共有名義とは?単独名義・共有持分との違いやメリット・デメリットを解説!

「共有名義って何?」
「共有名義のメリット・デメリットは?」

このように考えていませんか?

この記事では、共有名義について、プロが分かりやすくご案内します。

この記事の作成者

専門相談員 戸田 良行Yoshiyuki Toda

【資格】宅地建物取引士
神奈川県出身。高校サッカーで全国大会進出を果たし、指導者の道に進む。その後、大手不動産会社で不動産のノウハウを蓄積する。諦めないことを信条に、お客様の希望を叶えるため日々奮闘中。

共有名義とは?単独名義、共有持分の違い

共有名義とは、1つの物件を複数人で所有する状態のことです。

単独名義とは。1人で所有する状態のことです。

共有持分とは、共有者が所有する不動産の割合のことです。

例えば、4,000万円のマンションを夫婦の共有名義で購入し、それぞれ2,000万円ずつ負担した場合、登記上の持分割合は2分の1ずつになります。

不動産が共有名義になる2つのパターン

パターン
  1. 夫婦共同で不動産を購入する
  2. 親族間で相続する

それぞれご案内します。

【パターン①】夫婦で不動産を購入する

ペアローンや収入合算を利用して住宅ローンを組むと、夫婦の共有名義で登記されます。

例えば、夫が4,000万円、妻が2,000万円の住宅ローンを組んで6,000万円の家を購入した場合、夫の持分は3分の2、妻の持分は3分の1です。

共有名義には住宅ローン控除のメリットがありますが、共有者間のトラブルを招く原因になることがあります。

【パターン②】親族間で相続する

不動産を相続する際、相続人が複数いると共有名義になります。

例えば、親の所有していた実家を母と3人の子どもで相続する場合、遺産分割協議で同意すれば、共有持分は、母が2分の1、子供がそれぞれ6分の1ずつで登記することになります。

遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方を話し合うことです。

共有名義の5つのメリット

5つのメリット
  1. 住宅ローンを組みやすくなる
  2. 住宅ローン控除を共有者分受けられる
  3. 売却時に税金控除を人数分受けられる
  4. 相続税を節税できる
  5. 諸費用の負担額を抑えられる

詳しくご案内します。

【メリット①】住宅ローンを組みやすくなる

理由は、夫婦それぞれの収入を合算して審査を受けられるからです。

例えば、夫の年収だけでは4,000万円が限界でも、妻の年収と合算すれば6,000万円のローンを組むことができます。

夫婦で住宅ローンを組む場合「団信」への加入が必須です。

団信とは、団体信用生命保険のことで、万が一夫婦のどちらかが亡くなった場合に保険金でローン残高を返済する保険のことです。

  • 団信の種類と内容
種類 内容
一般団信(ペアローン) 該当者のみのローンが完済、配偶者のローンは残る
夫婦連生団信(ペア連生団信・クロスサポート等) 2人分のローンが完済

【メリット②】住宅ローン控除を共有者分受けられる

共有名義にすることで税法上、所有割合ごとに控除額が算定されるからです。

住宅ローン控除とは、年末のローン残高に応じて所得税が還付される制度のことです。

例えば、住宅ローン控除額が年間30万円だとしたら夫婦2人で合計60万円の控除を受けられます。

【メリット③】売却時に特別控除を人数分受けられる

特別控除とは、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける制度のことです。

マイホーム売却時に使える3,000万円特別控除は共有者ごとに適用されるからです。

詳しくはこちらの「共有持分の買取で売主側に発生する費用を解説の譲渡税の税率について」をご確認ください。

【メリット④】相続税を節税できる

理由は共有名義にして所有者を夫婦で分散させることで、被相続人の持分のみが課税対象になるからです。

例えば、4,000万円の不動産を夫婦で50%ずつの共有持分なら、夫の相続時には2,000万円分だけが相続財産となり、残りの2,000万円は妻の持分として相続税の対象外となります。

