「共有名義の不動産でも不動産担保ローンは利用できる?」
「いくらまで借りられる?」
このように考えていませんか?
このページでは、共有名義の不動産担保ローンについて、分かりやすくご案内いたします。
目次
不動産担保ローンは共有名義でも利用できる!
共有名義の不動産でも不動産担保ローンを組むことができます。
- 共有名義の不動産全体を担保にする
- 共有持分だけを担保にする
共有名義とは1つの不動産を複数人で所有している状態のことで、共有持分は所有権の割合のことです。

「共有持分だけを担保にする」とは、例えば、実家を母と2人兄弟で共有名義で相続している場合、兄がその持分4分の1だけを担保に、不動産担保ローンの審査を受けることができるということです。
- 相続により兄弟姉妹など複数人で建物を取得した
- 夫婦で自宅を購入した
- 親子や親族で資金を出し合って土地を購入した など
共有名義で不動産担保ローンを組む2つの方法
- 共有名義の不動産全体を担保にする
- 自分の共有持分だけを担保にする
それぞれご案内します。
【方法①】共有名義の不動産全体を担保にする
共有名義の不動産全体とは、土地や建物の100%のことです。
例えば、共有名義で相続した家全体のことです。

メリットは次の通りです。
- 持分だけより融資額が大きい
- 金利が低い
- 対応している金融機関が多い
共有持分だけを担保にする場合と比べると、金融機関に「担保価値が高い」と判断されるため、融資額が大きいですし、低金利で借りられます。
不動産全体を担保とする場合、銀行・信用金庫・ノンバンクなど幅広い金融機関で利用できます。
- 共有者全員の同意が必要
- 手続きや調整に時間がかかる
不動産全体を担保にするには、民法第251条に基づき共有者全員の同意が必要です。
-
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
共有者全員の意思確認や書類収集が必要なため、手続きに時間がかかります。
【方法②】自分の共有持分だけを担保にする

この場合のメリットは次の通りです。
- 単独で資金調達できる
- スムーズに手続きを進められる
他の共有者の同意が不要なため、共有者との関係が良好でない場合や、連絡が取れない場合でも資金調達できます。
- 融資額が小さい
- 金利が高い
- 対応している金融機関が少ない
融資額が小さく、金利が高い理由は、民法第251条で、「共有名義の不動産を売却するには共有者全員の同意が必要」と定められているからです。
そのため、借主が返済できなくなった場合に、金融機関が持分を売却して資金を回収するのに時間がかかります。
同じ理由で、大手の銀行では対応しておらず、一部のノンバンクだけしか対応していません。
共有名義の不動産担保ローンの借入可能額
- 共有不動産全体を担保にする場合
- 自分の共有持分だけを担保にする場合
【ケース①】共有不動産全体を担保にする場合

この場合の借入額は、次の計算式で算出できます。
- 借入可能額=不動産評価額×担保掛目(たんぽかけもく)
不動産評価額は、市場で取引されている価格(市場価格=実勢価格/じっせいかかく)のことですが、金融機関によって評価基準は異なります。
一般的に、不動産の評価額は次の内容で算定されます。
| 評価項目 | 概要 |
|---|---|
| 路線価 | 国税庁が公表する土地の評価指標で担保評価の際に使われる |
| 収益性 | 賃貸物件の場合、物件が将来生み出す利益 |
| 立地条件 | 最寄り駅からの距離や周辺環境、商業施設の有無など |
| 建物の状態 | 築年数、構造、修繕状況など |
担保掛目とは、不動産評価額のうち、金融機関が融資対象として認める割合のことです。
例えば、共有名義不動産の評価額が5,000万円で担保掛目が60%の場合、借入可能額は3,000万円です。
- 計算式…5,000万円x60%=3,000万円
その他、次の項目も借入可能額に影響します。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 共有者の信用力 | 共有者の収入状況や信用情報など |
| 金融機関の種類 | 銀行系は評価額が低く、ノンバンク系は高い |
【ケース②】自分の共有持分だけを担保にする場合

この場合、不動産全体の評価額に持分割合と担保掛目を乗じて借入可能額を算出します。
- 借入可能額=不動産評価額×持分割合×担保掛目
ただし、実際の借入可能額は、理論上算出した金額の1/3~1/2程度です。
その理由は、共有持分だけの売却は困難なため「資金回収リスクが高い」と金融機関が判断するからです。
例えば、評価額が6,000万円で持分割合は50%、担保掛目が70%の場合、借入可能額の目安は2,100万円ではなく、約700万円〜1,050万円程度ということです。
- 計算式…6,000万円x50%x70%x1/3~1/2=700万円〜1,050万円
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 申込者本人の信用力 | 申込者本人の収入状況や信用情報が重視される |
| 金融機関の種類 | ・銀行は対応していない場合があるがノンバンクは対応している会社が多い ・共有持分を専門に扱う会社では、借入可能額が高くなる可能性がある |
共有名義で不動産担保ローンを利用する際の4つの注意点

