「共有持分の売買契約書のひな形を見たい」
「自分でも売買契約書を作成できる?」
「トラブルを避けたい」
このように考えていませんか?
このページでは、共有持分の売買契約書のひな形について、プロが分かりやすくご案内します。
目次
ひな形の前に…共有持分の売買契約書とは?
共有持分の売買契約書とは、共有持分を売買する際に作成する契約書のことです。
売買契約書を作成する理由は、取引内容を明確にして後々のトラブルを防ぐためです。
- 一般的な不動産を売買する際の契約書との違い
| 比較項目 | 一般的な不動産売買 | 共有持分の売買 |
|---|---|---|
| 対象 | 不動産全体 | 自分の持分のみ |
| 必須記載事項 | 物件全体の情報 | 持分割合の明記 |
| 契約不適合責任(※) | 売主が責任を負うことが多い | 免責とすることが多い |
| 設備修復義務(※) | 売主が負担することが多い | 免責とすることが多い |
-
売買契約で、引き渡された物件の品質などが契約内容に適合しない場合に売主が負う責任のこと
例えば、「雨漏りなし」ということで契約したのに、実際は雨漏りしていた場合は、売主の費用負担で修繕することになります。
不動産会社によって表現が異なります。
売買契約において、売主が契約で約束した設備について、引き渡しまでに修理・修復して引き渡す義務のこと
例えば、「給湯器は売主負担で修理してから引き渡す」と契約していたのに、未対応で引き渡された場合、売主の費用負担で修理することになります。
不動産業者を通じて売買する場合、一般的には業者が契約書を作成します。
契約書を作成・交付する法律上の義務があるためです。
個人間で売買する場合は、どちらかが契約書を作成します。
ですが、専門知識がないまま作成すると、記載漏れや不備、税務上の見落としによるトラブルが起きやすくなります。
共有持分の売買契約書のひな形で抑える8つのポイント
- タイトル
- 不動産の表示
- 売買代金・支払方法等
- 違約金・契約解除
- 所有権移転・登記
- 契約不適合責任・境界と測量
- 物件の状態・費用負担
- 署名と押印
順番にご案内します。
①タイトル
契約書の冒頭に「不動産売買契約書」と記載します。
この他に、売買契約書条項や付帯設備表などの書類があります。

売買契約書条項には、次のような重要な内容が記載されています。
- 物件の内容
- 売買代金や支払い方法、手付金
- 支払いの時期、方法
- 引き渡しや各権利の変更日程
- 物件状況確認、その補償など
- 解除・違約金
不動産会社によって内容が違います。
②不動産の表示
登記簿に書かれている内容をもとに、売買する不動産と持分の割合を書く部分です。
「何を売るのか」をはっきりさせるためです。
買主が「不動産全体を買ったつもりだった」と言い出さないように、不動産の情報に加えて、「特記事項」の欄に持分割合(○分の○)をご記載ください。
③売買代金・支払方法等
売買代金の総額、手付金、残代金、支払期日を記載します。
買主が支払いを引き延ばしたり、売主が「まだ全額もらっていない」と主張することを防ぐためです。
(第1条)とあるのは、不動産売買契約書条項の第1条のことです。


④違約金・契約解除
契約違反があった場合のペナルティと解除条件のことです。
売主が決済日の直前に「やっぱり売りたくない」と言い出したとき、どれだけ損害賠償を請求できるかを明示するためです。
主な記載内容は次の通りです。
- 手付解除の日程
- 契約違反による解除、金額
手付解除とは、例えば、買主は手付金を諦め、売主は手付金の倍額を返すことで、契約を白紙に戻せることです。
ただし、相手が契約の準備を始める前までに限ります。
契約違反による解除とは、相手が約束を破った場合に、期限を決めて催促したうえで契約を取りやめられることです。
⑤所有権移転・登記
所有権がいつ移転するか、登記手続きの方法を定めます。
次のようなトラブルを防ぐためです。
- 代金を払ったのに売主が登記移転に協力しない
- 持分に抵当権が残ったまま移転される
「抵当権は売主の責任で抹消する」
などと決めておけば、買主が困るような不完全な状態で引き継がれる問題を防ぐことができます。
⑥契約不適合責任
契約不適合責任とは、売主が引き渡した不動産に欠陥や約束と違う点があったとき、売主が買主に対して負う責任のことです。
例えば、購入後に雨漏りやシロアリ被害が見つかった場合、誰が責任を取るのかを決めるといったことです。
共有持分の売買では、売主が不動産全体の状況を把握していないケースが多いため、免責にすることが多いです。
⑦物件の状態・費用負担
物件を引き渡すときの状態と、取引にかかる費用を誰が払うかを決める部分です。
記載する主な内容は次の通りです。
- 物件状況の告知
- 公租公課等の分担
-
売主が知っている範囲で物件の状態を買主に伝えることです。
伝える理由は、隠れた欠陥が後から見つかってトラブルになるのを防ぐためです。
例えば、「過去に雨漏りがあった」「近隣とトラブルがある」といった情報は、売主が知っているなら必ず伝える必要があります。
