住民税) | 持分を売却して得た利益(=譲渡所得)に課される税金 |
抵当権抹消登記 |
|
それぞれ詳しくご案内します。
仲介手数料について
仲介手数料とは、仲介業者を利用した場合に発生する費用のことです。
次のように3つに区分けして算出します。
売買価格の区分 | 計算式(税込・消費税10%込) |
---|---|
200万円以下の部分 | 売買価格 × 5.5% |
200万円超~400万円以下の部分 | 該当部分 × 4.4% |
400万円超の部分 | 該当部分 × 3.3% |
例えば、買取価格が200万円なら仲介手数料は11万円、300万円なら13.2万円です。
実際の業務では、400万円を超える場合は、こちらの速算式(そくさんしき)を利用します。
- 速算式…仲介手数料=売却額 × 3.3% + 6万6,000円
仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法第46条で定められています。
- 持分の売買価格別の仲介手数料の上限(税込)
売買価格 | 仲介手数料の上限(税込) |
---|---|
0~800万円 | 330,000円 |
900万円 | 363,000円 |
1,000万円 | 396,000円 |
1,100万円 | 429,000円 |
1,200万円 | 462,000円 |
1,300万円 | 495,000円 |
1,400万円 | 528,000円 |
1,500万円 | 561,000円 |
※2024年7月1日に制定された「低廉な空き家等の売買又は交換の媒介における特例」により、税抜売買代金が800万円以下の場合の仲介手数料の上限は33万円(税込)になりました。
-
買取業者に依頼する場合は、仲介手数料はかかりません。
ですので、「買取業者の方が高く買い取ってくれるのでは?」と思いがちです。
ですが買取業者はかなり安い金額で買い取ることが多いです。
詳しくはこちらの「共有持分の買取を依頼するなら買取業者?仲介業者?」でご確認ください。
印紙税について
印紙税とは、不動産売買契約書などの課税文書に対して課される税金のことです。
印紙を購入(納税)して契約書に貼付します。
売買価格で異なります。
- 印紙税(軽減措置税率:2027年3月31日まで)
売却価格 | 印紙税額 |
---|---|
10万円超~50万円以下 | 200円 |
50万円超~100万円以下 | 500円 |
100万円超~500万円以下 | 1,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 3万円 |
1億円超~5億円以下 | 6万円 |
なお、この印紙税には、軽減措置が適用されています。
-
軽減措置は、経済の活性化、取引の円滑化などの目的で定められました。
適用期間は、2024年(令和6)年4月1日から2027年(令和9年)3月31日までです。
適用期間後は、上記の金額の2倍の金額に戻ります。
譲渡所得税について
譲渡所得税とは、あなたの共有持分を買取ってもらって出た利益(譲渡所得)に対する税金のことです。
譲渡所得税の計算手順は次の通りです。
- 売却価格 − (取得費+譲渡費用)= 譲渡所得
- 譲渡所得 x 税率( 所得税 + 住民税率 )= 譲渡所得税額
取得費について
取得費とは、不動産の購入時に発生した諸費用のことです。
- 取得費の例とその確認方法
費用項目 | 内容 | 確認方法 |
---|---|---|
購入代金 | 売買契約書に記載された金額 | 売買契約書・領収書 |
仲介手数料 | 不動産会社に支払った手数料 | 領収書・請求書 |
登録免許税(所有権移転登記税) | 所有権移転登記などの費用 | 司法書士の請求書 |
司法書士報酬 | 所有権移転登記などの費用 | 司法書士の請求書 |
登記事項証明書等の取得費用 | 登記情報を確認するための証明書取得費 | 司法書士の請求書 |
印紙税 | 売買契約書に貼付した印紙代 | 契約書の写し |
築40年の実家を相続された場合は、40年前に購入手続きをするにあたって使用した書類(契約書や領収書など)が必要です。
