私道の共有持分の売却する方法やトラブルの回避方法を解説

「私道が共有持分だけど売却できる?」
「共有持分の私道を売却する時に気をつけることはある?」

このように考えていませんか。

この記事では私道の共有持分を売却する方法についてプロが詳しくご案内いたします。

この記事の作成者

専門相談員 康原 工偉智Koichi Yasuhara

共有持分支援協会の代表相談員
大阪府出身。プロ野球選手を夢見て、名門PL学園から亜細亜大学に進学。度重なるケガでプロの夢を諦めるも、大手不動産会社に就職。持ち前のバイタリティで営業成績もトップクラスを誇る。共有持分を買取る投資家、不動産業者とのパイプも太い。

売却するなら必読!共有持分の私道とは?

共有持分の私道とは複数の所有者がいる私有の道路のことです。

共有持分の私道には2種類あります。

  • 共有型…すべての所有者が私道全体に権利を持っている
  • 分割型…分筆した私道をそれぞれ単独所有している

共有持分の私道は共有型の方が多いです。

自分の土地がどちらなのかは登記事項証明書で確認できます。

共有持分の私道の5つのメリット

メリット
  1. 道路を通行する権利を持てる
  2. インフラの整備や補修ができる
  3. 建物の建替ができる
  4. 売却しやすくなる
  5. 税金が免除されることがある

順番にご案内いたします。

【メリット①】道路を通行する権利を持てる

道路の使用権があるので、公道と自分が所有している土地の間を通行できます。

私道に自分の共有持分がない場合は、所有者から通行地役権を取得する必要があります。

【メリット②】インフラの整備や補修ができる

自分が所有権を持つ部分は自由にガス管や水道管の設置や補修ができます。

ただし、他人の土地の場合は、地役権の設定や所有者の同意、あるいは行政上の許可が必要です。

【メリット③】建物の建替ができる

原則として、建物は公道(建築基準法上の道路)に2m以上接していないと建築できません。

建築基準法で認められた私道(位置指定道路など)に共有持分がある場合は、公道に直接接していなくても建築できます。

【メリット④】売却しやすくなる

私道に所有権があれば、他の共有者に私道の使用を制限されるリスクが減るため、買主が安心して物件を購入できます。

他の共有者の土地を借りないと公道に出られない土地(袋地)は銀行の融資が通りづらく、売値は5割以下です。

【メリット⑤】税金が免除されることがある

私道が公衆用道路として認められれば、固定資産税・都市計画税・不動産取得税が免除されます。

公衆用道路とは公道ではないが一般交通のために使用される道路のことです。

各市町村にご確認ください。

共有持分の私道の5つのデメリット

デメリット
  1. 修繕費用がかかる
  2. 固定資産税がかかる
  3. トラブルが起こる可能性がある
  4. 管理・修繕に許可がいる
  5. 通行が制限される

