「共有持分の売却の流れを知りたい」
「持分の売却って手間がかかる?」
このように考えていませんか?
この記事では、共有持分の売却の流れについて、プロが分かりやすく解説しています。
目次
共有持分の売却とは?3つの売却方法を解説
まず、共有持分とは、複数の人で共有している1つの不動産の、各人が所有している権利の割合のことです。
例えば、父が亡くなり、実家を母と兄弟3名の共有名義で相続した場合、その共有持分(権利の割合)を母2分の1、兄弟それぞれ4分の1とすることがあります。

共有持分を売却する方法は3つあります。
- 共有持分を第三者に売却する
- 不動産全体の売却をする
- 共有持分を共有者間で売却する
順番にご案内します。
❶共有持分を第三者に売却する
第三者(他の共有者以外の買取業者など)に、自分の持分だけを売却する方法です。
例えば、母と兄弟の合計3人で実家を共有名義で相続した場合、兄が4分の1の持分だけを、母や弟の同意や許可なく、単独の判断で、買取業者などに売却することができます。

他の共有者が反対していても売却できます。
根拠は民法206条です。
-
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する
ただし、一般の不動産会社には、共有不動産を取り扱うノウハウが無いため、専門の業者を探す必要があります。
❷不動産全体の売却をする
共有者全員で協力して不動産全体を売却する方法です。

売却するには共有者全員の合意が必要です。
根拠は民法251条です。
-
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更を加えることができない。
全員で売却する場合、単独名義にすることなく、共有持分のまま売却できます。
売却後は、売却益を共有持分に応じて分配します。
共有持分を共有者間で売却する
次の2つのパターンがあります。
- 自分の持分を他の共有者に売却する
- 他の共有者から持分を買い取る
例えば、母と兄弟の合計3人で実家を共有名義で相続したが、弟が兄に4分の1の持分を売却して、母も兄も2分の1ずつにするといったことができます。

共有者間の売買は、一般的に単独名義にすることを目的に行われます。
理由は次の通りです。
- 売却や賃貸、融資などの不動産の活用をしやすくなる
- 共有者は少ない方がトラブルになりづらい
不動産を親族などの共有者間でトラブルなく売買するには、相応の知見や資金が必要なため、計画的に行われることがほとんどです。
この後は、その方法別の流れをご案内いたします。
【方法①】共有持分を第三者に売却する6つの流れ
- 専門の業者に査定を依頼する
- 必要書類を用意する
- 売買契約を締結する
- 決済をする
- 所有権移転登記をする
- 確定申告と納税をする
【流れ①】専門の業者に査定を依頼する
不動産会社に持分の買取価格を算出してもらいます。
複数の専門の業者に査定をご依頼ください。
その理由は次の通りです。
- 一般の不動産会社では査定に対応していない
- 査定自体は無料でできる
- 相場価格を把握できる
- 各社の対応を比較できる
一般の不動産会社では査定に対応していない理由は、共有者が複数いてトラブルになりやすく、収益化までに相応の時間がかかるからです。
同じ理由で、売却価格は市場価格の30%~50%と、安くなります。
持分の価格の計算式は次の通りです。
- 市場価格(不動産全体の時価) × 売却する持分割合 x 30%~50%
例えば、市場価格6,000万円の不動産の3分の1の持分を売却する場合は、2,000万円ではなく、その30%~50%の600万円~1,000万円になるということです。
少しでも高く売りたい方はご覧になってみてください。
【流れ②】必要書類を用意する
売主が準備する書類は次の通りです。
- 登記識別情報(権利証)
- 印鑑証明書
- 本人確認書類
- 固定資産評価証明書
- 登記事項証明書
書類の取得費用は合計で数百円〜数千円程度です。
【流れ③】売買契約を締結する
買主と売買契約書を取り交わします。
特に確認すべき項目は次の通りです。
- 売却金額
- 契約不適合責任の免責の有無
契約不適合責任とは、売買契約の内容と実際の物件の状態が異なっていた場合に、売主が買主に対して負う責任のことです。
例えば、雨漏りやシロアリ被害があることを伝えずに売却して、後から発覚した場合は、買主の請求に対応することになります。
