共有持分をどうやって譲渡したらいい?方法と注意点を徹底解説!

共有名義となっている不動産の持分を処分したいものの、その方法が分からずに困っている方も多いのではないでしょうか。共有持分は、不動産全体を売却する場合と異なり、譲渡手続きが少し特殊です。誰かに売却を依頼すれば済むというわけではなく、他の共有者との話し合いや税金に関する知識が必要となります。

本記事では、共有持分を譲渡する際に知っておきたいポイントや方法を整理し、スムーズに手続きを進めるための注意点をわかりやすく解説します。

この記事の作成者

康原 工偉智Koichi Yasuhara

共有持分支援協会の代表相談員
大阪府出身。プロ野球選手を夢見て、名門PL学園から亜細亜大学に進学。度重なるケガでプロの夢を諦めるも、大手不動産会社に就職。持ち前のバイタリティで営業成績もトップクラスを誇る。共有持分を買取る投資家、不動産業者とのパイプも太い。

共有持分の譲渡に関する基本

共有持分とは、不動産を複数人で所有している場合に、それぞれが持つ所有権の割合を指します。不動産全体を売却する際は共有者全員の同意が不可欠ですが、共有持分を譲渡する場合は、原則として他の共有者の同意がなくても可能です。

しかし、共有財産は権利関係が複雑です。数ある譲渡方法や税金上の注意点を正しく理解していないと、思わぬトラブルに発展しがちです。はじめに、共有持分を譲渡する際に押さえておくべきことを解説します。

共有持分を譲渡するメリット

まず、共有持分を譲渡することにはそもそもどういったメリットがあるのかを見ていきましょう。

  • 単独で売却や贈与が可能な場合がある
  • 共有者との合意が難しい場合でも処分しやすい

共有持分を譲渡するデメリット

一方で、共有持分の譲渡を決定する前に考慮しておくべきデメリットもあります。

    • 買い手によっては価格が下がる可能性がある
    • 共有者同士の調整がスムーズに進まないことがある

    こうしたメリットとデメリットは予め知っておき、譲渡以外の幅広い選択肢も検討したうえで、決定しましょう。

    共有持分を譲渡する具体的な方法

    ここでは、一般的に知られている4つの方法を中心に、その共有持分を譲渡する具体的な方法と注意点について解説します。譲渡に踏み切る前に、どの方法が自分にとって最適なのかを見極めましょう。

    1. 売却

    最もシンプルかつ金銭的な対価を得られる方法が共有持分の売却です。共有名義の不動産全体を売却する場合は、全共有者の同意が求められますが、持分のみの売却であれば単独で手続きを進めやすいという特徴があります。

    売却先としては、不動産会社や不動産投資家、または他の共有者が候補になります。高値で売りたい場合は市場価値が重要ですが、買い手によっては思うような金額にならないこともあるため、事前の不動産査定は欠かせません。

    2. 贈与

    無償で譲渡する方法が贈与です。家族や親族との間で持分を整理したい場合などによく選択されますが、無償で譲る形であるため贈与税が課せられるリスクがある点は要注意です。

    贈与税は、譲り受ける側が負担する税金ですが、贈与における特例や控除を活用できる場合もあります。贈与税の対象となるかどうか、税理士や専門家に事前に相談すると安心です。

    3. 放棄

    放棄とは、自分の持分を自ら手放す行為です。ただし、放棄した持分は原則として他の共有者に帰属するため、その影響を考慮する必要があります。勝手に放棄できるわけではなく、他の共有者の同意も求められるため、誤解のないように手続きしましょう。

    また、一度放棄した共有持分を後から取り戻すことはできません。持分を必要以上に手放して、後々後悔することがないように気をつけたいところです。

    4. 共有不動産の分割

    不動産そのものを分割し、それぞれの区画を単独所有する方法があります。物理的に分割できる土地や建物であれば、この方法により共有状態を解消し、単独の所有権を得られるケースもあります。

    ただし、現実的には分割が難しい不動産も少なくありません。また、分割には法的な手続きや測量が必要になることが多く、時間・費用面で大きな負担となる場合があります。専門家の力を借りて、十分に検討することが大切です。

    共有持分を譲渡する前に準備しておきたいこと

    実際に譲渡の手続きを進める前に、トラブルを防ぐための準備をしておくと安心です。ここでは、具体的にどのような情報やコミュニケーションが必要かを整理していきます。

    他の共有者への意向伝達

    共有者同士で話し合いができる状態であれば、自分の持分を譲渡したい意思を早めに伝えることが望ましいです。意向さえ前もって伝えておけば、同じ共有者が購入してくれるケースや、共同で不動産を売却する方向に話が進むこともあります。

    共有者間の協議が進めば、スムーズに譲渡手続きを行えるでしょう。逆に事前の相談なく処分しようとすると、不信感やトラブルが生じる可能性が高くなるので注意が必要です。

    持分割合の確認

    自分の持分割合を正確に把握するには、法務局で登記事項証明書を取得しましょう。その記載をもとに、不動産会社などと相談することで、売却価格の目安をつかみやすくなります。

