共有持分だけなら売却に同意は不要!但し全体の場合は勝手にできない

「共有持分の売却に、同意って必要?」
「全員の同意が必要なのか、不要なのか、イマイチ分からない…」

このように考えていませんか?

この記事では、共有持分の売却時に同意が必要かどうかを、分かりやすくご案内します。

この記事の作成者

専門相談員 戸田 良行Yoshiyuki Toda

【資格】宅地建物取引士
神奈川県出身。高校サッカーで全国大会進出を果たし、指導者の道に進む。その後、大手不動産会社で不動産のノウハウを蓄積する。諦めないことを信条に、お客様の希望を叶えるため日々奮闘中。

共有持分の売却で同意が必要なケースと不要なケース


専門相談員
戸田(とだ)
売却には、同意が必要なケースと、不要なケースがあります

それぞれご案内していきます。

同意が必要なケース=全体を売却する場合

共有不動産全体の売却には、共有者全員の同意が必要です。

理由は、民法251条で規定されているからです。

民法251条「共有物の変更」
    各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。

例え1人が過半数(1/2以上)の持分を所有していても、誰か1人でも共有者が反対すれば売却できません

共有持分の売却で同意が得られない場合は、次の5つ方法で対処してください。

  1. 話し合いを重ねる
  2. 他の共有者に買い取ってもらう
  3. 他の共有者の持分を買取る
  4. 自分の持分だけを売却する
  5. 共有物分割請求訴訟を起こす

戸田
できれば、共有者同士の話し合いによる解決がベストです。

あなたの状況に応じて5つの対処法をご選択ください。

同意が不要なケース=自分の持分だけを売却する場合

共有持分だけなら、自由に売却できます

理由は、民法206条で規定されているからです。

民法206条「所有権の内容」
    所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。

共有者の同意や許可をはじめ、事前の連絡や事後の報告なども不要です。

ただし、一般の不動産会社では対応できないため、次のように売却先は限られています。

  • 共有持分に対応可能な買取業者
  • 共有持分に対応可能な仲介業者
  • 他の共有者

詳しくはこちらの「共有持分の買取」をご覧ください。

同意があっても持分を売却できないケース


戸田
次の3つのケースでは共有者の同意があっても売却できません
  1. オーバーローンの場合
  2. 登記できない場合
  3. 農地の場合

ご案内していきます。

①オーバーローンの場合

オーバーローンとは、家を売っても住宅ローンが残ってしまう状態のことです。

例えば、住宅ローンの残りが4,200万円で、家を売却しても4,000万円にしかならない場合、仮に売却できたとしても200万円の借金だけがだけが残ります

この状態では、共有者が同意をしていても、住宅ローンを貸した金融機関が抵当権の抹消を承諾しないため、売却できません。

  • 抵当権の抹消…借金完済後に、金融機関が不動産に設定していた抵当権(担保にする権利)を登記簿から消す手続き

戸田
この状態では、不動産全体でも持分だけでも売却できません。

住宅ローンの完済ができれば売却できます。

②登記できない場合

不動産登記法第59条および60条により、登記原因証明や本人確認がなければ移転登記できないと定められています。

  • 登記原因証明情報…所有権が移った経緯を説明する書類
  • 本人確認…本人であるかを確認する手続きのこと。運転免許証やマイナンバーカードなどで行う

民法第177条により、登記をしなければ、第三者に所有権を主張できないと定められています。


専門相談員
戸田(とだ)
このような内容から、登記ができなければ、共有者の同意があっても売却できません

③農地の場合

農地法第3条および5条により、農地の売却等による権利移動は、原則として農業委員会や都道府県知事の許可が必要です。

農地の共有持分を取得する場合も、同様に許可が必要です。


戸田
許可が下りない場合は権利移転が成立しないため、共有者の同意があっても売却できません

共有持分の売却を同意ナシで進めたらどうなる?


戸田
所有している共有持分だけなら同意を得なくても売却できます。

ですが、その後、どうなるのかは気になりますよね。

次の2つに分けてご案内します。

  1. 売却した側に起こること
  2. 売却された側に起こること

①共有持分を「売却した側」に起こること

繰り返しになりますが、他の共有者からの同意を得ずに、持分だけを勝手に売却することはできます。

ただし、次のようなことが起こる可能性があります。

  • 共有者との人間関係が悪化する
  • 共有者からクレームが来る

勝手に売却してしまったら、それまで築いてきた信頼関係が壊れてしまいます。

今まで関係が無かった場合は、ゼロだった関係性がマイナスの状態になってしまいます。

クレームとは次のようなことです。

  • 他の共有者が住んでいる場合→「まだ住んでるのに!」
  • 全体で売却することを計画している場合→「勝手なことをするな!