【流れ④】決済をする
決済とは、次のことを同時に行うことです。
- 売買代金の受け渡し
- 持分移転登記の書類の授受
- 持分移転登記の申請(司法書士が対応)
不動産会社のオフィスなどで行われることが多いです。
持分移転登記の申請は、特に指定が無ければ、不動産会社と提携している司法書士が行うことが多いです。
なお、仲介業者に依頼する場合は仲介手数料がかかります。
例えば、持分を600万円で売却した場合、仲介手数料の上限は24万円程度です。
ただし、仲介手数料がかかっても、買取業者よりも仲介業者の方が高額で売却できます。
仲介での売却をする場合も仲介手数料はかかりませんので、お気軽にご相談ください。
【流れ⑤】持分移転登記をする
持分移転登記とは、売主の持分を買主名義に変更する手続きのことで、司法書士が行います。
基本的に不動産会社が司法書士の手配や書類の取りまとめをサポートします。
登記が完了すると、売主の持分が買主名義に正式に移ります。
かかる費用は次の通りです。
| 費用項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 登録免許税 | 固定資産税評価額×持分割合×2% |
| 司法書士報酬 | 数万円前後 |
原則として買主が負担しますが、当事者間の合意で売主負担にすることもあります。
【流れ⑥】確定申告と納税をする
売却で利益が出た場合、売主は譲渡所得税・住民税を納める必要があります。
確定申告の時期は売却した翌年の2月16日〜3月15日です。
譲渡所得の計算式は次の通りです。
- 譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
税率は所有期間によって2種類あります。
- 5年超なら約20%
- 5年以下なら約39%
例えば、譲渡所得が300万円で所有期間が6年の場合、納税額は約60万円です。
-
所有期間は「売却した年の1月1日時点」で5年を超えているかどうかで判定されます。
例えば、2020年2月1日に取得して、2025年12月1日に売却したら5年以下ですが、2026年1月1日以降に売却すれば5年以上と判定されます。
取得日からちょうど5年経った2025年2月2日以降ではないので、ご注意ください。
【方法②】不動産全体を売却する7つの流れ
- 売却について共有者全員の同意を得る
- 不動産会社に査定を依頼する
- 必要書類を用意する
- 売買契約を締結する
- 決済をする
- 所有権移転登記をする
- 確定申告と納税をする
共有者全員で協力して不動産全体を売却する方法の流れについて、順番にご案内します。
【流れ①】売却について共有者全員の同意を得る
先ほどもご案内した通り、民法251条で、不動産全体を売却する場合は共有者全員の同意が必要と定められています。
後のトラブルを防ぐために、事前に次の内容を決めておいてください。
- いつまでに売却するか
- 売却代金の分け方
- 費用負担の割合(仲介手数料・登記費用など)
【流れ②】不動産会社に査定を依頼する
共有名義であることと全員が売却に同意していることを伝えて査定を依頼します。
同意がある場合は共有名義のまま売却できます。
不動産全体は、市場価格で売却できます。
例えば、兄弟で2分の1ずつ所有している市場価格が5,000万円の共有名義の不動産の場合、売却価格は約5,000万円になります。
【流れ③】必要書類を用意する
必要な書類は次の通りです。
- 登記識別情報(権利証)
- 印鑑証明書
- 本人確認書類
- 固定資産評価証明書
- 登記事項証明書
- 委任状(契約や決済に立ち会えない共有者がいる場合)
各共有者が自分の分を用意します。
【流れ④】売買契約を締結する
売主は共有者全員ですので、全員が売買契約書に署名・実印を押します。
出席できない共有者は委任状で代理人対応ができます。
契約締結時に手付金を受け取ることがあります。
【流れ⑤】決済をする
決済日に、所有権移転登記に必要な書類の授受と代金の受け取りをします。
売却代金は持分割合に応じて共有者間で分配します。
例えば、3人の共有者がそれぞれ持分3分の1ずつ持っていて、3,000万円で売却した場合、各自1,000万円ずつです。
【流れ⑥】所有権移転登記をする
所有権移転登記とは、不動産の「所有権100%」を別の人に移すことです。
