「共有持分の買取業者の目的は何?」
「共有持分を業者に売却して大丈夫か不安…」
このように考えていませんか?
この記事では、共有持分の買取業者の目的について、プロが分かりやすくご案内しています。
目次
共有持分の買取業者の目的は利益を得ること!その4つの方法は…
- 単独名義にして売却する
- 他の共有者へ売却する
- 共有物分割請求訴訟で現金化する
- 単独名義にして賃貸する
詳しくご案内します。
【方法①】単独名義にして売却する
全ての持分を買い取り、単独名義にして、リフォームをし、売却するという方法です。
共有持分だけを買取っても、それだけではリフォームできません。
持分はあくまで所有権の割合(数字)で、不動産を物理的に分けているわけではないからです。
例えば、持分が3分の1打ッとしても、実際に3分の1だけをリフォームすることはできません。
ですので、買取業者は他の共有者に買取の交渉をし、全ての持分を買取った後にリフォームをして売却します。
-
母と2人兄弟の3人で共有している不動産(評価額5,000万円)があった。
兄から売却の依頼が来たため、買取業者は兄の持分4分の1を500万円で購入した。
次に弟に買取の交渉を持ちかけた。
結果的に、母と弟の持分を1,500万円で購入できた。
買取業者は単独名義にし、500万円のリフォームして、最終的に5,250万円で売却した。
利益は約2,750万円だった。
● 5,250万円 -(500万円 + 1,500万円 + 500万円) = 2,750万円
持分の買取相場は、市場価格の30%~50%です。
例えば、5,000万円の不動産の4分の1は、1,250万円ではなく375万円~625万円になるということです。
その理由は、他の共有者との買取交渉に手間や時間がかかるためです。
【方法②】他の共有者へ売却する(買取ってもらう)
他の共有者に買取りの交渉を持ちかけて、合意を得て売却するという方法です。
例えば、他の共有者が居住していて、「今後も住み続けたい」と考えている場合に、買取業者は利益を乗せて、その共有者に売却を持ちかけます。
金額に折り合いがつかない場合は、共有物分割請求訴訟を検討します。
【方法③】共有物分割請求訴訟をする
共有物分割請求訴訟とは、話し合いで解決できない場合に、裁判所を通じて共有不動産を分割する方法のことです。
民法258条で規定されています。
-
共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
裁判では、次の3つの分割方法を検討します。
- 現物分割…不動産を物理的に分筆して単独名義にする
- 代償分割…1人の単独名義にして、他の共有者に代償金を支払う
- 換価分割(かんかぶんかつ)…売却して現金を分ける(任意売却 or 競売)
分筆も代償金の支払いも難しいですし、共有者全員の同意が必要な任意売却も難しいからです。
ただし、競売では得られる利益が少ないため、買取業者は「できればしたくない」と考えています。
-
買取業者は、評価額5,000万円の共有不動産の4分の1を500万円で手に入れた。
共有者に買取を持ちかけたが、断固として「売らない」ということだったので、共有物分割請求書訴訟をした。
半年後に競売で3,000万円で売却し、買取業者は1,000万円を受け取ったが、諸経費を差し引いた利益は数百万円だった。
訴訟について、より詳しくはこちらの「共有物分割請求訴訟とは?」でご案内しています。
【方法④】単独名義にして賃貸する
全ての持分を取得して単独名義化し、賃貸物件として運用するという方法です。
賃貸化すれば、回収までに時間はかかりますが、長期的に家賃収入を得られます。
-
市場価格1億2,000万円の共有名義の賃貸アパートがあり、共有者の兄から売却依頼があった。
その後、共有者に交渉を持ち掛け、全ての持分を合計4,000万円で購入した。
会社で賃貸と売却の利益を計算した結果、リフォームし、家賃をUPして賃貸することになった。
● 月70万円、年間840万円の利益、表面利回りは約21%(回収に4年9ヶ月)
回収するのに時間がかかりますので、買取業者は計画的に賃貸をします。
共有持分の買取業者とのトラブル事例と防止策
- 売主と買取業者の間で起こるトラブル
- 他の共有者と買取業者の間で起こるトラブル
- 売主と他の共有者の間で起こるトラブル
それぞれご案内していきます。
売主と買取業者の間で起こるトラブル
- 相場よりも大幅に安く買い叩かれて後悔する
- 悪質な営業を受けて揉める
- 売却後に修繕費用を請求されて揉める
悪質な営業とは、例えば、業者が「持分を売却してください」と、朝晩関係なく電話や突然の訪問をしてくるといったことです。