戸田
同意が無くても売却できますが、今後も共有者と関係があるなら、事前に連絡なさってください。

また、買取業者の中には悪徳・悪質な業者がいます

この場合は、次のようなことが起こる可能性があります。

  • 一度連絡しただけなのにしつこく営業をしてくる
  • 極端に安い査定を提示される
  • 契約後に価格交渉をしてくる
  • 契約後に修繕費の請求をしてくる

こうならないためにも、悪質・悪徳な業者を避けて、ちゃんとした業者に売却を依頼するように選定をしてください。

そのポイントは、こちらの共有持分の売却先を選ぶ6つのポイントでご案内しています。


戸田
このポイントは、売却をお考えの方は必読です!

>>共有持分の売却先を選ぶ6つのポイントを見る

②共有持分を「売却された側」に起こること

買取業者には「全ての持分を購入した後、リフォームして売却し、利益を得る」という目的があります。

そのため、他の共有者に交渉・営業をします。

まともな業者なら、常識の範囲内で交渉をしてきます。

ですが、悪徳・悪質な業者の場合は次のような嫌がらせをしてくることがあります

  • しつこい電話営業(深夜や早朝も)
  • 自宅や職場への訪問(アポなしの場合も)
  • 高圧的な態度での交渉
  • 勝手に敷地内に入る
  • 断りなく内覧を行う
  • ゴミを置いていく

この他に、買取業者と他の共有者の間で起こる可能性があるのは、次のようなことです。

起こること 概要
自由に使えなくなる 今まで問題なかった行為・行動が制限されることがある
費用負担で揉める 固定資産税や修繕費などの支払いの分配で揉める
家賃を請求される 1人の共有者だけが住んでいる場合、買主から家賃相当額を請求される
共有持分割請求訴訟される 裁判による分割

共有持分割請求訴訟とは、共有者の一人が共有状態を解消したいと裁判所に提起することです。

この訴訟は民法258条で共有者に認められた権利のため、他の共有者は拒否できません

こうしたトラブルが起こってしまったら、弁護士に相談することになります。


戸田
トラブルが起きないようにするのは簡単です。

悪徳・悪質な業者を避けて、ちゃんとした買取業者に売却を依頼するだけです。

>>共有持分の売却先を選ぶ6つのポイントを見る

同意なしで共有持分を売却する6つの手順

売却する手順
  1. 無料査定の依頼
  2. 査定額の提示(数日~1週間程度)
  3. 書類の準備(数日~2週間程度)
  4. 契約内容の把握
  5. 決済(数週間~1ヶ月程度)
  6. 所有権移転登記

同意ナシでも同意アリの場合でも、手順は同じです。

査定額の提示に時間がかかることがあります。

その理由は、正確な買取金額を提示するには、売主からのヒアリングや現地調査を通して、物件の状態や条件を丁寧に調査し、調査した条件をもとに算出する必要があるからです。


戸田
ただし、中には悪質、悪徳な業者がいますので、次のようなポイントに沿って、業者選定をしてください。
  1. 早く買取ってくれる
  2. 共有持分を専門に買取している
  3. 買取実績が豊富
  4. 買取実績が豊富
  5. 担当者の対応が良い
  6. 口コミ・評判が良い

詳しくはこちらの「業者選びの6つのポイント」をご覧ください。

基本的にはホームページで確認できる内容です。

同意なしで共有持分を売却する際に必要な書類と費用

必要な書類と費用について詳しくご案内します。

必要書類

必要書類
  1. 登記事項証明書
  2. 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード)
  3. 印鑑証明書
  4. 固定資産税納付書(もしくは評価証明書)
  5. 権利書または登記識別情報通知