順番にご案内いたします。

【デメリット①】修繕費用がかかる

私道が破損した場合、所有者が自分で修繕します。

共有私道の場合、共有者全員で持分に応じて費用を負担します。

相場は1㎡あたり5,000円〜です。

【デメリット②】固定資産税がかかる

非課税の申告を受けていない場合、固定資産税などがかかります。

私道の場合、固定資産税評価額×1.4%です。

土地の固定資産税評価額が2,000万円で共有者が4人(持分均等)の場合、2,000万円×1.4%÷4人=7万円です。

【デメリット③】トラブルが起こる可能性がある

トラブル例
  1. 買主からクレームが来る
  2. 買い手が見つからないことがある
  3. 勝手に売却されることがある

売却する時にトラブルが起きることがあります。

買主からのクレームの内容は次の通りです。

  • 他の共有者から通行を拒否された
  • 他の共有者から水道やガス管の設置を拒否された
  • 他の共有者と私道の修繕費をいくら持つかで揉めた

買い手が見つからない理由は私道単独では利用価値がないからです。

他の共有者が勝手に共有持分を売却した場合、他の共有者は買主から土地の売却や購入を迫られることがあります。

【デメリット④】管理・修繕に許可がいる

道路の掘削工事をしたり、水道やガス管を引き込むためには共有者全員の許可が必要です。

道路を修繕するためには共有者の過半数の同意が必要です。

【デメリット⑤】通行が制限される

他の共有者に勝手に使われていると主張されることがあります。

共有持分の私道は通行権が使用ルールが明確でないことが多く、他の共有者と揉めることがあります。

共有持分の私道の売却で起こるトラブルを回避する方法

4つの方法
  1. 通行権・採掘権を書面化する
  2. 私道の持分を買取る
  3. 所有している持分割合を把握する
  4. 専門業者に依頼する

順番にご案内いたします。

【方法①】通行権・掘削権の合意書を作成する

理由は通行権や掘削権を書面化すれば、次の買主が他の共有者に権利を主張できるからです。

買主が水道管やガス管を引き込む時に工事ができなくなるといったトラブルを避けられます。

【方法②】私道の持分を買取る

理由は所有権を得れば私道を自由に利用できるからです。

隣人から買取る時の相場は「私道全体の市場価格×持分割合」です。

所有権を取得すれば通行権や掘削権に関するトラブルを避けられます。

共有型の場合は私道持分の一部を買取ります。

分筆型の場合は私道をさらに分筆してもらい買取ります。

【方法③】所有している持分割合を把握する

理由は持分割合で維持費が明確になるからです。

共有不動産の固定資産税や修繕費は共有持分の割合で決まります。

私道の共有持分の割合を登記事項証明書で把握して、税金や修繕費を買主に説明できるようにしてください。

【方法④】専門業者に売却を依頼する

理由は共有持分の買取業者は複雑な権利や問題に精通しているからです。

共有持分の専門業者は弁護士と提携しているので売却した後に起きるトラブルを回避する方法を相談できます。

共有持分の私道の売却「4つのパターン」

4つのパターン
  1. 共有持分の私道と私道に接する不動産全体の売却
  2. 共有持分の私道に接する不動産の持分の売却
  3. 共有持分の私道だけ売却
  4. 共有者全員で私道全体を売却