書類が無い場合は、概算取得費(売却価格 x 5%)算出します。
譲渡費用について
譲渡費用とは、共有持分の譲渡にかかった費用のことです。
- 譲渡費用の例とその確認方法
費用項目 | 内容・具体例 | 主な確認方法 |
---|---|---|
仲介手数料 | 不動産会社に支払う売買仲介手数料 | 売却した不動産会社に確認 |
印紙代 | 売買契約書に貼付する印紙の費用 | 売買契約書を確認 |
登記関連費用 | 所有権移転登記など | 司法書士の請求書など |
その他 | 測量費用、建物の解体費用、引渡し前の修繕費など | 司法書士の請求書など |
また、この他にも計上が必要な内容があるかもしれません。
無料ですので、お気軽に当協会にご相談ください。
譲渡税の税率について
譲渡税の税率は、所得税率と住民税率の合計です。
所有している期間で次のように異なります。
- 不動産の所有期間による譲渡所得税の税率の違い
所有期間 | 税率 |
---|---|
5年以内 | 39.63%(所得税30.63%+住民税9%) |
5年を超える | 20.315%(所得税15.315%+住民税5%) |
例えば、築40年の実家を共有名義で相続した場合は、20.315%の税率が適用されます。
被相続人(亡くなられた方)の所有期間(40年)が適用されるからです。
その税率は所得税額の2.1%です。
適用期間は2013年1月1日~2037年12月31日です。
譲渡税が発生しないケースがあります。
- 譲渡所得がマイナスのケース
- 「3,000万円の特別控除の特例を適用」できるケース
- 「軽減税率の特例」を適用できるケース
それぞれご案内していきます。
- 譲渡所得がマイナスのケース
項目 | 内容 |
---|---|
不動産の全体評価額 | 5,000万円(実勢価格) |
共有持分割合 | 2分の1(50%) |
相続時の取得費 | 1,250万円(相続税評価額に基づく) |
売却価格 | 1,125万円(2,500万円×評価45%) |
譲渡費用 | 200万円(仲介手数料・登記費用・測量費など) |
譲渡所得 | −325万円(1,125万円−1,250万円+200万円) |
この場合は、譲渡所得がマイナスなので、譲渡税はかかりません。
続いて、3,000万円の特別控除の特例についてご案内します。
-
居住用財産(自分が住んでいる家、住んでいた家)を売却した際に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる。
- 譲渡する直前まで住んでいた
- 住まなくなってから3年目の年末までに譲渡している
適用条件は次の通り。
参照)国税庁「マイホームを売ったときの特例」
この特例があてはまり、譲渡所得がゼロになるケースでは、譲渡税はかかりません。
-
父が2025年10月に亡くなった。父は亡くなる直前まで実家に住んでいた。
この場合は、2027年12月31日までに第三者(買取や仲介の業者)に譲渡(売却)すれば「3,000万円の特別控除の特例」が適用される。
1年目は2025年、2年目は2026年、3年目は2027年 ←この年末(12/31)
最後に、軽減税率の特例についてご案内します。
-
居住用財産(自分が住んでいる家)の売却で、次の要件を満たした場合に、適用される。
- 所有期間が10年を超える
- 住まなくなってから3年目の年末までに譲渡している
- 譲渡所得が6,000万円以下の部分…税率が14.21%
- 譲渡所得が6,000万円を超える部分…税率が20.315%
具体的な税率は次の通り。
参照)国税庁「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
この特例があてはまり、譲渡所得がゼロになるケースでも、譲渡税はかかりません。
譲渡所得税が発生した場合、その翌年に確定申告時と納税をする必要があります。
例えば、2026年に売却したら次の時期に行います。
- 確定申告…2027年2月16日~3月15日
- 納税…2027年3月15日までに納付
抵当権抹消登記について
