「他の共有者が持分を売却したんだけど、どうなるんだろう?」
「自分の持分を売却したらどうなる?トラブルはイヤだな…」
このように考えていませんか?
このページでは、共有持分を売却したらどうなるのかについて、プロが分かりやすくご案内します。
目次
共有者が持分を売却するとどうなる?
共有者が持分を売却すると、所有権が新たな共有者に移ります。
- ”あなた”が共有持分を売却するとどうなる?
あなたは売却益(現金)を得ることができます。
その代わりに所有権が無くなり、共有者が次の例ように変化します。
- 共有者が3名の場合の例
売却前の共有者 before |
売却後の共有者 after |
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第三者(買主)とは、主に買取業者や大家、投資家などのことです。
- ”あなた以外”の他の共有者が持分を売却するとどうなる?
この場合は、共有者が次のように変化します。
売却前の共有者 before |
売却後の共有者 after |
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この「買主」=「新たな共有者」との間でトラブルが起こる可能性があります。
共有者が持分を売却する起こる可能性がある7つのトラブル
- 自由に使えなくなる
- 費用負担で揉める
- 交渉(営業)を受ける
- 家賃を請求される
- 嫌がらせを受ける
- 共有物分割請求訴訟を提起される
- 相続時に複雑化する
トラブルについて詳しくご案内します。
【トラブル①】自由に使えなくなる
持分を買取った第三者が「共有者としての権利」を使うことで、今まで問題無かった行為・行動が制限されることがあります。
弟(65)が月1回程度、相続した実家に行って、清掃などを丁寧にしていた。
兄(68)が、弟に黙って自分の持分(4分の1)を買取業者に売却した。
ある日、見知らぬ業者(買取業者)から弟に「建物の鍵を変更します」「掃除するには事前予約が必要です」と連絡が来た。
さらに「鍵交換の費用を負担してください」と連絡が来た。
弟は最初は感情的に反発したが、兄の行動(知らない間に売却した)を知ってショックを受け、次第に元気が無くなり、メンタルクリニックに通うようになった。
このように、ある日突然、思いもよらぬ連絡が来るかもしれません。
ご相談は無料ですので、一度、当協会にご連絡ください。
【トラブル②】費用負担で揉める
共有不動産には固定資産税がかかりますし、家を保つためには相応の維持費がかかります。
その支払いの分配で揉めるということです。
誰も住んでいない共有名義の実家があった。
ある日突然、見知らぬ業者から「固定資産税の負担をするように」と、弟(70)に連絡があった。
どうやら相続した兄(72)が持分(3分の1)を業者に売却したらしい。
弟は「住んでいないので払いたくない」と伝えた。
だが、業者から「持分に応じた税金を負担する義務がある。延滞金や督促が来る。」と言われた。
「年金暮らしで余裕がないのに、どうすればいいのか…。」と、弟は途方に暮れた。
このように、ある日突然、思いもよらない請求が来ることがあります。
固定資産税は、支払わなければいけない税金です。
- 固定資産税…土地や建物などの不動産を所有している人に毎年かかる税金
共有名義の場合の義務や責任の範囲は、次の通りです。
共有名義の場合は、代表者1名に納付書が届きます。
代表者が全額支払えば他の共有者の義務が消滅します。
ですが、民法253条には、共有者は持分に応じた負担を負うとあります。
代表者が支払わない場合は、共有者が連帯して責任を負うことになります。
「これまで支払ったことが無い」ということは、今までは、誰かが支払っていたということです。
このケースでは、法律的に正しいのは業者ですが、年金暮らしで物価高が続いていると、なかなか受け入れられないと思います。
まずは一度、当協会にご相談ください。
「実家の庭の手入れや屋内の清掃などを定期的にするので費用を負担してほしい」と不動産会社から連絡がきた。
今までは弟(65)が住んでいたが、どうやら業者が弟の持分を買い取ったらしい。
このことで高齢(91)の母に何度も電話があったようで、母はショックで落ち込み、ふさぎ込むようになってしまった。