決済当日に司法書士が法務局へ申請します。
法務局が登記簿に記載すれば完了です。
【流れ⑦】確定申告と納税をする
各共有者が自分の持分に応じて確定申告と納税を行います。
【方法③】共有持分を共有者間で売却する7つの流れ
- 持分の価格を調べる
- 売買条件を協議・決定する
- 必要書類を準備する
- 売買契約を締結する
- 決済をする
- 持分移転登記をする
- 確定申告と納税をする
順番にご案内します。
【流れ①】持分の価格を調べる
不動産会社に査定を依頼して、不動産全体の時価の目安を把握します。
売買価格の計算式は次の通りです。
- 不動産全体の時価×売却する持分割合
例えば、不動産全体の価格が5,000万円で、持分が2分の1なら2,500万円です。
共有者間での売買の場合、時価よりも著しく低い価格で取引すると、差額部分が「みなし贈与」として贈与税の対象になる可能性があります。
ですので、親族間取引であっても適正価格で取引してください。
【流れ②】売買条件を協議・決定する
共有者間で次のような売買条件を決めます。
- 売買価格
- 決済方法
- 決済と登記のタイミング
- 登記費用や司法書士報酬の負担者
自分たちだけで手続きをすると、後から税金が発生するなど、とても手間がかかる可能性があります。
ですので、基本的には税理士や司法書士などにご相談ください。
【流れ③】必要書類を準備する
売主側の主な必要書類は次の通りです。
- 登記識別情報
- 印鑑証明書
- 本人確認書類
- 登記事項証明書
- 固定資産税評価証明書
買主側の主な書類は次の通りです。
- 住民票
- 印鑑証明書
- 本人確認書類
親族間であっても、ちゃんとした手順で売買をすることで、後のトラブルを防ぐことができます。
専門家を間に挟んで進めることをご検討ください。
【流れ④】売買契約書を作成し締結する
売主と買主の名義で売買契約書を作成します。
契約書の記載事項は主に次の通りです。
- 当事者(売主・買主)の氏名・住所
- 対象不動産と対象持分
- 売買代金と支払時期・方法
- 決済日・登記申請日
【流れ⑤】決済をする
契約で定めた日に買主から売主へ売買代金を支払います。
トラブル予防のため、親族間でも振込などの記録をお残しください。
【流れ⑥】持分移転登記をする
依頼した司法書士が代理で登記申請を行います。
かかる費用は次の通りです。
- 登録免許税
- 司法書士報酬
【流れ⑦】確定申告と納税をする
売主と買主それぞれが納める税金は次の通りです。
- 売主:譲渡所得税・住民税
- 買主:不動産取得税
売主は利益が出た場合に確定申告が必要です。
買主には取得から数か月〜1年後に不動産取得税の納税通知が届きます。
不動産取得税は固定資産税評価額に対して3〜4%が標準です。
共有持分を売却する場合の最大の注意点は業者の選定
理由は、中には知識の乏しい売主につけ込む悪質な業者がいるからです。
選ぶポイントは次の通りです。
| ポイント | 確認すべき内容 |
|---|---|
| ①専門性 | ●共有持分を専門的に扱っている ●買取の実績が豊富 |
| ②信頼性 | ●弁護士と提携している ●宅地建物取引士が在籍している ●口コミ・評価の内容 |
| ③買取スピード | ●現金化までにかかる期間 |
| ④担当者の対応 | ●価格提示に根拠がある ●契約説明が分かりやすい ●連絡・返信が早い |
| ⑤契約条件 | ●手数料の有無 ●契約で定められる免責範囲 |
| ⑥アフターフォロー | ●売却後の登記変更への対応 ●税金関連の相談への対応 |
| ⑦対応エリア | ●物件の場所が業者の対応地域内 |
担当者の対応が重要な理由は、ルーズな業者だとなかなか売買が進まなかったり、見落としがあったりするからです。
ストレスになるだけでなく、悪徳・悪質な業者の可能性があるからです。
免責範囲とは、売却後にトラブルが生じた際、売主がどこまで責任を負うかということです。
条件が広すぎると売主に不利になる場合があるためご注意ください。
共有持分は通常の不動産売却より専門性が高く、専門業者間でも査定額に差があります。
また売却だけが最適な解決策ではありません。
ご相談、利用料は無料ですので、お気軽にお電話ください。
まとめ
共有持分の売却は、方法によって流れや必要書類が異なります。
もし自分の持分だけを売却する場合は、共有持分を専門に扱う信頼できる業者にご相談ください。