抵当権抹消登記の費用は次の通りです。
- 抵当権抹消登記の費用…1,000円(登録免許税額)+司法書士報酬(1~5万円)
※司法書士報酬は依頼する司法書士で変わります
住宅ローンを完済している場合、この費用はかかりません。
- 抵当権…金融機関が財産を担保にしてお金を貸し、債権者が返済不可になったら、その財産を売却して借金を回収できる権利
- 抵当権抹消登記…不動産に設定された抵当権を、登記簿上から抹消するための手続き
抵当権を抹消できれば、持分を売却することができます。
抵当権抹消の条件は、住宅ローンを完済していることです。
住宅ローンが残っていても、持分の売却代金で住宅ローンの残債を一括返済できるなら抹消できます。
-
● 抹消できるケース…持分の売却代金 ≧ ローン残債
● 抹消できないケース…持分の売却代金 < ローン残債
例えば、売却代金が600万円で、ローン残債が300万円なら抹消できるので、持分を売却できます。
この手続きを行うには、金融機関の承諾が必要です。
また、抵当権の設定状況によっては、共有者の同意が必要です。
抵当権の設定状況 | 必要な条件 |
---|---|
不動産全体に設定されている |
|
あなたの持分にのみ設定されている |
※他の共有者の同意は不要 |
ほとんどの場合、不動産全体に抵当権が設定されています。
抵当権については、住宅ローンの借入先の金融機関にご確認ください。
この手続きの手順は次の通りです。
- 持分を売却する契約を結ぶ
- 売却代金が決済(引き渡し)時に支払われる
- 売却代金で住宅ローンの残債を一括返済する
- 抵当権抹消登記を行い、登記簿から抵当権を消す
- 残りの金額が売主に渡される
共有持分の買取りに関してよくある質問
よくある質問とその回答をご案内します。
Q.買取業者の目的は何ですか?
A.不動産を有効活用することです。
活用とは、リフォームして売却したり、賃貸したりすることです。
そのためには、単独名義にする必要があるため、買取業者は他の共有者に買取の交渉などをします。
Q.共有持分買取請求権とは何ですか?
A.他の共有者の持分を買い取ることができる権利のことです。
本来、共有者は、固定資産税や修繕費などの管理費用を持分割合に応じて負担します。
ですが、1年以上負担しない共有者がいれば、強制的にその持分を買い取ることができます。
法的な根拠は民法253条2項です。
Q 住宅ローンが残っていても買取ってもらえますか?
A.「抵当権抹消登記について」の箇所でもご案内した通り、住宅ローンが残っている場合は、買取できないケースが多いです。
不動産に設定された抵当権が残ったままでは売却できません。
売却代金でローンを完済したり、不足分を支払ったりして抵当権を消すことができれば売却できますが、実際には難しいケースがほとんどです。
一度、住宅ローンの残債を確認し、持分の売却代金を計算してみてください。
Q.地方の不動産でも買い取ってもらえますか?
A.買取業者によります。
全国対応している業者でも、不動産の条件によっては対応していなかったり、とても安い査定額を提示されたりします。
Q.売却後に他の共有者とトラブルになりませんか?
A.トラブルになることはあります。
特に悪徳・悪質な業者に依頼してしまうとその可能性が高まります。
トラブルについてはこちらの「共有持分を売却した後、どうなる?7つのトラブル」をご覧ください。
Q.単独名義にして通常の不動産として利用するために、共有持分を買取ることはできますか?
A.はい、できます。その方法は3つあります。
- 共有者から直接買取る
- 第三者(買主)が保有する共有持分を買取る
- 法的な手続き(協議や買取請求、分割請求など)で買取る
トラブル無く確実に買取るには、共有不動産の取引に関する知識と経験が必須です。
共有持分の買取に関するまとめ
自分の共有持分だけなら、自由に売却できます。
買取業者や仲介業者の中には、悪質・悪徳な業者がいます。
当協会は社団法人の立場で、共有持分の現金化に対応しています。
ご相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。