知っていたのに黙っていると、後から責任を問われる可能性があります。
-
固定資産税や都市計画税などの税金を売主と買主でどう分けるかを決めることです。
これを行う理由は、年の途中で売買した場合に税金の負担があいまいになるためです。
⑧署名と押印
契約書の末尾に、売主・買主双方が署名し実印で押印します。
書面化と署名押印がなければ、「自分は同意していない」「署名を偽造された」というトラブルを防ぐことができるからです。
共有持分の売買契約でよくある5つのトラブルと対策
- 物件の欠陥への責任を問われる
- 面積の違いが問題になる
- 代金支払いや内容の解釈で揉める
- 追徴課税されるリスクがある
- 他の共有者と揉める
順番にご案内します。
【トラブル①】物件の欠陥への責任を問われる
引き渡した後に雨漏りやシロアリ被害が見つかり、買主から修理を求められることがあります。
対策は、契約書に「契約不適合責任の免責条項」を入れて、売主の責任範囲をはっきりさせておくことです。
ただし、売主が知っていた欠陥を黙っていた場合は責任を問われます。
【トラブル②】面積の違いが問題になる
売却後に測量したら登記簿より面積が小さかったと分かり、買主から代金の返還を求められることがあります。
測量にはお金も時間もかかるため、個人間の取引では測量せずに売買します。
対策は、登記簿に書かれた面積を基準にする「公簿売買」で取引し、面積に違いがあっても責任を追及しない旨を契約書に書いておくことです。
【トラブル③】代金支払いや内容の解釈で揉める
代金の支払い方法や契約内容の解釈をめぐって、売主と買主の間でトラブルになるケースです。
特に親族間や知人同士の売買では、口約束や簡単な契約書で済ませてしまい、後から「言った・言わない」の問題が起きやすいです。
対策は、不動産売買の契約条項に記載しておくことです。
ただし、分割払いや親族間売買でご不安な場合は、公正証書で売買契約書を作成することを検討ください。
公正証書とは、公証役場の公証人が作成に関与する、法的効力の強い公式な文書のことです。
分割払いの場合は「強制執行認諾文言付き公正証書」を作れば、支払いが滞った際に裁判なしで財産を差し押さえられます。
【トラブル④】追徴課税されるリスクがある
不動産の売買で発生する税金は次の通りです。
- 譲渡所得税(売主)
- 不動産取得税(買主)
- 贈与税(買主)
贈与税は親族間売買で適正価格を下回る場合に発生します。
譲渡所得税や贈与税の計算は複雑でミスや申告漏れが起きやすく、万一のことがあると、追徴課税されるリスクがあります。
例えば、父が持つ共有持分(2,000万円相当)を子に500万円で売却した場合、差額1,500万円が「みなし贈与」とみなされ、数百万円の贈与税が課される可能性があります。
対策は、税理士に相談することです。
ミスなく確定申告できますし、節税対策の提案を受けられるケースがあります。
【トラブル⑤】他の共有者と揉める
- 共有者に売却を知らせなかったため関係が悪化する
- 新しい共有者と元の共有者の間で使用ルールで揉める
といったトラブルです。
共有持分は他の共有者の同意なく買取業者などの第三者に売却できますが、できれば事前に知らせておくと、これ以上の関係悪化を防止できます。
使用ルールとは、例えば、「売却後も一定期間、隣接する部屋や駐車場を使用できる」といったことです。
親族間でこれまでの使用ルールを継続したい場合は、売買契約書に「買主は既存の共有者間のルールを承継する」と明記しておいてください。
後から「言った」「言わない」と揉めることを防止できます。
法的な拘束力がないためです。
共有持分の売却で必要なその他の書類
| 書類 | 概要 |
|---|---|
| 登記識別情報(権利証) | ・所有権を証明する書類 |
| 固定資産税評価証明書 | ・登録免許税の計算に必要な書類 |
| 身分証明書 | ・本人確認のための公的書類 ・運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど写真付きのもの |
| 住民票 | ・現住所を証明する書類 ・登記上の住所と一致しているか確認するために必要 |
| 実印・印鑑登録証明書 | ・市区町村に登録された印鑑とその証明書 ・契約書や登記申請書に押印するために必要 |
| 土地測量図・境界確認書 | ・土地の形状、面積、隣地との境界線を示す書類 ・境界トラブル防止のために必要 ※マンションの場合は不要 |
住民票と印鑑登録証明書は発行から3ヶ月を過ぎると使えません。
ですので、取得のタイミングにご注意ください。
土地測量図・境界確認書は、ごくまれに求められることがあります。
その場合は、買取業者を変更するか、土地家屋調査士に数十万円かけて測量・境界確定をしてください。
持分の売買は複雑ですので、司法書士などに依頼されることをご検討ください。
まとめ
共有持分の売買をするための契約書のひな形はあります。
ですが、自作すると思わぬトラブルになることがありますので、司法書士や税理士などの専門家を挟むことをご検討ください。