兄は母と弟に何度も電話しているが、なかなか出てくれない。
(年金だけでやっていけるのか)(これからどうしたらいいのか)と不安で、最近は体調が悪い。
不動産の買取業者からの頻繁な連絡は、大きなストレスです。
当協会がお力になれると思いますので、まずは一度、ご相談ください。
【トラブル③】交渉(営業)を受ける
この場合の交渉とは、買主による、次のような営業のことです。
「あなたの持分も買い取りたい」
「不動産全体を一緒に売却しませんか」
不動産業者は、共有名義を単独名義にして、リフォームなどで不動産の価値を高めて売却して利益を得るという営利目的で行動しています。
気を付けたいのは、業者の中には悪質・悪徳な業者がいるということです。
悪質・悪徳な業者は、こちらの知識の無さにつけこんで、物事を自分たちの都合のいいように進めてしまいます。
カードローンの支払いの期日が迫っている。
そういえば実家を共有名義で相続していたことを思いだした。
母(85)が住んでいるが、今後住む予定は無いので、「共有持分を高く買い取ります!」という不動産会社に連絡した。
査定額は思ったより安かったが、「共有持分は相場よりも安くなる」「築年数や買取後の修繕費を考えると、これぐらいが妥当」ということだった。
カードローンの支払いの期日に間に合わせたいので、この業者に売却した。
後日、母から「私がまだ住んでるのに勝手に売って!どうしてくれるのよ!」と電話で怒られた。
その後、自分で売却額を計算したら、相場よりもかなり安いことが分かった。
よく調べたらこの会社はどうやら悪質な業者らしい。
(買い叩かれた!)と思い、買取業者に連絡したが、契約後ということで、全く取りあってもらえなかった。
この場合、残念ながら、取れる対策は少ないです。
持分を売却したことで、権利を失っているからです。
【トラブル④】家賃を請求される
共有名義で相続した実家に、あなただけが住んでいる場合に、買主から家賃相当額を請求されるということです。
3人兄弟で相続した実家に、長男(68)が一人で住み続けている。
ある日、不動産業者から「所有権を持っているのに、家を使えていない。あなたが独占的に使っているなら、その分“使用料”を払ってほしい」と言われた。
どうやら弟(65)が、知らない間に持分を買取業者に売却したようだ。
「実家に住んでるのに家賃がかかるはずがない!」と突っぱねたが、その後も、業者からの電話が頻繁にかかってくる。
こちらは年金暮らしで余裕は無い。
「この先どうなるのか?」と不安だが、頭が混乱して考えが上手くまとまらない。
心も体も休まらない日々が続くと、疲弊してしまいます。
このような状況では、「何か対策を考える必要がある」と、頭では分かっていても、なかなかまとまりません。
それでも、まずは一旦落ち着いて、必要な対策を取ってください。
【トラブル⑤】嫌がらせを受ける
先ほどもご案内したように、買主の目的は、単独名義にして売却し、利益を得ることです。
ですが、共有状態では何もできません。
そのため、買主はいろいろな手段で単独名義にするための行動を取ります。
中には次のような行為をする悪徳・悪質な業者がいます。
- 頻繁に電話をかけてくる
- 自宅や職場にアポなしで訪問してくる
- 高圧的な口調で話しかけてくる
- 勝手に敷地内に入ってくる
- 断りなく内覧を行う
- 「勝手に掃除しないでくれ」と言ってくる
- 張り紙や看板の設置をする
- ゴミを置いていく
- 非常識な時間(深夜や早朝など)に連絡してくる
- 内容証明が届く
こちらの無知につけこんで、法律的にグレーな範囲を見極めて、様々な行動を起こします。
素人では、対抗するのは難しいです。
【トラブル⑥】共有物分割請求訴訟を提起される
- 共有物分割請求訴訟…共有者の一人が「共有状態を解消したい」と裁判所に提起する訴訟のこと
裁判所は共有物分割請求訴訟によって、次の3つの分割方法を検討し、判決を下します。
- 3つの分割方法
分割方法 | 概要 |
---|---|
①現物分割 | 不動産を物理的に分ける(土地を区切るなど) |
②換価分割(代金分割) | 不動産を競売で売却して代金を持分に応じて分ける |
③代償分割(価格賠償) | 一方が不動産を取得し、他方に代償金を支払う |