注意点は4つあります。
- 単独名義より借入可能額が低い可能性がある
- 他の共有者が物上保証人になる可能性がある
- 共有者全員が連帯保証人になる可能性がある
- 返済不能時に共有不動産を失うリスクがある
それぞれご案内します。
【注意点①】単独名義より借入可能額が低い可能性がある
これは例えば、単独名義なら3,000万円借りられる物件でも、共有名義だと2,500万円になるといったことです。
その理由は、共有名義の不動産は、単独名義と比べて売却しづらいからです。
借り手が返済不能となった場合、金融機関は担保不動産を売却して回収します。
- 全体の売却
- 競売
共有名義の不動産全体を売却するには、共有者全員の同意が必要で、手間がかかります。
中には反対する人もいます。
競売なら金融機関の判断だけで進められますが、市場価格の60%~80%ほどの価格になり、金融機関の回収額が少なくなります。
このようなリスクを加味して、金融機関は単独名義よりも借入可能額を低く設定します。
【注意点②】他の共有者が物上保証人になる可能性がある
物上保証人とは、他人の債務のために自分の不動産に抵当権を設定して担保を提供する人のことです。

借主以外の共有者が物上保証人になる理由は、共有名義の不動産全体を担保に不動産担保ローンを利用する場合、共有者全員の持分に抵当権を設定することを条件としている金融機関があるからす。
借主が返済できなくなった場合でも、物上保証人は借金を返済する義務はありません。
ですが、担保として提供した不動産が競売にかけられ、不動産を失うリスクがあります。
-
父が無くなり、母と兄弟の共有名義で実家を相続した。
兄(持分4分の1)が母の介護のために、母(持分2分の1)と弟(持分4分の1)が物上保証人になるという条件で不動産を担保に3,500万円借りた。
数年後、兄が務めていた会社が倒産してしまい、返済できなくなってしまった。
結果、母が住んでいた実家が競売にかけられ、母は出ていかなくてはならなくなった。
【注意点③】共有者全員が連帯保証人になる可能性がある
共有不動産全体を担保にする場合に、金融機関から条件として共有者全員に連帯保証人となることを求められることがあります。
連帯保証人とは、借主が返済できない場合に代わりに返済義務を負う人のことです。
借主が返済不能となった場合、他の共有者が借入金の返済を求められます。
例えば、母と兄弟の共有名義で相続した実家で、他の共有者が連帯保証人となるという条件で、兄が3,500万円借りたが、返済できなくなった場合は母と弟で返済することになります。
【注意点④】返済不能時に共有不動産を失うリスクがある
借主が返済不能となった場合、金融機関は抵当権を実行し、担保不動産を競売にかけることで、貸した資金を回収するからです。
共有不動産全体を担保にしている場合、抵当権は不動産全体に設定されます。
そのため、もし返済できなくなった場合、共有不動産を失ってしまいます。
自分の共有持分だけで不動産担保ローンを利用する際の4つの注意点