こうしたトラブルは、悪質、悪徳な業者に売却を依頼してしまった場合に起こります。
次のような対策をしてください。
対策 | 概要 |
---|---|
複数の業者に査定を依頼して比較する | 1社だけで決めず、3社以上から見積もりを取り、相場を把握する |
弁護士と提携している業者に依頼する | 不当な条件を避けるため、法律専門家と連携している業者を選ぶ |
より詳しくは、こちらの「共有持分の買取業者とのトラブル5つと回避法」でご確認ください。
他の共有者と買取業者の間で起こるトラブル
- 他の共有者がしつこい営業を受けて揉める
- 共有物分割請求訴訟される
- 突然、敷地内に買取業者が来て揉める
- 居住中の共有者が賃料の請求を受けて揉める
共有者が住んでいる住居の敷地内に、事前の連絡無く業者が入ってきてしまうことがあります。
買取業者にも共有不動産を使う権利があるからです。
ですが、もし買取業者へのクレームが来たら、次のような対策をするように伝えてください。
対策 | ポイント |
---|---|
すべてのやり取りを記録する | 電話や訪問は日時をメモ、メールや手紙は保存する |
はっきりと意思表示する | 「売却する意思はない」と明確に伝える |
専門家に相談する | 弁護士を通して対応すれば業者は直接交渉しにくくなる |
より詳しくはこちらの「共有持分の売却で起こるトラブルとは?」をご覧ください。
売主と他の共有者の間で起こるトラブル
買取業者は関係なく、売却することで起こりうるトラブルです。
- 「勝手に売った」ことに不信感を持たれ、関係修復が不可能になる
- 共有者が考えていた不動産の活用ができなくなり、揉める
- 管理費や固定資産税の負担で揉める
例えば、兄弟の一人が事前に相談せずに持分を売却した場合、「勝手に売った」とけんかを仕掛けてきたり、嫌がらせしてきたりすることがあります。
事前に次のような対策をしてください。
対策 | 概要 |
---|---|
事前に他の共有者へ相談する | 売却の意思を説明し、理解を得る努力をする |
専門家を交えて話し合う | 弁護士や司法書士を間に入れて冷静に協議する |
共有持分の買取を業者に依頼するメリット・デメリット
買取に対応している業者に依頼するメリットとデメリットをご案内します。
メリット
自分の持分だけなら他の共有者の同意は不要で売却できます。
これは民法206条で規定されています。
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
共有持分の買取を業者に依頼するメリットは次の通りです。
- 短期間で現金化できる
- 共有者との交渉が不要
- 現金化までスムーズ
共有持分の買取に対応しているのは、次の3種類の業者です。
- 訳あり不動産の買取業者
- 共有持分が専門の買取業者
- 共有持分が専門の仲介業者
このうち買取業者の場合は、業者が直接買い取るため、最短数日~で入金が完了することがあります。
仲介業者とは、売主と買主の間に入って、売買の契約を成立させる業者のことです。
多くの買主に情報を提供するため、買取業者よりも高額で買取ってくれます。
中には売却前に手付金を渡している業者もいます。
- 買取業者と仲介業者の違い
比較項目 | 買取業者 | 仲介業者 |
---|---|---|
取引形態 | 業者が直接購入する | 買主を探して仲介する |
売却期間 | 即日〜数週間 | 数日~数週間 数か月以上かかる場合がある |
売却価格 | 仲介より安い | 実勢価格の30%~50% |
手数料 | 不要 | 仲介手数料がかかる |
デリット
- 実勢価格より安くなる
- 売却後に追加費用がかかることがある
共有持分を業者に売却する場合、相場価格より安くなります。
例えば、市場価格3,000万円の夫婦で50%ずつ共有しているマンションがあり、夫が持分2分の1を売却する場合、1,500万円ではなく、30%~50%の450万円~750万円になります。
売却後に追加費用がかかるというのは、契約不適合責任が免責ではない場合に起こります。
- 契約不適合責任…売却して引き渡された不動産が契約内容に適合していなかった場合に、売主が負う責任
例えば、売却後に買取業者が「お湯が出ない」「雨漏りが見つかった」「シロアリの後があった」などと言ってくることがあります。
共有持分の場合、免責になっていることが多いので、悪質・悪徳な業者に売却をしてしまった可能性があります。
共有持分の買取に対応している業者を選ぶ6つのポイント
- 買取実績が豊富な業者を選ぶ
- 宅地建物取引業の免許の有無を確認する
- 買取業者の口コミ・評判を確認する
- 複数業者で査定をして比較する
- 弁護士と提携している
- 担当者が誠実で丁寧な対応をしてくれる