この訴訟は、民法第258条で共有者に法的に認められた権利のため、原則として他の共有者は拒否できません。
ある日突然訴状が届くと、ほとんどの人は慌ててしまいます。
ですが、金銭的に損をしてしまいかねませんので、一旦、落ち着いてから行動してください。
【トラブル⑦】相続時に複雑化する
共有者が亡くなると、その持分が複数の相続人(親、子、孫など)に分割で共有されます。
共有者が増える続けると複雑化し、面倒なことが増えることが多いです。
また、不動産への対応が決まらないまま、税金(固定資産税など)の支払いが滞ると、一部の共有者の持分が差し押さえられる可能性があります。
税金の滞納が金融機関に知られた場合、住宅ローンや車のローン、教育ローンなどの審査にマイナス影響が出ることがあります。
共有分の売却でトラブルになった時の6つの対処法を解説
- 買主と話し合いをする
- 弁護士に相談する
- 持分を売却する
- 持分を買主に売却する
- 不動産全体を売却する
- 共有持分を買い戻す
詳しくご案内します。
【対処法①】買主と話し合いをする
- 自由に使えなくなる
- 費用負担で揉める
- 交渉(営業)を受ける
- 家賃請求される
このようなことがあったら、まずは、新たに共有者となった買主(買取業者、投資家、大家など)と話をしてみてください。
共有者は、一方的に他の共有者の権利を制限できません。
何かを強制されることはありませんので、共有者同士で今後について話をしてみてください。
ただし、買主(買取業者、投資家、大家など)は、共有不動産についての知識や経験が豊富です。
うまく誘導されて、条件的に不利な内容を飲まされてしまうかもしれません。
納得感が無かったり、不快感や違和感を感じたりしたら、弁護士に相談してください。
【対処法②】弁護士に相談する
- 嫌がらせを受けている
- 共有持分の買取請求をされた(内容証明郵便が届いた)
- 共有物分割請求訴訟を提起された
- 買主と話し合いをしたが上手くいかなかった
- 買主の話に違和感を感じる、納得感が無い
このような場合は、弁護士に依頼して、代わりに交渉してもらってください。
弁護士を入れることで、多くの場合、これ以上の状況悪化を防ぐことができます。
ただし、解決までに相応の時間と費用(弁護士費用など)がかかります。
そこまでしたくない場合は、持分の売却をご検討ください。
【対処法③】持分を売却する
あなたには、あなたの持分を自由に売却する権利があります。
あなたが所有している共有持分だけを売却する場合は、他の共有者の同意や許可は不要です。
連絡や相談なども必要ありません。
ただし、どの業界もそうですが、悪徳・悪質な業者がいますので、売却先選びを丁寧に行ってください。
詳しくは「協会による共有持分の売却についてのページ」をご覧ください。
「まずは共有持分の買取についての知識を得たい」という方はこちらの「共有持分の買取をプロが分かりやすく解説!」をご覧ください。
【対処法④】持分を買主に売却する
共有者の買主(買取業者や大家、投資家など)に、あなたの持分を買い取ってもらうということです。
できれば事前に複数の買取業者に査定を依頼して、相場を把握しておいてください。
「他社はこれぐらいの金額を提示しています」と交渉の材料にすることができます。
あなたの持分はあなたの判断だけで売却できます。
売却をお考えでしたら、当協会にお気軽にご相談ください。
ご相談は無料です。
【対処法⑤】不動産全体を売却する
買主と協力して、共有状態を解消し、単独名義にして売却するということです。
売却後は、利益を持分に応じて分配します。
単独名義にして不動産全体を売却できれば、共有持分として売却するよりも、多くの現金を手にできるケースが多いです。
共有持分だけを売却すると、相場の30%~50%程度になるからです。
ただし、悪質・悪徳な業者を見分ける必要があります。
ご不安な方は、こちらの「買取業者vs仲介業者!共有持分の買取を依頼するならどちら?」をご覧ください。
【対処法⑥】共有持分を買い戻す
買主から共有持分を買い戻すということです。
共有持分に詳しい買主と価格の交渉をすることになりますので、足元を見られる可能性が高いです。
相手はプロですので、いいように言いくるめられて、高値で買取をして損をしてしまう可能性があります。