法務局で取得できる登記事項証明書には、共有者の名義と持分の割合が記載されています。


戸田
自分の持分だけを売却するなら、自分の書類のみで大丈夫です。

もし共有不動産の全体を売る場合、売買契約書や登記原因証明情報は、不動産全体を対象に作成します。

本人確認書類や登記識別情報は、全員分必要です。

費用

  • 印紙税(200円~6万円 ※売却額で異なる)
  • 仲介手数料
  • 譲渡所得税
  • 抵当抹消登記

必ず発生するのが印紙税で、売却額によって200~600万円と変わります。

抵当抹消登記とは、住宅ローンの利用時に不動産に設定された抵当権を登記簿から消す手続きのことで、売却するなら必須です。

価格は1,000円ですが、住宅ローンが残っていると抹消できません。

仲介手数料は仲介業者を利用する場合に発生します。


戸田
仲介手数料がかかったとしても、直接売却業者へ売却するより、仲介での売却のほうが高値で売れます

同意なしで売却する場合の業者選び「6つのポイント」

  • 売却先を選ぶ6つのポイント
ポイント 理由
①早く買取ってくれる 早く買取るだけのノウハウがある、早く現金を手に入れられる
②共有持分を専門に買取している リスクを加味した適切な売却価格を提示してくれる、共有者と揉めずに売却できる可能性が高い
③買取実績が豊富 スムーズに売却を進められる
④弁護士と提携している 法的なリスクへの予防、対応ができる
⑤担当者の対応が良い 担当者で結果が変わる、無駄な時間を省略できる、不安を払拭できる
⑥口コミ・評判が良い 良い業者に売却を依頼できる、悪質・悪徳業者の可能性が低い

※引用)共有持分の売却先を選ぶ6つのポイント


戸田
ほとんどのポイントは、ホームページなどで確認することができます。

共有持分は権利関係が複雑でトラブルになる可能性があるため、一般の不動産会社では対応していません。

そのため、対応できる業者を探す必要があります。

対応できる業者は3種類あります。

  • 訳あり物件(事故物件、ゴミ屋敷、再建築不可、借地など)の買取業者
  • 共有持分専門の買取業者
  • 共有持分専門の仲介業者

戸田
共有持分を専門にしている業者は、より高額で買取ってくれますし、専門性が高いので、トラブルの予防やトラブルへの対応ができます。

買取業者は、自社で買取をするため、買取スピードが速いです。

仲介業者は、高額で買取ってくれる人を多くの買い手の中から探しますので、高値で売却できます

仲介手数料が掛かりますが、買取業者よりも高額で売却できます。

速く現金化したい人は買取業者、高値で買い取ってほしい人は仲介業者をお選びください

同意なしの共有持分の売却に対応している5社

持分の売却先5社
  1. 一般社団法人 共有持分支援協会
  2. クランピーリアルエステート
  3. アルバリンク
  4. 蒼悠(そうゆう)
  5. ドリームプランニング

それぞれ詳しくご案内します。

一般社団法人 共有持分支援協会

共有持分の問題解決が専門の社団法人です。

独自の仲介システムで高額売却を実現しています。

早期現金化を希望される方には、最短2日~で買取対応もしています。

社団法人の立場で、専門のスタッフが親身に対応しています。

無料相談を24時間 x 365日受け付けています。

買取方法 仲介、買取
高値売却
売却日数 最短2日
専門家の在籍 弁護士・司法書士・税理士
対応エリア 全国
その他 手付金(最短翌日)・持分の一部買取、持分のリースバック

クランピーリアルエステート

訳あり物件の買取業者ですが、共有不動産にも対応しています。

年間の相談件数は2,000件以上です。

全国1,200以上の弁護士事務所等と連携しています。

買取方法 買取
高値売却
売却日数 最短2日
専門家の在籍 弁護士・司法書士・税理士
対応エリア 全国
その他 現況のまま買取に対応

アルバリンク

訳あり物件の買取業者ですが、共有不動産にも対応しています。

弁護士と提携しています。

最短12時間で査定します。

24時間365日無料査定受付中です。

買取方法 買取
高値売却
売却日数 最短2日
専門家の在籍 弁護士・司法書士
対応エリア 全国
その他 東京プロマーケット市場に上場

蒼悠(そうゆう)

共有持分の買取事業に対応している不動産会社です。

大阪の会社ですが対応は全国です。

買取方法 買取
高値売却
売却日数 最短3日
専門家の在籍 弁護士
対応エリア 全国
その他 特になし

ドリームプランニング

共有持分をはじめとした訳あり物件の買取を行っている不動産会社です。

査定は最速2時間~、売却は最短2日~で完了します。

買取方法 仲介
高値売却 不明
売却日数 最短2日
専門家の在籍 不明
対応エリア 不明
その他 特になし

まとめ

共有持分の売却で同意が必要なケース、同意があっても売却できないケース、同意が不要なケースをご案内しました。

売却する場合は、業者選びのポイントでお選びいただくか、ご案内している5つの業者の中からお選びください。

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