それぞれご案内していきます。
【ポイント①】買取実績が豊富な業者を選ぶ
理由は2つあります。
- 様々なケースに対応できる
- スムーズに買取ってくれる
公式サイトであなたのケースに近い実績があるかどうか、確認してみてください。
ぜひ参考にしてみてください。
【ポイント②】宅地建物取引業の免許の有無を確認する
宅地建物取引業の免許とは、不動産取引を行うための国の許可のことです。
免許がある会社は法律に基づいて営業しているということです。
確認する理由は、免許があるということは、悪徳・悪質な業者の可能性が低いからです。
公式サイトで免許番号をご確認ください。
【ポイント③】買取業者の口コミ・評判を確認する
理由は、業者が悪質・悪徳かどうか見分けられる可能性が高まるからです。
口コミや評判をチェックする場合、次のようにしてください。
- 悪い評判が多い業者は避ける
- 抽象的な内容ではなく具体的な内容をチェックする
【ポイント④】複数業者で査定をして比較する
理由は、相場を把握するためです。
相場を把握できれば、査定額が高いか安いか判断できます。
1社だけの査定では判断できませんので、3社以上の査定を受けてください。
【ポイント⑤】弁護士と提携している
理由は2つあります。
- 法的トラブルを防ぐことができる
- トラブルが起こった場合に相談できる
共有持分の売却では、他の共有者と対立することがあります。
弁護士がいれば、法的な予防策や対策を打つことができます。
【ポイント⑥】担当者が誠実で丁寧な対応をしてくれる
理由は、営業マンによって結果が大きく変わることがあるからです。
営業担当者の質で、売却価格が違ったり、ストレスのかかり方が違ったりします。
強引だったり、連絡が遅かったり、不備があったりする担当者はトラブルの元です。
初回相談やその後のやり取りで見極めてください。
お困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。
共有持分の買取に対応している業者5社
- 共有持分支援協会
- 共有持分専門買取センター
- 共有持分売却窓口
- 大正ハウジング
- ベリーベスト
それぞれご案内します。
共有持分支援協会
共有持分支援協会は、共有持分の悩みを解決する一般社団法人です。
仲介による高額売却も、買取による早期現金化もできます。
買取は最短2日~、手付金を即日で受け取ることできます。
弁護士や税理士と連携しています。
買取方法 | 仲介、買取 |
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売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 手付金(最短翌日)・持分の一部買取、持分のリースバック |
共有持分専門買取センター
共有持分専門買取センターは、共有持分の専門の買取業者です。
所在地は大阪で、対応エリアは大阪中心です。
年間1,200件の相談に対応しています。
買取方法 | 買取 |
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売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 不明 |
対応エリア | 大阪 |
共有持分売却窓口
共有持分売却窓口は、共有持分専門の買取業者です。
累計1万件超の相談実績があります。
対応エリアは大阪・京都・兵庫・沖縄です。
買取方法 | 買取 |
---|---|
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・税理士 |
対応エリア | 大阪・京都・兵庫・沖縄 |
大正ハウジング
大正ハウジングは、共有持分専門の買取業者です。
センチュリー21加盟店です。
買取方法 | 買取 |
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売却日数 | 最短1週間 |
専門家の在籍 | 弁護士 |
対応エリア | 全国 |
ベリーベスト
ベリーベストは、共有持分が専門の買取業者です。
法律事務所のグループ法人が運営しています。
買取方法 | 買取 |
---|---|
売却日数 | 最短2日 |
専門家の在籍 | 弁護士・司法書士・宅地建物取引士 |
対応エリア | 全国 |
その他 | 訳あり不動産買取価格・スタッフ対応などで満足度No.1 |
共有持分の買取業者の目的は何?のまとめ
共有持分の買取業者の目的は、利益を得るために、主に単独名義にしてリフォームして売却することです。
仕組みを理解した上で、買取業者の話を聞いてみてください。