「他の共有者の持分が競売にかけられそうになっている」
「共有持分が競売されるどうなる?」
このように考えていませんか?
このページでは、共有持分の競売についてご案内します。
目次
他の共有者の持分の競売後、どうなる?
競売とは債務の返済が滞った場合に、債権者が裁判所に申し立てて、担保の不動産を売却する手続きのことです。
次のようなことが起こる可能性があります。
- 買取の交渉を受ける
- 買主が敷地内を出入りする
- 家賃を請求される
- しつこい営業を受ける
- 管理・修繕が難しくなる
- 持分を差し押さえられることがある
- 共有物分割請求訴訟を起こされる
詳しくご案内します。
買取の交渉を受ける
競売では不動産業者が落札することが多いです。
転売によって利益を上げるためです。
業者は落札後に持分の売買を働きかけてきます。
悪質・悪徳な業者の場合は、安く買い叩こうとします。
買主が敷地内を出入りする
落札した第三者は不動産を利用する権利を持っています。
敷地内に入っても不法侵入にはなりません。
自由に出入りできます。
業者が買主の場合は、その物件の調査や確認をします。
家賃を請求される
落札した第三者が権利を主張して、家賃を請求してくる可能性があります。
持分割合に応じた家賃を請求してきますが拒否はできません。
「あなたが住んでいるなら、その分の使用料を支払ってほしい」といった形で請求されます。
しつこい営業を受ける
落札した第三者が業者だった場合、転売が目的のため、持分の売却を求めてきます。
不安をあおったり、何度も電話してきたりします。
悪質・悪徳な業者の場合は、精神的な圧力をかけてきます。
管理・修繕が難しくなる
共有名義の不動産は、行為によっては共有者の同意が必要です。
行為 | 具体例 | 同意の有無 |
---|---|---|
保存行為 | 修理、相続登記 | 1人でできる |
管理行為 | 賃貸契約 | 過半数の同意が必要 |
変更行為 | 不動産全体の売却・抵当権の設定、増改築、解体 | 全員の同意が必要 |
落札した第三者との意思共有ができない場合は、管理行為や変更行為が難しくなります。
持分を差し押さえられることがある
差し押さえとは、債権者が債務者から返済してもらえない場合に、債権者の権利を確保する手続きです。
住宅ローンや固定資産税を滞納した場合に起こります。
差し押さえの登記が行われます。
共有物分割請求訴訟を起こされる
共有物分割請求訴訟とは共有状態を解消するための法的な手続きです。
分割方法は次の通りです。
現物分割 不動産そのものを分ける
代償分割 1人が不動産を取得し、他の共有者に代償金を支払う
換価分割 不動産を売却して、代金を分ける
共有物分割請求訴訟を起こされた場合は、早急に弁護士に相談してください。
共有持分が競売になるケース
競売になった場合の、他の共有者の持分と自分の持分での違いは次の通りです。
項目 | 他の共有者の持分が競売 | 自分の持分が競売 |
---|---|---|
原因 | 他の共有者の債務 | 自分の債務 |
競売の対象 | 他の共有者の持分のみ | 自分の持分のみ |
競売後のリスク | 新しい共有者と自分が交渉しなければならない | 債務が残る場合がある |
共有持分が競売になる具体的なケースは次の通りです。
- 住宅ローンを滞納した
- 持分を担保にして借入をして滞納した
- 税金を滞納した
詳しくご案内します。
【ケース①】住宅ローンを滞納した
住宅ローンを滞納し続けると競売にかけられます。
例えば、夫婦でペアローンに入っていて、片方が滞納した場合です。
不動産全体が競売にかけられる可能性があります。
【ケース②】持分を担保にして借入をして滞納した
共有持分を担保にした債務の滞納で競売にかけられます。
共有持分は他の共有者の同意なしで持分を担保にした借り入れが可能です。
その場合、担保の持分が競売にかけられます。