注意点は4つあります。
- 借入可能額が低い
- 返済不能時に持分を失うリスクがある
- 他の共有者にバレる可能性がある
- 抵当権は共有物分割後も消えない
それぞれご案内していきます。
【注意点①】借入可能額が低い
借入額可能額のところでご案内した通り、持分だけで融資を受ける場合は、借り入れられる金額は、不動産評価額×持分割合×担保掛目よりも低いです。
理論上算出した金額の1/3~1/2程度になります。
【注意点②】返済不能時に持分を失うリスクがある
金融機関が返済を受けられなくなった場合、最終的に持分を競売することで、貸した資金を回収するからです。
なお、持分を競売で購入した人(ほとんどの場合は買取業者)は、他の共有者に持分の買取交渉をしたり、訴訟を起こしたりします。
持分だけを持っていていても何もできないので、不動産全体を購入して売却するためです。
その結果、最終的には他の共有者も不動産を失います。
【注意点③】他の共有者にバレる可能性がある
不動産担保ローンを組む際に、法務局で抵当権の設定登記をするため、第三者が確認できる状態になるからです。
そのため、他の共有者が登記内容を確認した際に、持分でお金を借りたことを知る可能性があります。
【注意点④】抵当権は共有物分割後も消えない
共有物分割とは、複数人で不動産を共有する状態を解消し、それぞれの単独所有にする手続きのことです。
自分の共有持分だけに抵当権を設定し、その後に共有物分割を行うと、次の状態になります。
- 抵当権は消えず、借金を返済し続ける必要がある
- 抵当権は分割後の各土地に持分割合に応じて残る
-
兄弟2人で土地を相続し、均等に共有した。
兄が自分の持分2分の1を担保にして1,000万円を借りた。
その後、土地を東西に分筆して現物分割し、東側を兄、西側を弟の単独所有にした。
その後、兄が返済できなくなり、弟に競売通知が届いた。
弟はそこで初めて、東側だけでなく西側の自分の土地にも抵当権が残っていることを知った。
弟には数百万円を肩代わりする資金が無かったため、東側・西側の両方の土地が競売されてしまい、結局、全ての土地を失うことになった。
共有名義で不動産担保ローンを組む流れと必要書類
共有名義で不動産担保ローンを組む流れは次の通りです。
- 共有者へ説明し同意を得る ※全体を担保にする場合
- 金融機関へ仮審査を申し込む
- 不動産担保ローンの仮査定を受ける
- 本審査を受ける
- 契約を締結する
- 借入する
必要書類は次の通りです。
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 印鑑証明書
- 実印
- 収入証明書(源泉徴収票、確定申告書など)
- 納税証明書
- 不動産関係書類
- 住民票
- 戸籍謄本(共有者の関係性確認が必要な場合)
共有不動産全体を担保にする場合、共有者全員分の書類が必要です。
不動産関係書類とは、次のような書類のことです。
| 書類 | 取得先と費用 |
|---|---|
| 登記事項証明書 | 法務局(窓口・郵送:600円、オンライン:500円) |
| 登記識別情報(権利証) | 自分で保管しているもの |
| 固定資産評価証明書 | 市区町村役場(300円程度) |
| 公図 | 法務局(窓口・郵送:450円、オンライン:370円) |
| 地積測量図 | 法務局(窓口・郵送:450円、オンライン:370円) |
| 建物図面 | 法務局(窓口・郵送:450円、オンライン:370円) |
| 建築確認通知書 | 自分で保管しているもの(紛失時は市区町村で再発行可能、300円程度) |
費用は自治体や取得方法によって多少変動する場合があります。
また、金融機関によって必要書類は異なります。
金融機関の担当者が分かりやすく案内してくれます。
不動産担保ローン以外の共有名義の不動産で資金を調達する3つの方法
- 共有持分を売却する
- 共有名義の不動産全体を売却して代金を分ける
- 共有名義不動産をリースバックする
それぞれご案内します。
【方法①】共有持分を売却する

自分の共有持分だけを売却して、現金化するという方法です。
民法206条で規定されている通り、いつでも自由に、共有者の同意無しで売却できます。
売却先は次の通りです。
- 他の共有者
- 第三者(買取業者など)
第三者への共有持分の売却は、共有者との関係が悪い場合や迅速に資金化したい場合に有効です。
ですが、売却価格が想定より低くなる可能性があります。
その相場は、市場価格の30%~50%です。
例えば、評価額5,000万円の不動産の2分の1を売却すると、2,500万円ではなく、750万円~1,250万円になるということです。
【方法②】共有名義の不動産全体を売却して代金を分ける

共有名義の不動産全体を売却し、その売却代金を持分割合に応じて分配するという方法です。
例えば、評価額5,000万円の不動産があり、持分が2分の1なら、2,500万円ずつ分けます。
共有持分だけを売却する場合と比べると、手に入る現金は大きいですが、共有者全員の同意が必要です。
【方法③】共有名義不動産をリースバックする
リースバックとは、不動産を売却して現金を受け取った後、賃貸契約を結んで家賃を支払いながら売却した物件に住み続ける仕組みのことです。

共有名義不動産のリースバックには、次の2つの方法があります。
- 共有名義不動産全体をリースバックする方法
- 自分の共有持分のみをリースバックする方法
不動産全体をリースバックする場合は、共有者全員の同意が必要です。
共有持分だけをリースバックする場合は単独で進められます。
ですが、対応している会社は限られます。
まとめ
共有名義の不動産で不動産担保ローンを利用することはできます。
ただし、持分だけで融資を受ける場合は、高金利で、借入上限額が低く、対応している金融機関が少ないです。
融資以外にも、売却やリースバックという方法もありますので、ご検討ください。