やはり、悪質・悪徳な業者を見分ける必要があります。
行動する前に、必ず「共有持分の買取業者・仲介業者を選ぶ6つのポイント」をご覧ください。
他の共有者が持分を売却する前にできる8つの対策
あなたを含めた共有者が、その持分だけを売却することを、防ぐことはできません。
民法によって定められた権利だからです。
それでも、次のような対策があります。
- 他の共有者が持分を売却する前にできる8つの対策
対策 | 概要 |
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①他の共有者の持分を買取る | 他の共有者の持分をあなたが買い取って単独名義にする |
②他の共有者に持分を売却する | あなたの持分を、他の共有者に買い取ってもらう |
③持分を放棄する | あなたの持分が、他の共有者に持分の割合に応じて分けられる(民法第255条) |
④共有不動産を分筆する | 一つの土地を法的に複数に分けて、それぞれを個別の所有物にする |
⑤相続時に共有しない | そもそも共有名義にしないということ 例)相続人の1人が不動産を単独名義で相続し、他の人は相応分の現金などを相続する |
⑥共有物分割請求をする | 各共有者の持分に応じて分割し、単独所有の状態にする ※分割方法は現物分割、代償分割、換価分割の3種類ある |
⑦優先交渉権の合意書を交わす | 共有者が持分を第三者に売却する場合に、優先的に声をかけてもらうようにする |
⑧共有物分割の禁止の合意書を交わす | 5年間は、共有物分割請求を禁止するようにする |
これらの対策をするには、次のような条件が揃っている必要があります。
- 相続や共有不動産に詳しい人がいる
- 全員で話し合いができる
- 弁護士や税理士などの専門家に依頼できる
対策にはそれぞれメリット、デメリットがあります。
もし全員で協議できるなら、全員に有益な方法を検討し、ご選択ください。
難しい場合は売却をご検討ください。
共有持分の売却先を選ぶポイント、相場、手順などを解説
共有持分の売却先は3つあります。
- 3つの売却先とそのメリット、デメリット
売却先 | メリット | デメリット |
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他の共有者 |
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買取業者・仲介業者 |
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共有持分支援協会 |
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選ぶポイントは、次の通りです。
- ホームページを見る
- 口コミを見る
- 地図で建物を見る
- メールで連絡をする
- 電話で話をする
- 対面で話す
詳しくは、こちらの「共有持分の買取業者・仲介業者を選ぶポイント」をご覧ください。
このうち、一般社団法人 共有持分支援協会には、次のような選ばれる理由あります。
- 独自の仲介システムで高額売却できる
- 手付金がある(最短翌日)
- 早期買取に対応している
- 利用料は無料(仲介手数料、残置物の撤去費用)
- 社団法人の立場で対応
売却相場の目安は、一般の不動産価格の30~50%です。
売却時に発生する費用は、こちらの「共有持分の買取で発生する費用」をご覧ください。
共有持分の買取ってもらう流れは次の通りです。
- 無料査定の依頼
- 査定額の提示(数日~1週間程度)
- 書類の準備(数日~2週間程度)
- 契約内容の把握
- 決済(数週間~1ヶ月程度)
- 所有権移転登記
各手順で必要な書類があります。
より詳しくはこちらの「共有持分の買取ってもらう流れ・必要書類」をご覧ください。
共有持分を売却するとどうなる?のまとめ
あなたがあなたの持分を売却すると、所有権は無くなりますが、売却益(現金)を得られます。
他の共有者が売却すると、買主が新たな共有者となり、その共有者とのやり取りが始まります。
買主によってはトラブルになることがありますが、対策はいろいろあります。
ご相談は無料です。