共有持分を揉めずに売却する方法とは?5つの方法と注意点を解説

「共有持分を揉めずに売る方法を知りたい」
「他の共有者と円満に持分を売却するには?」

と考えていませんか?

この記事では、共有持分を揉めずに売却する方法を、プロがわかりやすくご案内します。

この記事の作成者

専門相談員 戸田 良行Yoshiyuki Toda

【資格】宅地建物取引士
神奈川県出身。高校サッカーで全国大会進出を果たし、指導者の道に進む。その後、大手不動産会社で不動産のノウハウを蓄積する。諦めないことを信条に、お客様の希望を叶えるため日々奮闘中。

共有持分を揉めずに売る5つの方法

  1. 専門の仲介業者に売却する
  2. 専門の買取業者に売却する
  3. 不動産会社に依頼する
  4. 共有者に直接売却する
  5. 共有者の持分を買取ってから売る

詳しくご案内します。

【方法①】専門の仲介業者に売却する

仲介業者とは、不動産を売りたい人と買いたい人の間で、売買契約を成立させる専門の会社のことです。

民法206条で規定されている通り、共有者は自分の持分を単独で自由に売却できます。

仲介に依頼するということ

メリットは、買取業者に売却するよりも高く売れる

デメリットは次の通りです。

  • 売却まで時間がかかる
  • 仲介手数料がかかる
  • 対応している業者が少ない

例えば、売却活動が長引くと半年以上かかることがあります。

共有持分の売却仲介を専門に仲介している会社はとても少ないです。

【方法②】専門の買取業者に売却する

買取業者とは、売主から直接共有持分を買い取る会社です。

メリットは次の通りです。

  • 最短数日で現金化できる
  • 仲介手数料が不要

自社で買うので早い。

デメリットは次の通りです。

  • 仲介よりも安い金額になる
  • まれに悪質、悪徳な業者がいる

悪質、悪徳な業者を見抜くために、弁護士との提携有無、宅建の資格の有無をチェックしてください。

【方法③】不動産会社に依頼する

一般の不動産会社に仲介や買取を依頼する方法です。

メリットは、大手や有名な会社に依頼すれば悪徳・悪質な業者に当たるリスクが少ないことです。

デメリットは、多くの不動産会社は共有持分の扱いに慣れておらず、買い取り自体を断られるケースがあることです。

【方法④】共有者に直接売却する

他の共有者に自分の持分を売却する方法です。

メリットは、相場で売れる、新たに業者を探す手間を省けることです。

相手が関係者なので、短期間で売却できることが多いです。

デメリットは、価格の交渉過程で感情的に揉めることがあることです。

そもそも、不動産を買い取るだけの資金を持つ共有者はごくまれです。

成立するのは、親族間で不動産賃貸業をしているような場合です。

【方法⑤】共有者の持分を買取ってから売る

相手の持分を購入して単独名義にした後、自分の不動産として売却する方法です。

メリットは、共有状態を解消できるため売却がスムーズなことです。

デメリットは、相手の持分を買い取る現金の準備が必要なこと、不動産の売買を自力で進める経験が必要なことです。

共有持分を揉めずに売るのが難しい5つの理由

5つの理由
  1. 活用方法で対立する
  2. 特定の共有者だけが利用している
  3. 維持費の負担で揉める
  4. 利益の配分で揉める
  5. 何らかの理由で関係性が悪い

詳しくご案内します。

【理由①】活用方法で対立する

共有不動産には次のような活用方法があります。

  • 売却して資金を得る
  • 賃貸に出して毎月の収益を得る

ですが、共有者がそれぞれ違う意見の場合、活用方針はまとまりづらいです

例えば、ある共有者は「月10万円で賃貸にして収益を得たい」が、別の共有者は「すぐに売却して2,400万円を分けたい」というケースです。

②特定の共有者だけが利用している

例えば、共有者のうち1人だけが住んでおり、他の共有者は利用できない状態では、合意を得るのは難しいです。

理由は次の通りです。

  • 居住している共有者は現状を維持したい
  • 利用できない共有者は不公平だと感じる
  • 経済的な負担が偏っている

例えば、兄が住み続けているが、固定資産税(年間12万)を全て負担している場合、弟たちは費用を出していません。こうした場合、双方の不公平感が募ります

③維持費の負担で揉める

共有不動産では、本来は全員で維持費を分担する必要があります。

ですが、実際には誰か1人だけが費用を負担しているケースがあります。

維持費には次のようなものがあります。

  • 固定資産税
  • 建物の修繕費
  • 管理費や光熱費の一部

例えば、実勢価格3,800万円のマンションを兄弟3人で共有していて、兄だけが管理費と修繕積立金を年間約50万円負担しているとします。

弟たちは費用を出していないため、兄から合意は得づらいです。

④利益の配分で揉める

共有不動産を賃貸に出している場合、本来は持分割合に応じて利益を分配する必要があります。

ですが、実際には次のような理由で、不公平になることがあります。

  • 管理する共有者が金額を明示せずに分配する
  • 本来の持分割合に従わずに取り分を多くする
  • 分配ルールを明確に決めていない

例えば、年間家賃収入が120万円の駐車場で、持分に応じて分けるなら兄弟が60万円ずつ受け取ることになりますが、兄が「自分が管理しているから」として弟に40万円しか渡さずにいる場合です。