参考)国税庁「No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

【メリット⑤】諸費用の負担額を抑えられる

固定資産税や修繕費などの費用を分担できるからです。1人あたりの負担額を抑えることができます。

例えば、10万円の固定資産税がかかる場合、4人の共有者の持分が均等なら1人あたりの負担額は25,000円です。

参考)民法253条

共有名義の7つのデメリット

7つのデメリット
  1. 離婚時に揉めやすい
  2. 自由に活用できない
  3. 費用の負担で共有者と揉めることがある
  4. 訴訟される可能性がある
  5. 将来、負動産になる可能性がある
  6. 勝手に売却される可能性がある
  7. 住んでいる人を追い出せない

詳しくご案内します。

【デメリット①】離婚時に揉めやすい

夫婦で共有名義の家を購入した場合、不動産は夫婦2人の共有財産ですので、離婚する際に財産分与で揉める可能性が高いです。

例えば、夫が「売却したい」と言っても妻が「住み続けたい」と反対すれば、意見が対立し手続きが進みません。

【デメリット②】自由に活用できない

理由は、共有名義の物件の管理や用途変更には、共有者全員の同意か過半数の同意が必要だからです。

例えば、リフォームや増築には共有者全員の合意が必要で、1人でも反対すれば実現できません。

【デメリット③】費用の負担で共有者と揉めることがある

支払い能力や意欲が共有者によって異なる場合、トラブルになりやすいです。

例えば、親から相続した実家を兄弟で共有名義にしたものの固定資産税の負担について、誰がどのくらい支払うのか意見が対立することがあります。

【デメリット④】訴訟される可能性がある

共有者と意見が対立し、話し合いで解決できない場合「共有物分割請求訴訟」を起こされる可能性があります。

共有物分割請求訴訟とは、共有名義の不動産を解消するために、裁判所に分割方法を求めて提訴することです。

例えば、兄弟間の共有土地の分割を巡った裁判が行われ、売却するという判決が出れば、居住中の共有者は従わなければなりません。

詳しくは「共有物分割請求訴訟とは?の共有物分割訴訟を提起に至った5つのケース」をご確認ください。

【デメリット⑤】将来、負動産になる可能性がある

理由は、維持費や税金の負担だけが続くためです。

負動産とは、所有しているだけで税金や維持費がかかり、売却も賃貸もできないような不動産のことです。

例えば、親から相続した田舎の土地や家を、兄弟やその子供、その孫で共有名義にすると、収拾がつかなくなります。

【デメリット⑥】勝手に売却される可能性がある

共有名義の不動産は、自分の持分だけなら、他の共有者の同意がなくても売却できます。

例えば、親から相続した不動産を兄弟で共有していた場合に、兄が持分を売却すると、弟と第三者の共有不動産になります。

参考)民法第206条

【デメリット⑦】住んでいる人を追い出せない

理由は、共有者には不動産全体を使用する権利があるためです。

例えば、兄弟で実家を共有名義で相続したものの、長男が住み続けている場合、弟は相手を強制的に退去させることはできません。

参考)民法第249条

共有名義になることを避ける方法

共有名義を避ける方法
  1. 相続の場合
  2. 夫婦で自宅を購入した場合

それぞれご案内します。

相続の場合

相続で共有名義を避ける方法は次の通りです。

  • 遺言書を作成する
  • 遺産分割協議で単独名義に決める
  • 換価分割する(売却して現金で分配)
  • 相続放棄・持分放棄する
  • 生前贈与する

遺言書で「この不動産は長男に相続させる」といったように、誰がどの財産を相続するかを明確に指定しておくことで、遺産分割協議で揉めるのを防げます。

夫婦で自宅を購入する場合

夫婦で共有名義を避ける方法は次の通りです。

  • 単独名義で購入する
  • 連帯保証の形で住宅ローンを組む
  • 事前に夫婦間で合意書を作成する

連帯保証の形で住宅ローンを組むことで、名義を単独としながら借入額を増やすことができます。

ただし、妻の分の住宅ローン控除を受けられません。

共有名義人ができること・できないこと

共有名義人ができること
  1. 保存は単独の判断でできる
  2. 管理には過半数の同意が必要
  3. 変更と処分には全員の同意が必要

詳しくご案内します。

保存は単独の判断でできる

保存行為とは、不動産の現状を維持するために必要な行為のことです。

保存行為の範囲は次の通りです。