例えば、兄弟で実家を相続し、兄が持分を担保にして融資を受けて滞納した場合です。
【ケース③】税金を滞納した
税金を滞納すると差し押さえられてしまいます。
税金滞納の回収は、競売ではなく公売という形で行われます。
固定資産税を滞納した場合は、不動産全体が差し押さえられてしまいます。
共有持分の競売の流れ
競売の流れは次の通りです。
- 債権者が裁判所に競売の申し立てをする
- 裁判所の執行官が不動産を調査する
- 不動産鑑定士が不動産の鑑定評価をする
- 裁判所が不動産の売却基準額を決める
- 入札を開始する
- 落札者が決定する
- 落札者が代金を納付する
代金の納付が完了すると、債権者に配当されます。
残債務がある場合は、債権者による回収が続きます。
共有持分の競売前にできる4つのこと
- 共有者の持分を買取る
- 任意売却をする
- 他の共有者の債務を代わりに返済する
- 債権者に競売の取り下げの交渉をする
詳しくご案内します。
【方法①】共有者の持分を買取る
自分が他の共有者の持分を買取り、その代金を返済に充ててもらう方法です。
メリットは、買取る側が持分を増やせることです。
単独所有にできれば高く売れます。
デメリットは買取る側に資金が必要なことです。
資金に余裕がある方でないとできない方法です。
【方法②】任意売却をする
競売と任意売却の違いは次の通りです。
項目 | 競売 | 任意売却 |
---|---|---|
売却価格 | 市場価格の30%~70% | 市場価格に近い価格 |
情報公開 | 公開(近所に知られる) | 非公開 |
引っ越し費用 | 自己負担 | 交渉の余地あり |
退去日 | 退去日までに強制退去 | 交渉次第 |
メリットは競売よりも高く売れることです。
デメリットは不動産全体を売る場合、共有者全員の同意が必要なことです。
【方法③】他の共有者の債務を代わりに返済する
自分に資金的な余裕があれば、債務を代わりに返済する方法があります。
メリットは持分の権利関係を維持できることです。
デメリットは次の通りです。
- 資金が必要
- 肩代わりした金額を回収できる保証がない
代わりに返済する場合、他の共有者とは借用書を交わしてください。
債権者や他の共有者とのやり取りについては弁護士に相談してください。
【方法④】債権者に競売の取り下げの交渉をする
競売になっても取り下げの交渉は可能です。
メリットは競売を回避できることです。
デメリットは取り下げるために残債の一括返済か任意売却をすることです。
実際には難しいため現実的な方法ではありません。
共有持分が競売にかけられたときの3つの対処法
- 共有持分を買取業者に売却する
- 落札した第三者と持分の売買をする
- 自分が競売で落札する
詳しくご案内します。
【対処法①】共有持分を買取業者に売却する
早く売りたいなら専門の買取業者へ売却してください。
メリットは次の通りです。
- 手続きが早くて簡単
- 弁護士と提携している業者なら複雑な問題にも対応してくれる
デメリットは市場価格より安くなることです。
買取相場は市場価格の30%~50%です。
詳しくはこちらの「共有持分の買取のメリットや相場、流れ、業者を選ぶ方法などを解説」でご案内していますので、ご一読ください。
【対処法②】落札した第三者と持分の売買をする
メリットは落札した第三者との売買に応じると、共有状態を解消できることです。
デメリットは第三者が悪質・悪徳な業者だった場合、安く買い叩かれる可能性があることです。
逆に買取しようとしても、高額な金額を吹っ掛けられてしまう可能性があります。
【対処法③】自分が競売で落札する
メリットは次の通りです。
- 第三者の介入を防げる
- 持分割合を増やせる
デメリットは落札するための資金が必要なことです。
共有持分の競売のまとめ
共有持分の競売についてご案内しました。
自分もしくは他の共有者の持分が競売にかけられる際に参考にしてください。