    専門家に査定や相談を依頼する際にも、持分割合が明らかになっていないと的確なアドバイスを受けられません。譲渡を円滑に進めるには、自分の権利がどの程度なのかをしっかり理解しておくことが前提となります。

    共有持分を売却する際の注意点

    売却によって金銭を得る場合、理想通りの価格で手放せるかどうかが気になるところです。また、他の共有者の同意や契約手続きなど、慎重に進めるべき要素も多々あります。

    共有者全員の同意と売却条件の合意

    不動産全体を売却する場合は、共有者全員が同意しなければ進行できません。たとえ自分ばかりが売却を望んでいても、反対する共有者が1人でもいれば手続きを進められないのです。

    売却価格や引き渡しの時期、諸費用の負担割合なども共有者間でしっかり話し合っておきましょう。場合によっては弁護士を交えることで、スムーズに合意形成ができる可能性があります。

    不動産会社への査定依頼と契約

    売却を進める際には、不動産会社への査定依頼が欠かせません。共有持分の売却であることを伝えたうえで、複数社に相談すれば客観的な価格の目安を把握しやすくなります。

    実際に売却活動を始める場合には、共有者全員が契約書に署名捺印することが必要です。これを怠ると契約自体が無効となってしまう場合もあるため、押さえておきましょう。

    売却代金の分配

    売却によって得た金額は、各共有者の持分割合に応じて配分されます。例えば、自分が半分の持分を有していれば、売却代金の半額を受け取るのが基本です。

    ただし、持分割合と食い違う金額をやり取りすると、贈与とみなされる場合もあります。税金の観点から問題が生じやすいため、取り分は明確な根拠に基づいて設定するようにしましょう。

    共有持分を譲渡する時の税金に関する注意

    不動産の譲渡に伴う税金には、譲渡所得税や贈与税などがあります。共有持分の場合も例外ではなく、しっかり意識しておかないと思わぬ負担となることもあります。

    譲渡所得税の計算と特別控除

    売却益が出た場合は、譲渡所得税を支払う必要があります。建物が自宅であれば、3,000万円特別控除が適用になることがありますが、適用条件は個々の状況によって異なります。

    譲渡益=売却額-(取得費+譲渡費用)という計算式で求められ、そこに適用される税率は保有期間によって変わります。詳しい税額を把握するためには、税理士など専門家のアドバイスを得ることが望ましいでしょう。

    贈与税のリスク

    共有者同士で売却代金の配分を決める際、実際の持分割合と大きくズレた金額を受け取ったり渡したりすると、税務署から贈与とみなされる可能性があります。そうなると贈与税が課される恐れがあるため、注意が必要です。

    そうしたリスクを回避するには、それぞれの持分割合に沿った取り分を設定することが重要です。複雑な権利調整が発生する場合は、弁護士や税理士に相談して適切な方法を検討しましょう。

    第三者へ共有持分を譲渡する際のポイント

    共有者間で折り合いがつかない場合でも、第三者へ譲渡するという方法があります。最近では共有持分自体を買取る不動産投資家の需要も増えており、売却先として考えるのも一つの手です。

    第三者への売却とその流れ

    他の共有者が買い取ってくれない場合や、不動産全体を売却する合意が得られない場合には、外部の投資家や買取業者に持分を売る手段があります。専門の仲介会社を通じて売却先を探す方法も一般的です。

    第三者への譲渡では、買取価格の交渉を行います。投資家が興味を示す物件であれば、想像以上の高値がつくケースもありますが、立地や不動産の将来性などを総合的に評価されるので注意しましょう。

    投資家に共有持分を売却するメリット

    共有者の同意を得られない、あるいは物件全体を売ることが難しい場合でも、買取専門業者や投資家が買い手として現れることがあります。時間をかけずに譲渡できる点は大きなメリットです。

    また、投資家から見れば収益化や再販が見込める物件は好まれます。そのため、条件次第では高額で買い取ってもらえる可能性があります。ただし、過度な期待を寄せず、あくまで権利関係や契約内容を冷静に検討しましょう。

    譲渡方法の比較一覧

    譲渡方法 概要
    売却 金銭的対価を得る方法で、共有持分のみの売却なら単独で可能
    贈与 無償譲渡だが、贈与税が課されるリスクがある
    放棄 持分を無くす代わりに、他の共有者に帰属する
    分割 不動産そのものを分筆などで物理的に分割する方法

    まとめ

    共有持分の譲渡を円滑に行うには、他の共有者との連携や譲渡方法の把握が鍵となります。必要な手続きを誤ると税金面を含めてトラブルに発展する恐れがあるので注意が必要です。

    最後に、スムーズに譲渡するためには専門家への早めの相談をおすすめします。共通のゴールを共有者全員で確認した上で、一番納得のいく方法を検討してみましょう。