  • 雨漏りや破損部分の修理
  • 害虫駆除(シロアリ・ネズミなど)
  • 老朽化部分の補修工事
  • 建物や設備の清掃・保守

参考)民法第252条5項

自分の共有持分を売却する場合、他の共有者の同意は一切不要です。自分の判断だけで売却できます。

管理には過半数の同意が必要

管理行為とは、軽微なリフォームや賃貸借契約の締結などのことです。

管理行為の範囲は次の通りです。

  • 賃貸契約の締結・更新
  • 共用部分の改修やリフォーム
  • 建物の定期点検や大規模修繕計画
  • 管理業務の委託や契約変更

参考)民法第252条1項

変更と処分には全員の同意が必要

変更行為とは大規模なリフォームや建て替え、増築などのことです。

変更行為の範囲は次の通りです。

  • 建物の増改築
  • 用途の大幅な変更(例:住宅を店舗に改装)
  • 土地の分筆や合筆
  • 建物の取り壊し

処分行為とは、売却や抵当権の設定などのことです。

処分行為の範囲は次の通りです。

  • 共有不動産全体の売却
  • 共有物全体の贈与や譲渡
  • 建物の取り壊し
  • 共有物を担保に入れる(抵当権設定)

参考)民法第251条1項

共有名義を解消する6つの方法

6つの解消法
  1. 自分の持分を業者に売却する
  2. 他の共有者に売却する
  3. 共有者の持分を自分で買い取る
  4. 共有者全員の同意を得て売却する
  5. 自分の持分を放棄する
  6. 共有物分割請求訴訟を提起する

詳しくご案内します。

【方法①】自分の持分を業者に売却する

理由は他の共有者の同意を得る必要がないからです。

共有者間のやり取り(交渉など)が不要なので、離婚などの早急に関係を解消したい場合に有効です。

【方法②】他の共有者に売却する

既存共有者は物件の利用や管理に関わっているため、売却の交渉をスムーズに進められます。

例えば、兄弟間での持分売買で共有名義を解消できます。

ただし、この方法は他の共有者に資金力が必要です。

【方法③】共有者の持分を自分で買い取る

他の共有者の持分を買い取れば、単独名義にできます。

例えば、親から相続した実家に住み続けたい場合、他の兄弟から持分を買い取ることで自分の単独名義にできます。

ただし、買い取るための資金が必要になります。

【方法④】共有者全員の同意を得て売却する

共有者全員が売却に同意することで、不動産全体を第三者に売却できます。最も経済的メリットが大きいです。

市場価格で売り、得られた売却益を共有者全員で公平に分けます。

【方法⑤】自分の持分を放棄する

この方法には経済的メリットはありませんが、共有関係から完全に離脱でき、将来的な責任を回避できます。

詳しくは「共有持分を放棄するとどうなる?のメリット・デメリット」をご確認ください。

【方法⑥】共有物分割請求訴訟を提起する

共有物分割請求訴訟とは、複数の共有者が所有する不動産の共有状態を解消するために裁判所に対して分割を求める法的手続きのことです。

この訴訟では裁判所が分割方法を決定するため、他の共有者の同意が得られなくても強制的に共有関係を解消できます。

詳しくは「共有物分割請求訴訟とは?3つの分割方法、流れ、費用、必要書類を解説」をご確認ください。

共有名義の売却先を選ぶ6つのポイント

共有名義の売却先を選ぶポイントは以下の通りです。

6つのポイント
  1. ホームページを見る
  2. 口コミを見る
  3. 地図で建物を見る
  4. 電話でコンタクトを取る
  5. 査定額について対面で話す
  6. 契約内容の説明を受ける

共有持分の売却を検討する際は、信頼できる業者選びが重要です。

詳しくは「共有持分の買取をプロが解説!の共有持分の買取業者・仲介業者を選ぶ6つのポイント」をご確認ください。

共有名義の売却先5社

共有名義の売却先
  1. 共有持分支援協会
  2. 大正ハウジング
  3. 中央プロパティ
  4. トップショット
  5. ライズ

詳しくご案内します。

共有持分支援協会

共有持分専門の仲介と買取に対応している社団法人です。

豊富な実績と専門知識で、共有者間のトラブルを解決しています。

公式サイトには、解決事例が掲載されています。

大正ハウジング

共有持分の買取業務を行ってる不動産会社です。

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センチュリー21の加盟店です。

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