順番にご案内いたします。

【パターン①】共有持分の私道と私道に接する不動産全体の売却

これは自分の家と公道に続く道の両方を売却するということです。

対応している業者は次の通りです。

  • 専門の買取業者
  • 専門の仲介業者

メリットは次の通りです。

メリット
  1. 売却価格が高い
  2. 売却スピードが早い
  3. 通行権や掘削権のトラブルが起きにくい

購入後に他の共有者とトラブルが起きづらく買主は購入しやすいです。

デメリットは分筆型の場合は通行権や掘削権を得なければいけないことです。

売却には相応の時間がかかります。

【パターン②】共有持分の私道と私道に接する不動産の持分の売却

例えば、兄弟と共有している家と私道の持分の両方を2分の1ずつ売却するということです。

売却先は次の通りです。

  • 他の共有者
  • 専門の買取業者
  • 専門の仲介業者

メリットは次の通りです。

メリット
  1. 自分の意思だけで売却できる
  2. 他の共有者に知られずに売却できる

持分の売却は他の共有者の同意を得ずに売却できます。

デメリットは次の通りです。

デメリット
  1. 家の他の共有者と揉めることがある
  2. 売却価格が下がる

共有持分を第3者に売却する場合の相場は「不動産の市場価格×持分割合×30〜50%」です。

【パターン③】共有持分の私道だけ売却

これは自分の家は残して公道に続く道だけを売却するということです。

売却先は次の通りです。

  • 他の共有者
  • 専門の買取業者
  • 専門の仲介業者

メリットは次の通りです。

メリット
  1. 私道の税金や維持費の負担が減る
  2. 単独で売却できる

私道の所有権がなくなるので、私道の分の固定資産税や維持費が減ります。

デメリットは次の通りです。

デメリット
  1. 売却価格が低い
  2. 買い手が少ない
  3. 通行権や採掘権を取得しなければいけない

私道だけの売却は需要が少なく、買い手を見つけづらいです。

【パターン④】共有者全員で私道全体を売却

これは私道の共有者全員で私道を売却するということです。

売却先は次の通りです。

  • 一般の不動産会社
  • 近隣の不動産所有者

一般の不動産会社が購入する目的は、残りの持分を買取して相場で売却することです。

近隣の不動産所有者が購入する目的は、持分をまとめて不動産の処分や活用しやすくすることです。

メリットは次の通りです。

メリット
  1. 共有者とトラブルが起きにくくなる
  2. 市場価格に近い価格で売却できる

まとめて売却できるので単独で売却するより高く売却できます。

デメリットは次の通りです。

デメリット
  1. 共有者全員の同意がいる
  2. 時間がかかる

共有者が多くいるほど条件の調整に時間がかかるため、売却に時間がかかります。

私道持分の無い再建築不可物件の売却

私道持分のない再建築不可物件とは、建築基準法の道路への接道や通行・採掘の許可が不明確で建替えできない土地のことです。

今ある建物を取り壊すと建替えができません。

再建築不可物件はそのままでも売却できますが、売却価格は50%~70%です。

建築可能な状態にすれば実勢価格と同等の金額で売却できます。

建築可能な状態にする方法は次の通りです。

  • 建築可能にする方法
方法 概要
私道の通行許可を得る 近隣の事例を参考に算出する
私道持分を買取る 不動産の市場価格×持分割合
隣地所有者に売却する 不動産の市場価格×持分割合

私道の使用権を得れば市場価格に近い金額で物件を売却できます。

共有持分の私道を売却する流れ

流れ
  1. 権利関係の調査
  2. 書類の準備
  3. 不動産会社に相談・売却依頼
  4. 売買契約

売却前に公図や登記簿謄本で自分の持分割合や共有者の情報を把握してください。

事前に通行や掘削の許可書をそろえておくと売却がスムーズに進みます。

売却に必要な書類は次の通りです。

必要書類
  1. 登記事項証明書(登記簿謄本)
  2. 公図・地積測量図
  3. 通行承諾書・掘削証明書
  4. 固定資産税評価証明書
  5. 本人確認書類
  6. 印鑑証明書
  7. 実印

共有者全員で私道全体を売却する場合は、共有者全員の本人確認書類や印鑑証明、実印が必要です。

契約に立ち会わない共有者がいる場合は、委任状を作成してください。

共有持分の私道に隣接する不動産の売却先を選ぶポイント

  • ポイント
項目 内容 理由
専門分野 共有持分専門の会社を選ぶ 持分への対応力が高いから
弁護士との提携 共有持分に強い弁護士がよい トラブルの予防、トラブルへの対応能力があるから
買取方法 スピード重視なら買取、高額売却なら仲介を選ぶ 買取方法には2種類あるため
買取スピード 買取までの日数や現金化までの日数 素早く購入できるだけの経験、ノウハウがあるから
買取実績・口コミ その業者の対応力やサービスの質を見る 悪質・悪徳な業者を避けられるから

早く現金化したい人は買取業者、高額売却したい人は仲介業者を選んでください。

共有私道に隣接する不動産を売却できる業者5選

専門業者5選
  1. 共有持分支援協会
  2. 大正ハウジング
  3. ベリーベスト不動産
  4. クランピーリアルエステート
  5. アルバリンク

順番にご案内いたします。

共有持分支援協会

共有持分の問題を解決する専門機関です。

共有持分専門の弁護士と提携して問題の解決にあたります。

急ぎの場合は手付金を即日受け取れます。

大正ハウジング

共有持分専門の買取業者です。

提携している顧問弁護士と連携しています。

ベリーベスト不動産

共有持分専門の買取業者です。

グループ会社の法律事務所と連携して対応します。

クランピーリアルエステート


訳あり物件専門の買取業者です。

相談件数は毎月300件以上です。

全国1,500件以上の士業事務所と提携しています。

アルバリンク

訳あり物件専門の買取業者です。

相談実績は年間5,000件です。

ほかの私道共有者との交渉を一任できます。

まとめ

私道の共有持分の売却方法についてご案内いたしました。

私道の売却は権利関係が複雑なので専門業者に相談してください。