⑤何らかの理由で関係性が悪い

兄弟・姉妹や親族の間で、次のような理由で感情的な対立がある場合、揉めやすいです。

  • 子どもの頃からの積み重ね
  • 性格の不一致
  • 離婚

さらに、お金が絡むことで感情的な対立が強まるため、話し合いはまとまりにくいです。

例えば、実勢価格3,000万円の実家を相続した幼少期から関係が悪い兄弟がいて、兄が「2,000万円で早く売却したい」、弟は「実勢価格どおりの売却するべき」と主張しているようなケースです。

自分の共有持分を揉めずに売るならこの3つの方法で内緒にしよう!

共有持分を売却しようとすると、次のようなことが起こるリスクがあります。

  • 他の共有者に知られて止められる
  • 家族・親族会議に呼ばれてダメ出しされる
  • 他の共有者に不利な条件を押し付けられた
  • 共有物分割請求を起こされる

そのため、次の方法で内緒で進める必要があります。

売却するまで内緒にする3つの方法
  1. 契約書に秘密保持を付け加える
  2. 売却完了まで共有者と連絡を取らない
  3. 司法書士に念のために伝えておく

詳しくご案内します。

※登記や税務処理によって最終的には共有者に知られます

【方法①】契約書に秘密保持を付け加える

売買契約書に「買主は売却完了まで他の共有者に知らせない」という秘密保持条項を入れる方法です。

契約書に記載することで、法的に買主が他の共有者に連絡してしまうことを防ぐことができます。

ですが、秘密保持条項を入れても買主が必ず守る保証はありません。

その場合、実際に責任を追及するのは難しいです。

③登記簿謄本の確認が必要な手続きは控える

登記簿謄本とは、不動産の所有者や持分割合、抵当権の有無などが記載された公的な書類のことです。

次のようなときに、謄本を取得・確認することがあります。

  • 相続登記
  • 住宅ローンの申請
  • 名義変更の手続き

持分売却中に、他の共有者が相続登記やローン申請などで登記簿を取得すれば、売却が発覚してしまいます。

売却契約をまとめてから一気に登記してください。

【方法②】売却完了まで共有者と連絡を取らない

他の共有者と連絡を取るのは、例えば次のようなケースです。

  • 固定資産税の支払いについて相談されたとき
  • 物件の利用や修繕について話し合いが持ちかけられたとき
  • 登記や書類に関する確認を求められたとき

売却手続きが完了するまでは、こうしたやりとりは避けてください。

この方法のメリットは、売却の話が漏れずに済むことです。

デメリットは、急に連絡を断つことで不自然に思われたり、不信感を持たれてしまうことです。

【方法③】司法書士に念のために伝えておく

不動産の売却登記では、手続き完了の通知などはありません。

それでも、念のために、司法書士に「他の共有者には伝えないでほしい」と口止めするという方法です。

この方法のメリットは、司法書士が余計な連絡をしなければ、他の共有者には一切、情報が広まらないことです。

ただ、登記簿は公開情報ですので、他の共有者が法務局で登記簿を確認すれば、知られてしまいます。

共有持分を揉めずに売る際に利用したい6社

6社
  1. 共有持分支援協会
  2. グランピーリアルエステート
  3. ネクスウィル
  4. アルバリンク
  5. ドリームプランニング
  6. 中央プロパティー

共有持分を揉めずに売ることができる可能性が高い6社をご案内します。

共有持分支援協会

共有持分を専門に、仲介と買取を行っている一般社団法人です。

弁護士と提携しており、秘密厳守で、買取は最短2日~とスピーディです。

最短翌日に手付金支払いをしています。

対応エリアは一都三県です。

グランピーリアルエステート

共有持分を含む訳あり不動産の買取を専門業者です。

弁護士と提携しており、審査は最短12時間~、買取は最短2日~です。

相談件数は年間3,000件以上です。

対応エリアは全国です。

ネクスウィル

ネクスウィルは、訳あり不動産の買取サービス「ワケガイ」を運営している会社です。

弁護士と提携しており、買取は最短翌日~です。

対応エリアは全国です。

アルバリンク

共有持分をはじめ、事故物件などの訳あり物件の買取をしている会社です。

弁護士と提携しており、買取は最短2日~です。

対応エリアは全国です。

中央プロパティー

共有持分の買取の仲介をしている会社です。

弁護士と提携しており、買取は最短5日~です。

残置物の撤去費用無料です。

対応エリアは一都三県です。

ドリームプランニング

共有持分、底地、再建築不可などの訳あり物件の買取をしている会社です。

買取は最短2日~です。

対応エリアは全国です。